阿部快征×小林涼×山中健太×山中翔
太 培ったものをすべてぶつける“集
大成”『S.Q.S』第3弾インタビュー

架空の芸能事務所「ツキノ芸能プロダクション」に所属するSolidS(ソリッズ)、QUELL(クヴェル)の2つのユニットがメインの「SQ(スケア)」シリーズの舞台版『S.Q.S(スケアステージ)』の最新作、Episode 3「ROMEO- in the darkness -」が2019年4月25日(木)からヒューリックホール東京にて上演される。
Episode 1「はじまりのとき -Thanks for the chance to see you-」、Episode 2「星芒の彼方-月野百鬼夜行綺譚-」を経て芽生えた思いや“集大成”と位置付ける本作への意気込みを、“お当番”メンバーである世良里津花役の阿部快征、村瀬大役の小林涼、久我壱星役の山中健太、久我壱流役の山中翔太にたっぷりと語ってもらった。
ーーこれまでの公演を振り返ってのご感想や、先日ゲスト出演を終えたばかりの「ツキウタ。」ステージ第8幕『TSUKINO EMPIRE -Unleash your mind.-』で刺激を受けたことなどを教えてください。
阿部快征(以下、阿部):『ツキステ。』8幕の現場では、初演から出演されている方々といろいろお話したんですけど、僕は主に日替わりコーナーについて詳しく聞きました。スケステ(『S.Q.S』)とは雰囲気が違って、自由にやられていることについて知りたくて。校條(拳太朗)さんは昨日観たばかりの映画をネタにしたり、自分の身体能力を生かして考えたりしているとおっしゃっていて、「自分が何をできるかを考えて、お客様にどう笑ってもらえるかを考えていかないと」という話もしました。僕自身、Ep1、Ep2を通して日替わりネタで自分から「これをやりたい」といったことはなかったので、Ep3でもし機会があるのであれば、今回は貪欲に笑いを追求していきたいと思っています!
阿部快征
小林涼(以下、小林):……快征、どっちかというとそんなに日替わりで求められてないよ(笑)
阿部:え! 僕、求められてないの!? Ep1では日替わりコーナーにチアガール役で出ていたのに、Ep2では「面白くない」という理由でクビになってしまい……なぜか村瀬大役の小林涼がその立ち位置についたという過去もあるので(笑)。Ep3では復帰を狙ってます!
小林:(笑)。短期間でこんなにたくさんの作品をやることはなかったのでいい経験をさせてもらいましたし、Ep1のときの出会ったみんなとの関係性がより深まって次のEp3に挑むことができる。なんか、楽しかったなぁ(と、しみじみ)。
山中翔太(以下、翔太):めっちゃ過去形(笑)
阿部:まだ出会って1年経ってないですもんね?
小林:みんなと出会ってやってこれて……本当に楽しかったな、って。これからやるEp3が楽しみだなって思いました。
小林涼
山中健太(以下、健太):僕は『ツキステ』8幕の千秋楽を、袖からずっと翔太と見ていたんですけど、長い歴史とその分の思い入れが詰まったキャストのみなさんの背中を見て「この人たちに追いつかないと」と感じました。個人的に、ルナライ(『LUNATIC LIVE2018』)のダンス稽古のとき、4つのユニットがいい意味で「このユニットはすごいんだぞ!」って主張している空気を感じて、自分のユニット愛はもちろん、他のユニットへのリスペクトもありましたし、何より純粋に楽しかったなって。ツキプロって素敵な事務所なんだなっていう誇りを持てました。
翔太:言おうと思ってたことが思いっきり健太と被った! スケステはEp3までの公演が最初から発表されていて、いきなり3作品をやること、ツキステさんの後続作品ということでプレッシャーや責任が付いてまわるのかなと思っていました。けれど、原作ファンのみなさんが本当に優しい方々ばかり。みなさんに支えられてここまで来られました。メンバーとは一緒にいる分、正直ちょっとした言い争いをすることもありましたが、それはお互いのことを信頼していないとできないこと。そういう時間があって7人への愛情が深まっていますし、Ep3はいろんな意味で集大成。みなさんにそれをぶつけて、笑顔になって帰っていただけたらと思っています。
ーー3月には初の単独ライブ『2.5次元ダンスライブ「SQ」ステージ BLAZING & FREEZING』も大成功を収めました。ダンスライブパートでの好きな楽曲など、エピソードを教えてください。
阿部:う~ん、好きな曲を選ぶのは難しいですね。
小林:伝えたいことや見せたいものが違う。全部いい曲で、それぞれにいいものがあります。SolidSの楽曲はどれもセクシーで大人な色気があるし、QUELLは『砕かれた霞』みたいな神秘的な雰囲気が好き。本当はやっちゃいけないことなんですけど、ダンスでは振り付けを変えてもらったこともありました。「大は里津花に対してこうしたほうが良い」というイメージが僕の中にあるから、振付師さんに確認をとって(動作を)入れてもらったこともあります。
4人の手にはそれぞれのカラーのツキプロぬいぐるみが!
