神様、僕は気づいてしまった『20XX』で憂う未来とは?

神様、僕は気づいてしまった『20XX』で憂う未来とは?

神様、僕は気づいてしまった『20XX』
で憂う未来とは?

ずっと"謎のまま"な彼らの正体
神様、僕は気づいてしまった”について…つるんとした覆面を被り、その素性が何もかも分からないことは皆分かっているだろう。
これだけの注目を集めているバンドゆえ、もうそのことについては触れる必要はないと思われる。
彼らの思惑通り、我ら聴き手は何にも惑わされず踊らされず、お陰様でしっかりとその”音楽性”の虜になっている。しかし悲しいかな人間とは、分からないことが知りたくなる生き物。
彼らのMVが公開されたと聞けば、その画面から何かを探し出そうと喰らいいつく…。目から入る情報は、相も変わらず何も”分からない”が、想像力はとても豊かになった。
ヴォーカルの”どこのだれか”のハイトーンは一度聴いたらなかなか耳から離れない。中性的なその声に、どれだけイケメンなのだろうかと悶々としてみたり…。
今回リリースされるフルアルバムに収録される同名の『20XX』のMVにもいつもの如く食らいついたが、一人一人の覆面が違うこと以外はやっぱり何も分からない。
でも、不思議と”分からない”ことになんとなしホッとしている自分もいる。次に何をしてくれるのかというドキドキ感をずっと感じていられるからだろう…。
20XX
さて、今回は新しくリリースされる『20XX』を読み解いていくのだが、もうすでに題名からして謎な感じがプンプン漂っている。
ただなんとなく分かることはこの題名は未来を指しているんではないかということ。MVを観ると、デジタルの数字がズラズラと並んでいる。まるで未来に向かってカウントダウンしているかのようだ。
未来のことならなんとなくわかっている。分かってはいるが、納得しているわけではない。どうせろくでもないんだろう。投げやりな気持ちが常にあるけれど、一応誰かに聞いてみる。
口先の言葉なんてはなから信用はしていないが、言葉だけでもいいから何かしらの道しるべが欲しい。
時はどんどん流れていく。中身があろうがなかろうが、それは誰にでも平等に。ズルいヤツだけ得をして、散々な世の中。
どんなにこの世を憂いでも、今生きてる現世こっきり。そうやって諦めて生きるしかないんだ。
のらりくらり生きていたら置いてかれる世の中。良い人やったってズルいヤツらの食い物にされるだけ。
泣き言いってる暇なんてない。未来は誰にも分からないんだから。いちいちつまずいて悩んだり、考え込んだりしているその間にもどんどん時は未来に向かって流れてる。
何にも負けない強い心を…だって信用できるのは自分ただ一人。仲間なんて茶番だよ。
今の世の中を見てごらん
『20XX』をここまで読み取って理解できることは、主人公は今現在に満足していないということ。なんなら不満だらけといってもいいくらいこの楽曲では社会をぶった切ってくれている。
今の世の中がこの程度なのだから、未来はもっとスゴイことになっているに違いない。フワフワ生きていたら置いて行かれるだけじゃ済まないといいたいのだろう。
この楽曲の主人公はある意味、現在にきっちりと見切りをつけていることが分かる。歌詞の冒頭では一瞬気弱な部分も見せていたが、すぐに我を取り戻している。
周りの誰かに頼る暇があるなら、自分だけでもどんどん先へ進め。そして踏まれても折れない強い心を持てと解釈が出来た。
”神様、僕は気づいてしまった”というバンド
このバンドは覆面を被っているから、当然顔が見えない。普通のバンドなら、サビなどのいわゆる”聴かせ所”も表情込みで魅せたいと考えるはず…。
だがこのバンドに至っては、あえてそこは見せないのだ。利き手の側から、そんな”顔を見せない”という意図を考えてみる。
にっこり微笑んだり、険しい表情などを見せたいと思うことはないのだろうか?神僕の楽曲のほとんどの作詞・作曲を担当している東野へいとによると、”表情が邪魔になる”とのこと。
東野いわく、ヴォーカルの”どこのだれか”の声の良さを伝えたいから表情を見せないということらしいのだ。確かに、その思惑は確実に効き目がある。
想像に想像を重ねながらしっかりと歌詞を噛み砕き、ヴォーカルの声を細部まで捉えようと耳は必死になっている。顔が見えない分、耳が”神様、僕は気づいてしまった”というバンドを一生懸命に追いかけるのだ。
そうやってこのバンドを追いかけた結果、ヴォーカルだけでなく疾走感溢れるキャッチーなサウンドにも虜になっている自分に気付く。世の中や人間関係、男女の恋愛などを真正面からぶった切る歌詞の世界観にもとても共感できる。
気付いたら、彼らの顔が見えないことはもうどうでもよくなっていた。結論として、東野へいとの言うとおりということだったのだ。
色んな雑音で溢れている現代社会。惑わされ誤魔化され、本物が何かも分からなくなってしまう世の中。
このバンドはそんな世の中に苦言を呈しているかの様にも感じてしまう。そこまで考えたら大袈裟だろうか?
TEXT 時雨

UtaTen

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