8月17日@沖縄コンベンションセンター劇場棟 photo by 米山三郎、深野輝美

8月17日@沖縄コンベンションセンター劇場棟 photo by 米山三郎、深野輝美

超特急、全国ツアー最終公演は
逆境を逆手に取った
一夜限りのスペシャルなステージに

超特急が8月17日に沖縄コンベンションセンター劇場棟にて全国ホールツアー『EUPHORIA~Breakthrough, The Six Brave Stars~』の最終公演を開催した。この沖縄公演をもって、結成当初からの悲願である47都道府県全国開通(=ライブ進出)を果たす彼らだが、折からの台風10号の影響によりフェリーが欠航し、舞台セット等の機材搬入が不可能になったことが事前にアナウンス。大幅な演出の変更に加え、未だかつて例のないほどシンプルなステージでのライブを余儀なくされたが、これまで幾多の困難を乗り越えてきた彼らの肝の据わりようは並ではない。ライブ前に行われた囲み会見で「全国開通を達成するファイナルなので、内容は少し変わってしまうかもしれないけれど、今まで以上により良いライブを見せようとみんなで考えました。逆にワクワクしています」とカイも語っていたように、この前代未聞の試練を逆手に取って、文字通り“この日だけのスペシャル"なステージを展開。限られた条件の中で工夫を凝らした夏感200%増しのステージングと、欠けた演出の分を自らの声と肉体で補おうとする全力パフォーマンスで、日本最南端に集まった1700人の8号車を歓喜させた。さらに、沖縄と縁あるユニット・シーサー☆ボーイズも登場し、終演後にはメンバーであるタクヤ出演の映画『どすこい!すけひら』の主題歌を担当することも発表。メンバー、スタッフ、そして8号車全員が持てる力を結集させて、互いの絆を確かめ合った超特急史上稀に見る伝説的ライブで、ツアーのフィナーレを見事に飾ってみせた。

全33公演が秒速完売となった今回のツアー。特に最終日となったこの日は、全都道府県開通の記念すべきライブを見届けようと日本全国から大勢の8号車が詰めかけ、客席には期待と同時にイレギュラーな公演となることへの不安が入り交じった独特の熱気に満ちていた。そして“TOUR FINAL!"の文字に続いてスクリーンに日本地図が描き出され、Tokyoから飛び出した6色の光がOkinawaに吸い込まれると、全国開通を祝う大歓声が。そして舞台袖からアロハシャツに黒パンツと、南国ムードを全身で表したメンバーがステージにあがる。

「ここ沖縄がファイナルだ! 今までもたくさんのことを俺たちは乗り越えてきた! だから今日ここでも、お前らと一緒に乗り越えていきたい! 最高の日にしようぜ! 行くぜ、沖縄!」

そうタクヤが今ツアー一番の気合で叫べば、メンバーカラーのレーザー光線が場内を飛び交い、超特急屈指の人気ライブチューン「超えてアバンチュール」でツアーファイナルの幕は開いた。ステージを右へ左へと駆け回って客席を煽る彼らに負けじと、8号車の声とペンライトの光も凄まじい勢いで場内にあふれ、その熱量が早くも“伝説"の誕生を予感させる。

続いてコミカルなパンチ力抜群の「SAY NO」、ダンサー陣の切れ味鋭いラップが衝撃的な「Booster」とハイテンションなナンバーを畳みかけるが、前者ではユースケが務める鬼教官役をタクヤが務めてワイルドな蹴りやパンチを繰り出し、後者ではユースケのパートをメンバーと8号車全員でパフォーム。6月半ばより体調不良のためユースケが活動休止に入り、残念ながら全員揃ってのツアー完走が叶わなかったが、ライブ前のユーキいわく「最初は不安だったけれどメンバー全員で助け合って、何よりも8号車という最高の味方がいたから、だんだん楽しくなっていって。ステージに立って存在を証明し続けたいなという気持ちが強くなって、それがだんだん自信にもなっていった」とのこと。ファイナルにあたり“頑張って"という連絡もユースケから受け取ったそうで、彼と8号車に恥じないライブをしようというメンバーの気合は、この日も十二分。カイも「いざ5人でライブを再開してみたらユースケ推しの黄色いペンライトやTシャツもすごくたくさん見えて、すごく幸せだなと思った。ユースケが8号車の皆さんにたくさん愛を叫んで与えていたぶん、ユースケ推しの8号車の方が今、5人の僕たちに対して愛を還元してくれているんだなって、すごく愛を感じてるツアー後半になってます」と想いを打ち明けてくれていた。

