博多華丸インタビュー 「華丸はよう
やってる!」と相方も太鼓判の主演舞
台、明治座『めんたいぴりり~未来永
劫編~』 

博多土産の定番・辛子明太子の誕生を描いた、川原健の著作「明太子をつくった男」を原作に2013年にテレビ西日本が制作・放送したドラマ『めんたいぴりり』は、2015年には続編ドラマ『めんたいぴりり2』、そして舞台版『めんたいぴりり~博多座版~』が作られ、2019年には映画版も作られるなど、すっかり人気シリーズとなった。
今年3~4月に博多座で上演された舞台『めんたいぴりり~未来永劫編~』が、9月22日(日)から東京・明治座でも上演される。2013年のテレビドラマ版から主役の海野俊之を演じ続けているのは、漫才コンビ博多華丸・大吉の、博多華丸。今回、“メイド・イン・博多”の舞台がついに東京に上陸するその思いを華丸に聞いた。
坊主頭にするのが舞台の宣伝にもなる
ーーこれまで博多座で上演されてきた舞台版が、ついに東京で上演となります。今のお気持ちをお聞かせください。
僕自身は、2005年に東京に出て来てからもう14年くらい経ちますが、福岡の方言もテレビなどで使われることが多くなってきたように感じています。「あさイチ」(2018年4月から博多華丸・大吉がレギュラー出演中のNHK総合で放送されている平日朝の情報番組)がいい宣伝の場所になっているのかな。「あさイチ」で皆さんに受け入れられているのならば、この舞台も大丈夫なんじゃないかな、なんて思っています。
博多華丸
ーー明治座にはどのようなイメージをお持ちですか。
立地があまり僕にはなじみのないエリアなんです。博多座は、博多駅から目隠ししてもたどり着ける自信があるくらいなんですが。だからなるべく早めに明治座に入って、近辺をウロウロして少しでも馴染んでおこうかな、なんて考えています。
ーー今年の3~4月に博多座で公演があり、約5か月ほど間が空いて9月に明治座公演、ということになりますね。
僕は間が空く、空かないということがよくわかっていないんです。普通の舞台だったらありえないそうですね。
ーーそうですね、公演で何か所か回る場合、公演と公演の間が5か月空くというのはかなり稀だと思います。
この作品に関して言えば、僕の役は坊主頭なので、博多座公演が終わった後から髪の毛を伸ばして、明治座公演が近づく頃にまた坊主になることが舞台の宣伝にもなると思っているので、そのためには髪の毛が伸びるまでの間隔があってよかったかな、と思いますね。でもそれは僕の話で、他の皆さん、特に役者の方々は「間が空くと忘れちゃう」って言っていましたね。僕の感覚だと、博多座公演はついこの前みたいな気持ちなので、むしろ2015年に博多座でやって、今回の公演が4年ぶりという方がすごい間が空いたな、と思いました。
博多華丸
頼りになる豪華共演者たち
ーー脚本・演出が東憲司さんです。博多座公演で既に東さんから演出を受けていますが、どういった演出家さんだという印象をお持ちですか。
変わってるなぁ、と思いましたよ。人となりがなんというか、何事にも一筋という感じですね。稽古のとき、タッパーにごはんを詰められるだけ詰めてくるんですよ。ケータリングに必ず明太子があると思っていたのかな、というぐらい(笑)。スタイリッシュでちょっと近づきにくい雰囲気の演出家の方もいるかもしれないんですけど、東さんは生活感があって、この舞台の演出家としてしっくりきていると思います。
ーー2015年に続き今回も酒井美紀さんと夫婦役での共演です。
酒井さんは、動じないというか、腹が座ってる感じがありますね。そのあたりの堂々としたところは、どんどん(酒井演じる)海野千代子さんに近づいていってるんじゃないかな。2015年のときは方言に苦労されていたようですが、もう全然違和感ないですよ。やっぱり福岡の人間が見たら変な福岡弁だな、と気づいてしまうことがあるじゃないですか。全くそういうことがなく、酒井さんの方言はナチュラルです。
ーー共演者が、酒井さんはじめ今回も豪華な方々が集まりました。特に、2013年のTV版にもご出演されていた、博多ご出身の小松政夫さんが再び「めんたいぴりり」に帰ってきたな、という感じがありますね。
