コレサワ

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【コレサワ インタビュー】
“切ない”っていいなと思った

“コミュ障シンガーソングライター”みゆはんへ提供した楽曲「恋人失格」のセルフカバーを配信リリース。自身の代表曲「たばこ」のアンサーソングとして作られた今作について話を訊いた。

「恋人失格」は、みゆはんのアルバム『闇鍋』に提供した楽曲ですね。

はい。みゆはんから“「たばこ」の相手の気持ちの曲を作ってほしい”と言われたので、それを私なりに考えて作ったんですけど、すごく気に入ってもらえたみたいで嬉しかったです。

いわゆるアンサーソングを作ってほしいということを最初に聞いた時はどう思いました?

“自分で作っていいのかな”って。アンサーソングって自分の楽曲に対して他の人が作るものだと思っていたし、私が答えたら、それが答えになってしまう気がしたんです。“本当の答えは分からないけど、私はこう思う”っていうのがアンサーソングだと思っていたというか。でも、自分では考えていなかったことだったから、いいきっかけになりました。

自分の中で、もう「たばこ」は完結していたと。

かなり前に書いた曲ですから、あの時の感情は忘れてますもん(笑)。作った経緯は覚えていますけど、自分がどういった気持ちで歌詞を書いたのかがだんだん薄れてきていたから。「たばこ」の主人公のその後を作ってみようと考えたことはあったけど、部屋を出て行った相手のことは1ミリも考えてなかったです(笑)。もし、「たばこ」を出して2年後とかにアンサーソングを書いてほしいって言われていたら、この気持ちは書けなかったですね。大人になって、しみじみとこのふたりを見た時に、“「たばこ」の相手のことを悪くは言いたくないな”って思ったから、切ない感じにできたらいいなって。

そんな「恋人失格」はすんなり書けました?

みゆはんと会って話して、帰りにはイメージができていたので、やっぱり良い出会いだったのかな。スルッと出ない時もあるから…すぐ出たっていうのは食べたものが良かったというか(笑)。「たばこ」の相手の気持ちを冷静に考えて書けました。

みゆはんがいたからこそ、この曲ができたということですか?

みゆはんって中性的な女の子で、“僕”っていう言葉がよく似合うなって。でも、言いたいことが全部言えないような感じがあったんです。みゆはんの気持ちを聴いて、そこで感じたことから作った曲だったので、他の人に「たばこ」のアンサーソングとして頼まれていたら、この「恋人失格」ができていたかは分からないですし、これは縁だと思いました。あと、みゆはんもお菓子とかアイスが好きだから、それは歌詞に入れたいなって(笑)。

もともとイメージがあるものに対して曲を作るというのはどうでしたか?

そっちのほうが好きというか、得意なんです。“この歌詞を入れてほしい”とか“こういう雰囲気で”とか、条件を付けられるのが好きなんですよね。今回はどちらかと言うとアバウトだったので、結構心配だったんです。けど、“みゆはんが歌ってしっくりくるもの”って考えました。提供する方のファンにも“「恋人失格」、良い曲だよね”って気に入ってもらいたかったんです。結果、すごいお気に入りの曲になったので、セルフカバーさせてもらいました。

みゆはんバージョンの「恋人失格」はピアノとアコギに弦楽器が入ってやわらかい印象でしたが、コレサワさんがセルフカバーした「恋人失格」はバンドのイメージが強いですね。

自分がこの曲を作った時に頭の中で鳴っていたサウンドはバンドだったんですけど、自由にやってほしかったので、みゆはんサイドにはアコギと歌だけのデモを出したんです。そうしたら、お互いに上手く違う仕上がりになったので、それも良かったですね。私は「たばこ」がアコギとピアノがメインだったから「恋人失格」はバンドっぽくしたくて、エレキギターから始まるようにしました。みゆはんの「恋人失格」はきれいなストリングスが入っているので、どちらも気に入っていただけると嬉しいですね。

レコーディングはいかがでしたか?

レコーディングは男性の方だけだったんですけど、“失恋した時の気持ちでお願いします”ってお願いしました(笑)。初めて一緒にレコ―ディングしたキーボードの渡辺シュンスケさんが、すごくきれいでかわいいピアノを入れてくれたので、またご一緒したいと思いました。他の方もずっと一緒にやってくれているのでやりやすかったです。

今回はコード進行など、「たばこ」とリンクしている部分も注目ポイントですね。

ギターのカポの位置、リズム、コード進行とか細かいところでペアっぽくしています。そこもみんなが見付けてくれたらいいですね。物語としては、「たばこ」の出来事を「恋人失格」で解答するみたいなことをやりたかったんですよ。

