反田恭平がクラシック音楽の新レーベ
ル「NOVA Record」をイープラスと共
に設立

ピアニストの反田恭平が、2019年7月10日(水)、クラシック音楽の新レーベル「NOVA Record」の設立を発表した。同レーベルは、反田自らによるプロデュース・総指揮により、各種音源や映像の企画・制作・販売・配信をおこなう。運営は自身が代表取締役社長を務める株式会社NEXUSと、株式会社イープラスの共同事業によりおこなわれる。クラシック音楽市場に新風を吹き込み、活性化をもたらすことを目指す。
レーベル名に使用された“NOVA”とはラテン語で「新しい」、英語で「新星」を意味する。なお、過去、日本のクラシック音楽界において一人の著名演奏家が自身のレーベルを立ち上げた例は確認されておらず、事実上「日本初」といっていい。
「NOVA Record」ロゴ
「NOVA Record」は先ず、ミニアルバム全10種のリリース(2019年7月24日)を皮切りに事業を開始する。それぞれのCDは、昨今注目を浴びる若手ソリストにして、反田がプロデュースするMLMナショナル管弦楽団のメンバーである10名のアーティスト<岡本誠司、大江馨、桐原宗生(以上ヴァイオリン)/森田啓佑、水野優也(以上チェロ)/大槻健 (コントラバス)/八木瑛子(フルート)/荒木奏美(オーボエ)/庄司雄大(ホルン)/皆神陽太(ファゴット)>の紹介を目的として制作され、すべてのプロデュースとピアノ伴奏を反田が手掛ける。なお、これらのCDはMLMナショナル管弦楽団の演奏会場のみでの限定販売となる。
リリース第一弾はミニアルバム全10種
また、上記に続き、「反田恭平with MLMナショナル管弦楽団」演奏会(2019年7月26日・サントリーホール)のライブ収録音源を、2019年8月上旬にインターネットで配信する。
さらに今後は、海外演奏家を含む、より多くのアーティストと連携を拡げて音源リリースの充実を目指す一方、独自の切り口で作曲家や楽曲の選定をおこない、反田自身による演奏音源も含む数々の新機軸を打ち出していく。2016年にピアニストとしてデビュー以来、クラシック音楽界に華々しく旋風を巻き起こしてきた反田が立ち上げる新レーベルだけに、今後の動向に世の中の注目が集まることは必至だろう。
■反田恭平コメント
「新レーベルNOVA Recordへの思い」
反田恭平  (撮影:池上夢貢)
クラシック音楽の演奏家は何故自らCDを制作しないのだろう--。ある時、ふとそう思ったのです。
僕にとって音楽家の理想像はモーツァルトやベートーヴェンの時代の音楽家。彼らは、まず曲を書き、次にどこで演奏するか自分でロケーションして演奏会を企画し、資金を集め、初演して… と一人で全部やっていました。ところが現代になると、そうしたことは幸いにも、専門の事務所や会社にすべてお任せしていればよく、演奏家はただ弾くことに専念していればいい。
でも、僕はそれで満足しているタイプではなかった。例えば一つの演奏会を開催するために、いつホールを借りて、どういうチラシを作って、いくらお金がかかって…といったことが、デビュー以来ずっと気になっていました。そうした舞台裏の全部を演奏家の立場でも知っておくべきではないかと。僕の将来の夢というか、人生の目標は音楽学校を立ち上げることなのですが、その機会が25年後くらいに訪れるにせよ、そのための経営の勉強を今から実地でしておきたいとも思っていました。そこでまず設立したのが、自分の会社(株式会社NEXUS)でした。
僕が音楽家になったそもそもの動機は「指揮者になりたい」と思ったことです。その夢を実現するために自分でオーケストラを創ろうと。そこで日本の若きトップソリストばかりを集めたMLMダブルカルテットから発展させたMLMナショナル管弦楽団を僕がプロデュースし、運営をNEXUSが手掛けることになりました。その演奏に関わるうちに思ったのが「演奏家は何故自らCDを制作しないのだろう」という、冒頭で述べた疑問でした。そこから、演奏家たちの主導で音源を制作するクラシック音楽のレーベルがあってもいいじゃないか、という思いに至ったのです。こうして「NOVA Record」のアイデアが生まれました。
