劇団「地蔵中毒」無教訓意味なし演劇
vol.11『ずんだ or not ずんだ』稽古
場レポート~9/21夜の回は劇団テーマ
ソング歌唱披露も決定

劇団「地蔵中毒」の本公演『無教訓意味なし演劇vol.11 ずんだ or not ずんだ』が、2019年9月19日(木)より9月22日(日)まで、高田馬場ラビネストで上演される。このうち、21日(土)19時の回は「SPICE優良舞台観劇会」と冠し、イープラス貸切公演となる。このステージのみ小劇場にも関わらず座席指定ができるほか、スペシャルカーテンコールでは出演メンバーによる劇団テーマソングの歌唱披露も予定されている。
さて、新作の『ずんだ or not ずんだ』。脚本・演出は、大谷皿屋敷。役者陣は、まず「地蔵中毒よく出るメンバー」の、関口オーディンまさお、かませけんた、三葉虫みどり、東野良平、hocoten。大声担当の関口は、妊活のための活動休止期間を経て、約1年ぶりの本公演復帰となる。関口の復活に加えて頼もしいのが、お馴染みのメンバーである礒村夬、立川がじら(立川志らく一門)、小野カズマ(排気口)の出演だ。さらに土田有未(ナカゴー)とモリィ(NATURE DANGER GANG)が、地蔵中毒初出演を果たす。本番に向けて稽古場を取材した。
※以下、記事の中であらすじには触れないよう配慮していますが、写真によるネタバレが気になる方はご注意ください。
品のないキーワードや不条理な主張の連続
本作は、誰か1人を主人公にはせず、何人ものキャラクターの物語をそれぞれに進めていく。台本が未完成であるため、キャストは、できたての台本をスマホで確認しながら演技していた。
取材は、かませと土田の場面から始まった。台詞に耳を傾ければ、いかにも地蔵中毒らしい品のないキーワードや不条理な主張の連続だ。過去の作品では過激な台詞をあえて無表情に言う、または嬉しそうに言うことで笑いをとるパターンもあるが、このシーンで二人はキャラクターの感情を丁寧に演じる。くだらない台詞を意味ありげに色づけ、ドラマ性と笑いを生み出していた。
かませけんた
土田有未
……が、これは取材の範囲内のこと。土田は途中から不穏な動きをちらつかせていた。かませも、これで終わるとは思えない。どんな狂気をみせてくれるのか、本番を楽しみにしたい。
関口は穏やかなのに破壊力のある存在感で、東野はキレのある動きとぶれない芝居で、大谷の世界観を支える。
関口オーディンまさお
東野良平
音楽活動や「ブステレビ」(AbemaTV)の出演で知られるモリィだが、舞台は初出演なのだそう。表情の豊かさと、なにより楽しそうに参加する姿が印象的だった。
モリィ(NATURE DANGER GANG)
がじらはどこの場面においても浮いているのに、その境目を不快に感じさせない佇まい。
立川がじら (立川志らく一門)
小野が自然体のまま安定感のある笑いを作ったかと思えば、hocotenと礒村は、独特の脱力感で異世界への入口を作っていた。
小野カズマ(排気口)
礒村夬
hocoten
三葉虫みどりが、どんなキャラクターを見せてくれるのかも楽しみのひとつ。
主宰・大谷皿屋敷コメント
稽古後の大谷に、11回目の本公演に向けて意気込みを聞いた。
「『お噂はかねがね』とか『行こうと思っているけれどなかなか』とかよく言われます。あと『観にいくのが恐い』とかも言われます。Twitterとかで客席からヤジを飛ばした人がいて僕らと喧嘩になったとかいうエピソードが書かれていたからかもしれません。実際は喧嘩なんてしたことありませんが、迷っている人は、これからもずっと迷っててください。観にきた人は、どんどんデマを広めてください。観たことのない人は、それを読んでどんどん想像を膨らませてくれたらうれしいです」
脚本・演出 大谷皿屋敷
劇団「地蔵中毒」の本公演『ずんだ or not ずんだ』は、9月19~22日の上演。繰り返すが、21日(土)19時の回は「SPICE優良舞台観劇会」。この回のみ、座席指定での予約ができるほか、スペシャルカーテンコールでは出演メンバーによる劇団テーマソングの歌唱披露も決まった。
途切れることのない表面的な笑い、クレイジーだがさほど病んでいないエネルギッシュな登場人物たち、そしてバラバラの物語がラストで無理やり集約され、あとに何も残さない「無教訓意味なし演劇」を、ぜひ劇場で味わってほしい。
地蔵中毒の、和やかな稽古場の風景。
地蔵中毒の、和やかな稽古場の風景。
取材・文=塚田史香

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