ジェファーソン・エアプレインの
『フィルモアのジェファーソン・
エアプレイン』は
ライヴアクトとしての実力を
世界に知らしめた傑作!
マトリックスの登場
ジェファーソン・エアプレインの
デビュー
この後、女性リードヴォーカルのシグネ・トリー・アンダーソンとドラムのスキップ・スペンスが脱退(モビー・グレープを結成する)。その代わりにヘイト・アシュベリーで圧倒的な人気を誇っていたグレート・ソサエティのグレース・スリックが参加することになり、グループは大きな注目を浴びることになる。当時、頭角を現し始めたジャニス・ジョプリンでも、グレースのカリスマ性にはかなわないと言われていたほどのスターである。なんと言っても彼女は容姿が美しく、日本でも当時ママス&パパスのミッシェル・フィリップスと人気を二分していた記憶がある。ドラムはスペンサー・ドライデンが加わり(のちにニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・セイジに加入)、グループはこの時点で最強の布陣となった。
大きな評価を得た
『シュールリアリスティック・ピロウ』
このメンバーで2ndアルバム『シュールリアリスティック・ピロウ』(‘67)をリリースすると、全米チャート3位という驚異的な成功を収める。シングルカットした「あなただけを(原題:Somebody To Love)」は5位、「ホワイト・ラビット」は8位になった。この2曲はスリックのグレート・ソサエティの頃からの持ち歌で、サンフランシスコのヒッピーたちの間ではすでによく知られていたのである。創刊されたばかりのロック専門誌『ローリング・ストーン』でもこのアルバムは大いに評価され、ジェファーソン・エアプレインの名は世界レベルで広まっていく。ヒットした2曲はサイケデリックロック(ガレージパンクというほうが的確か)の香りはあるものの、アルバム全体を通すとフォークロック的な要素が強く、ライヴ演奏時の激しさがあまり感じられなかったため、ライヴ盤を待ち望むファンは多かった。