DA PUMPのルーツ、現在、未来を辿る
べくU-YEAH、KENZO、DAICHIに話を訊
いたーー「まだ見ぬ景色を7人で見た
い」

1997年のデビュー以降、ストリートテイストを全面に活かした唯一無二のダンスボーカルグループとして、今も尚J-POPシーンを牽引するDA PUMP。2009年にU-YEAH、KENZO、DAICHIを含む各界屈指のダンサーたちが加入してから、まもなく10年が経とうとしている。7人の現体制になってからは昨年、シングル「U.S.A.」が一世を風靡したのは記憶に新しいが、今年3月にリリースされた「桜」もまた、現在の彼らだからこそなし得るユニークなアプローチで大きな話題を呼んだ。日本武道館と大阪城ホールでの単独公演を控える彼らが今、飛躍の先に目指すものとは。このインタビューでは、前述の3人に貴重な話を聞くことができた。

—— U-YEAHさん、KENZOさん、DAICHIさんは、10年前にDA PUMPに加入される以前からダンサーとしてのキャリアをお持ちでした。皆さんがダンスに出会ったきっかけや、ルーツとなったジャンルについてお聞かせください。

U-YEAH : 小学校低学年のころに、当時東京ディズニーランドにあったマイケル・ジャクソン主演の3Dアトラクション『CAPTAIN EO』を観て、ダンスやエンターテイメントに興味を持ちました。本格的にダンスを始めたのは高校を卒業してからで、好きな音楽がヒップホップやニュージャックだったので、そういったジャンルのダンスにのめりこみました。ニュージャックスウィングのダンスは、それぞれが個性的な動きをしても全体が揃って見えるグルーヴ感だったり、強い情熱みたいなものに魅力を感じます。
KENZO : 僕は福岡出身なんですが、小学生の頃に『天才・たけしの元気がでるテレビ』のダンス甲子園で電撃チョモランマ隊を観て「ロックダンスっていいな」と思って。中学生になった頃にTRFのSAMさんが司会をされていた『RAVE 2001』というダンス番組で福岡の人気チーム21.5を観て、憧れてダンスを始めました。その後、同じく福岡発祥のBE BOP CREWなどの先輩方に出会って、ジャンルにとらわれずダンス全般を踊るのが福岡の特徴なので、僕もいろんなスタイルをトータルで学びました。福岡のダンスシーンがなぜ盛んなのかというと、先輩ダンサーたちが東京ではなく直接アメリカに行って最新のスタイルを取り入れていったからなんです。東京よりもトレンドの流入が早かったので、全国のダンサーたちが福岡にダンスを習いに来ていたんですよ。
DAICHI : 僕は母がダンススタジオをしていたので、ダンスに触れる機会が多かったんです。習い始めた小学4年生当初は、ロックやブレイキンといったオールドスクールのダンスが好きでした。中学生の頃、アメリカにいる母の師匠のもとでジャズやヒップホップを学んで、高校生の頃にはジャズヒップホップが自分の主流になり、当時形成された動きが今の僕の持ち味になりました。ジャズとヒップホップというそれぞれのダンスのジャンルは一見真逆なんですけど、体幹によるしなやかさとキレ、あとは感情を表現できるのがジャズヒップホップの魅力だと思います。
—— 多岐に渡るルーツをお持ちのメンバーが7人集まったDA PUMPですが、それぞれが持つダンスの個性がグループに活きるのはどんな時ですか?
U-YEAH : ライブの振付ですね。2時間で20曲弱の振付を作るんですが、大まかなポイントは全員で決めて、あとは1曲1曲違うメンバーが主軸になって振付を考えます。楽曲によって曲調もハマるダンスも違うので、7人で分担できるのは強みだと思います。
—— ダンスでエンターテイメントを発信するみなさんですが、最近、誰かのダンスからインスピレーションを受けた出来事はありますか?
U-YEAH : メンバーのTOMOが埼玉県の上里サービスエリアで、名物の焼きまんじゅうのテーマソングに合わせて踊っている動画は、僕らの中でかなりホットでした。今ブラックミュージックで流行っているダンスを取り入れているんですが、キャッチーな曲と妙にハマって面白くて。TOMOのインスタグラム(3月14日の投稿)に載っています。
DAICHI : しかもその最新のダンス、その後公開されたアーティストさんのミュージックビデオでもダンスが取り入れられていて。「TOMOさんのほうが早かったね、やったね!」と話をしてました(笑)。

—— 前作「U.S.A.」では当時アメリカのヒップホップシーンを中心に流行していた「シュート」という動きを「いいねダンス」として日本で普及させ、最新シングル「桜」ではレゲエシーンで多く用いられる「ガンフィンガー」を「さくらフィンガー」としてよりキャッチーに表現されています。

