Nothing's Carved In Stoneが10作目
のアルバム『By Your Side』で拓いた
新境地を村松&大喜多に訊く

昨年10月に自主レーベル、Silver Sun Recordsを立ち上げたNothing’ s Carved In Stone(以下ナッシングス)が9月25日にリリースする10作目のアルバム『By Your Side』は、今年6月22日に彼らが開催した日比谷野外大音楽堂公演(『Live at 野音2019~Tour Beginning~』)に続いて、バンドが大きな転機を迎えたことを物語る作品となっている。

よりタイトに研ぎ澄ましたバンド・サウンド。そして、届ける相手を明らかにした上で言葉にしたメッセージ。『By Your Side』の聴きどころを、端的に語るならその2つになると思うのだが、それらはバンドの成熟の結果であると同時に、やはり転機がもたらしたものなのだろう。環境が変わったから、バンドに取り組むメンバーたちの心境に変化が訪れたのか。それとも心境の変化がメンバーたちに環境を変えようと思わせたのか。
結成10周年を迎えたタイミングでナッシングスが迎えた転機の正体を探りながら、今回のインタビューでは『By Your Side』のバックグラウンド、そしてメンバーたちの中に新たに広がり始めたヴィジョンについて訊いてみた。応えてくれたのは、フロントマンとして心境著しい村松拓(Vo/Gt)と、バンドの屋台骨をプレイはもちろんその人柄でも支える、オニィこと大喜多崇規(Dr)のコンビだ。
――ナッシングスは昨年10月に、それまで所属していた事務所から独立して、自主レーベル・Silver Sun Recordsを立ち上げました。なぜ、自分たちだけの力でやっていこうということになったのでしょうか?
村松:独立する3年ぐらい前から、各々がバンドの今後について考え始めていたと思うんですけど、独立する1年ぐらい前に4人で膝を突き合わせて、これからどうやっていこうか話し合ったときに“改めて地に足を着けて、全部、自分たちでやってみるのもおもしろいよね。そうやっていったほうがバンドとしても、一人のミュージシャンとしてもより長くやっていけるんじゃないか”って考えが一致して……って感じだったよね?
大喜多:そうだね。“あとはタイミングだけだね”って話になりましたね。それで、ナッシングスの歴史の中では一番大きい日本武道館でやることで、9年なり、10年なりを支えてくれた事務所へ恩返ししようと。なんか中途半端なところで離れるっていうのはおかしいかなっていうのはあったので、一番でかいところで一区切りってことにさせてもらおうって。
村松:そうだったね。
――“自分たちでやってみるのもおもしろいよね”っていうのは、どんなところで?
村松:たとえば、今回の『By Your Side』。スタジオがこれまでのアルバムと違うんですよ。エンジニアさんも変わっているし。そういう何もかもの環境を、自分たちで選べるっていうのがね。今まで、そうじゃなかったわけじゃないんですけど、事務所に所属していたときは自社のスタジオがあったから、わりと流れの中でやってきたんです。そこを1回解放して、何でも選択していけるっていうのが一番でかかったと思うんですけど。
――独立して10か月ほど経ちましたが、実際の変化としては。
村松:今、機材車がオニィのうちの近くに止まっているんですよ(笑)。
大喜多:流れでそうなってしまったんですけど(笑)。以前なら、どういうライブにするか、リハーサルで考えることが多かったんですけど、今は、わりとどんなときでも話してるよね。
村松:そうだね。
大喜多:決断するポイントが自分たちのすごく近くにあるから、マネージャー、スタッフも含めてですけど、よく話し合っている。
――じゃあ、バンドに取り組む気持ちもそれぞれに変わったのではないですか?
村松:やることが単純に増えましたね。そういう面では、バンドの全体像の見え方は、それぞれに変わったんじゃないですか。たとえば、“その最終判断はマネージャーに任せてもいいよ”みたいなことは、ぶっちゃけあるじゃないですか。そういう細かいところまで、今はメンバーに行き渡るようになっている。そこが大きいよね。
大喜多:うん。ライブにおける物販まで見ていますからね。適当に“ああ、いいよ”じゃなくて、何がかっこいいのか、自分たちで判断するようにもなって。
――以前よりも、バンドを自分たちで動かしているという意識がある、と。
大喜多:うん、塊感はあるかな。それをしたかったんですよ。
村松:まさに、そうだね。
大喜多:何やるにも自分たちの責任って言うか。
村松:“もっとああできた”“もっとこうしたかった”っていうふうにしたくないというか。以前、そういうことがあったわけじゃないんですけど、さらにそういう気持ちが強くなったっていうのはありますね。
――そんな変化はライブにも表れているんじゃないかと思うのですが。
大喜多:拓は特に伝えることに力を使うようになった……使うようになったと言うか、気にしているよね。
村松:それもメンバーで話し合うようになりましたしね。このバンドで伝えていけることは何なのか、今一度、話そうってなって、それをいかに初めてライブを観に来た人たちに伝えるか。そういうことは確かに以前よりも強く考えるようになりましたね。最近は、自分の流れで伝えたいことを伝えられるようにセットリストも組ませてもらってるんですよ。
Nothing’s Carved In Stone・村松拓、大喜多崇規 撮影=高田梓
――今回の『By Your Side』もバンドのやりたいこと、狙いがすごく絞られているような印象がありますね。どんな手応えがありますか?
