3月21日@国立競技場 photo by 緒車寿一、今元秀明、岡田貴之、田中和子

3月21日@国立競技場 photo by 緒車寿一、今元秀明、岡田貴之、田中和子

L'Arc~en~Ciel at 国立競技場、全
16万人を動員した1年10か月ぶりのラ
イヴ

3月21日・22日の2日間にわたって、東京・国立競技場にて「L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場」が開催された。
国立競技場にて、L'Arc~en~Cielがライヴを行うのは自身二度目。世界10カ国、全45万人を動員した結成20周年記念の「WORLD TOUR 2012」ツアーファイナル以来、1年10ヵ月ぶりとなる。加えて、今公演は前回公演を大きく上回る1日8万人、全16万人を動員、ライヴにおける国立競技場史上最大動員数を記録した。このチケットは即完売のニュースが駆け巡り、彼らのステージを待ち望むファンの心にますます火を点けることとなった。


迎えた初日。会場に足を踏み入れた人の多くが度肝を抜かれたはずだ。場内を取り囲む客席は360度開放型、ステージ背後のメインスタンドにまで観客を収容したライヴは国立競技場史上初のことである。驚きはまだある。再び国立競技場に結集した今回の公演は、それらを凌駕する未曾有の演出が待ち構えていた。

バックスタンドから臨む高層ビルの向こうに夕日が輝く頃、ついに空前絶後のショウが幕を開けた。LEDスクリーンにCGによるメンバーのトランスポーテーション映像が映し出され、爆音とともに煙が上がる。するとステージ下から4つのカプセルが出現した。SF映画そのもののようなメンバーの登場シーンは、この時点で一大スペクタクルと呼ぶに相応しい。

kenのアルペジオが鳴り響くと同時に、場内から大きな歓声が上がった。オープニングナンバーは「get out from the shell」。タイトル通り、殻の外へ自らを解き放つかのようなサウンドが、淡々と、やがてエモーショナルに高揚していく。続けて披露された「SEVENTH HEAVEN」が国立競技場を楽園へと誘うように響き渡った。赤いエクステンションを付けたyukihiroが刻む16ビートが躍動し、ワインレッドのベレー帽にサングラス姿のkenはステージ上手のランウェイへ。グリーンのヘアカラーが鮮烈なtetsuyaがステージ下手のランウェイへ躍り出て、客席を煽る。ちなみにステージ上はトラックのような周回路形状で構成されているゆえ、ステージ背後に位置するメインスタンドの歓声が一段と凄まじい。

「国立! さあ始めようぜ。大きい声、出せるよね? 君たちの声、力で、国立に火を点けてくれ!」

hydeによる最初のMCから、「REVELATION」イントロのコール&レスポンスへ。それに合わせてLEDスクリーンがカウントダウンを印し、数字が“0"になると聖火台に火が灯った。黒いベールを脱ぎ捨てたhydeは、黒地に“L"のロゴが配されたフラッグを掲げ、ライヴが一気に加速していく。

“晴れ渡る青空が眩しい"という一節が、空を見上げながら歌われた「GOOD LUCK MY WAY」。アカペラからスタートした「BLESS」は、その澄みきった声が上空に吸い込まれるように美しい。なお、同曲はNHKバンクーバーオリンピック、パラリンピックのテーマソングだったこともあり、この独唱パートはまさに国立競技場に相応しい壮大なシーンとなった。

「お待たせ。L'Arc~en~Cielです。よく来たね。会えてうれしいね。再び国立でやるとは思わなかったので、光栄です。久しぶりにバンドのメンバーが集まったんだよね。でもやっぱりバンドなので、1年半ぶりでも演奏ができるものだなと(笑)。普段はちょっと愛想のないバンドだけど、今日は思う存分、かわいがってやるから。全力でかわいがってやるから。楽しもうぜ!」

hydeのMCを挟んでのステージは、「HONEY」、「winter fall」、「New World」、「READY STEADY GO」と疾走する大ヒットシングル曲が続く。しかし、会場を熱狂させたのはhydeの言葉通り、メンバー4人による凄まじき演奏力であり、現在形のバンドパワーにある。怒濤の4曲のラスト、yukihiroによるドラムソロには鬼気迫るものがあった。

そして、恒例となったメンバープロデュースグッズCMの後、入場時に手渡されたL'ポンチョとL'edリストバンド着用を促すアナウンスが。場内が暗転すると、8万人の観客による白いL'ポンチョ、そして白いステージ上といった広大な国立競技場をキャンパスに、プロジェクションマッピングによる華麗な映像ショウが繰り広げられた。そこには膨大なエネルギーが映し出され、それがやがてアリーナ後方に膨らんだ球体バルーンへマッピングされるという巨編に場内が沸く。

この3Dモデリングによるプロジェクションマッピングは、100台以上のプロジェクターを使用した世界最大規模のもの。ソチオリンピック閉会式で使用したプロジェクターが132台によるマッピングだったという事実からも、規模の大きさが想像できるというものだ。

