矢井田瞳、
デビュー作『daiya-monde』は
ポップでキャッチーで、
しっかりロック!
歌の主旋律の優秀さと大衆的な歌詞
《どれくらいの罪にどれ位の涙が似合うの?/私は動かず唯一息をしていた》《どれ位の愛が この手の中をこぼれたんだろう/私は気付かず 永遠の向こうに見とれていた》《貴方がいない それでも私は今まで通り輝き/素敵でいるのよ/そうでもなくちゃ 納まりきらないでしょう?/貴方がいないなら…》(M1「How? (U.K. mix)」)。
《いつまでもそばにおいてね 死ぬまで好きと言って/十分な線などないよ 一度も休まず愛して…》《どれだけ知り尽くしたとしてもマンネリでも/私の未来に貴方はいたのに》《そんな哀しいことを口にしないで/「一人で」なんて生きれないよ 強くもないし/ただ貴方が好きなだけよ》(M3「B'coz I Love You」)。
《Darlin,Darlin' ここに来て 見えるでしょう 私が/あの日のキッス 忘れたふりするなら/横顔はもうあきた こっち向いて》《ビルも道路も世界もひと思いに壊れてもいい/だってその方があなたを見つけやすいでしょう?/神様はいない/だって祈ったもん 想いが届きますようにって/祈ったもん…》(M5「My Sweet Darlin'」)。
《ねえ これからはもっと 抱きしめて/ねえ これからはずっと 離れないで/朝から晩まで一緒にいて/そうすれば死ぬまで一緒》《全て疑うほど 傷つけられた言葉は/あたしが言わした様なものだった/攻めてごめんね》《ねえ 二人の傷は 消えないけど/きっと このまま思い出して 行くんだろうけど/何したって時間は 戻らないんだから/淋しさは素敵な想い出でしょう?》(M8「ねえ」)。
こうして文字だけを抜き出してみると、情念が深い気がしないでもないが、押しの強いロックサウンドがそれを演出していることで、そう感じところもあるかもしれない。ただ、いずれもパッと聴きにはそう感じさせないのはキャッチーなメロディーの効果だろう。
あと、M6「Girl's Talk」の《髪切ったの/気づかないかい?》や《予定は未定手帳見て/記念日だって忘れて》、M7「もしものうた」の《新幹線に羽根が生えて》《UFOキャッチャーでいらないビルを潰す!》、M10「I like (U.K. mix)」の《ママの作ったシチューが好き》《パパの作ったラーメンが好き》など、日常会話で出て来るような言葉が出てくるのも特徴。世界観を分かりやすくしており(M7「もしものうた」は“もしも”の歌だけに不可思議なものだけど、画は見えやすい)、楽曲、ひいては矢井田瞳というアーティストの親しみやすさを後押ししたのではないかと推測できる。
TEXT:帆苅智之
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