上野耕平、読売日本交響楽団との初共
演を語る<上野祭り(3)>

ソロやカルテットでの活動、吹奏楽やオーケストラとの共演、大学講師、メディアへの出演など息つく間もなく国内外を飛び回り、すでに日本を代表するサクソフォニストとしての地位を確立しながらも、いまなお爆進し続ける上野耕平。その破竹の勢いは2019年夏も続く。
Bunkamuraオーチャードホールで開催される「『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術』開催記念 読売日本交響楽団プレミアム・コンサート」(7月1日)での読売日本交響楽団との共演を皮切りに、上野自身が主宰する吹奏楽団、ぱんだウインドオーケストラによる東京オペラシティホールでの公演「ぱんだウインドオーケストラ✕山田和樹 無限の音楽世界を体感せよ!!」(8月27日)、サクソフォンカルテット「The Rev Saxophone Quartet 」の公演(8月30日)、さらに、先日発表された「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019」(スタクラフェス/9月28日・29日)への出演、等々、各種コンサートへの参加予定も目白押しだ。「夏祭り」ならぬ「上野祭り」ともいえる様相を呈するこの夏を迎えるにあたり、今回は<上野祭り(3)>として、「読売日本交響楽団プレミアム・コンサート」」について上野から語ってもらった。
ーー7月1日(月)に開催されます「『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術』開催記念 読売日本交響楽団プレミアム・コンサート」についてもお話を聞かせてください。読売日本交響楽団とは初共演とのことですが、どのようなお気持ちですか。
すごく嬉しいですね。先日も聴きに行って、名手が揃っていて本当に素晴らしい音楽を作るオーケストラだと思いました。だから一緒に演奏できることが今から楽しみで仕方ありません。
ーー読響と共演するドビュッシーの「アルトサクソフォンと管弦楽のための狂詩曲」はどんな曲ですか。
サクソフォンの瑞々しく透き通った響きがものすごく合う曲で、それを求められている曲でもあると思います。フランス的である一方、中間部の6/8拍子でアップテンポになる部分には、ちょっとスペインを感じさせるような異国情緒もありますね。そんなに長い曲ではないですが聴きどころがたくさんある、色彩感の豊かに溢れる名曲です。
ーーオーケストラ曲でのサクソフォンの役割をどのように認識されていますか。
基本的にはソロ扱いですね。他の楽器と音を重ねていくという曲はほとんどありません。だから、そこには憧れますね。そういう意味では、ビゼーの「アルルの女」は、ソロももちろんありつつオーケストレーションの中でサックスが使われている珍しい例なので大好きです。
とはいえ、オーケストラの中で吹くのは全ての仕事の中で一番緊張しますね。何回やっても、もうドキドキです(笑)。ソロのリサイタルとはまた全然違う緊張感がありますね。
今回の「アルトサクソフォンと管弦楽のための狂詩曲」で特に気を遣うポイントは、コンチェルト(協奏曲)ではなくラプソディ(狂詩曲)というタイトルにもなっている通り、ソリストでありながら普通のコンチェルトのソリストの立ち位置とは違って、オーケストラの音色に寄せて奏でいかないといけないこと。つまり、オーケストラとサクソフォンをどう混ぜていくかというのがこの曲には求められていると思います。
サクソフォンはよく、曲の中で異国情緒を表現したい時に使われることが多いような気もします。或いは、時の流れを大昔に巻き戻したりといったように、がらっと時空間を変えたい時にも使われたりします。それだけサックスは、とても強い表情を出せる独特の空気を持った楽器であるということなのでしょうね。
ーー最後に、これまでお聞かせいただきました演奏会について、読者の皆様へメッセージをお願いします。
吹奏楽、カルテット、オーケストラと3回のシリーズで、この夏に僕が出演する3つのコンサートの話をしましたが、それぞれサクソフォンの役割が違うので、ぜひ全てに来ていただいて、聴き比べてをしていただきたいですね。サクソフォンはすごく多様性に富んだ音色を秘めている楽器です。この夏のコンサートを通じて色々なサクソフォンの表情を見ていただけると思います。
取材・文=田尻有賀里
写真撮影=荒川 潤

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