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【J インタビュー】
自問自答の果てにJが開く、次章の扉

4年振りに通算11枚目となるオリジナルアルバム『Limitless』をリリースするJ。発売日の7月24日は、1997年のソロ1stアルバム『PYROMANIA』と同日。20周年という節目を超え、改めて初期衝動を見つめ直して生まれたという今作に相応しい。バンドサウンドは磨き上げられ、Jの歌声は艶を増し、ライヴの臨場感を刻んだような生き生きとしたロックナンバーの数々は、理屈抜きでハートに訴え掛けてくる。

ソロ活動20年、LUNA SEAで30年
もう1度欲求に対して素直になりたい

オリジナルアルバムとしては4年振りとなる今作ですが、いつ頃から制作されていたのですか?

“どんなものができるんだろう?”と自分でも分からないフリーライティング…まさに真っ白なところに絵を描くようなイメージで、ずっと作ってはいたんですよ。そういった中で生まれた原石を拾い上げて、ビルドアップして、具体的に固め始めたのが去年ですね。本当にあっと言う間だったんですけど、10作目となる『eternal flames』を作った時、節目ということで自分を見つめ直し、そこからいろんなものが刻まれた4年間だったと思うんです。ソロ活動で20年、LUNA SEAでももう30周年という節目続きのタイミングだったし。そこでもう1度、自分の欲求に対して素直になりたい、初期衝動に対して自分自身をまだ響かせることができるのかと問い掛けながら突っ走りました。この11作目は新たなスタートとして…それは決して単純に真新しいものじゃないんですよ。いつの日か自分が見定めた、その景色の再確認と、そこから放たれた熱量を確認しながら作ったアルバムだと思う。

例えば、究めた道とはまったく違うところに行ってみるという選択肢は思い浮かびませんでしたか?

どの道を選ぶかというのは、いつも作品を作る前にいろいろ考えるんですけど、やはりこの身体は嘘を付けないようで。今までやってきたこととつながった、その先にあるもの、その場所にしか自分を満たしてくれる何かは存在しないんですよね。だから、いつもいつも考えるんだけど、結果的にいつもいつもその場所に行っていますね(笑)。でも、“今のお前は何なんだ?”“お前はどうしたいんだ?”と自問自答する儀式のような作業を止めた時、どんどん自分じゃなくなっていくような気もしてるんです。それと同時に、やはり音楽なので頭でっかちにならず、楽しくないとということも常に意識してます。“ライヴでメンバーと、みんなと一緒になって盛り上がるものを作り上げたい!”という想いが、やっぱり基本的なところにあるから。

幕開けの「the Beginng」はまさにライヴ感に満ちた、ストレートなロックナンバーですね。

この曲ができた時、アルバムの方向性が決まりましたね。本当にシンプルなんだけど、迫力もグルーブ感も爆発力もあって。アルバムをそんな曲で埋め尽くしたいという気持ちになったし、“やっと俺の理想とするかたちが曲になってくれたな”と思ってます。

ライヴでともにグルーブを作り上げてきたバンドのメンバーとの関係性は、曲作りにも影響していますか?

そうですね。より一層バンドサウンドになってきていると思います。俺が97年にソロを始めた頃から、ソロ名義ではあるんですけど“どこにも負けないバンドサウンドを作り上げたい”とずっと追い求めてきたし。バンドというものは面白いもので、生き物というか、グルーブするんですよね。いい時もあれば迷う時もあるけど、自分ひとりじゃ想像が付かなかったようなものが生まれてくる。そういった刺激を曲に封じ込めていきたいんです。

アルバムタイトルはどの時点で決められたのでしょうか?

今回のアルバムのテーマを考えた時、“解き放つ”というのがひとつあって。だから、“限界(limit)をなくしてみたい”という想いがあったんです。曲を作っていく段階での俺自身のテーマであり、音作りに関してもそのイメージが指針になっていきました。いろいろ考えた時、“もしかしたら限界というのはイメージの中で自分が作りものであって、ないって思えばないんだな”とすごくシンプルなことに気付いたんですね。その時に“あっ、このタイトルはまさに今の自分自身の願望だ”と思ったんですよ。まぁ、実は締め切りもリミットレスでしたけどね(笑)。

(笑)。Jさんは締め切りは守られるタイプなんですか?

いや、結構今回は…。“えっ、こんなに締め切りを超えても出来上がるんだ!?”と驚くぐらいリミットレスでした(笑)。でも、それぐらい実は難産だった部分もあるんですよ。レコーディングを終えても自分の中で落としどころをずっと探したままで、“この曲は一体何を物語ってるんだろう?”と考えていたり、腑に落ちないと“ここをちょっと変えてみようかな”と直したり…そんな作業をずっとしていたんです。とにかく腑に落ちない部分をゼロにしたい自分がいて。当然100パーセントを求めてレコーディングをするんですけど、究極的には“理屈じゃないところ”に行きたいんですよ。理屈じゃないところで鳴らしたい、理屈じゃないところでロックしたい、そこだけは答えがはっきりと分かってるんです。結果、出来上がったアルバムを聴いた時に“あっ、できたかもしれない。新たなスタートを切ったんだな”という気持ちになりましたね。“自分たちがやりたいのは純粋にロックなんだ。それだけでいいでしょ?”という場所に辿り着けたと感じてます。

リード曲の「Love Song」は《追い続けた日々を 撃ち抜くように》というフレーズが印象的な美しい曲ですが、どんなメッセージを込めたのでしょうか?

タイトルは歌詞の一節である《だとすればこれはきっと ラヴソングだ》から取っていて…でも、“たぶん”なんですよね。果たして本当にそうなのかどうなのかは分からない。だから、俺たちがこの曲をプレイして、その言葉を放って、それがみんなの胸に着地して、曲がみんなの中に染み渡っていった時に初めて答えが出ると思う。聴いてくれた人たちに対して何かを問うような部分があってもいいかなって。お互いで確認し合うようなメッセージを込められたらと思って言葉を探していました。だから、この曲がみんなにどういうふうに映るか、それが今から楽しみなんですけどね。

ちなみに“愛”という言葉から、Jさんは今一番何を思い浮かべますか?

人が絶対的に求めるものなのかなって思います。愛にはかたちがないから、そんなものが存在しているのかどうかも分からない。だから、いろんなかたちがあってもいいんでしょうし、もっと言うとみんなのイメージの中にあるものだと思うんですね。そういう不確かなものだという前提の中で話すとすれば、やっぱり触れた時に打ち負かされるというか、素直になるしかないほど絶対的なもののような気もするんです。世の中の悲しい事件はそういうものが欠落しているから起こっている気もするし、それを求めて起きてしまうのかもしれないし。愛とは大きいものなんですけど、気付こうとすればすごく近くに存在しているものなんじゃないかな。

では、Jさんの音楽活動において、愛というものが果たす役割は?

音楽を通していろんなことを自分は経験させてもらっているし、いろんな方と知り合っているし、いろんな人たちのサポートがあって…例えばコンサートは成り立っている。バンドだってみんなの力によって1曲の演奏が成り立つわけじゃないですか。そう考えてみると、その全てが愛おしいと思うんですよ。その愛おしい瞬間に、俺は囲まれているような気がする。それは音楽を通じて得られたものだと思いますね。

Jさんのライヴからは激しさや強さと同時に、そういった深く大きな愛を感じます。「Falling Star」にもそんな慈愛がありますね。

そうですね。そういう絶対的なものを与えられる存在ではありたいとは思うかな。
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OKMusic編集部

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