遥海ワンマン。国境も価値観の壁も越
え、人々に勇気を与える歌が鳴り響い
た夜
ニューEPに感じた進化が、明るい未来へ
の確信となったパフォーマンス
Text_Taishi Iwami
その要因は大きく二つある。まずは、腰の据わった土着的な安定感やビター・スウィートなムードを演出する、低~中音域が持つコクや、宇宙の果てまで連れて行ってくれそうな高音のファンタジーにより磨きがかかり、そのパフォーマンスの圧倒性が増していたこと。ギター、ドラム、ベース、キーボード、コーラス隊の後ろを固めるメンバーの織り成すグルーヴも含めて、ただただ凄い、楽しい、と感じるパーティとしての強さは“素晴らしい”の一言だ。
そしてもう一つは、英語詞も含めた、各曲にあるメッセージを伝える表現力の豊かさ。自分らしくいることが簡単には叶わない環境や、その条件は整っていても、なりたい自分になることの難しさを抱えながら生活している日々を、どうやって打破するか。世代や性別に関係なく、おそらく誰しもが抱えたことのある悩みに対して、遥海には伝えたいことがある。MCでも話していたが、彼女自身も、多くの壁に当たり続けているなかで、歌が安らぎを与えてくれたり、歌に導かれたりした経験があるからこそ、メロディに乗った言葉の大切さを背負うことができるのだろう。ときに熱く衝動的に、ときに繊細に紡がれていく歌詞が、多くの観客それぞれが持つバックグラウンドに浸透し、心の底の底から、大きな何かが突き動かされていく。そんな様が目に見えるようだった。
世界のポップ・シーンと共鳴する力と、
ドメスティックなノスタルジーがとも輝
くステージ
続いては彼女が敬愛するBeyonceの「Irreplaceable」をカヴァー。恋人に“To the left(出口は左)”と容赦なく突きつけ、次の生活へと踏み出そうとするその歌詞を、多幸感たっぷりに観客とともに歌う。その流れがあっての、アメリカのR&B/ポップ・シーンと繋がる、現代的なサウンドとともに、引きずりそうな想いや臆病な心を断ち切り、自分自身と向き合うことで得られる明るい未来を感じさせてくれる、「Don’t Break My Heart」の流れは、新しい価値観を塗り替え続けるスター・Beyonceのレガシーへの敬意であり、言葉の壁を越えた我々へのメッセージであるような気がした。
また、そういったインターナショナルな魅力だけでなく、ドメスティックな世界にもアクセスし、さまざまな音楽性を横断できることも遥海の大きな魅力。シングル「誓い」や「君のストーリー」などが持つ、日本的なノスタルジーの良さが、それ単体で聴くよりも、ライヴの流れで感じることでより際立つ。そして本編最後は再びBeyonceのカヴァー「Listen」を披露。ダイナミックなパフォーマンスで見事に締めてくれた。
そして遥海は、10月18日に再びここマウントレーニアホール渋谷でワンマン・ライヴを開催する。今年に入り、シンガー名を改名し新たな一歩を歩み出し、あきらかに表現の幅を広げながら成長を続けるその動きから、まだまだ目が離せない。
<配信情報>
2019/4/19 RELEASE
配信URL: https://lnk.to/M2JARAW
<収録曲>
1. Don’t Break My Heart
2. DARE ME
3. 君のストーリー
4. DANCE DANCE DANCE!
5. DIAMOND
◎公演情報
【HARUMI ONEMAN LIVE “MAKE A DIFFERENCE”DESIRE】
2019年8月20日(火)
OPEN 18:30 / START 19:00
大阪・Umeda Shangri-La (梅田シャングリラ)
2019年8月21日(水)
OPEN 18:30 / START 19:00
名古屋BLcafe(ボトムライン1F)
チケット発売中:全自由 前売:¥3,500 (税込)D別 当日券:¥4,000 (税込)D別
【HARUMI ONEMAN LIVE “ACCEPTANCE” 2019】
2019年10月18日(金)
東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:4,300円(tax in.、+1ドリンク)
先行受付URL:https://l-tike.com/st1/harumi-oneman2019-1018
※先行受付期間:7月27日(土)正午〜8月4日(日)23時59分
遥海
オフィシャルサイト
遥海ワンマン。国境も価値観の壁も越え、人々に勇気を与える歌が鳴り響いた夜はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。