U-YEAH : そうですね。自分たちのスキルを活かしつつ最新のトレンドを取り入れて、なおかつ真似しやすいダンスに落とし込もうという考えかたは、10年前からずっと変わっていないんです。「U.S.A.」以降変わったとすれば、「かっこいいものを披露して驚かせたい」という思い以上に、難しいことは考えずに7人が楽しめればいいねと思うようになったところですね。その意識が結果的に広く色んなかたに受け入れられたのかなと思います。
—— TOMOさんが考案された「桜」の振付は「サクラフィンガー」が大きくフィーチャーされていますが、他にも注目の動きがあれば教えてください。
DAICHI : サビには「サクラフィンガー」以外にも、レゲエシーンでトレンドになっている「フライングショルダー」という肩を前にぶつけるような動きを入れているんですが、これもポイントですね。この動きが映えるように、衣装のジャケットの右肩の部分にはフリンジがついていたり、工夫されています。
—— DA PUMPのYouTubeチャンネルで、TOMOさんとKENZOさんによる「桜」振付講座を観ることができますが、DA PUMPならではの試みですね。
KENZO : もともと、ライブに向けてファンの皆さんにもダンスを踊ってもらうためのレクチャー動画は3年前から作り続けていて、その流れでシングル「U.S.A.」でもレクチャー動画を作って、今作も公開しました。僕も他のアーティストのミュージックビデオを振付に注目しながら観ることがありますけど、レクチャー動画で説明があると「こういう意図があってこの動きをしてるんだ」というのがよりよく汲みとれますよね。
—— 今後の作品でもレクチャー動画が楽しみです。そんな「桜」を経てDA PUMPの次なるリリースは、昨年行われたライブの様子を収めた映像作品 『LIVE DA PUMP 2018 THANX!!!!!!! at 東京国際フォラムホールA』ですね。個人的に2002年の「Sparkle」という楽曲が好きなのですが、今もライブで披露されていて、映像化されるのが嬉しいです。
DAICHI :「Sparkle」が好きなんてマニアックですね! この曲はボーカルがISSAさん、コーラスがU-YEAHさんとYORIさん、ラップがKIMIさん、そしてその歌声に合わせて僕が踊るんですが、気持ちよくて仕方ないですよ。
U-YEAH : かっこよく言ってるけど、DAICHIは「Sparkle」のCメロが終わって最後のサビに差し掛かる一番良いところで、1人だけシャツを脱いでほぼ裸になってます。ISSAさんの歌を前振りに使って謎の歓声を浴びてる(笑)!
KENZO : 俺はいつもその光景を舞台袖から見てるんですけど、なかなか強烈ですよ! でもシンガーとダンサーが同じステージに立って、同じ歓声を浴びることができるのは感謝ですよね。
DAICHI : 嬉しいことですね。あの曲が終わってステージを降りたらKENZOさんとハイタッチしています(笑)。
—— そのシーンを映像で何度でも楽しめるわけですね! そしてその映像作品リリースから間もなく、日本武道館と大阪城ホールでのアリーナ公演が決定しています。
KENZO : 日本武道館は、僕らが2014年に7人で再スタートを切ったときからずっと夢に描いていた舞台です。 「U.S.A.」という楽曲を老若男女さまざまな人たちが愛してくれたおかげで、そのステージに立つことができるので、来てくださるみなさんには感謝を届けたいですし、7人が最大限のパフォーマンスを発揮できればと思います。
DAICHI : まだまだこれから準備を進めていく段階ですが、キーワードを挙げるとしたら「煌びやか」ですかね。アリーナ公演とはいえ、お客さんとの距離が遠くなるわけではなく、逆に近く感じられるようにもしたいなと考えています。
—— 最後に、さまざまなフェーズを越えた今のDA PUMPだからこそ、これから挑戦していきたいことはありますか?
DAICHI : 僕は7人でまだ行ったことのない場所で単独ライブをしたいです。叶うなら47都道府県を周る毎公演がオンリーワンなライブツアーを実現したいですね。
U-YEAH :「U.S.A.」以降、メンバーの顔と名前を覚えてもらう機会が増えて、それぞれの役割やキャラクターが活きるようになってきました。もちろん歌とダンス、音楽においては確固たる軸を持ってやっていきたいんですが、ライブだけでなく多方面でメンバーの持ち味をもっと引き出しながら、色んなアプローチができるグループになりたいですね。
KENZO : まだ見たことない景色を見たいです。これから何が起きるかは自分たちにもわかりませんが、この夢の時間をずっと続けられるように努力していきたいです。
取材・文=Natsumi.K 撮影=森好弘

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