新衣装の生着替えも!?  500人近いフ
ァンが池袋に集結! Vtuber富士葵生
誕祭イベントレポ

バーチャルYouTuber(Vtuber)の富士葵が、6月15日に池袋HUMAXシネマズにてリアルイベント「富士葵生誕祭令和元年」を開催した。これまでYouTubeで配信してきた100本以上の「歌ってみた」動画の振り返りや、数ある動画シリーズのうちの一つである「はじめてシリーズ」を再現したクイズコーナー、さらに音楽ライブと、さまざまな企画が散りばめられたイベントの模様をレポートする。
オープニングから息切れ!? 館内放送まで本人が行う爆笑続きのイベント開始
20時の開演を待ち、会場の席はイベントTシャツや半被、鉢巻をまとった500人近い葵歌劇団(富士葵ファンの呼称)で埋め尽くされた。スクリーンに映し出された「富士葵生誕祭令和元年」のロゴを眺めつつイベント開始を待っていると、やがて館内放送が流れ始める。
「ご来場いただき、誠にありがとうございます。開演に先立ちまして、ご来場のお客様に、お、ね、が、い……申し上げます。噛んだ!」
スタッフかと思いきや、まさかの富士葵本人である。それに気づいてドッと笑いが起こる会場に、「早めだったな結構!」と富士葵も苦笑する。ドッキリ失敗……いや、ある意味成功か? その後は普段の動画通りの天真爛漫な声で案内を終え、「それじゃあまた、後でねー!」と締めくくると、会場からは拍手がわいた。
まもなくイベントが開始される。スクリーンに映されたのは都会の夜景、そしてズラリ並べられたフラスタ(フラワースタンド)。今回のイベントに100近いフラスタが贈られたそうだ。
最初に登場したのは今回のイベントでMCを務めるVtuber仲間の甲賀流忍者!ぽんぽこ、オシャレになりたい!ピーナッツくんの二人だ。「うわああああああああ」「すっげー!!」「広―い!!」と画面内を駆け巡り、早くも会場を笑いで包む。さすが富士葵から直々にMCをオファーされた2人というだけあって、ツカミはばっちりだ。
「よっしゃいくぞー!」ピーナッツくんの先導により会場全体で声を合わせ、いよいよイベントの主役・富士葵を呼び込む。大きく手を振りながら登場する富士葵が、スクリーンの端から端まで動く、動く。「うおおおおおお」「かわいいいいいい」一層盛り上がる会場に、「ふっじ~葵です!」と定番の挨拶をキメる富士葵だったが、「ちょっと……もう息切れした!」と呼吸を荒げた。序盤から笑いの絶えないハイテンションなイベントだ。これから1時間半も、もつのか!?
ビデオレターに電脳少女シロやミライアカリも登場! ときのそらとの発表番組も
最初のコーナーではVtuber仲間たちからのビデオレターが上映された。登場したのは、かしこまり&パンディ、燦鳥ノム、夜桜たま、ばあちゃる、YuNi、ときのそら、田中ヒメ&鈴木ヒナ、月ノ美兎、電脳少女シロ、ミライアカリ、猫宮ひなた、合計11組13名ものVtuberたちだ。
中でも、ときのそらはメッセージで「今度から始まるアレの件、今発表しちゃうのはどうかな? わたしもTwitterで発表してくるね!」と発言。「え、なになに!?」とMC2人も動揺する中、富士葵の口から、ときのそらとのコラボ番組『そらあおと!』が7月よりTOKYO FMにて毎週放送されることが発表された。またラジオと連動し、富士葵&ときのそらのファンコミュニティも開設されるという。このサプライズに会場からも歓声が上がった。(なお、このときTwitterを覗けば、ときのそらもちょうどリアルタイムでTwitterで情報公開していたところだった。有言実行が早すぎる!)