会場に頭打ちのドラムビートが鳴り響くと、球体バルーンが割れてメンバーが姿を現した。曲は「the Fourth Avenue Café」。同曲ではL'edリストバンドによる光が客席にL'Arc~en~Cielという文字を描き出す。「君たちは僕によって制御されているんです」というMCでは、hydeの指揮によってL'edリストバンドの光が七色に変化する場面も。「未来世界」「あなた」は、優しさと強さを備えた音色が響く。それらを包み込むように客席で揺れながら輝きを放つL'edリストバンドの光が、楽曲の感情をより増幅させるかのごとく感動的なシーンを演出した。メンバーと客席が一体となった共演とはまさにこのこと、そう思わずにはいられない光景が目の前に広がった。

マッピングが場内にクジラが回遊する映像を映し出すと、そこにkenによるギターソロが重なり、再びメインステージに戻っての演奏が繰り広げられる。曲はもちろん「MY HEART DRAWS A DREAM」だ。「CHASE」ではグリーンのレーザー光線が会場をサイバーに彩り、「X X X」は赤いレーザーとL'edリストバンドが妖艶な楽曲をより艶やかに演出していく。「wild flower」「DRINK IT DOWN」といった楽曲では、ステージ上に焚かれたトーチが楽曲の持つ激しい感情をなぞる。

「楽しんでる? 今回ライヴをすることが決まって。それならその前にシングル出したいと思ったんですけど……ご覧のように当日を迎えてしまったわけなんです。非常に残念な(笑)。ただ、せめて会場でやれたらな……なんて夢を……夢を抱いていたんですよ」。hydeのMCに一喜一憂しながらも、L'Arc~en~Cielから会場へ集まったファンへのプレゼントともいうべき発言が飛び出して、観客の歓声が一気に嬌声に変わった。「みんな、夢って叶うもんやな。間に合いました。聴いてもらってもいいかな? 「EVERLASTING」」。

新曲はマイナーな旋律とダークな質感が絡み合うL'Arc~en~Cielならではのもの。tetsuyaとkenによるツインギターといった新たな一面も垣間見られる。続いて、kenによるアコースティックギターのストロークが誘ったナンバーは「Blame」。同曲は2ndアルバム『Tierra』収録曲であり、ライヴで演奏されることがレアな楽曲に会場から大きな歓声が上がった。

そしてライヴはクライマックスへ突入。kenの「Caress of Venus」というコールから、「Driver's High」「Link」といった盛り上がらずにはいられないナンバーが次々と演奏されて、怒濤の後半を一気に駆け抜ける。

「本当に綺麗な眺めで。ひとりひとりが照明になっててすごくいいなと。だから大事なんです、君たちひとりひとりが。L'Arc~en~Cielにこれからも付いてきてくれるとうれしいなと。みんなの笑顔が伝わってきてやってよかったなと。最後に「虹」を聴いてください」

サビではL'edリストバンドが七色に輝き、エンディングでは虹色の花火が盛大に打ち上げられて初日の幕を閉じた。


そして、3月22日(土)。この日は日本全国37ヵ所の映画館で完全同時生中継されることをはじめ、アメリカ、メキシコ、ブラジル、イギリス、フランス、台湾、香港でも、その映像が上映される。つまり、L'Arc~en~Cielライヴの興奮を世界中のファンが共有することとなるわけだ。

晴れ渡る青空のもと、<L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場>二日目の公演がスタートした。初日同様の壮大なオープニングだがCG映像は前日のそれとは異なるもの。観客の期待も一気に高まる。

ステージにスポットがあたり、その中にシンセベースのビートが流れると、オープニングナンバー「CHASE」の重厚なイントロがkenのギターからはじき出される。と同時に、「SEVENTH HEAVEN」へと続いた楽曲群が、気持ちいいほどの音圧とハードさで新鮮に鳴り響いた。

場内は、序盤から総立ちのハイテンション状態。「REVELATION」のインターではステージ中央でkenとtetsuyaが向かい合ってのパフォーマンスを繰り広げるなど、メンバーの表情にも笑顔が見受けられる。「GOOD LUCK MY WAY」や「BLESS」などのナンバーが圧倒的な迫力で演奏される一方で、二日目にのみ披露された「NEXUS 4」でkenの速弾きが冴え渡った。また、この日サブステージでは「metropolis」、「花葬」が披露され、とりわけhyde、tetsuya、kenの3人がドラム台に座って演奏した「花葬」は、ピアノによるイントロが施されたうえ、kenがガットギター、tetsuyaがフレットレスベースを使用するなどアレンジに手が加えられ、よりふくよかにシックなムードで届けられた。

