【インタビュー】SiXX、DAISHI(Psyc
ho le Cému)の別プロジェクトが7年
間の集大成「ここが出発点」

“サックスガレージロック”を鳴らすべく、Psycho le CémuのDAISHIが中心となって結成されたバンドがSiXXだ。結成は2012年、ライブハウスをメインに活動してきた5ピースによる1stフルアルバム『ROLLIN’LIFE』が6月6日にリリースされる。メンバーと繋がりのあるJUON (FUZZY CONTROL)、ミヤ(MUCC)、PABLO (Pay money To my Pain / POLPO)、加藤ひさし(THE COLLECTORS)などプロデュース陣の豪華な顔ぶれも話題を呼んでいるが、注目はすべきはシンプルでグルーヴィーでヤンチャで理屈抜きにカッコいいSiXXの音楽性にある。時代が令和になろうと色褪せないロックンロールの魅力が詰め込まれているのだ。
サポートドラマーの匠郎を除く、DAISHI、DAISUKE、レイジ、雄飛の4人によるインタビューでは結成の経緯から、品川ヒロシが監督を務め、Calmera Hornsや芸人など多数がゲスト出演した「ROLLIN' LIFE」のミュージックビデオの裏話、プロデューサー陣とのエピソードなどをたっぷり語ってもらった。豪華アーティストや著名芸人が協力したくなるのも納得、彼らの音楽性と人間性の豊かさが滲み出た8000字のロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■シングル1枚すらリリースしてないけど
■僕らの中では勝手にベストアルバムです

──じっとして聴いているのが難しいほど、グルーヴ感たっぷりのロックンロールを鳴らしているSiXXですが、そもそもの結成のいきさつは?

DAISHI:もともと僕がPsycho le Cémuとは別に、ロックンロールをやりたいと思って、ギターのDAISUKEさんとTHE ROMEOというバンドを組んだのが始まりなんですよ。当時からサックスのレイジくんもゲスト参加してくれていたんですけど、もっとサックスに特化したバンドにしたいと思って新たに組んだのがSiXXです。

──サックスガレージロックをやるバンドを結成したいと。

DAISHI:はい。ベースの雄飛くんは当時のドラマーの紹介で入って。

雄飛:そうですね。僕はSiXXから加入しました。

DAISHI:「とんでもない男前がいるぞ」と聞いて(笑)。

雄飛:いやいやいや(笑)。

DAISHI:TOKIOの長瀬さんみたいな(笑)。

──確かに。結成は2012年ですか?

DAISUKE:初ライブが2012年ですね。

──ということは結成10周年も間近じゃないですか?

DAISHI:イヤですねー(笑)。自分たちの中で音が固まるまでが長くて、音源もライブ会場で手売りしていたので、インタビューも今回初めてならアルバム出すのも初めてなんですよ。何回もプリプロを重ねてようやくです。

DAISUKE:ここが出発点ですね。
▲DAISHI (Vo)

──アルバム『ROLLIN’LIFE』を聴く限り、みなさんが好きな音楽は共通しているのかなと思ったのですが。

DAISHI:それが、けっこうバラバラなんですよ。サックスのレイジくんは音大出てますし。

レイジ:僕はジャズをやってて、あまりロックを通ってこなかったんですよ。こういうスタイルのバンドはTHE ROMEOが初めて。

DAISHI:当時のドラムの岡本くんが「シド・ヴィシャスみたいなサックスがいるんですよ」と言ってて(笑)。実際に会ったらファッションもパンクだし。

レイジ:ピストルズはまんま影響受けてます。

DAISHI:で、DAISUKEさんはロックンロールなギタリスト。

DAISUKE:そうですね。僕は前からSiXXに近い音楽をやってました。

──出身が福岡ということは、サンハウスとかシーナ&ザ・ロケッツ、ザ・モッズ、ザ・ルースターズなどビートのキレ味が命みたいなバンドを輩出してきた土地柄、ということもありますか。

