めいちゃん、初のワンマンツアー初日
・東京公演で見せた進化と成長

めいちゃんワンマンライブ5「ツアー組んでみたんですが、どうですか?」

2019.4.28 品川プリンス ステラボール
今月4月に活動8周年を迎えためいちゃんが、平成から令和へと時代をまたいだこのゴールデンウィークに、自身初となるワンマンツアー『めいちゃんワンマンライブ5「ツアー組んでみたんですが、どうですか?」』を開催。4月28日に行った東京・品川プリンス ステラボール公演では、ツアー初日とは思えない完成度の高さと彼の旺盛な表現欲に、終始わくわくさせられてしまった。
バンドメンバーに続いて登場しためいちゃん。不穏なギターリフから始まる「迷々」で幕を開けると、お立ち台から弾かれるように前へとかけだし、ステージセンターから伸びる花道の先へ! フロアのど真ん中へとやってきためいちゃんは、巻き舌全開で歌ったり、お立ち台に足をかけて「品川!」と煽ったり。オーディエンスも全力でコールして、いきなりクライマックスにもほどがある。
めいちゃん
めいちゃんが「品川、いけるよな!」と叫び、オーディンスが頼もしく腕を振り上げたのは「ブリキノダンス」。「そんなもんか品川!」とフロアを焚きつけながらスラップベースに早口の歌を絡ませていくめいちゃんから、目が離せない。どっしりとしたフロアタムの音を背に、「このリズムがわかる人いますか?」と問いかけて始まった「モンキービジネス」では、多彩な展開の中であまりにも伸び伸びとその歌力を発揮していく。
「ツアー始まっちゃったぞ! 楽しい時間は一瞬で終わってしまいます、目に焼き付けてください」
そんな言葉に続いたのは、踊れるジャズ、エレクトロスウィングなテイストの「ライムライト」。自身のイメージカラーであるオレンジのペンライトが揺れるフロアを見て、「いいね!」とご満悦なめいちゃん。「バレリーコ」「ロキ」とたたみかければ、高揚が止まらない。
めいちゃん
めいちゃん
一転、トークタイムになると途端に噛んでしまうのもめいちゃんなわけだが、「2016年8月、最初のワンマンライブでは台風が同時に3つ襲来して、それでも400人規模のライブハウスに300人くらいが来てくれたわけですけど……まさかこうしてツアーをやる日が来るとは思ってもみませんでした!」と、感慨深げ。「最前列を増やしちゃったらいいんじゃね?っていうことで花道を作ってもらいました」とも言う彼は、やはり変わらずにファンのことを想ってくれている人だ。
「新曲持ってきました!」と言って歌った「ヴィクター」は、作詞作曲を手がけボーカロイドの初音ミクを使用した、初の自作ボカロナンバー。派手なイントロからシリアスなAメロ、パワフルなサビへというドラマティックな展開といい、空想的で妄想的な中に真理も見え隠れする歌詞といい、想像以上にライブ映えする曲だ。裏声への抜けも見事で、めいちゃんのありとあらゆる才能がダダ漏れではないか。
アンニュイに歌い出してだんだん感情をあらわにしていく「バスケットワーム」。めいちゃんが歌うことで中毒性がさらに増す「ガランド」。フェイクも耳に心地よく響く「フィクサー」。多くの人に歌われ、愛されているボカロ曲たちも、彼の手にかかればほかにはない独自の色に染め上げられてしまうのである。
めいちゃん
めいちゃん
また、ミラーボールが回る中、表情の異なる“愛して”でうならせる「愛して愛して愛して」。歌声でさらなる退廃感をまとわせる「プラシーボ」。オーディエンスがクラップを添え、めいちゃんが右に左にステージを移動しながら歌う「心とかいう名前の未発見の臓器の機能についての考察」。温もりある穏やかな歌声で彩る「花束」。「これまでのワンマンライブでは実力が足りなくて歌えなかった曲を、次のブロックでは歌います」と控え目な前置きをしていためいちゃんだが、曲によって変幻自在な彼の歌声に翻弄されるのは、とても楽しい。
YouTubeだけに投稿した「東京は夜の七時」は、90年代を席巻した“渋谷系”を代表するピチカート・ファイヴのオリジナル曲で、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピック閉会式では椎名林檎“返詞”による「東京は夜の七時 -リオは朝の七時-」として披露されたナンバー。めいちゃんは後者をカバーしたわけだが、本編最後に歌った椎名林檎の「丸の内サディスティック」にしても然り、理解と尊敬があった上での“めいちゃんらしいもの”になっていたように思う。
めいちゃん
アンコールでは、まさかの幼稚園児コスで現れためいちゃん&バンドメンバー。めいちゃんを先頭に連なり花道にもせり出して歌って踊うのは、「アブラハムの子」だ。まだまだいろいろぎこちなかったり、“アブラハムには 7人の子”という歌詞なのに6人しかいなかったり、“おしまい”からのズッコケが新たな時代・令和到来を目前に控えながら昭和感たっぷりだったりと、ツッコミどころがありすぎる。
「先ほど話した2016年の初ワンマンのリベンジとして翌年行ったワンマンではスイカ割りをして、その翌年のワンマンでは寿司を食べ、去年のクリスマスワンマンではZepp Tokyoでジンギスカンを食べてビールを飲み……Zeppの人、怒ってたな(笑)。っていう具合に、前回を上回らなきゃ!ってどんどんハードルが高くなっているおかげで、空回ってます!」と言いつつも、オーディエンスとのコール&レスポンスが気持ちよかったのか「でも、この時間めっちゃグルーヴィ(笑)」と笑顔を見せるめいちゃん。このあとの4公演で、きっと一体感は増していったことだろう。
めいちゃん
「中3で受験に失敗してネットにはまり(苦笑)、歌い手にハマり、Geroさんにハマり、軽い気持ちで“歌ってみた”を始めた僕が、今ではこんなステージにも立たせていただいます。正直、平成が終わるのはひとつの区切りでしかないなと思っているんですけど、平成にあったものをちゃんと令和につなげていくというのはすごく大事なことで、このツアーもそういうものにしたいなと。次はツアーで行ける場所を増やしていきたいし、令和のめいちゃんもよろしくお願いします!」
そう、決意を新たにしためいちゃん。新たな時代のミュージックカルチャーを引っ張っていくのは、やはり歌が大好きで“最強”のめいちゃんだ。

文=杉江優花 撮影=小松陽祐(ODD JOB)
未掲載カット含む全ライブ写真は【こちら】

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