クライマックスはやはり新曲「EVERLASTING」だ。そして、この日のMCでは新曲について、hydeの口から語られる場面も。

「僕は次の曲は、kenちゃんが作るような、映画音楽のような、L'Arc~en~Cielにしかできない、そういう音楽がいいなと思っていたんです。20何年バンドをやっていると、それが言わなくても伝わるという。イメージ通りの曲を作ってくれました。全然演り慣れてないんで新鮮でしょうがないんです。すごくいい詞が書けたので、ぜひ聴いてみてください」

新曲は、打ち込みをベースにしたミニマムなサウンドながら、旋律が狂おしいほど壮大に展開するナンバーだ。また、初日のレポートで記したように同曲はtetsuyaがギターを弾くという新たな一面も併せ持つ。結果、深く豊かな表現力とタフなアレンジ力が前面に押し出され、鬼気迫るほどの息づかいとうねりがプレイ全体に満ち溢ちたサウンドが、圧巻のひと言に尽きる。

会場全体がL'edリストバンドによって生きているかのように鼓動し、客席ひとりひとりの一挙一動がより激しさを増していく頃、この夜のテンションも最高潮に達した。<L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場>を締めくくるラストナンバーは「あなた」だ。この曲の前に国立競技場に対する思いをhydeはこう語った。

「すごくいい場所だなと思ってて。ずっと炎を見ながら歌える場所なんてないんでね。感慨深いです。生まれ変わる前の、最後の国立で演奏できてすごく光栄です。完成したカッコいいところで、またこうやって演れたらうれしいなと思います。それまでL'Arc~en~Cielは相変わらずかもしれないですけど、でもこういう素敵な光景を見ると……いいバンドだなと思います。再認識します。それまでみなさん、ついてきてください」

暗転した場内には、一面の星空のような青いL'edリストバンドの光が揺れている。それまでの興奮を引き継ぐような激しいナンバーではなく、シンプルで力強いナンバーを客席は噛み締めるように聴き入りながら、サビでは大合唱がこだまする。その美しき光景を刻み込むように客席を見入るメンバーの姿が印象的なラストシーンとなった。

最後の一音が鳴らされると同時に、アリーナから解き放たれた3万の風船が夜空に吸い込まれていく。ステージからは千発の花火が打ち上げられて、<L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場>が幕を閉じた。

すべての演奏終了後、LEDスクリーンに映し出されたのは、彼らの今後。まず、同公演で初公開された新曲「EVERLASTING」が2014年8月13日に発売されることが発表された。「EVERLASTING」は、MUSIC & PHOTOS -国立競技場公演 Memorial Edition-として、約24cm×28cmという大判LIVE PHOTOSが同梱されたDELUXE HARD COVER 仕様によるリリースとなる。この作品は完全受注生産限定盤、3月25日(火)正午12:00から予約開始となる。

また、<L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場>は、世界最大規模となる20台を超える4Kカメラで収録されており、最高画質で臨場感溢れるライヴ映像が、LIVE Blu-ray / DVDで発売となることも明らかとなった。リリースは2014年秋頃の予定だ。 さらに、世界10カ国14都市で開催した前人未到のワールドツアーに密着したドキュメンタリーフィルムが映画化され、『DOCUMENTARY FILMS ~WORLD TOUR 2012~』として2014年12月に公開となることも発表となった。 この日見逃した方はそちらの作品を楽しみに待とう。

【セットリスト】

■3月21日
01. get out from the shell
02. SEVENTH HEAVEN
03. REVELATION
04. GOOD LUCK MY WAY
05. BLESS
06. HONEY
07. winter fall
08. New World
09. READY STEADY GO
10. the Fourth Avenue Café
11. 未来世界
12. あなた
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. CHASE
15. X X X
16. wild flower
17. DRINK IT DOWN
18. EVERLASTING(新曲)
19. Blame
20. Caress of Venus
21. Driver's High
22. Link
23. 虹

■3月22日
01. CHASE
02. SEVENTH HEAVEN
03. REVELATION
04. GOOD LUCK MY WAY
05. BLESS
06. HONEY
07. winter fall
08. NEXUS 4
09. READY STEADY GO
10. metropolis
11. 未来世界
12. 花葬
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. the Fourth Avenue Café
15. X X X
16. shade of season
17. DRINK IT DOWN
18. EVERLASTING(新曲)
19. Blame
20. Caress of Venus
21. Driver's High
22. Link
23. あなた

「EVERLASTING」

2014年8月13日発売予定
【完全受注生産限定盤】 (CD + PHOTOS)
¥3,700(税抜)
・DELUXE HARD COVER 仕様(約28cm×32cm)
・大判 LIVE PHOTOS(約24cm×28cm)
・CD:NEW SONG「EVERLASTING」収録
3月25日(火)正午12:00~ 予約受付スタート!
(予約受付締切:4月末日)
3月21日@国立競技場 photo by 緒車寿一、今元秀明、岡田貴之、田中和子
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3月21日@国立競技場 photo by 緒車寿一、今元秀明、岡田貴之、田中和子
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