阿部:振付師さんとは長い期間いっしょにやらせてもらっているので、ソロパートはだいたい「好きにやっていいよ」って言われることが多いんですよ。4人はもともとダンス経験がなかったんですけど、丸一年やってきて成長した部分はあります。
健太:みんな覚えるのが早くなったよね。
翔太: Ep2のときは、まったく振りが入らなくて(笑)。新曲が5曲あったから毎日違う曲の振り入れをして、もうパニックになってしまってずっと呆然としてた日もありました。(中尾)拳也くんも最初はダンスが苦手って言ってたんですけど、今となっては下手とか一切思わせない。
阿部:昨日さ、拳也といっしょだったんだけど、ずっと「やばい、やばい」って言ってたよ。振り入れの時、諦めて3時間ずっと座ってたって。
健太:確かにその様子はありました(笑)。好きな曲はどう?
翔太:『蒼い水』かな。Ep1からずっと終盤に披露されている曲。QUELL4人が集まってフリーな時間があるんですけど、稽古から本番にかけてお芝居のことを踏まえた上での自然な表情が出るシーンなので、目線が合うとお互いに感じ合うものがあります。今回もセットリストに入っているので、Ep3ではどんな表情になるのかが楽しみです。
健太:僕はやってみて好きになった曲がたくさん増えました。柊羽が書いているQUELLの楽曲は哲学的な言い回しが多くてストレートな歌詞ではないですけど、よく見てみると「この部分は壱星が壱流に対して思っているんだ」っていう箇所がわかってきて楽しいんです。「こういう歌詞だからこういうふうに踊りたい」っていう愛着も湧いてきて、たとえば(堀宮英知のソロ曲)『虹』ではメンバーのことを指すような歌詞の部分には(ステージに)出たいっていう提案をしたり、『HIKARI』の壱星と壱流が思い合っている歌詞の部分は、「スケアパーティー」のパフォーマンスを見て僕たちも二人で向き合いたいって提案したり。
小林:キャラクターの理解は俺たちが一番しているから、こうやりたいって気持ちが湧いてくるんだよね。快征の好きな曲は?
阿部:好きっていうか、踊りやすい曲になっちゃうかも。『ロミオ-ROMIO-』みたいな、バラード調が好き。
小林:バラードのほうが気持ちを込めやすいよね。僕らは役者なので、歌詞に気持ちを込めて踊るから。なのでこれからもバラード曲をたくさん作ってほしいです!
(左から)阿部快征、小林涼、山中健太、山中翔太
ーーお客様からの反応で嬉しかったことは?
阿部:登場したときの、衣裳への反応は毎回印象に残ってます。やっぱり着ることでガラッと変わるので、リアクションがうれしいですね。Ep3だとゴージャスに作られているので、今から初日が楽しみです。
小林:ファンの方はすぐ反応してくれるんです。些細なことでも笑ってくれますし、ちょっと「あれ? 僕らって面白い?」って勘違いさせてくれる(笑)。たくさんリアクションをくれるので、やりやすいです。
健太:壱星と壱流の成長過程を見てくださっていることがわかったとき。壱星はみんなが通ってきたもので知らないものが多い分、いろんなものを得ようとすることが強い子。公演を経るごとに、一つずつ新しい経験をモノにしていくことで成長できたら……という思いで演じているので、「ここが変わった!」っていう部分にお客様から感嘆の声が上がった時は嬉しかったです。
山中健太
翔太:役者にとってお客様の笑った声や笑顔は活力になりますし、次にどんなことをするんだろうって期待を寄せてくれているのがわかる。台本では通常のお芝居のシーンをアドリブに変えてみたり、『ツキステ』のほうでは自分が発するセリフをほぼ日替わりにしてみたりもしました。アドリブはみなさんのレスポンスがあるからこそ自分たちももっとやりたくなる……という相乗効果でできています。お客様の反応が大きいというのは、本当にありがたいです。
ーーこれまでの公演を経て発見した、他のメンバーで意外な一面を教えてください。
阿部:日向野祥は天然です! Ep1のときは割としっかりした人でしたよね?
