舞台『北齋漫畫(ほくさいまんが)』
開幕~関ジャニ∞横山裕が「日々精進
」と意気込み

2019年6月9日(日)、東京グローブ座にて、関ジャニ∞の横山裕が主演する舞台『北齋漫畫(ほくさいまんが)』が初日を迎えた。
本作は、昭和から平成にかけての演劇界を牽引し、現在まで上演され続ける名作の数々を世に送り出した劇作家、矢代静一が1973年に発表した戯曲。葛飾北斎の画集を冠し、北斎と同時代に生きた曲亭馬琴や自身の娘である葛飾応為、養父であった御用鏡磨師の中島伊勢、そして謎の魔性の女との交流を軸に、この世のすべてを描くことに生涯をかけた北斎の物語を浮かび上がらせた作品だ。
初演は緒形拳が主演を務め、高い評価を受けたが、今回、主演を務めるのは横山裕。関ジャニ∞のメンバーとしての活動の一方で『ブルームーン』『上を下へのジレッタ』などコンスタントに舞台でも活躍し続けている。最近では後輩グループの舞台やコンサートの演出も手掛ける横山が、演出の宮田慶子と共に、主人公・鉄蔵(葛飾北斎)役に挑む。
初日前の心境について、横山は「改めて『北齋漫畫』という名作に出演できる喜びと感謝でいっぱいです。葛飾北斎という歴史に残る偉大な人物を演じるにあたって、稽古では大変な想いをし、壁にもぶち当たりましたが、なんとか無事に初日を迎えることが出来ました」と語り、観客に向けて「横山が演じる北斎の魅力を感じていただけるよう、日々精進します」と並々ならぬ意気込みを見せた。
さらに、鉄蔵を惑わす魔性の女・お直役を演じる佐藤江梨子は、結婚・出産を経て初めての舞台となるが「横山さんを筆頭に皆さん引き込まれるお芝居をされるので、稽古場では見入ってしまいました」と振り返り、鉄蔵の養父・中島伊勢役の渡辺いっけいは「余計な事を考えずに集中できるチームで、役者として幸せ。横山くんの人間性や彼の持っているポテンシャルに僕たちも引っ張られ、お互い助け合いながらやっています」とコメントしている。
初日直前に公開されたゲネプロ(通し稽古)の模様をレポートしよう。
若き日、鉄蔵と呼ばれていた北斎が、長じて恐るべき画才に見せるようなほとばしる生命力をその身にあふれさせ、無理無茶は承知の上と、破天荒な生き方を存分に見せる。その結果、周囲に迷惑をかけまくるが、何故か捨てておけない魅力と才能を、横山が全身で演じ切っていた。そんな鉄蔵が振り回される謎の女・お直の佐藤は、鉄蔵だけでなく中島でさえも掌でコロコロと転がす魅力を存分に放っていた。
「金持ちになるとケチになる」と台詞にあったが、鉄蔵はその真逆。一度才能を持ち上げられては湯水のように金をばら撒き、また身をもち崩す。その度に娘のお栄や佐吉がやれやれと手を差し伸べて、また浮き沈みをくり返す鉄蔵。
鉄蔵が「動」だとしたら、木村了演じる佐吉は「静」の存在だ。木村は「静」でありながら、時折垣間見せる物書きとしての溢れんばかりの情熱を丁寧に見せる。
注目は娘・お栄役の堺小春だ。破天荒な父親に振り回され、それでも見捨てられない娘心にどうしても目がすいよせられる。またお栄にもどこか北斎のDNAを感じさせられる場面が多々あり、堺は実にイキイキとお栄を演じていた。
舞台の背景には北斎の絵を様々な手法で映し出していた。なかでも「富嶽三十六景」の迫力はさながら北斎の人生とオーバーラップしてるようでもあった。どこまでもスケールのデカイ北斎の半生を楽しんでいただきたい。
取材・文・撮影=こむらさき
<あらすじ>
鉄蔵(横山裕)は江戸下町の貧しい家に生まれたが、御用鏡磨師・中島伊勢(渡辺いっけい)の養子となり、持ち前の絵の上手さから絵師の弟子となるが、幾人もの師から破門されてばかりいた。
そんな鉄蔵は、娘のお栄(堺小春)と共に、友である佐七(木村了)の家に転がり込み、絵を描き続けていた。
居候先の佐七は、ひそかに読本作家を志していたが、佐七の妻のお百(枝元萌)は、黄表紙本を読む佐七を快く思っておらず、その上、絵を描くことしかしない鉄蔵とお栄を不満に思っていた。
ある日、鉄蔵はお直(佐藤江梨子)という女に出会う。
お直の不思議な魅力に惚れ込み絵を描く鉄蔵は、お金をせびる目的で、義父である伊勢にお直を紹介する。伊勢もたちまちお直の魅力にのめり込むが、魔性な心を掴めず、やきもきしていた。そんな中、鉄蔵と伊勢はお直に呼び出された場所で、下駄屋の丁稚である伍助(吉田健悟)といるお直を目撃し……。

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