NEIGHBORS COMPLAIN が「アイコンタ
クト」で奏でる『Pitch441』に迫る

NEIGHBORS COMPLAIN『Pitch441』神戸・THE CHICKEN GEORGE 2019.5.16(THU)​
5月16日(木)神戸チキンジョージにて、NEIGHBORS COMPLAINによるコンセプトライブ『Pitch441』が開催された。今回はそのライブの模様をお届けする。
筆者は「Pitch441」というコンセプトライブを制作した側の人間である。今回はNEIGHBORS COMPLAINの生み出すこの上質な音楽と空間を、来場者はもちろん、今回参加できなかった方々にも知っていただきたく、自身がライブレポートを書くことを選んだ。
今年2月に全国6会場で開催されたNEIGHBORS COMPLAIN TOUR 2019『BRIDGE』。その初日である大阪公演(2月15日)の本番中にアナウンスされた『Pitch441』というコンセプトライブ。当時メンバーの口から語られたのは「Natural Play」であるというキーワード。多くのファンはそれぞれの「Natural Play」のイメージを頭に、神戸の老舗ライブハウスチキンジョージへ足を運んだ。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
週末前の平日19:30スタートという、少し大人の夜遊びを連想させるライブは当日券も含めSOLD OUT。当日の午後は5月らしい好天に恵まれ、六甲の山々から海へ向かう神戸の風に少し肌寒さを感じるが、上質な音楽を浴びるには最高すぎるコンディションが整った。往年のJazzの名曲が流れる会場に入るとまず、グランドピアノの立体感が今夜の音楽会の期待を煽る。そして、グランドピアノから横一列にギター、カホン、ベースが並び、いつものNEIGHBORS COMPLAINのライブではない様子を感じることができる。ステージにはその他にも、部屋のリビングを連想させるような照明やキャンドルが飾られ、その灯りの揺らぎに自然と心も弾む。
開演定刻になると、心地よい緊張感の中、OTO(Vo/key)、GOTTI(Gt/cho)、KASH(Ba/cho)、TAKA(Dr/cho)の4人がステージに登場。それぞれの立ち位置につき、各々の楽器を軽くチェックしながら目配せを交わす。そして静寂の中、OTOが1音ずつ鳴らすピアノの音階に合わせ、メンバーが自身のコーラスの音階で喉を鳴らし、フィンガースナップと共にライブがスタート。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
今夜の1曲目Ed Sheeran「Thinkin’ Out Loud」をメンバー4人によるアカペラで披露。音数が少ないが故の緊張感は客席にも染み渡り、そこに集まった全員で同じ橋を渡るような錯覚を覚える。英語詩を歌いきった瞬間、客席からの大きな拍手が起こり、次の瞬間には今夜の2曲目「Weekend」がスタート。軽快でPOPなイントロだが、一気に緊張から解放された客席は、いつもの何倍もの多幸感に包まれたように感じることができる。「恋人と過ごす時間」を軽快なリズムで表現する「Weekend」でクラップとともに身体を揺らしたかと思うと、独特なピアノのメロディが美しい「モノクロノユメ」へと繋がる。グランドピアノという楽器の音色の美しさを感じると共に、GOTTI、TAKA、KASHのコーラスワークも今夜の見どころであることにも気がつく。そして今夜最初のMCにて、改めて「Pitch441」の見どころがOTOから語られ、「今夜は生の楽器の音色や、繊細な息遣いまでも感じてほしい。」ということと共に、「アイコンタクトにも注目してほしい」という言葉が印象的だった。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
MCを終えると1st Albumから「Kiss ‘N’ You」を披露。妖艶な女性との甘い愛を描いた曲は後半になるに連れてジャズ調へと変化を遂げていく。ピアノ・ボーカルとカホンの掛け合いからベース・ギターとの掛け合いへと繋がり、まるでニューヨークのジャズクラブに来ているかのような感覚になり、客席からも自然にクラップが湧く。演奏とクラップがお互いを引っ張り合う中、自然と曲の速度も上がる様子は、この曲に登場する男女の愛が複雑に折り重なっていく様子にシンクロするようだ。客席からは大きな拍手と歓声が上がったかと思うと次の瞬間には「Moonlight」のイントロがスタート。静寂の中に大きく浮かぶ満月、月の明かりがカーテンの隙間から差し込む部屋。曲中、GOTTIの奏でる絶妙な余白のあるギターソロは、悲しみや寂しさという孤独に近い感情ではなく、月という存在の持つ唯一無二のエネルギーを感じることができた。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
途切れることなく、続けて「Sexy」を披露。KASHの吐息とも感じる耳元で囁くようなコーラスにより、会場はまた一気に甘いムードが漂う。ここでも曲調は後半になるにつれて大きく変化を遂げ、クラシカルなピアノの早弾きを中心に、それぞれの楽器が次々と速度を上げていく。メンバー4人のプレーヤーとしてのスキルを存分に披露しながら、曲の速度と共にステージも高揚感を帯びていく中、鋭い切れ味でカットアウト。客席からはさらに大きな拍手と歓声が上がった。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