ほか、テレビ朝日『ガリベンガ―V』などで富士葵とコラボした電脳少女シロからは「一緒に色々恐れずに挑戦して行きたいですね!」と温かい言葉が。またミライアカリは「今日のパンツ何色ー!」からの「ダイヤモンドフジ!」とコマネチポーズをキメるパフォーマンスで会場を笑わせた。
『君のミライ』全員合唱も。"富士葵ミュージックヒストリー"
続いては「富士葵ミュージックヒストリー」と題するコーナーがスタート。Youtubeチャンネル開設の2017年12月からの約1年半、富士葵が「歌ってみた動画」として動画配信してきた100曲以上の楽曲の一部を振り返っていく。
最初のころに歌っていた映画『君の名は。』より、『なんでもないや』『スパークル』『前前前世』は、音源を手打ちで作っていたそう。特に『前前前世』は鉄琴など音が多く製作が大変だったと苦労を明かした。MVも映画の舞台のモデルとなった長野県諏訪湖にて撮影されている。現地の方から「山の上は寒いから気を付けてね」と言われ、実際に行くと極寒で、凍えながら撮影を行ったなどのエピソードも語られた。まるで映画『君の名は。』のワンシーンそのものだ。
中島みゆきの『ファイト!』や山下達郎『希望という名の光』などシブい楽曲のチョイスも。こちらは「キミの心の応援団長」という自身が掲げているコンセプトから「歌でみんなを応援しよう」という選曲だったことを明かす。
2018年の4月、富士葵はすっぴん(旧モデル)から卒業を遂げた。この時期歌った合唱曲『旅立ちの日に』が、すっぴんとして歌った最後の曲となる。すっぴんだった当時は「眉毛が太い」と"自分探し(エゴサーチ)"した際よく言われていたことなど振り返った。今の姿について、「お化粧をいろいろ覚えていくと、自分にはこういう表情もあるんだなって、自信にはなった」と語る。
8月、富士葵はお台場で開催された食フェス✕エンターテインメントのイベント『Fight!』の公式応援団長に就任。リアルイベントでの初の登壇が大きな盛り上がりを見せ、イベント後にはファンの間で"『Fight!』ロス"が起こったそう。そんな話題にふれつつ、この生誕祭の場では"ロス"組へ向けて当時のイベントで歌ったオリジナル楽曲『君のミライ』を全員で合唱するサプライズが発生。突然のことながら、富士葵のリードで会場全員が歌詞やテンポも乱れることなく一体となってサビのワンコーラスを歌い切り、葵歌劇団の団結力の強さを感じた。
11月にはユニバーサルミュージックからデビューが決定。メジャー第一弾となるCD『はじまりの音』発売時には、富士葵自身もフードを被ってジャージを着た「お忍び姿」で店舗に出向いたそう。
12月には、『なんでもないや(2018年Cover)』を発表。1年を経て歌を撮り直し、MVもそれまで活動してきた映像をフラッシュバックするように繋ぎ合わせたものとなっていた。「これは本当に感動した」「感動的でしたよね」とぽんぽこ&ピーナッツくんMCの二人も口を揃える。
2019年4月には配信限定カバーアルバム『声~Cover Ch.~』を発売。「カバーアルバムを出してって声が多かった中で、夢が叶った瞬間でした」と富士葵は語る。思い入れのある楽曲について尋ねられると、「『First Love』はバラードだし、カッコイイところや、英語歌詞のところも、難しいところがいっぱいあって思い出深い」と語った。
そして、まさにこの誕生祭当日、『Flamingo』(2018年11月公開)が100万再生を突破したことが発表された。すでにTwitterなどでは「葵ちゃんおめでとう!」という声が上がっていたようだが、富士葵自身はこのリアルイベントにて皆と共に分かち合いたいと思い、Twitterでの発言はガマンしていたことを明かした。
そしてこのイベントの後にも、新作動画が公開されることを発表(『ECHO/CRUSHER-P feat.GUMI』(Cover))した。「動画見るまでが生誕祭だぞー!」とピーナッツくん。「これからもヒストリーつくっていこうねー!」という富士葵の言葉でコーナーは締めくくられた。
演技すごすぎ! 参加型「富士葵"はじめてシリーズ"クイズ」コーナー
続いてのコーナーでは、スペシャルゲストとしてVtuber天神子兎音が登場。「富士葵"はじめてシリーズ"クイズ」と題された全員参加型コーナーが行われた。ぽんぽこ、ピーナッツくん、富士葵、天神子兎音の4人がそれぞれお題に挑戦してみせるも、実際に行っているのは1人だけ。4人のうちの誰が本当に挑戦を行っているか、会場全員がスマホのアプリを使って投票するという内容である。
お題は全部で4つ。
・ヘリウムガスを吸っているのは誰か
・ビリビリペンでビリビリしたのは誰か
・激辛ペヤングを食べたのは誰か
・ぐるぐるバットでぐるぐるしたのは誰か
ビリビリペンで「親指の付け根まできたよ!」と言い良いリアクションを取りつつも、実は演技だった富士葵。さらには激辛ペヤングで「鼻の穴が痛い!」と言いながらもウソだった天神子兎音。どちらも半数近い票を集めながら、実際は演技という結果に会場中がどよめく場面もあった。