村松:新作を聴いてもらった人からは、“聴きやすいね”って言われますね。意識してポップに仕上げたわけではないんですけど、“歌が聴きやすい”とか、“1枚通して聴けるね”とか、けっこう評判が良くて。そう言ってもらえるだけでも、とりあえずいいアルバムになったんじゃないかなっていう気はしてます。
大喜多:作っているときから思ってたんですけど、1stアルバムの『PARALLEL LIVES』を思い出させると言うか、今年2月27日に豊洲PITで、ナッシングスがスタートした日のセトリを、本来のセトリの中に入れてやったんですけど、10年前に難しいと思っていた1stの曲が実はすごくシンプルな要素が多くて。
村松:バンドっぽいんだよね。
大喜多:そうなんだよね。この感覚を忘れていたのかなって思いながら、今回のアルバムの制作に入ったせいなのか何なのか、何が1stっぽくさせたのかなって考えてみたら、作曲者の持っている曲のストーリーの純度を高めたいっていうのが意識としてあったからかもしれないって。
村松:レコーディング中に、オニィ、よく言ってたよね。それ。
大喜多:だから、ほとんどの曲で、作曲者のイメージに合わせたっていうのはあります。
村松:そこは僕も意識しました。
大喜多:僕ら4人でアレンジを組み立てることが多いから、いろいろな要素が入りすぎてるのかもしれないっていうのも思ってたんですよ。
村松:ああ、同じようなことを考えてたんだね。だから、俺もなるべくギターを弾かないようにしましたからね。同じ方向を見て、同じサウンドを出すっていうのも大事なんですけど、別ベクトルで音をはめこんでいくっていうのがナッシングスの特徴としてあって。だから敢えて違うテイストを加えて世界観を作ることがあるんですけど、それを今までかなり意識して、ギターでも入れてきたんですよ。でも今回は無駄な要素を削ぎ落して、できるだけ作曲者の世界観に近づけて、より密度を濃くしていくみたいな。確かにそれは意識的にやってたよね。
大喜多:最終的にメロディーが加わって、ちょっと濃くなりすぎてしまったと感じたときは、最初の形に戻したってこともありましたね。
――結果、歌がより聴こえるアルバムになった、と。
村松:歌を聴かせようとか、メッセージを届けようとかって意識は、みんなにあったんじゃないかな。曲の良さを伝えていくというか、アレンジはそれぞれのプレイヤビリティーを生かすってこともやりつつも、それがメインなのではなく、歌とか、曲そのものの良さとかを伝えていくっていう。より普遍的なものにしていくってことだと思うんですけど、そこにすごい、みんな集中していた気はします。
――なぜ、このタイミングで歌を聴かせたかったのでしょうか?
村松:なんでですかね(笑)。元々、みんな言ってくれてたけど、歌が真ん中にあるバンドだとは思うんですよね。だらか、バンドの成長と言うか、ブレイク1つとってもどれだけ効果的に聴こえるか、そういうところの焦点が4人の中でだいぶ合ったんじゃないかな。単純にそういうことなのかなって気はしますけどね。歌をより聴かせようってことは話さなかったので、特には。
――6月22日の日比谷野音のライブでも感じたんですけど、村松さんが以前よりも自分というか、バンドを代表した気持ちを、曲間で言葉にするようになったじゃないですか。あれはちょっとびっくりでもあったんですけど。今回のアルバムの歌詞も、誰に向かって歌うのか、以前よりもはっきりしてきた印象がある。自分に対する問いかけもありつつ、ナッシングスのファン、ライブに来てくれるお客さんに向かって、届けようとしている歌詞が多いですよね?