小松政夫さんはやっぱり、笑いの先輩でもありますし、博多祇園山笠など福岡の文化や歴史にも詳しい方ですから、この作品にご協力いただけるのは本当にありがたいなと思います。いらっしゃるだけで、雰囲気もガラッと変わりますし、頼りになる存在です。
ーー川原和久さんは劇団ご出身、大空ゆうひさんも元宝塚、藤吉久美子さんも舞台に多くご出演されています。そういった方たちと共演してみて、何か舞台ならではの特徴など、気づいたことはありますか。
終わった後の楽屋にお客さんを招いての挨拶とか、すごいなと思いますね。楽屋に長蛇の列ができていて、お客さん一人ひとりにちゃんとご挨拶されていてすごいなぁ、と。カーテンコールとかもすごいですよね、華やかで。
博多華丸
ーー確かに、漫才でカーテンコールってないですもんね。
ないです、ないです。そういう舞台の前後というか、始まる前にみんなで挨拶したりというのも、お笑いではないですね。だから、普段僕らのやっている世界とは違う雰囲気を見せてもらえて楽しいです。ある程度の稽古期間を設けるというのもまた特別ですし。でも、その期間みっちり皆さんと一緒に居られることで本当にファミリー感が出て、この作品が家族の話なんでその点ぴったりですよね。
観劇後、相方も思わず熱くなっていた
ーー相方の博多大吉さんが映像出演されます。
「ずるいな」とは思いますね。舞台の現場に来ないでいいところを持っていくというのが。でも、今回は東京公演で来れなくもないだろうから、ちょっと舞台に一緒に出てもらえないかな、と思ってるんですけどね。「あさイチ」が終わってから、間に合いますからね。ただ、彼の役はメイクや衣裳が手間かかるらしいので、難しいのかもしれません。
ーー大吉さんから、この作品をご覧になった感想など聞かれたことはありますか?
舞台は2015年も今年も観に来てくれていて、観劇した日の打ち上げでは「華丸はようやってるからギャラを上げるべきだ」って、言ってたみたいです。でも次の日には、言った本人がもうそのことを覚えてませんでした(笑)。見た当日だけは結構熱くなってましたね。漫才だと長くても15分程度なので、3時間15分演じているのを見て、やっぱり「ようやったな」という感じになるんでしょうね。素面じゃ言わないですけど、飲んだらそうやって褒めてくれます。
明太子の歴史や、博多の風土や文化を知ることができる作品
ーードラマに始まり舞台化、映画化、と皆さんから愛される人気シリーズとなった「めんたいぴりり」ですが、魅力はどこにあると思いますか。
博多駅を新幹線が通るようになって、それで明太子がお土産としてだんだん全国に広まっていった、という歴史があるので、福岡の人じゃなくても皆さんよくご存じで説明がそんなに必要なくわかってもらえる、というのはあると思います。これが「焼き鳥の下のキャベツ物語」とか「屋台にはうどんもあるよ物語」だと、説明がちょっとめんどくさいと思うんですよね(笑)。フィクションではあるんですけど、史実に沿ってやっているので、福岡の人でも知ってるようで知らない明太子の歴史とか、博多の風土とか文化をあらためて事細かく知ることができる、というのもあるかもしれません。
ーーでは最後に、公演を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。
たった8日間という短い公演期間ですが、初日は気負うと思います。初日には初日の、2日目には2日目の楽しさがある中、みんなを束ねていきたいと思いますので、少しずつ形になっていく様をぜひ見に来ていただきたいと思います。座長としてずっと博多でやってきたものが、東京の明治座のお客さんに通用するのかどうかも含めて、みなさんで精査していただきたいと思います。自宅で静観するのだけはやめてください(笑)。劇場に来て下さい。お待ちしております。
博多華丸
取材・文=久田絢子 撮影=山本 れお

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