しかし最後のぐるぐるバットでは、実際に目が回った富士葵がフラスタから体を突き抜けて飛び出してしまい、会場中が大爆笑。演技では到底できそうにないリアクションで72%もの正解票が集まってしまった。
また、実際にビリビリペンに挑戦したのに「あいたーびっくりしたー!」と嘘くさい悲鳴を上げたぽんぽこ、激辛ペヤングを食べたのに「あっつ、あっつ」とリアクションの薄かったピーナッツくんも、ある意味、演技派と言えるかもしれない。
サブライズ失敗!? キクノジョー登場
イベント前半の締めくくりとして、サプライズゲストに、富士葵をブラザーと呼ぶ相棒的存在、キクノジョーが登場。富士葵へ贈る手紙を読み上げた。
「去年の生誕祭、覚えていますか? たくさんの人が見てくれて、たくさんの友達がビデオメッセージくれましたが、自分の部屋を飾りつけして、自分の部屋から配信していました。それが今どうでしょうか? こんなにたくさんの歌劇団の方々が目の前にいて、今ブラザーの誕生日をお祝いしてくれています。これもブラザーが、皆さんに対する感謝を忘れずに活動の一つ一つに対して、時には涙を流しながらも、真摯に向き合ってきた結果です」
会場のBGMにも穏やかなピアノの音色が流れ、一度会場がしんみりしたところで、サプライズとして葵歌劇団からのバースデーソングが贈られる。こちらは事前にレギュレーションの紙が配布され、葵歌劇団の全員には知らされていた。しかしいざ歌い出すと、まさかの前奏付きの伴奏で歌い出しから総崩れするという罠が……! だがそれさえも爆笑へと変わり、すぐに持ち直してサプライズは大成功を収めた。
「みんなありがとう……大好きだよ! 歌劇団最高だぜ!」
と、感涙しながら叫ぶ富士葵だった。
ここで前半は終了。休憩を挟んで、後半のライブコーナーへと突入する。
生着替えも!? 新衣装もお披露目されたライブコーナー
後半のライブコーナー、一曲目からアッパーチューン『太陽系デスコ』(ナユタン星人)で会場はイベント前半以上の大盛り上がりを見せる。また二曲目の開始前に、新衣装の発表も。しかも一度、富士葵がフラスタの後ろに隠れ、その場で生着替え(!?)というファンサービスもあった。
新衣装にチェンジした富士葵は、なんとスカートではなくパンツ姿。紺のニーハイソックスやストレートなエクステなど、これまでの天真爛漫なイメージからガラッと変わった、大人っぽいセクシーな姿になっていた。
その衣装で歌われた2番目の曲は、『Rising Hope』。パンツ姿の新コスチュームで歌うのに相応しいロックな楽曲である。間奏でも「アイッ! アイッ! アイッ! アイッ!」と歌劇団の掛け声が重なる。まだまだ声を出し足りない。もっともっと、ボルテージは上がっていく。
けれど、残念ながら時は有限である。3曲目、最後となる楽曲はメジャーデビューCDにも収録オリジナル楽曲『ユメ⇒キミ』だ。「キミとともに ここまで来たんだ」という印象的なフレーズを、イベント特別仕様として「みんなととともに ここまで来たんだ」と変えて歌い上げた。
フラスタの背後に消える富士葵。ステージの映像からも灯りが消え、これでイベント終了となる……筈はない。鳴り響く「アンコール! アンコール!」の声。それに応えるように、再びステージの映像に灯りが灯り、富士葵が再登場。着ている服はイベントのオリジナルTシャツに変わり、「アーティストの方が(ライブの)最後にやるみたいにさ、葵もやってみたかったんだよね」と照れたように言い、歌劇団からも「かわいー!」「大好きー!」などの声が上がった。
最後に、今回のMCを務めたぽんぽこ・ピーナッツくんの2人と、スペシャルゲストの天神子兎音が登場。改めて3人と、そして歌劇団の全員にお礼を述べて、今度こそイベントは終了となる。
あれ、アンコール曲はないのか……? と思いきや、「動画見るまでが生誕祭」の言葉を覚えているだろうか。言葉の通り、イベント後には最新「うたってみた動画」となる『ECHO/CRUSHER-P feat.GUMI』(Cover)がYoutubeで公開されたのだ。これがVtuberならではのアンコール披露の仕方ということだろうか。これがスマホで、家で、いつでも見られるなんて、ファンサービスがすごすぎる!
最初から笑いが溢れるアットホームな空間でありながら、涙がこぼれそうになるような瞬間もあり、気づけば会場全体が一つとなっていた今回の「富士葵生誕祭令和元年」。長い長い富士葵という一人のVtuberの歴史を見てきたようで、これがまだ1年半という短い期間の出来事だったことに改めて驚かされる。
「これからもヒストリーつくっていこうねー!」と富士葵本人が叫んだように、まだまだ歴史は続いていく。これは伝説の始まりに過ぎないのだろう。これから富士葵は、どんな歴史を重ねていくことになるのか。それにワクワクしながら、我々はまた、葵歌劇団の一人として、動画の再生ボタンをクリックするのだ。
取材・文:平原 学

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