そこで、これまでも色々とお世話になってきた株式会社イープラスの橋本会長にその話をすると、「やるなら反田が中心にあるべきだ」と仰っていただき、新レーベルの設立・運営をご一緒してくださることになりました。
すべては僕の思い付きから始まったことです。しかし、その思い付きを具現化するにはどうすればいいのかと考えることこそが重要で、そこは僕なりにも今日までしっかりと考えてきたつもりです。モーツァルトやベートーヴェンたちのようなセルフプロデュースの一環として、「NOVA Record」という独自のスタイルで21世紀のクラシック音楽界に一石を投じたい。この新しい試みに対して、ぜひ皆さまよりご理解とお力添えをいただければ幸いです。
NOVA Record 代表 反田恭平
■株式会社イープラス・橋本行秀会長コメント
「イープラスは何故、NOVA Recordをサポートするのか」
橋本行秀 株式会社イープラス代表取締役会長
反田恭平さんの新たなレーベル「NOVA Record」をイープラスが反田さんと設立に至った経緯をお話しします。
インターネットが普及して約20年近くになりますがその発展に伴い、様々な業態に変革をもたらしてきました。エンタメ業界も大きな変革期を迎えています。それはスマホの出現により更に加速されているのですが、端的に言うとアーティストと顧客との距離がどんどん短くなっているということだと思います。
それはアーティストサイドから見れば自ら制作し、 配信し、プロモーションできる時代に入ってきていて、いわゆる「セルフプロデュース」の時代が到来しようとしています。
我々本業のプレイガイドの立場で言えば、ライブ業界は右肩上がりで伸びていますが、人気のコンテンツを持っている事務所やアーティストは、電子チケット等の登場により顧客に直接売る傾向が強くなってきています。これはインターネットの本質の一つであると我々は考えます。
その意味でプレイガイドも変革、対応を迫られています。単にディストリビューターとしてだけ生きるのではなく、興行を自ら企画制作すること。また、セルフプロデュース能力に優れたアーティストのCD制作やディストリビューション、プロモーションのサポートもおこなってまいります。そうしたことをまずクラシック音楽の世界で実践し、その市場に新たな活気を巻き起こせないだろうかと考えました。一時期“360度展開”とよく言われましたが、今後まさに本格化するように思います。
自主興行企画については、すでに、渋谷の LIVING ROOM CAFE で毎週行われている「サンデー・ブランチ・クラシック」で新進気鋭の若手アーティストを発掘。昨年秋より赤レンガ特設会場で始めた都心で唯一のクラシック野外フェス 通称「スタクラフェス」を企画制作しております。
一方、反田恭平さんですが、彼は優れたピアニストであることにとどまらず、「MLMナショナル管弦楽団」のプロデュースをはじめ、また「スタクラフェス」では合唱曲を作曲、指揮するなど多彩なプロデュース能力を発揮しています。そんな彼の「セルフプロデュース力」を高く評価し「NOVA Record」の共同設立に至りました。
イープラスは反田恭平さんの「NOVA Record」を全力でサポートしてまいります。
株式会社イープラス代表取締役会長 橋本行秀
■各界からのメッセージ
◎二ノ宮知子 (漫画家)
反田恭平くんが自社レーベルを立ち上げると聞いて驚きました。
何かやるだろうと思っていましたが、思ってたより全然早かったので(笑)。
私は漫画「のだめカンタービレ」でクラシック界のさまざまな天才的奇人を描いてきましたが、反田くんに会って話をしてすぐ「この人、漫画だわ」と感動したものです。
