藤田真央、『スタクラフェス』は「聴
衆としても行きたい!」 五嶋龍との
初共演、映画『蜜蜂と遠雷』演奏曲も
披露

2019年6月、第16回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で第2位に入賞したばかりの藤田真央が、昨年に引き続き、『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019』(通称:スタクラフェス)に出演する。今年のスタクラフェスは2019年9月28日(土)・29日(日)の2日間。藤田は10月に公開される映画『蜜蜂と遠雷』で風間塵の演奏を担当しており、28日(土)には福間洸太朗(ピアノ)、松下奈緒(ピアノ)、宮本笑里(ヴァイオリン)らとともに『クラシック in シネマ』(HABOR STAGE)と題したステージに立ち、劇中でも演奏したバルトークを披露する。オーケストラとの共演のほか、五嶋龍とのデュオも予定している藤田にスタクラフェスへの意気込みをきいた。
ーーまずはチャイコフスキー国際コンクールでの入賞おめでとうございます。藤田さんのチャイコフスキー国際コンクール入賞は日本でも大きな話題となっています。帰国して、何か変化はありましたか?
まわりは変わりましたが、私は何も変わっていません。私は、いつも通り、楽譜を見て、音楽を奏でて、良い音を研究して、良い音楽を追求して、ということをしています。
ーー今は取材などに時間を取られることも多いのでしょう?
はい。でも、時間を効率的に活用したいと思っています。そして自分のための時間も大事にしたいと思っています。
藤田真央
ーーでは、チャイコフスキー国際コンクールについてですが、最も印象に残ったことは何ですか?
ロシアの聴衆の素晴らしさです。演奏が終わったら、すぐに私の楽屋に何十人、何百人もの人が素晴らしかった!と言いに来てくださったのです。彼らはそれくらい熱い思いを秘めて聴いているのですね。私も他の人の演奏をホールの中で聴いたのですが、ロシアの聴衆はあんまり良くない演奏には途中で帰っちゃうんですよ。そういうの、すごく素直だなと思いました。
ーーロシアでロシア音楽を弾くということについてはいかがでしたか?
そんなに特別感はなかったです。ただ、自分の解釈がどれくらい通用するのかな、どういう風に感じ取ってくれるのかな、ということは思いました。マツーエフさん(注:審査委員長のデニス・マツーエフ)は君の「ドゥムカ」の解釈は面白かったと言ってくれました。自分の解釈と違うとダメだという人もいますから、私は審査員の先生方にも恵まれました。
ーー聴衆にも伝わったということですね。
そうですね。あれだけの歓声を浴びて、夢見心地でした(笑)。

藤田真央

ーー今年もスタクラフェスに出演されますが、まず、昨年の第1回スタクラフェスに参加した印象から話していただけますか? 昨年は、STAND UP! ORCHESTRAとラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏したり、ヴァイオリンの松田理奈さんと共演したりされましたね。
私が弾いている時間が、ちょうど陽が沈むころで、風がなびいて、すごく気持ちよかったです。演奏しているときに汽笛がなるのも良かったですね(笑)。弾き手としては、音響機材を通して聴いていただくことに慣れていなくて難しく、ソリソリ(注:反田恭平)に「どんな感じ?」って聞いたら、「そんなに強く弾かなくて、弱音で響かせればいいんじゃない?」というアドバイスを受けました。「パガニーニの主題による狂詩曲」は、オーケストラとの掛け合いが難しかったですが、結果的には良かったと思います。松田理奈さんはもともと仲良くしていただいていて、アンサンブルが好きなので、彼女とも楽しく演奏できました。それから、屋台でおいしいものを食べました。牛タン、串焼き、たこ焼き・・・
ーー今年は、バルトークの「ピアノ協奏曲 第3番」やヴァイオリンの五嶋龍さんとの共演が予定されていますね。
バルトークの「ピアノ協奏曲 第3番」は、映画『蜜蜂と遠雷』で弾いたので、それに関連して取り上げます。演奏する第3楽章は、リズミカルで、フェスティバルに向いていると思います。バルトーク独特のリズムと和声。バルトークは、作曲家としてだけでなく、ピアニストとしても有名で、第3番はアップテンポで、聴いていると愉快になれる曲です。

藤田真央

ーー五嶋龍さんと共演されたことはあるのですか?
五嶋龍さんとは初めてです。昔から五嶋みどりさんのファンで、五嶋龍さんのCDも聴いていました。彼は自由ですよね。音楽の枠組みの中で表現できることを最大限にやる人なので聴いていて楽しいです。今回、サン=サーンスの「ヴァイオリン・ソナタ 第1番」を共演させていただきますが、初めて取り組む曲です。アンサンブルが面白そうな曲ですね。
ーー五嶋龍さんとの共演はどうなりそうですか?
未知です(笑)。あれほどの演奏家ですから、リハーサルでどうなるか、すごく楽しみです。
ーーソロも披露されるとききました。
リストが編曲した、シューベルトの「ウィーンの夜会」を弾きます。シューベルトは歌心に溢れています。そんなシューベルトのオリジナリティあふれる優美な旋律を、リストが編曲しました。技巧的なところがあり、リストの個性も表れていますが、シューベルトの意図が尊重されています。
ーー最後にスタクラフェスに来ようかなと思っているみなさんにメッセージをお願いいたします。
このフェスに来たら、凄い演奏家たちが聴けます。私は演奏もしますが、聴衆としても行きたい!と思います。みなさんにも、ぜひ楽しみに来て欲しいです!
藤田真央

STAND UP! CLASSIC FES '19 藤田真央コメント

取材・文=山田治生 撮影=岩間辰徳

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