sumika『Chime』リリースツアー 地元横浜でかけた魔法

sumika『Chime』リリースツアー 地元横浜でかけた魔法

sumika『Chime』リリースツアー 地元
横浜でかけた魔法

sumikaがホーム横浜に凱旋!

sumikaというバンドのやりたいことが明確に伝わってくるライブだった。家を模したステージや「Familia」で本編をしめるセットリストにも表れていたが、目標だった横浜アリーナで1万2千人を前に音楽の力だけで真っ向勝負してみせた。
2019年6月9日、2ndアルバム『Chime』リリースツアー。総立ちの横浜アリーナに片岡健太(Vo/Gt)、荒井智之(Dr/Cho)、黒田隼之介(Gt/Cho)、小川貴之(Key/Cho)が登場する。「sumikaです。よろしく!」。オープニングはアルバムの冒頭を飾る「10時の方角」。
スペシャルな時間のはじまりをにぎやかに告げる。「飛ばしていくよ!」という片岡の宣言どおり「フィクション」そして「1.2.3..4.5.6」で一気に自分たちのペースに乗せていく。
片岡の歌い出しからの「グライダースライダー」では黒田のギターソロが華麗に彩った。とどめの一撃は「ふっかつのじゅもん」。言葉とメロディーがいっしょくたになって目の前を走り抜けていった。演奏の手を止めて、会場の熱気を確かめるようにスタンド、アリーナ、センターと順にコール&レスポンスをする。
「横浜アリーナのみなさん、ご機嫌いかがですか!!」と呼びかけると割れるような歓声が会場を包んだ。
音楽への絶対的な信頼と愛情を歌った「MAGIC」をフルボリュームで演奏し、70’sポップな「Monday」、高い演奏力と構成の巧みさが光る「Strawberry Fields」と『Chime』の収録ナンバーを立て続けに披露。メンバーのソロパートに会場も沸き返った。
MAGIC 歌詞 「sumika」
https://utaten.com/lyric/sa16110809
痛みを笑顔に変えるsumikaのポップネス

全員が神奈川出身のメンバーにとって、さまざまな思い出を重ねた「ホーム」(荒井)であり、「ずっと憧れだった横浜アリーナ」(片岡)。
その場所に「自分たちの大好きな、人生をかけてやっているsumikaというバンド」(黒田)で帰ってきた4人。「このステージに立てるのが本当に幸せ」(小川)と思いを語る。片岡のあだ名(会場限定)募集でひとしきり盛り上がると、粉雪のようにライトが舞い散るステージで「ホワイトマーチ」を演奏。
まぶしい光に照らされてはじまったのは「ファンファーレ」。〈夜を超えて/闇を抜けて/迎えにゆこう〉と歌う名刺代わりの1曲をアップテンポで駆け抜けた。
「リグレット」で観客を座らせ「真っ暗な中に一筋の本当の光を」と言ってピアノをバックに歌う「ゴーストライター」。心の奥底に下りていくような時間が過ぎていく。
リグレット 歌詞 「sumika」
https://utaten.com/lyric/sa16032238
ポップでヘルシーそのもののようなsumikaの歌詞には「毒」や「キズ」といった痛みの表現がしばしば登場する。「ポップ」の定義が多くの人に伝わることなら、生演奏にこだわり、派手な演出を排したsumikaの音楽への向き合い方は、オーガニックでストイックと言える。
歌詞でも、生きている中で避けがたく負ってしまうダメージや傷に対して、安易に理解を求めるのではなく、痛みを抱えてもがくプロセスを丁寧に描いている。
解毒作用とも言える、楽曲の中できっちり答えを出す姿勢がsumikaの音楽をこの上なくポップなものにしているのだ。「ゴーストライター」から「秘密」にかけての一幕は、そんなsumikaのソングライティングの核心をあらわにするものだった。
「いままで生きてきた人生の中で今日がいちばん幸せ」
後半戦のスタートは「Lovers」から。ステージ中央でジャンプしながらギターをかき鳴らして歌う片岡。
Lovers 歌詞 「sumika」
https://utaten.com/lyric/sa16031504
sumikaというバンドのど真ん中にあるLOVEをホームで1万2千人と大合唱した。「明日以降のことを全部忘れて、今日ここ横浜アリーナに魂を埋めて帰るくらいの覚悟で音楽をやりたいと思ってます」と言ってから、「あなたと一緒じゃなきゃ意味がない」と叫んで「Flower」へ。ステージを所せましと駆けまわる片岡をバックで支えるメンバーたち。
無言の信頼関係が生む硬軟自在のグルーヴが会場を揺らす。その勢いのまま突入した「ペルソナ・プロムナード」では、目まいがしそうなリズムとメロディーの奔流に酔いしれた。
「人間は大事な気持ちを忘れてしまうけど、音楽には思い出す魔力が宿っていると信じています」と言って歌う「「伝言歌」」。
「お世辞を一切抜きにして、いままで生きてきた人生の中で今日がいちばん幸せ」と語りながら「きっかけなんてなくていいのに、大人になるほど理由がないと人に会えなくなる」、「本当は会いたい人にはすぐ会いに行くべきだと思います。
だけど恥ずかしがり屋だから、僕たちはこれからもたくさん曲をつくって、たくさんライブをします」と片岡。「またライブをやるから何度でも出会いましょう」と言って「大切な曲」という「Familia」を演奏。1万2千人の横浜アリーナを家族のように親密な空気で包みこんだ。
「いっぺん出会ってしまったらおしまいですから」、「離さないからな」と笑顔で言い残してステージを降りた。
ニューシングル「イコール」を初披露
アンコールでは6月12日発売のニューシングル「イコール」を初披露。夢と現実のギャップをつなぐ楽曲を、sumikaにとってはじまりの地であり、憧れであった横浜アリーナで熱唱した。
各会場恒例の地元の推しポイントを決定するコーナーをはさんで(シウマイ弁当のタケノコに関するトーク)、「Amber」を演奏。
イコール 歌詞 「sumika」
https://utaten.com/lyric/qk19054066
そして「sumikaがいちばん最初につくった曲を、尊敬する横浜アリーナ、あなたの前で歌って帰りたいと思います」というMCから、ラストは「雨天決行」でこの日をしめくくった。最後に「絶対に裏切りませんから。いっしょに戦って、いっしょに傷ついて歩いていきましょう。出会ってくれてありがとう」と思いを伝えた。
〈Please Happy Ending/僕の願いは(ねぇ)/頷いて/僕とファミリア〉と「Familia」では歌われる。原点の地・横浜アリーナに集まった1万2千人を笑顔に変えたこの日。終演後もsumikaがかけた音楽の魔法が解けずにその場に残っているようだった。
TEXT 石河コウヘイ

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