バレエ・アム・ライン初来日公演 日
本人ダンサー中ノ目知章が語る、シュ
レップァー版『白鳥の湖』の魅力
今回の来日公演はシュレップァー版『白鳥の湖』の、初めての海外公演。日本公演が決まった際に、「え、本当に!?」と思ったという、バレエ団でソリストを務める日本人ダンサー、中ノ目知章がシュレップァー版『白鳥の湖』とバレエ団の魅力について語った。
(文章中敬称略)
■シュレップァー監督就任でドイツ有数のバレエ団へ
バレエ団の設立は1956年で、2つの町の劇場付きカンパニーとして活動を続け、2009年に劇場をリニューアル。その際に「21世紀のバレエ芸術のパイオニア」とも称されるスイス出身の振付家、マーティン・シュレップァーが芸術監督に就任したことでカンパニーは大いに飛躍。現在はドイツを代表する有数のカンパニーとして、その名をとどろかせている。
中ノ目知章
■原典版をベースとした“陰と陽”の心理描写が見どころ
そうしたなか、シュレップァーが敢えて『白鳥の湖』の演出に取り組む決め手のひとつには、小澤征爾が指揮したボストン交響楽団のチャイコフスキー原典版の録音を聞いたことが大きいという。(原典版とは、チャイコフスキー原典版とは1877年ロシアのボリショイ劇場が世界で初めて『白鳥の湖』というバレエを上演するにあたり、チャイコフスキーが書き上げた最初の楽譜である。)
シュレップァー自身「ドラマを感じるその音楽に、倒れてしまうほどの衝撃を受けた」と語っており、そのため脚本も今現在知られる『白鳥の湖』は1895年にプティパとイワノフによって作られた疎遠版ではなく、1877年の初演台本をもとにして制作に取り組んだ。
「ひとつは“陰と陽”の対比。そして『白鳥の湖』という物語の奥深いところを見ることができること」と中ノ目は話す。
では初演台本がベースであるということは、クライマックスもアン・ハッピーエンドなのだろうか。中ノ目は「そこはぜひご覧になった方々に解釈していただきたいですね。見終わった後に“考える”という余韻もまた、このシュレップァー版の醍醐味のひとつです」と笑った。
1992年生まれ、神奈川県出身。
児玉克洋、宮本百合子に師事。2007年第18回全日本バレエコンクール、第40回埼玉全国舞踊コンクールに於いてジュニアの部第一位。2008年ハンブルクバレエ学校よりスカラシップを得て2年間留学。ジョン・ノイマイヤー、ケヴィン・へイゲンらの指導を受ける。
同校卒業後、ドルトムント劇場と契約、その後キール劇場、ノルウェー国立バレエ団、そしてハーゲン劇場所属を経て現在ドイツ・デュッセルドルフ/デュイスブルクに拠点を置くバレエ・アム・ライン ソリストとして活躍中。
今秋9月のバレエ・アム・ライン初来日公演 シュレップア―版≪白鳥の湖≫ではオデットの継母の側近役(予定)。
SPICE
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