村松:以前よりもストレートですよね。
Nothing’s Carved In Stone・村松拓 撮影=高田梓
――野音でも、“自分たちの歌がみんなに寄り添えるような、背中を押せるようなものであってほしい”と言っていましたが、今回のアルバムのタイトルが『By Your Side』。まさに言っていたとおりで。
村松:アルバムを作っている段階で、メッセージ性の強いものにしたいとは思っていたんです。そこには“ライブをする上での俺たちのアティテュードって何なんだ?”って話を、4人で濃密にしたことがけっこう影響していて。自分たちの音楽を聴いて、少しでも前に進んでいけるような気持ちになってもらえるものにしたいという思いがあったんです。だから、そういうちょっと開けているメッセージを、アルバムを通して書けたらいいなっていうのはありましたね。『By Your Side』ってタイトルを付けたのは、最後でしたけど。
――ナッシングスって、そういう自分の気持ちは、言葉では表現しないバンドなのかなって思っていました。
村松:そういう意味では、これまでとは違うかもしれないけど、曲の中で言っていることは、あまり変わってないですね。ただ、思っていることがよりストレートに、人の心に刺さるように書けたらなと思って。ひょっとしたら、言葉という意味ではファンと僕らの間に若干の齟齬があったのかもしれない。今までの9枚は。今回はそこをなるべくなくして、“俺たちもこういうふうに思っている。一緒だよ。俺たちも進んでいるんだよ。だから、大丈夫”。それを伝えたかっていうのはありますね。
――なぜ、伝えたいと思ったのですか?
村松:なんで、そう思ったんだろ? ……オニィ(笑)。
大喜多:たぶん僕らの10年の絆から生まれた感情なんじゃないかな。
村松:ああ、ファンとのね。それに、エゴみたいなものがちょっと抜けたのかもしれないし。楽曲制作に関しても、より楽曲の良さを引き出していくっていう方向に、みんなシフトしていて。もちろん、「Who Is」みたいな曲とか、「The Savior」とか、「Kill the Emotion」とか、4人がバチバチやり合う曲もあるんですけど、バンドに自信が出てきたというか、強くなってきたというか。あとは武道館でやったことが大きかったかもしれないですね。
大喜多:ああ、確かに。アウトローに作り続けた曲たちを、武道館でやったとき、仲間のバンドが“この広い会場でやるために作ってたの? すごく合うよ”って言ってくれたんですよ。僕らはでかくてもZeppとかね、ああいう真っ黒いハコの中でやるためにわりとハードな曲を作ってきたつもりだったんですけど、武道館でやったときシンプルに“良かったよ。でかい会場に似合ってたよ”って言ってもらえて、ちょっと意外だったんです。
村松:そうだよね。
大喜多:武道館の先っていうわけじゃないけど、ガツガツと作ってた曲がもっと開けたところにも届くのかなって思ったりもしましたね。もちろん、届くようにっていうのは、いつも込めている気持ちなんですけど、今回、楽曲、メッセージ重視になったのは、武道館が1つきっかけではあると思うんですよ。
村松:ただ、そういう心境の変化はありながらも、曲そのものに対する考え方は変わってないと思うんですよ。生形(真一/Gt)もこの間、言ってたんですけど、環境が変わったっていうのが今回大きかったので、“スタジオが違うとか、エンジニアさんが違うとか、そこでクオリティーを下げるようなことはしたくないと思ってる”って。そこの努力は……努力というか、みんな気は遣ってたんじゃないかな。楽曲のクオリティーをさらに上げていこうっていうふうには。
Nothing’s Carved In Stone・大喜多崇規 撮影=高田梓
――今回、スタジオとエンジニアさんはどうやって決めたんですか?
大喜多:誰がナッシングスに向いているエンジニアさんなのかなって、いろいろなスタッフに話を聞いて、最終的に紹介してもらったのが細井智史さんって方で、細井さんにお願いしたら、スタジオはここでって提案してくれて。
村松:めちゃ音が良かったよね。
大喜多:うん、良かった。
村松:特にドラム。うれしかったでしょ?(笑)
大喜多:今回、初めて一緒にやるので、イメージを伝えなきゃいけないじゃないですか。でも、そこの疎通が、細井さんの経験値がすごかったから、伝わるまでに時間がかからなかった。いろいろな方向性を試したんですよ。ドラムのオンマイクって、ほんとは10本ぐらいだと思うんですけど、30本ぐらい立ってましたからね。その中から瞬時に切り替えて選んでいったんですけど。でも、一度音のイメージが決まると、“こうしよう”って早い。僕ら、音の質感を大事にするんで、そこまでやってもらえると、気持ちも乗るし、響くものに近づけてもらえたんじゃないかなって気はします。
――曲はどんどんできたんですか?