その愛をさらに8号車へ返すべく、ハードな「Kiss Me Baby」にスイートな「Pretty Girl」と両極に振り切ったラブソングを届ける彼らが立つステージには、浮き輪とタオルで飾られた山台と、その背景にもカラフルな浮き輪が天井から下までズラリ。タクヤの「この浮き輪が沖縄感を前面に出してる!」という言葉も納得で、会見でユーキも「最初はセットも山台も無い素舞台だっていう話だったんで、今日来てみたら“まさかこんなに作ってくださるなんて!"と、スタッフさんの愛を感じました。もう、やってやろう!っていう気持ちしかない」と意気込んでいた。とはいえ、メンバーの表情をモニターに大きく映し出す映像演出はなく、リーダーのリョウガは遠方席を気遣って「そこらへんは僕たちの気持ちで補って、あれ? 目の前にいるんじゃん?ってくらい最高のライブにしていこうと思ってるから」と約束する。

さらに「今日はいろんな意味で熱くなる日だと思うんで、僕たちと一緒に楽しむ準備できてますか!」とカイが煽り、タカシが「Summer love」を歌い出すと、なんとステージバックとホール側面のカーテンが開いて、外の光景が全開に! 本物の海と空をバックにライブするという南国の大自然を活かした予想外の演出に8号車は沸き返る。シュノーケル、麦わら帽子、虫取り網、水鉄砲といった夏アイテムを身に着けたダンサー陣も楽しそうにステージを跳ねて、腕を組んで共にスキップしていたタクヤに突き飛ばされたタカシに、すかさずユーキが「大丈夫?」と駆け寄るシーンも。さらに客席へと飛び込み、サイン入りビーチボールを次々にアタックして8号車の歓声を浴びれば、小道具に使った浮き輪をそのまま並べてセットの一部とし、「Make it hot!」から夏メドレーに突入する。と、事前の天気予報では曇りのち雨だったにもかかわらず、「OVER DRIVE」では本名に“太陽"の文字を持つタカシが、太陽の光の中で爽快に歌い上げる奇跡の光景が! さすが超特急、やはり“持っている"グループである。

このツアーからリニューアルされた「Secret Express」のコールも場内一丸となって見事にキマり、興奮冷めやらぬ8号車の熱を瞬時に冷ました「Fashion」では、タカシの悩ましくも透き通ったファルセットに剥き出しの照明が都会のビル群のように見えてくる錯覚も。全33公演というボリュームでボーカリストとしての表現力・耐久力を大きく鍛えてきた彼だが、会見での「この会場の外まで飛ばしていくような気持ちで臨んで、全国の8号車やユースケにも僕の歌声を、愛を満遍なく届けていきたい」という言葉を、しっかりと叶えていた。ピンチをチャンスに変えた見事のシーンの連続も、メンバーの進化あってこそのものだが、それを支えていたのが8号車の声援であることも事実。今ツアーのテーマ曲「Hey Hey Hey」では、熱い8号車の声援とコールを受けて、精度を増したキレあるダンスと余裕たっぷりのソロアクションを繰り広げていたのにも驚かされた。これぞ33公演4ヶ月をかけて超特急と8号車が作り上げてきた成果に違いなく、タカシが“まさにここがラスフォリア!"とツアー名の“EUPHORIA"と“ラスト"を合成したファン発信の単語を入れて歌い替えるや大歓声が湧き、8号車とのシンクロ率の高さを物語る。