DAISUKE:確かにそういう先輩方がいっぱいいらっしゃって。

DAISHI:まさにDAISUKEさんはそういうギタリストですね。当時はテレキャス弾いててね。

DAISUKE:ジャキッとした音で。

雄飛:僕は世代がちょっと下っていうのもあって、J-POPを含む1990年代後半の音楽と2000年代のエモやスクリーモが好きなんです。

DAISHI:僕はパンクとかロックンロールが「悪そうでカッコいいな」と思ったのが遅くて、20代後半だったんですよ。

DAISUKE:だから、僕らが出会ったタイミングがちょうど良かったんです。

DAISHI:当時、Psycho le CémuがTVの音楽番組に出たときに浅井健一さんと一緒になって。曲と歌詞に「この人、なんなんだ?」ってビックリしたんです。遡って、BLANKEY JET CITYからCDを買い漁って、聴いたら初めてヴィジュアル系を聴いた少年時代に通じるときめきというか衝撃が走ったんですよ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTも聴いて、さらに遡ってストレイ・キャッツとか洋楽にもハマり、ジェットとかフランツ・フェルディナンドも好きになって、ストレイ・キャッツの流れからブライアン・セッツァー・オーケストラ聴いたら「管楽器、カッコいい!」って(笑)。
アルバム『ROLLIN’LIFE』

──ビッグバンドですね。確かに日本でいうとブランキーやミッシェルに代表されるロックから影響を受けたであろうエッセンスがSiXXには感じられます。こういう匂いのするロックンロールをやっているバンドって、今、意外と少ないですよね。それと風通しがいい曲が多くて聴いていると気持ちが楽になります。

DAISHI:ありがとうございます。

──JUONさん (FUZZY CONTROL)、ミヤさん(MUCC)、PABLO さん(Pay money To my Pain / POLPO)、加藤ひさしさん(THE COLLECTORS)とプロデューサー陣も豪華ですが、アルバムの制作にはいつから取りかかっていたんですか?

DAISHI:目眩するぐらい長いですよ。5年近く?

雄飛:僕が加入したときにはもうプリプロやってましたね。

──ということは、5年以上でしょうね。新曲をライブで披露して「これ入れようか?」っていう作り方ですか?

DAISHI:そういうケースもありますけど、焦らずじっくり。数ヶ月以内に100曲書くっていう期限を設けた時期もあって、集まった曲を歌詞も含めてふるいにかけたんですよ。だから、シングル1枚すらリリースしてないけど、僕らの中では勝手にベストアルバムです(笑)。

──7年間の集大成といってもいいぐらいの?

DAISHI:そう。全てが勝ち抜いた曲なので、胸を張って出し切った。清々しい気持ちですね。

──豪華プロデューサー陣を迎えた理由というのは?

DAISHI:SiXXの音楽がより広がってほしいという想いがありつつ、リスペクトしている方にプロデュースしていただきたい気持ちが強かったですね。僕らが天才だと思っている方ばかりです。
■Psycho le Cémuにはコンセプトや設定がある
■SiXXは日常的でリアルが歌える面白さ

──このへんで曲をピックアップして聞いていきたいんですが、アルバムのタイトル曲でもある1曲目「ROLLIN' LIFE」にはCalmera Hornsがゲストミュージシャンとして参加していますよね。

DAISUKE:彼らとはバンド自体が繋がりがあって。

DAISHI:Calmera Hornsさんの音楽が大好きなんです。

雄飛:DAISHIさん、ファンですもんね。

DAISHI:そうなんですよ。関西を拠点に活動してるジャズバンドで。

DAISUKE:ホーン主体のインストバンドで、何度かSiXXとも共演しているんです。

DAISHI:ライブのコール&レスポンスも“飲んで飲んで”を“吹いて吹いて”って煽って盛り上げたり、エンターテインメントで面白いし、好きな音楽もけっこう共通してるんですよね。

雄飛:そんな流れもあってミュージックビデオにも出演していただいたんです。
▲DAISUKE (G)

──管楽器が派手でグルーヴィなロックンロールですが、作った当時のエピソードは?

DAISUKE:ガツンと勢いがある曲を作りたくて、イントロのリフが生まれたらスルスルッとできました。“ポップな曲を作ろう”とか“売れる曲を作らなきゃ”という意識はなかったんですよね。

DAISHI:悩まず作った曲ですよね。

DAISUKE:サックスをフィーチャーしたかったから、リフでしっかり前に出るアレンジで、全員が主張できる構成にしました。

DAISHI:ちゃんと転がってますよね。

──ロールしてます。グルーヴがホントに気持ちいい。

DAISUKE:これがSiXX流ロックンロールだと思っています。

DAISHI:メロディだけ取り上げたらもっと良い曲はあるんですけど、これほど名刺代わりになる曲はないと思って、リード曲にしました。

──初期からずっとライブで演奏し続けている曲ですか?

DAISHI:やらなかったことないんじゃない?