そして空間的な音の響きが美しい「Escape」を披露。もがきながらも光の先へ手を伸ばすような歌詞の世界観が、それぞれの楽器の繊細な響きで空間的なアンサンブルを描く。続いては空気を一変し、キャッチーな「Gotcha Feelin’ 」へと繋ぎ、NEIGHBORS COMPLAINらしさと安心感で再び客席をリラックスさせた。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
ここでMCを挟むのだが、唐突にOTOからTAKA、KASHに「老祥記が食べたいから買ってきてくれ」と告げられる。老祥記とは、神戸元町の南京町で販売されている豚まんのことで、地元の人なら誰もが知る連日行列が絶えない大人気の商品である。小芝居に客席からは苦笑いが起きたり、愛のあるヤジが飛び交いつつも、TAKAとKASHはステージから送り出される。そして、ステージに残ったOTOとGOTTIの二人によって「Night Drivin’ 」を演奏することが告げられると、ここでOTOから「Night Drivin’ 」が、夜の阪神高速5号湾岸線をドライブしながらインスピレーションを受けたという制作秘話が語られた。そんな神戸ゆかりの曲を、ピアノとギターというシンプルな編成ながらも特別なアレンジで披露。夜の高速道路の疾走感をイメージした美しいメロディのサビを歌い終えると曲は転調し、彼らの人気曲である「Makes You Move」へと自然に移り変わる。曲が移り変わったかと思うと、次第にピアノとギターの激しい掛け合いに曲は変化を遂げていく。見た目は2つの楽器のシンプルな掛け合いではあるが、それぞれが深く絡み合い、それにつられて二人の身体の動きも大きくなっていく。演奏も客席の温度も最高潮に達したところで曲は締められ、激しさの余韻に包まれた会場には大きな拍手が起こった。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
「老祥記を買いに行った二人が帰ってこないから見てきて欲しい。」と、またも小芝居でGOTTIをステージから送り出すと、OTOがDonny Hathawayの「A Song for you」を弾き語りで演奏することを伝える。これまで様々な一流のミュージシャンがカヴァーしてきたエピソードなどを交え、OTOなりの「A Song For You」へのリスペクトを語り終えると、会場は今夜一番の静寂と緊張感に包まれる。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
特徴的な流れるような旋律のイントロとともに、OTOの身体からは奥深い低音やハスキーな高音まで様々な音が鳴り響く。一切霞むことなく通るその声は、スピーカーを通してチキンジョージの箱を鳴らした。大きな拍手に包まれる中、OTOが客席に向かって一礼すると、元町まで買い物に出掛けていたメンバー3人が無事にステージに帰還した。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
残念ながら今夜は老祥記を買えなかったようだが、ステージ上には改めて4人が揃い、アーバンなシティ感を持つ「LST/D」を披露。一気に活気を取り戻した客席の温度は徐々に温められ、流れるような展開で「Sha La La Disco」へと繋がっていく。まだまだこの瞬間を終わらせたくないという歌詞に客席の想いはシンクロし、今夜初めてのシンガロングが起きる。ステージと客席がエキサイティングに一体化したかと思うと、ラテン調にアレンジされたギターのイントロによりラスト曲の「Aurora」へと繋がる。我慢できない客席の様子を見たOTOが「立って踊りたい?」と声を掛けるとすぐさま全員がスタンドアップ。ここまで90分、ずっと興奮を我慢してきたかのように、一気に解き放たれた客席の想いがラテンのリズムとメロディに昇華され、その熱量はステージ上のメンバーへ戻される。すると今度はTAKAとKASHのリズム隊によるカホンとベースの掛け合いが始まる。お互いがお互いを高速なリズムで煽り、会場はさらに興奮を増していく。とんでもない速度になったところで曲に戻ったかと思うと、上がりきったテンションのまま、今夜の最高潮を全員で迎え本編は終了した。
メンバーがステージから降りても、当然のごとく拍手は鳴り止まず、アンコールでは感謝を言葉で伝え、滑らかに「Baby Girl」を演奏し今夜の音楽会を締めくくった。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
今回の「Pitch441」は、文中でも触れたが「アイコンタクト」というキーワードがとても重要な役割を果たしていると筆者は考えている。ライブというのは人が奏で、重なり合ったところに生まれる得体の知れないものを人が体験することに価値があると考えている。音色や音圧はシンプルであろうが、「アイコンタクト」によって生まれるバンドの呼吸はこの空間でしか体験できない特別なものであり、それはバンドと客席のアイコンタクトにおいても同様である。「Pitch441」の開催にあたり、NEIGHBORS COMPLAINのメンバーは奏法やアレンジに試行錯誤を重ね、事前のリハーサルから相当な苦労を積み上げている。そうして生み出されたものは「アコースティック」という言葉でまとめられるようなものではない音楽表現となった。「Pitch441」全国14公演を通して、シンプルだからこその難しさがNEIGHBORS COMPLAINに大いに吸収されたと思う。そして、次はバンド編成のライブにそのエッセンスが活かされる。この記事が読まれる頃には、まさにバンド編成の次回全国ツアーが発表されているはずである。真価と成長の問われるツアーへ向けて、NEIGHBORS COMPLAINがさらに「時代とアイコンタクト」していってくれることを願う。
NEIGHBORS COMPLAIN 撮影=森好弘
取材・文=北岡良太 撮影=森好弘

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