ピアノ、指揮、プロデュース。やりたいことを語り、すぐに実現していく彼の姿を見ていると、彼はピアニストどころか、普通の音楽家にも収まっているつもりはないのだなあと。
反田恭平とは何者か。まだまだわからないし、今後の彼の活躍を益々楽しみに、注目していきたいと思います。
◎武井壮さん (タレント・百獣の王)
反田恭平というアーティストの音を初めて知ったとき、それまで遠く感じていたクラシックの楽曲が何故かとても身近に感じたのを覚えています。 それは彼が様々な楽曲を演奏するために鍵盤に触れてきた圧倒的な量とそのひとつひとつに込められた膨大な思考や感情が、我々アスリートが地面を一歩踏む度に手に入れてきた力と経験と知識に似た強さを持つ感じたからだと思います。 さらに、そんな彼がそのクラシックの魅力をより広く伝え、その音を耳にする時間が、多くの人の生きる時間を鮮やかに彩る価値ある瞬間となるようにと願う心が伝わったからだと感じます。 歴史あるクラシックの音楽と現代の地球を華麗に、力強く繋ぎ合わせる音を奏でてくれるアーティスト、それが反田恭平です。
◎楠木 建さん (一橋大学教授・経営学者)
ある人からお招きいただき、軽井沢の大賀ホールで初めて反田恭平さんの演奏を聞いた。音楽はとても好きだが、聴いたり弾いたりするのは主に軽音楽でクラシックはあまり聴かない。事前に反田さんのことは何も知らなかった。そんな僕でも、彼が既存の枠組みにどうやっても収まらない天才だということははっきりと分かった。
さらに言えば、反田さんの才能と意志はピアニストの枠からも逸脱している。自ら起業し、新たなレーベルを立ち上げるという。従来の業界構造に固く定着した分業を破壊し、ミュージシャン自ら需要を創造するという試みである。クラシック音楽の供給と需要の間のあたらしいつながりを生み出す。これまた既存の枠組みにとらわれない新機軸だ。
クラシック音楽という成熟し、固着した業界に新風を吹き込む反田さんの挑戦。日本発の新しい「文化の商売」としての大成を期待している。
◎山田治生さん (音楽評論家)
反田恭平のように、常識にとらわれず自らの考えで行動する音楽家はまれである。音楽的才能は言うまでもないが、彼の発想力、行動力にはいつも驚かされる。
ピアニストでありながら、指揮者を目指す彼は、オーケストラ(MLMナショナル管弦楽団)を結成。また、自ら会社を設立し、コンサートのプロデュースを始めた。今度は、レーベルを立ち上げ、CDを作り、音楽を配信する。既成のシステムに乗るのではなく、自分で考え、自分で行動する。そしてそれらすべてが音楽のためであるところが素晴らしい。
インターネット配信の影響などで、「CDが売れなくなった」といわれて久しい。しかし、CDだって、すべてやり尽くされたわけではまったくない。やり方次第ではまだまだ可能性がある。アルバムの内容から、販売方法まで、反田は自らのアイデアでそれを示そうとしている。新レーベルの立ち上げにあたり、彼ならではのユニークな発想でますます我々を驚かせてほしいと思う。
◎オヤマダアツシさん (音楽ライター)
<そのうち、なんていうのはあてにならないな。いまがその時なのさ。>
自由を愛するクールな放浪者、スナフキンは数多くの至言を私たちにプレゼントしてくれているのだが、反田恭平が同世代の音楽家たちを集め、新しいオーケストラを始動させるという話を耳にしたとき、どういうわけかこの言葉を思い出してしまった。「いま」を決断し、未開の地へと足を踏み出す勇気があってこそ道は開かれる。そしてその道は、後から追いかけて来る者へ希望を与えるのだ。僕は(そんなに長生きはできないと思うけれど)新しい時代へとつながる旅をワクワクしながら観察し、そこで何が生まれるのか、どういう人たちが旅に加わるのかを見たい。クラシック音楽もまた、未来へと向かう芸術なのだから。

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