ロックアーティストの
テクニック向上に
大きな役割を果たした
『スーパー・セッション』
ジャムセッションについて
一方、ジャズ界はオリジナル曲にさほど重きを置かず、誰もが知るスタンダードナンバーをアーティストなりに如何にアレンジするかのほうが重要であった。何より名演を生み出すこと、これこそがジャズアーティストにとって最大の命題である。有名なところではミントンズ・プレイハウスのアフターアワーズ・セッションがある。仕事で組んでいるグループとは違ったメンバーと、楽器のテクニックを磨いたり、新たな表現法を生み出したりするために、毎夜セッションが繰り広げられていた。それまでリズム楽器でしかなかったギターをサックスやピアノのようにソロを弾くことで新たな可能性を見出した天才ギタリストのチャーリー・クリスチャン、変わったコード進行の名曲を数々生み出したセロニアス・モンク、モダンジャズの父のひとりディジー・ガレスピーらが、毎夜のようにジャムセッションで名演をものにしており、それらの一部はライヴ盤の『ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン』(‘41)に収録されている。クリスチャンはフランスのジャンゴ・ラインハルトやレス・ポールと並んでギター界の巨人であるが、1942年に25歳という若さで亡くなっている。