【vistlip インタビュー】
バンドにとっても想い出深い
貴重な一枚になった
七夕の12周年記念ライヴにて完全復活と健在を誇示したvistlipから、これまでのブランクを取り戻すべく届いたニューシングル「CRACK&MARBLE CITY」。智(Vo)の病気療養による活動休止中の気持ちや復活までの胸中、そして今後がしっかりと刻まれた3曲からは、彼ららしい美しいメロディーと歌唱、対照的にサウンドからは新しいアプローチが垣間見れる。
3曲でひとつのパック的な
作品にしたかった
今回のシングルはvistlip然としたサウンドの美しさや歌メロ、歌の良さに、3曲3様の異なった新機軸なアプローチもあって印象的でした。
智
確かにサウンド面で言うと、特にタイトルトラックはいつも通りにならないようにとの意識はありました。おっしゃった通り、いろいろなことをやってはいるけど、流れ的には1本筋の通ったものになったかなって。ヴォーカルで言うと、3曲でひとつのパック的な作品にしたかったところはありました。
その辺りは“どんなサウンドアプローチだろうが俺たちがやればvistlip然となる!”的な自信から?
Yuh
今回の3曲って結構以前に録ってたからなぁ…今年の5~6月ぐらい? 逆に自分個人としてはそこまで“変えてやろう”とか“今回は違ったことに挑戦してみよう”的な意識はなかったですね。それはやり方にしろ、捉え方にしろ。むしろ、いつも通りに、いつもの自分を出してみたという感じで。なので、そう言ってもらえるのは非常にラッキーです(笑)。
海
どの曲も歌い方が丁寧になった感はありますね。智がこれまで以上にすごく丁寧に歌って、すごく丁寧に歌詞を乗せてる印象があるんです。
…と海さんがおっしゃってますが、当の智さん的には?
智
うーん…これからのvistlipのヴォーカリストとしての向き合い方というか、その辺りはかなり考えたかな。復帰までの空いた時間内にいろいろと。いわゆる今の自分の好きな声だったり。それもあって、これまで以上に自分たちらしさを大事にした面はありました。特に今回は“こんな歌い方で”“こんな声で”といった考えを一切排除してレコーディングに臨みましたから。
Tohyaさんは今作の制作にあたり何か考えたことは?
Tohya
シングルって3曲しか入ってないから、それだけで“自分たちってこんなバンドです!”と全てを伝えるのは難しいとは分かっていつつ、今回はYuhも瑠伊もそれぞれ“らしい”曲でかつ、ちょっと次のステップが見える感じのテイストで来たなって。対して、自分は自分で今まで取り入れなかった要素等を取り入れながらも、主にメロディーだったりするんですが、“やっぱりvistlipはこうだろう!”というものを、それらと上手くバランスを取りながら表現できたと思いますね。
確かにvistlip然とした部分と新機軸的な部分の融合をどの曲からも感じます。
Tohya
そうなんです。あと、3曲それぞれの歌詞に関しては、智の病気からここまでの人生の経緯がうかがえました。これまでで一番、いつか振り返った時に“あの時こうだったよね”というのがパッと思い浮かぶシングルになったかなって。バンドにとっても思い出深い貴重な一枚になりましたね。
智
確かに未来のことを想って歌っているのは「AFTER THE DIVE」だけですからね。もともと今作はその時の自分の気持ちを詰め込んだものにしたくて。それもあり、歌い方も“自分の感じた通りでいいや”って挑みました。あくまでも主人公は3曲とも自分なので。曲毎に別の気持ちで歌ったのに、最終的にはそれが筋の通った歌い方になっていたのには、自分でも面白いと思いました。
対照的にサウンドアプローチがさまざまな中、どれもがこれからのvistlipを感じさせるアプローチになった面も興味深いです。
智
うちってメンバーがみんなリード曲を目指して楽曲を作って、持ち寄るスタイルなんですよ。今回はその辺りも関係しているのかなって。まぁ、瑠伊はあれ(「DIRECTOR'S CUT」)をリードにする気は絶対になかっただろうけど(笑)。
Yuh
そんな中でも自分は、智の復帰と現実的なところをリンクさせた曲という意識で「AFTER THE DIVE」を作りました。現実と自分の曲の中だけのイメージをリンクさせてみたんです。
海
意識しているのかしていないのかは分からないけど、みんな、これまで以上に歌を主役にしたメロディーやアレンジにしてきた印象がありますね。今作はどの曲も完全に歌ありきというか。曲調は違えど、どれも歌が主役になっている。そこが面白いなって。うちの場合、これまでも“歌が主役”っていう完全に聴かせる曲のパターンではあったけど、今回のような激しいアレンジやドラマチックなアレンジでも、しっかりと歌が映えているというのが非常に特徴的だなって。
分かります。サウンドと歌が両立してはいるけど、歌が前面に立ってるっていう。
海
そうです、そうです。あとは、3曲ともすげぇ泥臭えなって。まったく違ったタイプにもかかわらず、ここまで生々しく泥臭く響いたのは初めてなんじゃないかな。