aiko

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【aiko インタビュー】
“もっと歌いたい”
という想いを込め、
前を向いて作った
“人生のアルバム”

私にできることは、
頑張って前に進んでいくことだけ

常に新しい作品、最新の自分自身の想いを聴いてほしいという気持ちから、これまでカップリング曲が、その後のアルバムに入ることはほとんどありませんでしたが、今回はDisc4がカップリングベストになっていますね。

このカップリングベストの選曲は悩みに悩みました。生まれて初めて“淘汰”という言葉を使ったくらい、こんなに苦しくて、心を切り刻まれている時間は今までなかったです(笑)。やっぱりカップリングって自分の一番自由な場所だったので、全部の曲に思い入れがあって、愛おしくて。でも、全部は入れられないので、14曲に絞るのが本当に難しかったです。

そんな難しい選曲作業の中、aikoさんとして絶対に譲れない曲はどの曲だったのでしょうか?

全部譲れなかったんですけど、「こんぺいとう」と「ココア」は絶対に入れたいと主張しました。「こんぺいとう」は私は昔からつらいことがあると、自分の腕や指を噛む癖があって、最近は噛むというより、爪でグッと押してしまう治らない癖があって、その痕を見る度に“金平糖ができたな”って思うので、絶対“いてほしい”曲でした。「ココア」はリリースして少し経ってから、“これ不倫の曲じゃない?”“aikoは不倫の経験あるの?”という声がファンのみなさんから届いて、もちろんそんな経験ないし、でも“そういうとらえ方もあるんだな”と。“みんながいろいろな解釈で聴いてくれるんだな”“歌が広がっているんだな”ということが、すごく実感できた曲なんです。

改めてシングルを全部聴くと、声の変化も楽しめるし、歌詞の深さが増し、ますます短編小説のような歌詞に“深化”していると思いました。

恋愛の歌を歌っていることは変わりませんが、詞は変わったと自分でも感じています。たぶん今は自分をカブトムシに例えて曲を書くことはないと思います(笑)。あの時は恋愛している自分、女子をカブトムシに自然と例えることができたし、でも今は今の例え方がきっとあって、だから昔の自分にも感謝してるし、“これからもっと頑張るからね”って素直に思えるし、頑張れます。その時その時の自分に“ありがとう”と言いたいですね(笑)。あの時は“なんでカブトムシやねん”っていろいろ言われたけど、テレビで昆虫採集しているシーンの中で流れたりすると“すごいな”って思います(笑)。すごいパワーワードだったんだなって。

aikoさんは自分の曲たちがいつまでも自分の子供のような感覚なのか、それとも自分の手を離れて聴き手のもとに届いたら、もうみんなのものという感覚なのでしょうか?

時と場合によります。自分の子だと思う時もあれば、不良になって手に負えなくなってしまったって思う子もいるし(笑)。でも、作っても作ってもまた作りたいって思うので、子供と言えば子供なんですけど、時間が経てば経つほど実感が沸いてくるというか、作った瞬間はそんなに実感がないというか、みんなが聴いてくれて感想をくれたり、ライヴで歌った時のお客さんの表情を見ることで、“自分の子供(曲)やったんや”って感じることができます。思ったよりみなさんが知ってくれてるというか、“結構過去の曲やから知らんかもな”って思って歌ったのに、泣きながら聴いてくれてる女の子とか見ると“届いてたんだ!”ってすごく思うし、嬉しい瞬間です。私の音楽を手に取ってくれた人がいたから、それをすごく感じることができるというか。だから、20周年も、『aikoの詩。』を出すことも、周りの人が教えてくれるというか。“これまでこれだけやれたんだな”とか。20年やっていても自分としては全然実感がないんです。果たしてきちんとやれているかどうかも分からないし、不安のほうが大きいんですけど、“これだけやってきたんやからしっかりしろ!”って自分には言い聞かせています。みんなが声を届けてくれることで、“これ、aikoが作った曲なんやで!”って教えてくれて、本当に救われています。

『aikoの詩。』を聴いていると、“今まで”よりも“これから”のaikoさんがさらに楽しみになってくるし、早く新曲が聴きたくなります。

これからも頑張ってどんどん曲を書いていきます。この前、FM802開局30周年の『FM802 × TSUTAYA ACCESS!』キャンペーンソングの「メロンソーダ」という曲を作れたことで、曲が広がっていく感覚を身体でちゃんと感じたんですよね。“こんなにTwitterでみんなが呟いてくれてる”とか、すごく嬉しかったです。期間限定ユニット・Radio Darlingsとしていろいろな方(上白石萌歌、谷口 鮪(KANA-BOON)、橋本絵莉子(チャットモンチー済)、はっとり(マカロニえんぴつ)、藤原 聡(Official髭男dism)が参加。KAN、秦 基博もコーラスとして参加)と一緒に歌ったり、トオミヨウさんがアレンジを手掛けてくださったり、ミュージシャンの方もほぼ初めての方だったので、すごく新鮮でした。あと、自分以外の人の声で歌ってくれることで、こんなに曲って聴こえ方が違うんだって、自分も客観的に聴けたりする瞬間があったり、本当に刺激になりました。このタイミングでいろいろなことにチャレンジする機会に恵まれたし、『aikoの詩。』も前を向いて作ることができたし、これからもただただやるしかないです。私にできることは、頑張って前に進んでいくことだけなんです。

取材:田中久勝

■『aikoの詩。』特設ページ(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/b?node=6938589051&tag=okmusic-22
アルバム『aikoの詩。』2019年6月5日発売 PONY CANYON
    • 【初回限定盤(4CD+DVD)】
    • PCCA-15020X
    • ¥4,000(税抜)
    • ※カラートレイ仕様
    •  
    • 【通常盤(4CD)】
    • PCCA-15020
    • ¥3,500(税抜)
aiko プロフィール

アイコ:1975年、大阪生まれのシンガーソングライター。98年にシングル「あした」でメジャーデビュー。3rdシングル「花火」が大ヒットを記録し、全国区で注目の存在に。等身大の目線と心情で描かれた恋愛における微妙な女心が多くのリスナーの共感を呼んでいる。aiko オフィシャルHP

アルバム『aikoの詩。』
芦田愛菜ちゃん篇 60秒CM

OKMusic編集部

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