イタリア交響楽団の来日を前に、指揮
者のチョン・ミン&ピアニストのイヴ
ァン・クルバンのインタビュー、さら
に森本レオのコメントが届く

イタリア交響楽団(正式名称:ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団)が2019年6月、来日ツアーをおこなう。同楽団は、1960年にイタリアの南チロル(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)トレントを本拠地として設立された名門オーケストラである。今回の来日公演では、名匠チョン・ミョンフンの息子で、東京フィルハーモニー交響楽団のアソシエイト・コンダクターも務める若手最有望者チョン・ミンの指揮のもと、各回とも名曲3曲が演奏される。なお、ピアノ協奏曲では、ブゾーニ国際ピアノコンクール2017優勝者であるイヴァン・クルバンがソリストとしてプレイする。来日公演が迫る中、チョン・ミンとイヴァン・クルパンのインタビュー、さらに、公演を応援する森本レオの推薦コメントが届いたので紹介しよう。
■指揮:チョン・ミン
チョン・ミン
ーー指揮者を目指したのは何歳のころですか?またそのきっかけをお聞かせください。
他の指揮者と比べるととても遅いです。20歳は過ぎていました。実はずっと指揮者になりたいと思っていましたが、ご存じの通りの父がいますのでなかなか決心ができませんでした。しかしその欲求に悩みが負けたのが20歳を過ぎてからだったということです。
釜山のアロイシウス・オーケストラをはじめ子どもたち(未来の演奏家たち)との音楽活動で大きな功績、そして評価を得られています。そういった活動の中で、感じることやこれからチャレンジしていきたいことがあればお聞かせください。
自分もまだ十分若いですが、自分がもっと若かった10代に学べたことを是非今の子供たちにも伝えたいと思います。今後も機会があればどんどんやってゆきたいです。
ーーヨーロッパでの活動も目覚ましいチョン・ミンさん。目標とする指揮者はいらっしゃいますか?また、取り組んでいきたいプログラムやプランがあればお聞かせください。
目標とする指揮者という質問には答えません。今後はもっと後期ロマン派やイタリア・オペラ、ドイツ・オペラなども挑戦してゆきたいです。
ーーイタリア交響楽団との共演は何回目ですか?また、楽団の特徴や魅力をお聞かせください。
正確な回数はわかりません。この楽団の本拠地であるボルツァーノはイタリアの中では最もドイツ圏に近く、事実ドイツ語が充分通じる街で、人間性も質実剛健のような気がします。国内アンケートでは実はイタリア人が最も住みたい街だそうです。オーケストラはイタリア風であろう明るい音色も重いドイツ風の音色も両方できます。
ーーソリスト、イヴァン・クルパンさんとは初共演となります。楽しみにしていることをお聞かせください。
共演はツアー直前の5月末に初めてします。彼はブゾーニコンクールの2017年の覇者で、本選の伴奏をした楽団が今回の楽団ですので、クルパン氏の芸術性を高く評価している事務局長から強く勧められました。
ーー今回のプログラムについて聴きどころをお聞かせください。また、共演するオーケストラやソリスト含め、注目すべき点があればお聞かせください。
イタリアの作品がないことです。ドイツ語圏の作品ばかりなのが魅力です。この楽団はいわゆる大編成の楽団ではないですが、その分緻密な演奏ができる楽団です。
■ピアノ:イヴァン・クルパン
イヴァン・クルパン
ーー何歳からピアノをはじめましたか。また、そのきっかけはなんでしょうか。
私は6歳の時にピアノを始めました。私の両親も音楽家ですから、いつも私の周りには音楽がありそれがきっかけで始めました。
ーー2017年ブゾーニ国際ピアノコンクールで優勝されましたが、その時もイタリア交響楽団と共演されましたがその感想をお願いします。
ブゾーニ国際ピアノコンクールは今まで私が経験したコンクールの中で最も大きなもので、最大の挑戦でした。そこで様々な経験ができ、素晴らしい人たちにもたくさん出会え、多くの思い出があります。ファイナルではイタリア交響楽団とも共演ができ、素晴らしい演奏をしてくれました。一週間のコンクールの間にファイナルまで通過し、さらにオーケストラとの共演をするということは大変貴重な経験で、ただ私はオーケストラとの共演を楽しみました。それ以外何も大切なことはなかったです。
ーーコンクールでの優勝後、どんな活動をしてきましたか。
これは難しい質問です。いろいろなことをしてきましたし、特にイタリアで多く活動しています。ヴェネチア、ボローニャ、ローマ、バーリ、ぺスカーラではリサイタルを多く行い、ヴェローナやミラノではオーケストラとの共演をしました。ドイツではハンブルク、ミュンヘン、デュッセルドルフなどでリサイタルをし、アジアでは香港や韓国でツアーを行いました。
ーー今回のツアーでは、モーツアルトの「皇帝」を弾かれますが選曲した理由はなんでしょうか。
ベートーヴェンの「皇帝」は私にとっていつも特別な作品です。私は子供のころ、この曲を聴いて以来、お気に入りの協奏曲のひとつで、ブゾーニ国際ピアノコンクールでも演奏し、今回の日本ツアーでも選びました。
ーー日本の皆様へのメッセージをお願いします。
皆様へのメッセージはひとつです。皆様が文化を経験するための唯一の方法は、眼、心と気持ちを開放することです。私の名前もコンクールのことも優勝のことも何もかも忘れて、ただ私があなたに捧げる音楽を楽しんでいただきたいと思います。
■森本レオ 推薦コメント
森本レオ
"音楽"というのはたぶん、夢をつなぎ合わせる、遊びなんだ。
まだ文字も無かった、遠い昔にね。
人は、眼に映った驚きを岩に描き、心に映った夢は、風に刻んで歌にしました。
そして長い時間をかけ、互いの想いを少しずつ、つなぎ合わせて行ったんです。時に争い、時に寄り添いあいながら。
その夢のしずくが、やがて森や砂漠や岩山を潤し、言葉や文化の壁を越えて、"音楽"、と言う果実に育って行ったんです。
エジプト、ギリシャ、ローマのエーゲ海から地中海のあたり。
さらに、バビロン、レバノン、カフカスを越えて。長く険しい旅路の歌が、いつしか溶けあって行きました。
そしてその夢の薫りが少しづつ広がり、雪深いアルプスを越えて、遙かな北の荒野にまで降り積もって行きます。
それがやがて、ヨーロッパ、という物語に、育って行ったんですよ。
クラシック音楽、と詠われる文化は、その壮大な旅から生まれた、金の鳥かごなんだ。無限の歌が、隠れてる。
"love"と言う優しさは、そんな夢のつなぎ目に、隠れているのかも知れませんね。
時代が、少しずつきな臭くなって行きそうな今。
遠い昔の、優しい"夢心"を更にまた広げて、東と西をつなぐ新しいシルクロードの扉を、彼らは今、見つけ、開こうとしているのでしょうか。
重いんだろうなあ、すんごく…。
チョンさんガンバれ。イヴァン、負けるな。
良い夢を、見させておくれ。

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