小林:同い年なんですけど、将来が不安ですよ(笑)
阿部:佇まいを見て、最初は怖い感じなのかと思ったんですけど、それは不思議さから来るオーラだったんでしょうね。すっごい変なこと言いますよね?
健太:どんどん茶目っ気が出てきたというか。ツキステのときも、「なんか視線感じるなぁ~」と思ったらロッカーの陰からじっと見てるんですよ。「怖っ!」っていう反応をすると、すごいニヤニヤしながらどこかへ消えていきました。何がしたかったんだろう……。
阿部:わかる! 急に壁ドンしてきてにやにやして帰るよね。何も言わないの(笑)
健太:めっちゃ壁ドンしてきますよね。なぜかあっちが照れてどっか消えていくんですよ。
阿部:変わってますよあの人は(笑)。瀬戸っち(瀬戸啓太)は自分から努力して話す人に変えていってるよね。
健太:人見知りって聞いてたんですけど、どんどんスキンシップ激しくなってきて。帰るときもまだ支度してないのに無言で腕引っぱって連れていかれます(笑)。甘えたちゃんだよね。
翔太:甘えたちゃんだけど、最近は言葉を選ぶようになったよね。Ep1では思ったことをバンバン言うイメージがあったけど、今は相手の気持ちも理解しようして言葉を選んで発するというか。自分自身に対して思うことがあって意識的に変えたのかはわからないけど、そういう姿勢がすごく大人になったように感じて、その成長が刺激になりました。あと、さっき思ったのは、うちのリーダー(田中稔彦)もちょっとおかしくて。リーダーおかしい説、ありません?
阿部:ずっと納豆とキムチ食べてる人?
翔太:そうそう、納豆大嫌いなのにいつも食べてる(笑)。ツキステ終わりに、稔くんにお礼の連絡をしたんですけど、一向に既読にならなくて。稽古で聞いたら「知ってる~うれしいこと書かれてるのわかってるんだけど、動揺して踊れなくなったら困るからまだ見ないようにしてる」って言ってて。なんだそれ(笑)! 振り入れではパニックになったら意味不明なダンス踊り出しますし。年上、年下関係なくフレンドリーに「かわいいなぁ」って思わせてくれる方です。
山中翔太
健太:拳也くんはブレないよね。
阿部:メイクの仕方を覚えたみたいで。最近下地を使い始めた。ようやく下地を使っているのを目撃したよ(笑)
小林:俺はそもそも7人が変わったっていう印象がないかな。
阿部:え、俺がおもしろくなったとかないですか?
小林:ないない、毎回つまんないなって(笑)
阿部:(笑)。恥ずかしい!
小林:僕自身は毎日、村瀬大のことだけを考えて稽古場に来ている。自分が変わったというか日ごろ意識して生きているだけで、変わったということは特にない。周りも出会ったときから変わってないって思ってるよ。
ーー最後に、Ep3に向けて意気込みをお願いします。
阿部:初めてのお当番回になるので、セリフ量が増えるのはもちろん、覚えることが多くなると思うのでしっかり頭に入れて、自然に出るようにしていきたいなと思います。これまでの集大成となる作品なので、いままで培ったものをすべて盛り込んで、ヒューリックホールの会場に僕らの世界観を吐き出して、みなさんに味わってほしい。夢に包まれて帰っていただきたいです。
小林:やっと村瀬大にフォーカスが当たる! これまでなかなかメインでは見られなかった里津花や双子のお話ができるのが、とにかくすごく楽しみです。
健太:この1年、まるで5年くらいやってきたかのような濃密な時間でした。気持ちが落ちたことがあったり、楽しかったり、千秋楽を終えてロスになったり。その集大成としてのEp3を成功させたいです。始まりから今に至るまで、壱星くんの存在が自分の心の中で大きくなっていって、それにつれて壱流くんのことが大好きになっていっている。弟のことを何よりも、自分よりも大切という思いを込めて臨みたい。8人で最高の千秋楽を迎えたいです。
翔太:2018年は春夏秋冬、ずっと壱流くんがそばにいました。2019年ではビジュアルも変わって、衣装も変わって、変化が大きい分、見た目だけ変わったという評価はされたくない。壱流くんは若い分、誰よりも成長していくはずだし、そういう姿を皆さんに見せたい。この公演がいちばん勝負時だと思っているので、“成長”というキーワードを自分のなかに作って、本番に臨めたらいいなと思っています。
(左から)阿部快征、小林涼、山中健太、山中翔太
取材・文=潮田茗 撮影=荒川潤

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