勘九郎と七之助が「平成中村座」で九
州初上陸 「今からワクワク」「九州
の人の熱意に負けない芝居を見せたい

2019年11月より、福岡・小倉城 勝山公園 特設劇場にて『平成中村座小倉城公演』が開催される。本公演の製作発表記者会見が、6月26日(水)に都内で行われ、座を代表して中村勘九郎と中村七之助が公演にかける想いを述べた。
「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させ、多くの方々に歌舞伎を楽しんでいただきたい」二人の父である十八世中村勘三郎の想いを受け、2000年に誕生した平成中村座。念願の初九州公演となる今回は、小倉城天守閣再建60周年と博多座20周年の特別企画として、昼の部では「神霊矢口渡」「お祭り」「恋飛脚大和往来 封印切」、夜の部ではご当地・小倉藩のお家騒動を描いた通し狂言「小笠原騒動」が披露される。
会見冒頭では主催の博多座・相良直文常勤相談役、同じく主催のテレビ西日本・荻孝浩取締役が「九州の歌舞伎ファンが待ち望んでいた」「小倉が歌舞伎ファンで大賑わいとなるのが今から楽しみ」とそれぞれ笑顔でコメント。また製作の松竹・安孫子正代表取締役副社長は「昭和50年代に勘九郎さん(当時)らが、香川・金丸座の公演を観て“こういうところで歌舞伎が出来ないものか”という着想から生まれた平成中村座は、東京の歌舞伎座にはない、江戸時代の町人の息吹が充満している会場となった」と発足当時を振り返っていた。
勘九郎は「父が残してくれた大きな大きな宝物である平成中村座が九州初上陸となります。はやくはやく、九州の皆さんにお見せしたいと今からワクワクです」と堰を切ったかのように語り出す。勘九郎はNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』で第一部の主人公・熊本出身の金栗四三役を1年半の撮影で演じてきた事に触れつつ「お世話になった九州の皆さんに恩返しになれば」と胸中を明かした。
平成中村座の魅力について聴かれると「江戸時代にタイムスリップしたかのような気持ちになれる芝居小屋。父は歌舞伎が大好きで、以前、唐十郎さんの“蛇姫様”を観て、みんなぎゅうぎゅうな中、汗や涙やツバも含めて観客と役者が一体になれる小屋をやりたいと考えたのがこの平成中村座。やりたい事が全部詰まっている夢の小屋」と勘九郎は熱を込める。
一方の七之助も平成中村座の魅力について「お芝居が何倍も楽しめる小屋。お客様との相乗効果が生まれる劇場です。靴を脱いでご覧いただくので、緊張せず歌舞伎を観ていただけると思います」と魅力を語り、「九州のお客様は熱を持った方が多く、その熱意に負けないよう、いい芝居を見せたい」と意気込みを見せていた。
また、今回の公演には中村獅童も出演することに触れ、七之助は「兄と芝居をするのも、獅童さんと3人で出演するのも久しぶりなので、凄く嬉しい。昔『義経千本桜』を3人で演じた時、カーテンコールで感動のあまり泣いた思い出がある。この3人が九州で主役級をやらせていただけるようになったんだなあ」と懐かしいエピソードを披露していた。
過去開催されてきた平成中村座公演でも、かんざし、手ぬぐい、扇子などを作る職人たちの店が入る「五軒長屋」が設けられてきたが、今回の小倉城公演には江戸(東京)から10店舗、地元九州から10店舗、計20店舗による「二十軒長屋」が設けられる。この二十軒長屋にはチケットがなくても入場できると説明した勘九郎は「江戸時代から受け継がれてきた職人の技をつないでいきたい。今回は飲食系のお店も入る予定なので、出演者もここでお昼を食べるかもしれません」と期待させ、個人的には「ラーメン屋を必ず入れて、とお願いしています」と口にして、笑いを誘う。
また、勘九郎は「今回も歌舞伎の舞台の後ろが開きます。だから芝居小屋の後ろにいればただで歌舞伎がタダで見れる。また今回は数日間ですが花火を打ち上げる計画もあるので、歌舞伎も花火もタダで(笑)」と報道陣をさらに笑わせていた。
また『いだてん』の撮影裏話も飛び出す。マラソン選手役という事で身体を絞る食生活を強いられていた勘九郎は、「ホテルとジム、撮影が終わったらまたジムとホテルの日々でフラストレーションがたまっていました。一歩も中州に行けなかった。今回の公演中は食べまくろうと思います(笑)」と嬉しそうに話していた。
【オマケ】

「パネルが照明でテカって」との指摘にスタッフを待たず自ら直しに入る勘九郎さんと七之助さんでした!
取材・文・撮影=こむらさき

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