村松:スムーズでしたね。今回は、ひなっち(日向秀和/Ba)がデモを作ってくるっていうことがあって。
大喜多:そうだったね。
村松:結局、デモからみんなで作るんですけど、その影響はあったかな。「Blow It Up」「The Savior」「Kill the Emotion」「Still」がひなっち、「Bridges」が僕、それ以外は真一がデモを作ってきて。まぁ、誰が作ってきたかっていうのは、あまり関係ないんですけど。
――日向さんがデモを作ってきたのは初めて?
大喜多:初めてでした。フレーズとか、曲のイメージとかをばっと持ってきて、そこからアレンジしていったことはありますけど、音源として持ってくるってことはなかったですね。
村松:新鮮でしたね。みんなで1個のスピーカーで聴いて、“いいね”って、そこからすぐにスタジオに行って作っていったんですよ。
――何か心境の変化があったんでしょうね。
大喜多:僕ら4人とも、どこに行っても器用にやれるんですけど、きっと独立したことがきっかけになって、それぞれに心の中では「ナッシングスで」っていうのが強く芽生えているんじゃないかと思うんですよね。
村松:うん。
大喜多:どこでもできるけど、ナッシングスは特に、もっと強く思いたいっていうのがあるんじゃないかなって、制作しながら思いましたね。
――ああ。もうちょっとメンバーの関係性はクールなのかなと思っていたんですけど、今はそうじゃないんですね?
村松:それぞれに“俺がナッシングスだ”っていう気持ちはあると思いますよ。
――その言葉を聞けると、ファンのみんなはうれしいんじゃないかな。ところで、今回お2人が特に気に入っているという曲を挙げるとしたら?
大喜多:いや、全曲いいですから(笑)。
村松:そうそう。全曲、聴いてほしいんですよ(笑)。
――前作のときも村松さんと生形さんにそう言われましたけど、曲に対する思い入れやエピソードを語っていただけると、リスナーもより愛着が湧くんじゃないかと思うんですよ。
大喜多:ああ、なるほど。そういうことなら、「Who Is」かな。新しいアルバムを出す時って、そのバンドらしさとか、新しくなった感じとか、みんな期待してくれるじゃないですか。「Who Is」は、僕らの中では真ん中の曲って気がするんで、聴いてもらったら、“よしよし。ナッシングス”って思ってもらえるんじゃないかな。でも、ほんとは、レコーディングしていて、どれも良かったから、1曲これって言えないんだけどな(笑)。歌がはまって、ドキッとしたのは「Music」でしたね。
村松:お、うれしい。俺も「Music」好きなんだよね。
大喜多:あと、一番最後に録った「Alive」。なんかね、叩いていて気持ちいいっていうのがあるんですよ。すごく難しいフレーズの曲もあるんですけど、叩いていて気持ちいいっていうのを、最後の最後で解放される一歩手前だったせいか、「Alive」に感じましたね。
村松:あるよね。レコーディングの終盤に差し掛かって、調子が上がってくるみたいなのが。俺はどれかな。マジで全曲聴いてほしいんですけど、「Music」は最初に歌詞が書けたんですよ。すごく簡潔な言葉で凝縮したメッセージが書けたので、この曲は届いてほしい。
――もう1曲ぐらいどうですか?
村松:うーんとね。そしたら、じゃあB面からにしようかな。一応、A面、B面になっているんですよ。レコードの。
――ああ、なるほど。そう言われてみると、曲の並びはまさにそんな感じですね。
村松:「Kill the Emotion」の有無を言わさない感じは好きですね。今までにないサビのコード感と疾走感も新しいと思うし。
――「Kill the Emotion」は、僕もかっこいいと思います。日向さんらしいファンキーな曲ですよね。ところで、今回のアルバム、新たな挑戦はありましたか?
村松:それはスタジオが変わって、エンジニアさんが細井さんになったってことじゃないですか。かなり革命的だったと思います。ナッシングスが持ってるサウンドの魅力とか、伝えたい世界観とか、バンドっぽい生々しさとか、全部、改めて引き出してくれたと思うんですよ。エンジニアって、アルバムを作るうえで、もうひとりのメンバーと言ってもいいぐらい大事なので、そこは革命だったよね、ほんと。
大喜多:サウンド・メイキングにも意見を出してくれて。
――他にどんなバンドをやっている方なんですか?
