作曲家・松村禎三 生誕90年記念コン
サートに秋吉久美子が応援コメント

2019年8月5日(月)に『松村禎三生誕90年記念コンサート~Tomorrow 明日~』が東京都・狛江市にあるエコルマホールで開催される。作曲家の松村禎三の教えを受けた音楽家たちによる第8回演奏会として行われ、チェロソロに堤剛、ソプラノソロに駒井ゆり子、指揮者に山本純ノ介、渡邉康雄という豪華メンバーを迎えてオーケストラ・トリプティークの演奏で、映画音楽、コンサート用作品などが披露される。
このたびコンサートで演奏される映画『深い河』(1995年・熊井啓監督、遠藤周作原作)のヒロインを演じた秋吉久美子から、応援コメントが届いたので紹介する。
秋吉久美子応援コメント
映画『深い河』のヒロインを演じた時、バスでインドの聖地ヴァーナーラシーにたどりついた瞬間に、その世界に私が抱かれ、浄められるのを感じました。
そしてガンジス河に身をあずけた時の、あのかけがえのない感情の高揚を、松村禎三さんの音楽はみごとに表現してくださいました。その創作の力に、心から敬意を捧げつつ、オーケストラ・トリプティークの敬虔な演奏を応援したいと思います。

■プネウマ(1987)
天上の微かな風の音を思い、弦楽合奏によって音と響きの消長を追求した作品。東京芸術大学百周年記念演奏会のために作曲され、松村から武満徹に献呈された。
■クリプトガム(1958)
駒井哲郎の版画『海底の祭』(1951年)に触発されて作曲したものであり、山本直純指揮、ラモー室内楽団によって初演された。今回、山本直純の息子である山本純ノ介が指揮をする。ミュージカルソー(音楽用のこぎり)におぎ原まことが参加。モールス信号をイメージしたリズムのフーガや、タイプライターを打楽器にしたマーチなど、松村にとっても意欲的な実験を多数重ねており、黒木和雄監督の映画『ルポルタージュ炎』でも音楽が使用された。
■阿知女(1957)
松村の評価を決定づけた作品であり、伊福部昭やストラヴィンスキーの系譜に連なるエネルギッシュな音楽。作曲家の芥川也寸志は「現代音楽に得難い熱気」を持つと松村を評価した。
■映画音楽「深い河」より(1995・熊井啓監督)
熊井啓監督、遠藤周作原作による『深い河』は、松村禎三がオペラ『沈黙』を完成させた直後の作品であり、松村自身もストレートに多くのものを受け止めて作曲できたと語っている。
■映画音楽「とべない沈黙」より(1966・黒木和雄監督)
黒木和雄監督の劇場映画デビュー作となった『とべない沈黙』(1966年)は 広島では被爆した少女、戦争で青春を失った中年男をなど戦争と時代に翻弄された人間たちの痛烈な思いが交錯しチェンバロによる繊細なメロディーが様々な思いとともに迫る。
■映画音楽「TOMORROW-明日-」より(1988・黒木和雄監督)
黒木和雄監督による「戦争レクイエム四部作」の第1作である『TOMORROW-明日-』(1998年)は、1945年8月9日の長崎原爆投下までの24時間を描いている。爆心地の人々が一瞬の内に灰にされてしまったことを凛然と見据える映画で、アルト・フルートの哀切なメロディーが心に響く。
■映画音楽「息子」(1991・山田洋次監督)
山田洋次監督、椎名誠原作による『息子』(1991年)は、 妻に先立たれ、東北に住む父親と、東京でフリーター生活を送る息子と反発しつつも和解してゆくヒューマンドラマ。チェロ、フルート、ピアノ、オーケストラなど様々なキャラクターを聴かせる音楽。
■肖像(2006)チェロとピアノのために
コンサートの最後には、晩年の松村が、精神・肉体共に極限の状態で、生と死の狭間で作曲した「肖像-チェロとピアノのために-」(2006)が演奏される。
初演者である堤剛(チェロ)と、松村の作曲の弟子であり、2017年のサントリーホールでの演奏を高く評価された土田英介(ピアノ)による演奏となる。

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着