レイジ:ゼロだと思います。

雄飛:ライブで育っていった曲ですね。

──それと歌詞ですが、この曲に限らず、少年の頃のピュアな気持ちを忘れたくないという想いが核になっているのかなと感じました。

DAISHI:全体を通してそれはあると思います。大人になって気づくことですけど、心の中は子供のままじゃないですか(笑)。

──そうなんですよね。同意します。

DAISHI:大人同士で話すときは大人ぶりますけど、SiXXでは素のままでいたいなって。

──DAISHIさんはPsycho le Cémuでも歌詞を書きますが、基本的な書き方が違うんでしょうか?

DAISHI:Psycho le Cémuはそのときどきのコンセプトや設定がありますから、“ATM”とか“携帯”という言葉は使えないですよね。衣装で剣持ってたりしますから(笑)。SiXXでは日常的でリアリティのあることが歌えるっていう面白さがあります。
──PABLOさんプロデュースの「LIAR GAME」は?

DAISHI:最初デモが上がってきたときは「これ表現できるのか?」って思ったよね。

DAISUKE:確かに。PABLOさんはミヤさんに紹介してもらったんですよ。

DAISHI:「PABLOくんに頼んだら、面白いんじゃない?」って。僕も雄飛くんもPay money To my Painが大好きなので、SiXXの中でも激しい曲をお願いしたんですけど。

──だから、いちばんラウド寄りのアプローチなんですね。

DAISUKE:そうですね。予想通りというか。SiXXでは絶対やらないアレンジなので、頼んで良かったなと思いましたね。

DAISHI:音自体はロックンロールなんだけど、手数はラウドというか。しかもギターとサックスがバトルしてるのがカッコいい。

DAISUKE:僕はギターもアンプもヴィンテージなんですけど、こういうラウドな曲をヴィンテージの楽器と機材で表現したらどうなるかなってチャレンジした曲ですね。こういう曲にサックスが入るのもあまりないと思うし。

雄飛:PABLOさんは通常、ギターをかなり重ねる人なんですけど、この曲ではサックスを重ねてる。ギターソロも尖ってますよね。

DAISUKE:ソロはスタジオで「もっとメチャクチャに」って言われながら弾きました。最終的には全くフレットを見ないでガーッと弾き倒したという。

──衝動重視ですね。

DAISUKE:どうしても起承転結をつけようとしてしまうんですけど、「もっとハチャメチャでいい」っていう。PABLOくんとは使っている機材が近いので、そんな話で盛り上がりつつ、いい音で録れたので「やったね!」って。

DAISHI:楽器陣がいろいろ言われてたので、歌録りはビビってたんですけど、優しかったですね。怖い人かと思ってたけどフランクな人で。

雄飛:JUONさんとはまた違うファンキーさがありましたね。
■SiXXみたいな音楽を聴いたほうが
■モテると俺は思います

──では、プロデューサー陣の中で一番のベテラン、THE COLLECTORSの加藤ひさしさんが手がけた「YEAH YEAH YEAH」は?

DAISUKE:加藤さんとは僕が面識があって、お願いしたら快く引き受けてくださったんです。「ロックンロールバンドだけど、誰もが口ずさめるポップな曲に仕上げるつもりでやる」って言ってくださって。

DAISHI:DAISUKEさん自身、「加藤さんにお願いしたい」って言っていた曲なんですよ。アルバムの中でいちばんポップな曲をさらにポップに仕上げてくれましたね。

DAISUKE:いちばん原曲と変わってないかもしれないですね。歌詞は変わったんだよね。

DAISHI:そうですね。歌詞を大事にされている方だというのはTHE COLLECTORSのライブを見ても感じていたので、直していただいた箇所は「勉強になりました!」って。ホントに良くなった。

雄飛:しかも内容を変えるんじゃなくて、語尾だけだったり。

DAISHI:それだけで雰囲気が変わりますからね。加藤さんもボーカリストなので歌録りはビビりまくりでしたけど。

──大先輩ですもんね。

DAISHI:ええ。でも、想像と全く違って「いいよいいよ!」って言ってくれて、むちゃくちゃ歌がうまくなった気持ちで歌えました。それと加藤さんはミックスダウンのリクエストがあったんですよね。

DAISUKE:そう。THE COLLECTORSが使っているロンドンのスタジオのイギリス人エンジニアにお願いしたいって。
▲雄飛 (B)