大喜多:AA=、ONE OK ROCK。前作の「Damage」みたいに“できるものならコピーしてみろ!”みたいな挑戦は逆になくて、まさに寄り添っている感じがしますけど、「Kill the Emotion」でバスドラだけエレドラにしたり、「Bridges」で隠し味にトリガーを使ったりはしましたね。
村松:あれ、すごかったな。
大喜多:「Bridges」のスネアにクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」のスネアをブレンドしているんですよ。ブレンドすることで、ちょっとパキッと上のほうに抜ける部分がプラスされるんです。
村松:フリー音源であったんだよね。
大喜多:最初は“クラップで”って言ってたんだけど、それを使ってみたらよかったんですよ。
村松:細井さんがその音源を、スタジオで聴かせてくれて、“これ、乗っけてみる?”って。
Nothing’s Carved In Stone・村松拓、大喜多崇規 撮影=高田梓
――ボーカリストとしては、今回のレコーディングはいかがでしたか?
村松:全然違いましたね。マイクもいろいろ試させてもらって。ボーカルのコンプの掛け方で、かなり音の質感って変わるんですけど、細井さんはそれが異常にうまい。話を聞いたら、元々あるコンプの中身を改造して、別物にしてあるんですよ。めちゃめちゃ掛けているんだけど、掛かっていないように聴こえる。要は理想に近い状態で聴かせてくれるんです。その質感がすごくいいから歌いやすい。聴いている人にはわからない話かもしれないけど、それは革命的でしたね。革命的って今日、何回も言ってますけど(笑)、僕自身がいい歌を歌えば、絶対いい音で録ってくれるっていう信頼がすごくありました。
――生形さん、日向さんにもそういう革命的な変化があったわけですね?
村松:たぶん、あったと思いますよ。
――そして、『By Your Side Tour 2019-20』と題したツアーが10月2日の恵比寿LIQUIDROOM公演からスタートして、今年いっぱいは各地、対バン・スタイルで。
村松:はい。全か所、めっちゃ若手です。Newspeak、Suspended 4thTempalay、BBHF、雨のパレードtetoWOMCADOLESIX LOUNGEAge FactoryDATS、それと北海道のCVLTE。俺は知らなかったんですけど、まだ19歳ぐらいで、すげえかっこいいらしい。
――敢えての若手なんですか?
村松:そうですね。刺激になるんで。久しぶりの対バン・ツアーなんですよ。こういう機会がないと、なかなかバンドとも繋がれないじゃないですか。そういういろいろな意味を込めてるんです。若手とやるって、バンドの培ってきた力の他に、全部剥いていったときに露わになるパッションも試されると思うんですよ。若手とやることで、自分らももう1回そのパッションを燃やせると思いますしね。なくなったわけじゃなくて、全然あるんですけど(笑)。そういういい刺激になるんじゃないかなと思ってますね。
大喜多:すごく楽しみですよね。みんな、容赦なく来ると思うんですよ。がっと気持ちを込めて来るから、僕らもそれ以上出さないと、一気にひっくり返される。負けないようにがっつり行きますよ。
――そして、年が明けて、ワンマンで東名阪に加え、福岡、仙台を回る、と。この間の野音で、“ナッシングスってパッと言って、いいじゃんってなるように、これから2年、突っ走って掴み取る”と村松さんが言っていたことが印象に残っているのですが、その2年って何か根拠がある数字なんでしょうか?
村松:いや、決めておかないとできないと思って。何でも、ダラダラやっていたらできない性質なんで、そう言ってるだけなんですけど、言ったからにはやりたいと思ってるし、行動し始めているから言ったんです。もっと本当にいろいろな人に届くバンドだって自分では思っているんで。それに、こういうバンドがスタジアムを埋めたらめちゃめちゃおもしろいじゃないですか(笑)。そのおもしろさをわかってくれる人たちって、もっといっぱいいるはずだから。それを意思表示したってことなんですけど。だから、今度のツアーでも、初めて見た人に、もう1回見たいと思わせるぐらい衝撃があるライブをしようと思っています。それは昔から変わってないですけどね。

取材・文=山口智男 撮影=高田梓
Nothing’s Carved In Stone・大喜多崇規、村松拓 撮影=高田梓

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • the Homeground
  • Key Person
  • 気になるワードでディグる! 〇〇なMV

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada(PRIZMAX) / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • Yun*chi / 「Yun*chiのモヤモヤモヤ」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 魔法少女になり隊 / 「魔法少女になり隊明治のあったりなかったり」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • エドガー・サリヴァン / 「東京文化びと探訪」

新着