一方、リョウガが「沖縄といえば思い出すんだよね。“GOLDEN BATTLE"ですよ!」と、昨年アルバム『GOLDEN EPOCH』発売時に6人が2組に分かれて行ったユニット対決に触れたMCでは、なんと、その勝者であるシーサー☆ボーイズが現れる。メンバーのカイ、リョウガ、ユーキの3 人が、沖縄民謡をモチーフにした持ち歌「インオキナワ」で太鼓片手にエイサーを歌い踊ると、待ってました!とばかりに8号車は大喜びだ。「沖縄って聞いた瞬間、やるしかねぇって思った」とカイが告げたように、本場での披露を熱望していた3 人は実に楽しそうで、その後ろではシーサー役を任じられて山台の左右に陣取ったタクヤとタカシが、こっそりサビを踊り狂って8号車を爆笑させる場面も。メインダンサーの3 人だけがボーカルを務めるレア中のレア楽曲を、アルバムリリース時のイベント以来8ヶ月ぶりに目撃できたというのも間違いなく沖縄だけのスペシャルだ。

また、久米島で美しい海を見て感動したタカシ、砂浜で姪っ子と「My Buddy」を踊り、修学旅行では友達とお揃いのTシャツを買ったユーキと、それぞれ沖縄での思い出を語るとラストスパートへ。エネルギッシュな「コーシエンノイ」に、タカシとユーキが全身を使った投げキスで愛を届けた「My Buddy」のラストでは、タクヤが「全国制覇達成!」と誇らしげに宣言する。そしてソロダンスのパートが加えられて、グッとスタイリッシュに変貌した「Believe×Believe」が終わると、なんとメンバーが2階&3 階客席から登場! 触れられるほどの距離まで8号車に近づき、序盤のリョウガのMCが絶妙な伏線だったことを気付かせると、サイン入りのカラーボールを8号車へとスローインしながら夏曲の「浮つきWAVES」で客席を隅から隅まで一周。さらに鉄板曲「Burn!」で1階席にたどり着くと、通路からバッテンダンスを贈って8号車と一つになる。そしで本編を締めくくったのは、今ツアーで一度も披露されていない曲だった。

「超特急、今までたくさんのことがありました。それでも8号車と一緒にすべて乗り越えてきました。これからも共に乗り越えていきたい、そんな気持ちを込めて」と「You know, I know」をタイトルコールすると、客席から悲鳴があがる。くじけそうな心を抱きしめて、“手探りでもいいさ"と再び立ち上がる力を与えてくれるような曲の最中、「ファイナルをここ沖縄で迎えられることを本当に感謝しています。これからも一緒に笑顔になっていこうね!」とユーキが絶叫。そのダンスに優しさだけではなく、厳しさや鋭さも垣間見えるのは、ファイナルまでの道のりが決して順風満帆ではなかったことの証だろう。

「全国制覇達成しました。これからも一緒に旅を続けていきましょう」(カイ)と、その言葉のままの想いを乗せた「gr8est journey」を贈り、まだ見ぬ旅路の果てへと共に想いを寄せたアンコール。スクリーンに映し出された日本地図から沖縄へとズームアップし、そこから青い点が地球へと変化していく照明効果も実に感動的だった。既に次の目標を見据えている彼らは、そして想いの丈を伝えてゆく。

「この沖縄公演、一時はどうなってしまうんだろうな?って思ってしまうときもあったんですけど、ここでしかできないスペシャルライブができて、本当に思い出に残るライブになったなと思います。次、ユースケが戻ってきた時はもっと最高な、もっと完璧な、もっと幸せがあふれるようなライブにしたい。今回は完璧になるのはまだ早いんちゃうんか?って神様が言ってるような気がするんで、また6人で沖縄に戻ってきます!」(タカシ)

「いろんなことがあったよ! でも、無事こうして沖縄でライブができて、ちょっと複雑な気持ちの人もいるかもしれないけど、みんなと目と目を合わせてライブができたことに、ホントに感謝しかない。このラストスパート、ユースケにも届けて、笑顔溢れる未来に向かって突き進んでいきましょう!」(ユーキ)

