「愛だから言えない」accessのイメージと三部作に潜む真実の愛。

「愛だから言えない」accessのイメージと三部作に潜む真実の愛。

「愛だから言えない」accessのイメー
ジと三部作に潜む真実の愛。

突然活動休止した人気男性ユニット
90年代半ば人気のあった男性ユニットと言えば、必ず名前が挙るaccess(AXS)。
1995年の元旦に人気絶頂の中、「沈黙」と称して突然の活動休止宣言。前日の1994年の大晦日には紅白歌合戦に出場していた程の人気ぶりであった。そのaccessの活動休止宣言に涙したファンは星の数ほどいたのではないだろうか。ちなみに私もその一人。
2001年12月に7年の沈黙を破り活動再開を発表。2017年accessは25周年のアニバーサリーを迎えベストアルバムの発売やアニバーサリーツアーを行い勢力的に活動している。
同性愛の純粋さを歌う
そんなaccessには「三部作」と呼ばれる3つの楽曲がある。発表順に『DRASTIC MERMAID』『SCANDALOUS BLUE』『TEAR’S LIBERATION』この3つの曲がストーリーで繋がり1つの曲として意味を成すというもの。
90年代半ば…同性愛というと今とは違い、まだまだタブー感があった時代。2人組の男性ユニットで、しかも美形!のaccessに対して真しやかに囁かれていた事がある。それは、2人が恋愛関係にあるのではないか?と言う事。
やはりタブーと言うのは蜜の味がするのか。大概accessファンだと言うと、からかうように同性愛のでしょ?と言われたものだ。しかし、そのイメージを逆手に取るようにしてaccessは「三部作」を「純粋な愛」と称して世に提示したのだ。
すでに人気はうなぎ上りではあったが、世間に純粋な愛と称された同性愛の衝撃を投げつけ、人気の火をさらに焚きつけたのだ。
当時accessがこの三部作でファンと世間に投げかけたものはかなりの衝撃であった。その衝撃について三部作の二作目にあたる『SCANDALOUS BLUE』の歌詞を用いてファン目線で語らせて頂きたい。
根っからのaccessファンがこの三部作を聴くと、ただの同性愛を歌っただけの歌には聴こえない。
世間の彼らのイメージとは
この『SCANDLOUS BLUE』を含む三部作は当時にしてはかなり画期的なプロモーションを行っていた。
聴覚だけでなく、視覚に訴えるあらゆる表現方法で同性愛というテーマを提示していたのだ。その方法はPVはもちろんの事、テーマをリンクさせた漫画や小説を書店に並べた。その表現の効果はaccessに興味がない人にまで印象づけたのではないだろうか。
そして表現はaccessのライブでSCANDALOUS BLUEの曲終わりに二人がキスをするという(実際には、するように見せていたはず)演出にまでリンクされていた。
そんな勢いでプロモーションされたものなので、深く考えずに聞けば同性愛の歌でしかない。まずは世間が持っていたaccessのイメージで歌詞を見ていこう。
SCANDLOUS BLUE
SCANDALOUS BLUE 歌詞 「access」
https://utaten.com/lyric/jb51309100
ただの友達関係であれば悩まないのだ。男同士の恋愛、「愛だから云えない」のだ。
世間にばれてはならない、まさに2人のSCANDLOUSな秘密の関係。そんな2人が「重ねる」「あやまちで終われない夜」とは、どんな夜だろうか。それは「愛しさのHalation」がまたたく甘い夜。もうこの一節だけで、タブー感SCANDALOUS満載である。
SCANDALOUS BLUE 歌詞 「access」
https://utaten.com/lyric/jb51309100
さすがに同性に恋をしてしまった自分の心に戸惑いは隠せないだろう。だから「二度と逢わない」と思わず言ってしまうのだ。
この歌詞には、自分が同性を愛してしまうなんて!と認めがたい心情と現実に世間にばれてはならないという問題意識が含まれている。
だが、結局その愛の否定は続かない。愛の否定は自分の心を「裏切る」事になると気がついたのだ。「暴かれた恋」ここには否定していた愛を認めた事と思わぬ形で世間に二人の恋愛関係がばれてしまった事が掛かっている。
「暴かれた恋」をこれ以上さらさないように、相手は隠れるように距離をとったのだろう。その後を追いたい気持ちを「愛」が邪魔をするのだ。
ばれてしまったならば、もう隠す必要はないと「追いかけて探して」相手の姿を見つけたのだ。姿を見つけるまでの不安がその瞬間に安堵と愛しさに変わりまたたいたのだ。「瞬間のHalation」となって。