「たばこ」の主人公は《キスはみじかめが好き》だけど、「恋人失格」の相手はそれが《足りない》って歌っていたりとか。

キスのところは…私、「たばこ」を書いた時は短いのが好きだったんですよ。でも、今は長いのが好きだから…って、聞きたくないかもしれないですけど(笑)。Twitterとかで“長いほうが好き”っていう声もあったし、実は相手は長いほうが好きだったっていうようにしました。「たばこ」だけだと“出て行ったほうに包容力がなかった”とかいろいろな解釈ができますけど、恋愛ってみんなすれ違いじゃないですか。出て行った相手のことを悪く言いたくなかったから、みんなが“お前の気持ちも分かるよ”って肩を叩いてくれるような歌詞にしたかったんです。

“ここをリンクさせよう”などと考える作業は面白かったのでは?

私はグッとくるものが好きなので、“ここ切ないだろうな~。私も歌ってて切ないもん!”って思ったところはあります。みんなが想像できるような隙間があればいいかなって。だから、詰め込みすぎないように書きました。

《痩せたいと言いながらいつも おかしを食べて笑ってた》とかはコレサワさんらしいなと(笑)。

私、ずっとやってますからね(笑)。“痩せたーい!”って言いながら、我慢ができなくて食べちゃうんです。だから、恋人には“食べるなよ”じゃなくて“そういうところも好きだよ”って言ってほしいっていう私の願望も入ってます。

最終的には“本当に好きだった”という気持ちがあふれていて、「たばこ」の主人公の気持ちが救われていますね。

好きだけど別れちゃうことってあるじゃないですか。それを伝えたかったんです。好きだったら無理に別れなくてもいいって、大人になったから分かるんですけど。でも、若い時ってちょっとすれ違っただけで“駄目なんだ…”って思っちゃうし、きっとそういうふたりだったんだろうなって。

確かに、全部が嫌いになることってないと思います。“本当に嫌いになるのが怖い”とか?

そうですよね。10代とか20代前半って、そういう恋愛を経験することも多いと思うんです。

でも、女性と男性では受け取り方が違かったりするかもしれないですね。

どうなんですかね? まだ、男性の感想はあまり聞けていないんですよ。私的にはカラオケで男の子に歌ってほしくて。別れた彼女のことを考えて、男友達の前で泣きながら(笑)。それも考えながら作っていたところもあります。

ちなみに、これから書いていきたい恋愛像は何かありますか?

この曲の時は失恋を書きたかったんですけど、“切ない”っていいなと思いました。切ない気持ちって、誰かにもらうものじゃないですか。ひとりでは切ない気持ちになれない…相手がいてこそ生まれる気持ちだから、音楽で気持ちや感情を届けるって面白いんじゃないかと思いました。

きっと、「恋人失格」はこれからも歌い続けていく曲になるのでしょうね。

「たばこ」と一緒に愛してもらえたらいいですね。「たばこ」を知らない人も、この「恋人失格」をきっかけに聴いてくれたらいいなと思いました。

そして、10月からはメジャーデビュー2周年を記念した『コレサワ 2nd Anniversary 君におんがえしツアー』を東阪の2カ所で開催されるわけですが。

“ありがとう”の“恩返し”と、“音で返す”という意味での“君におんがえしツアー”なんですけど、まだまだ若い数字だけども、2周年…2歳っていうのはすごくありがたいことですよね。“これからももっともっと歳を重ねたいから、これからもよろしく”という意味を込めた挨拶になると思います。

恵比寿ザ・ガーデンホールは、コレサワさんのワンマンでは最大キャパシティですね。

ワンマンの中で一番大きいし、立ったこともまだ観に行ったこともない会場なので楽しみですね。

取材:高良美咲

配信シングル「恋人失格」2019年6月26日配信リリース 日本クラウン

ライヴ情報

『ふっかちゃんバースデイぱーちぃFUKAYA2019』
6/29(土) 埼玉・深谷ビッグタートル(深谷市総合体育館)
※入場無料

『いのうえ夏祭り2019』
7/26(金) 愛知・NAGOYA ReNY limited
出演:井上苑子、コレサワ

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』
8/04(日) 茨城・国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

『コレサワ 2nd Anniversary 君におんがえしツアー』
10/27(日) 大阪・心斎橋BIGCAT
11/10(日) 東京・恵比寿ザ・ガーデンホール

コレサワ
配信シングル「恋人失格」
コレサワ プロフィール

コレサワ:大阪府出身のシンガーソングライター。中毒性のある声、POPなメロディー、日常の風景を独自の視点で切り取った歌詞が話題に。メディアには顔出しはせず、“れ子ちゃん”と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当する。コレサワ オフィシャルHP

「恋人失格」MV

OKMusic編集部

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