真摯に生きる人々すべてへの壮大な応援歌「fanfare」に、超特急というグループの最高の存在証明でもある「超特急です!!!!!!!!」と、ラストの2曲では場内一丸となって大合唱。「ファイナルにしてここで灰になる、そんな感じでした!」とユーキが言い置いて緞帳が下りても、想像を遥かに超える超ド級のパフォーマンスに超特急コールは鳴りやまず、再び幕が上がる。ミラーボールが輝く中、タカシが「今、このときしかない。行くぞ!」と壇上から大ジャンプして突入した「Party Maker」では、全員がユースケの顔を巨大プリントした黄色いTシャツを着用。ミラーボールが映す白い光をバックに、ダンサー陣は自由なアクションで魅せ、思いのままにフェイクを轟かせたタカシは「マジでみんな愛してるぞ」と言い残してステージを去った。その言葉に一つの嘘もないことは、この日、メンバーと8号車との支え合いで叶えたステージが何よりも雄弁に証明していただろう。

全国開通を果たした次の目標として、会見で「年末年始に行われる、大阪城2デイズ&国立代々木競技場 第一体育館3 デイズのアリーナツアー」と言い切った彼ら。「超特急2020年のオリンピックイヤーを最高の年にできるように、総合演出をやっているユーキを筆頭に、より良いライブをしていきたい」とカイが語れば、「日本の次は世界。近いところで言うとアジアから、世界に羽ばたいていきたい」と続けたリョウガに、タクヤは「いよいよ電車じゃなくなっちゃう!」と返して、取材陣の笑いを誘っていた。目標とするグループやライバルは?という質問に、リーダーのリョウガは「結成当時からメインダンサー&バックボーカルグループとして、史上初だとか唯一無二というのを謳っているので、いい意味で我が道を進んでいきたい」と宣言していたが、この日のライブを観れば頷くほかはない。スタッフや8号車との絆を糧に、どんな逆境も伝説に変える力を持った彼らは、間違いなく唯一無二の存在なのだ。

photo by 米山三郎、深野輝美
text by 清水素子

【セットリスト】
M1:超えてアバンチュール
M2:SAY NO
M3:Booster
M4:Kiss Me Baby
M5:Pretty Girl
M6:Summer love
M7(メドレー)
:Make it hot!
:up to you
:超越マイウェイ
:OVER DRIVE
:Shake body
:Drive on week
:Secret Express
:Fashion
M8:インオキナワ
M9:We Can Do It!
M10:Billion Beats
M11:No.1
M12:Hey Hey Hey
M13:コーシエンノイ
M14:My Buddy
M15:Believe×Believe
M16:浮つきWAVES
M17:Burn!
M18:You know, I know
EN1:gr8est journey
EN2:fanfare
EN3:超特急です!!!!!!!!
WEN:Party Maker

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva』

【WEST/ 大阪】
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva ~Pastel Shades Christmas~』
12月21日(土) 大阪城ホール
12月22日(日) 大阪城ホール

【EAST/ 東京】
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva ~Shine Bright New Year~』
1月03日(金) 国立代々木競技場 第一体育館
1月04日(土) 国立代々木競技場 第一体育館
1月05日(日) 国立代々木競技場 第一体育館

<チケット>
指定席 ¥8,800(税込)/ファミリー号車席¥8,800(税込)
※3歳以上はチケットが必要となります。
※3歳未満のお子様は大人1名につき1名まで膝上に限り無料。ただしお席が必要な場合はチケットが必要です。

◎ファミリー号車席について
・ファミリー号車席では、大人の方もお子様も着席で鑑賞して頂きます。
・立ってのご鑑賞は禁止とさせて頂きます。中学生以下のお子様が必ず1名以上同席して頂く事が条件のお席となります。
※会場の構造上通路を挟んだ席等になる場合がございます。
※ファミリー号車席エリアでは、係員からお客様のご年齢をお聞きする場合がございます。
※ご来場の際はご来場者全員でご一緒にご入場ください。
※3歳未満のお子様は大人1名につき1名まで膝上に限り無料。ただし、お申し込みは2枚からになります。
※3歳未満のお子様でも、お席が必要な場合はチケットが必要です。
※お子様の体調不良やいかなる理由がありましても、条件を満たさない場合はファミリー号車席チケットでのご入場・ご案内は出来かねます。
チケット代金の払戻も承れませんので、あらかじめご了承ください。
※公演時時点の年齢が有効です。

■ツアー特設サイト
http://bullettrain.jp/viva/

8月17日@沖縄コンベンションセンター劇場棟 photo by 米山三郎、深野輝美
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