そして「二度と逢わない」と否定した気持ちは「儚さが音をたてる二人の夜」の儚さに掛かり、二人の恋の夜に消えていくのだ。
ファン目線での解釈はまた違うもの?
このSCANDALOUS BLUEを三部作が世間に植え付けたイメージで歌詞を解釈するとこのような感じである。しかし、同じSCANDLOUS BLUEをファン目線で解釈するとaccessがファンに提示したいメッセージは世間へのイメージとは全く違う意味合いに変わるのだ。
この三部作はaccessの沈黙(活動休止宣言)前、最後の作品である。これがこの三部作に隠されているファンへのメッセージを読み取る最大のヒントだ。何故、当時人気絶頂の中で突然沈黙に入ってしまったのか。その理由は未だ明かされていない。
しかも、25周年アニバーサリーツアーの中でボーカルである貴水博之が「なんで途中お休みしていたのかわからない」というニュアンスでMCをしていた。本人が理由を明かさないならファンにはとうてい沈黙の理由などわかるわけがないのだ。
そしてファンの心に、それこそ「秘密が蒼い傷をつけて」いるのだ。当時の沈黙宣言はそのまま解散の流れに発展していったので、ファンとしてはかなりの痛手に悲しみ沈んだのだ。
そんな思い出は置いておいて。解散後はお互いソロ活動を開始した二人。キーボードの浅倉大介はソロ活動で自らボーカル努めたり、楽曲提供やプロデュース業に精を出しつつもaccessの時とさほどスタイルは変えずエレクトリックサウンドを軸に活動を進めていた。
一方のボーカル貴水博之はボーカリストである事は変わらなかったが、その外見や楽曲はaccessの時とは真逆をいくスタイルでソロ活動を進めていったのだ。(スタイルについては割愛)
この二人のソロ活動の様子を前提に、二人が沈黙へ入るにあたりファンへ提示したかったメッセージをSCANDALOUS BLUEの歌詞から読み解く。すると歌詞からはaccessの二人がお互いを想い合う「真実の愛」が見えてくるのだ。
彼らが本当に伝えたかったこと
沈黙後の貴水博之のソロ活動のスタイルは絶対にaccessでは表現できないものだった。
方向性の違いというのは、どんなジャンルでも解散理由として1番に挙げられる。まさにそれが二人の間にはあったのではないだろうか。このSCANDLOUS BLUEに出てくる「愛」を沈黙を決める決定打になったのではと推測される貴水博之の「求める方向性」と捉えるのだ。
人気絶頂の中、ずれていく方向性。その揺れる心を誰かに言ってしまえば楽なのかもしれない。しかしそれがきっかけでもしも心を暴かれてしまったら。人気は仇となり一気にマスコミは誹謗中傷に近い記事をかき立て、もしかしたら浅倉を傷つける事になるかもしれない。
浅倉を想う貴水は、求める方向性を「二度と考えない(逢わない)」と振り切ろうとするがやはり求めるものを諦める事が出来ないのだ。その想いなくしては「もう(君なしでは)歩けない」くなる。「それでもいい(浅倉と)はぐれても」と決意するのだ。
そしてとうとうaccessの未来という儚いものが「音を立て」夜に消えていき、沈黙という結果に至ったのではないだろうか。
このSCANDLOUS BLUEは貴水が抱く進みたい未来。それが浅倉からaccessを奪ってしまうのではないかという不安と浅倉から貴水が離れる事を残念がるのではないかというある種の愛情を歌っているように取れるのだ。
それは世間がイメージする「同性愛」ではない。「行き止まるAffection」のAffection=人が子供や家族などに示す愛情・優しい想いだ。その愛情はaccessの二人が我々ファンに沈黙前どうしても伝えたかった「真実の愛」なのではないだろうか。二人はちゃんと想い合っているからねと。
これからも想いあって進む
このような沈黙宣言を経て活動25周年目のaccessは歳も重ねたからこそ自由にお互いの想うaccessを思う存分楽しんで表現している。
浅倉は自分の生み出すシンクビート(accessサウンドの意味)には貴水の声じゃなきゃダメだとライブで必ず話し、今も二人でaccessの音を届けられる事を心から喜び感謝していると笑顔で挨拶をしている。
そして貴水は25周年アニバーサリーツアーで「人生をかけてこれからもaccessを続けていきます」と発言していた。
三部作が提示したイメージとメッセージがまるで、幻だったかのようにも想えてしまう今のaccess。これからもaccessは勢いを落とさず進化し続けていくのだ。
TEXT 後藤 かなこ

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