──それぞれ聴き応えがありますね。個人的に「朝まで飲もうぜ」の歌詞はいちばん笑いました。

DAISHI:アイツの奢りで飲もうっていう曲。

──“真面目に生きてるつもり”って歌っているのに“借りた金の事忘れてくれ”っていうところとか。

DAISHI:この曲が上がってきたとき、男友達とドライブに行くところだったんですよ。車の中で曲を流してたんですけど、運転していたヤツがお金持ちなので、思いつきの替え歌で“そのコの奢りで朝まで飲もうぜ”って歌って遊んでたら「あれ? いい歌詞やな」って。

──最高だと思います。

DAISHI:ありがとうございます。“朝まで飲もうぜ”と“勝手に地球は回る”の歌詞は自分でも好きです。

──そのあたりの歌詞がまさに気楽な気持ちになれるんです。

DAISHI:ああ、そうかもしれないですね。

──サウンド面ではギター、サックス、ベース、ドラムとそれぞれの楽器が立っているし、ギャング風の「リオ・デ・ジャネイロ」も個人的にツボです

DAISHI:「ROLLIN’ LIFE」とか「リオ・デ・ジャネイロ」みたいなことがやりたくて組んだバンドですからね。タランティーノ監督の映画に流れてきそうな音楽がやりたいんですよ。

──アルバムを聴いても映像を見ても、ライブの楽しさ、臨場感が伝わってくるバンドだと思います。最後にBARKS読者にメッセージを。

DAISHI:SiXXの歌詞はストレートで人間味があって、みなさんに問いかけるメッセージもあり、音楽的には自分の中で100点満点をつけられる楽曲をアルバムに入れられたと思うので、これからはどれだけいいライブができるかが課題だと思っています。

DAISUKE:気づいたら結成して7年が経ちましたけど、やっと出発点に立てて。今回、いろいろな方たちに関わっていただいたことで、さらに良いものが仕上がったので、初心を忘れず、今回のアルバムで世の中に殴り込みをかけたいと思っています。

レイジ:SiXXはジャンル分けするとロックンロールだと思うんですけど、ポップな曲もあるし、コミカルな曲もあり、幅広いのでいろんな方に聴いていただきたいですね。楽器陣としては音にもこだわって演奏しているので、ぜひ生の音を聴きに来てほしい。楽しんでいただけると確信しています。

雄飛:世の中、技術が進歩して、昔よりいろいろなことが複雑になっていると思うんですが、そんな中でSiXXはリアルな歌詞、アナログなバンドサウンドで勝負しているバンドだから、今の時代の音楽を聴いているみなさんにも刺さればなと思っています。

DAISHI:逆に“今だから新しい”ってなったらいいよね。

雄飛:“こんな音楽やってるバンド、ほかにないぜ”みたいな。

DAISHI:サックスをここまで全面的に出してるバンドも少ないし。

──どんな気持ちになってくれたらハッピーですか?

雄飛:“うぉぉお!”ですよ。元気が出るとか、前向きなエネルギーを与えられる音楽だったらいいですね。

──少年性が爆発していますしね。

DAISHI:思春期の人に向けて歌っている曲も多いし、男のコにも聴いてほしい。最近の男のコがどういう音楽聴いているかわからないけど、SiXXみたいな音楽を聴いたほうがモテると俺は思います(笑)。

取材・文◎山本弘子


■アルバム『ROLLIN’LIFE』

2019年6月6日(木)リリース
【通常盤】QAFJ-10016 ¥2,500(税別)
【会場限定豪華盤】WRSX-001 ¥6,600(税込) ※40P写真集付き
▼収録曲
01.ROLLIN’ LIFE  with Calmera Horns
02.鳴り止まない愛
03.つないだその手 produced by JUON (FUZZY CONTROL)
04.I LIKE YOU
05.スザンナの純潔 produced by ミヤ(MUCC)
06.LIAR GAME produced by PABLO (Pay money To my Pain / POLPO)
07.リオ・デ・ジャネイロ
08.少年のまま
09.YEAH YEAH YEAH produced by 加藤ひさし(THE COLLECTORS)
10.勝手に地球は回る
11.朝まで飲もうぜ


■ライブスケジュール

5月27日(月) 京橋Arc
6月07日(金) 新宿BLAZE ※sold out
6月09日(日) 渋谷CHELSEA HOTEL
7月27日(土) 青山RizM ※GUEST:CASCADE

▼アルバムリリース記念公演<SiXX 1st Album Relese ONE-MAN「ROLLIN’ LIFE」>
8月31日(土) 青山RizM
一般販売:6月8日(土)10:00~

9月6日(金) 赤羽ReNY alpha

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