スタジオアーキタンツ が2020年夏、
設立20周年を記念し「ARCHITANZ 202
0」「ブライト・ステップ×ATP」を開

2020年8月6日(木)、8日(土)、9日(日)、スタジオアーキタンツ20周年記念事業として「ARCHITANZ 2020」「ブライト・ステップ✕ATP」が東京・新宿文化センター大ホールで行われる。これは国内外で活躍するダンサーたちが集う要注目の公演だ。来夏の公演に向けて、2019年8月20日(火)、記者会見が行われ、ジョヴァンニ・ディ・パルマ、酒井はな、菅井円加、西島勇人が出席した。なお、会見前に『ラフマニノフ ピアノコンチェルト第3番』(振付:ウヴェ・ショルツ)のリハーサルが公開され、ディ・パルマが菅井を指導した。
日本と世界をつなぐ交流・発信の場
スタジオアーキタンツの存在を抜きに日本のバレエ&ダンスを語れない。2001年、東京都港区海岸にアーキタンツ東京湾スタジオとして生まれ、2007年には拠点を芝浦一丁目の倉庫を改装したスペースに移転した。年間365日ダンスクラスを開講し、国内外で活躍する講師陣が指導にあたるオープンスタジオとして舞踊関係者やダンサー志望者に親しまれている。同時に劇場公演やスタジオパフォーマンスを行い、意欲的な作品を世に問う。
会見冒頭、スタジオアーキタンツ代表の福田友一が挨拶し創立時を振り返った。
「私は建築事務所に勤めていてダンスは専門外でしたが、香港の振付家の舞台美術のデザインを手伝ったのをきっかけにダンスの世界に入りました。独立した時にダンススタジオも始めました。アーキタンツというのは、英語で建築を意味するarchitectureとドイツ語でダンスのtanzを合わせたものです」
『ラフマニノフ ピアノコンチェルト第3番』リハーサル風景
天才ウヴェ・ショルツの名品と異才マルコ・ゲッケの日本初演作品を披露!
2020年8月8日(土)~9日(日)の「ARCHITANZ 2020」では4作品を上演する。アーキタンツ10周年記念公演で日本初演された『ラフマニノフ ピアノコンチェルト第3番』、異才マルコ・ゲッケの『薔薇の精』(日本初演)、ドイツ・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニーの芸術監督を務め日本に拠点を移した俊英・森優貴の新作『ボレロ』、アーキタンツと縁の深い能楽師シテ方観世流の津村禮次郎が舞う古典能『翁』だ。
ショルツ、ゲッケの作品の指導を行うディ・パルマは、アーキタンツ20周年を記念する公演への思いをこう語る。
「15年以上になるアーキタンツとの仕事の集大成です。ショルツの『ラフマニノフ ピアノコンチェルト第3番』を初めて上演した時は無謀な企画と言われましたが、成功理に持っていくことができました。この作品はカンパニーを代表するものであり、ダンサーは観客の皆さんと一緒に旅をしていくような作品です。『薔薇の精』は日本初演になります。ゲッケはコンテンポラリーダンスの重要な振付家です。エモーショナルな公演になると思います」
ジョヴァンニ・ディ・パルマ
酒井はな&菅井円加、21世紀の舞姫たちに注目!
次にマイクが回ったのはアーキタンツの公演に2004年から出演している酒井。新国立劇場バレエ創設時からプリマバレリーナとして脚光を浴び、フリーとなってからはコンテンポラリーダンスに果敢に取り組んで新生面を切り拓いている。アーキタンツ公演では、ショルツの『ラフマニノフ ピアノコンチェルト第3番』やゲッケの『火の鳥』『モペイ』を踊ってきた。今回はゲッケの『薔薇の精』のメイン・パートを踊る(共演は小㞍健太)。
「アーキタンツさんとのお付き合いが20年近くになるのだと思うと、とてもしみじみいたします。たくさんの新しい作品に挑戦させていただきました。日本で初めて紹介されるウヴェ作品やマルコさんの作品に携わり踊らせていただいて本当に幸せです。ジョヴァンニさんはダンサー思いで親身。感謝ばかりです。家族のような気持ちでここに通い踊らせてもらっています」
また酒井は『ラフマニノフ ピアノコンチェルト第3番』にも出演するが、アーキタンツで過去2回上演した際に披露したメイン・パートとは別の役で登場する。「とても大事なパートで、幕が開いて初動するダンサーでありキーパーソンです。ジョヴァンニさんにしっかり学びながら踊りたいと思います」と抱負を述べた。
酒井はな
酒井が以前踊ったパートを担う菅井は巨匠ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエ団のプリンシパル(最高位ダンサー)に昇格したばかり。酒井から「円加さんに踊っていただくことになり嬉しいです!」とエールを送られると、こう応じた。
「素晴らしくきれいな酒井はなさんという、頭が上がらないくらいのダンサーの後継ぎといいますか、大変な役を踊らせていただくということで、今から気合を入れなきゃと思います。ジョヴァンニさんとリハーサルをさせていただいて、とても勉強になっています。素晴らしいダンサーが揃う公演でもあるので、足を引っ張らないようにしっかり喝を入れて頑張っていきたいと思います!」
菅井円加
「ブライト・ステップ」と組む、未来志向のプロジェクト
2020年8月6日(木)の「ブライト・ステップ✕ATP」は新機軸だ。これは今年(2019年)で5周年を迎えた海外で活躍する若手ダンサーによる公演「ブライト・ステップ」とアーキタンツので2020年4月より始まる14歳から18歳のジュニアのための育成プログラム「アーキタンツ・トレーニング・プログラム」(ATP)のコラボレーション。「ブライト・ステップ」の面々によるパ・ド・ドゥやソロによるガラに加え、オーディションによって選ばれたジュニアダンサーたちによる合同作品を発表する。
「ブライト・ステップ」代表の西島勇人(ポーランド国立ポズナン歌劇場バレエ団)は、2013年にアーキタンツの舞台に出演予定だったがリハーサル中に大けがをした。その際、仲間のダンサーたちから励ましを受けたことが「ブライト・ステップ」結成につながる。
「自分たちのツールがバレエであるならば、同世代、サポートしてくれる人たちと何かしら形にしたいと入院中から考えていました。クラウドファンディングも行って公演を続けてきましたが、もう少し下の世代を対象にワークショップを行ったり直接交流したりして、何かしら彼らの目標となるものを届けたいと思うようになりました。アーキタンツさんと一緒にできることに感謝しつつ恩返しをしたいという思いもありましたので、今から楽しみにしています」
西島勇人
20年にわたり日本のバレエ&ダンスを民間の立場から多角的に支援し、新たな創造発信の場としても機能してきたスタジオアーキタンツ。20周年を記念した公演は、他には真似できないユニークかつ高水準で意欲的、そして幅広く楽しめる舞台となるだろう。2020年夏が待ち遠しい。
記者会見&公開リハーサルの模様
取材・文=高橋森彦
撮影:片岡陽太(オフィシャル提供)

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