【THE YELLOW MONKEY インタビュー】
THE YELLOW MONKEY、
二度目のデビュー作『9999』完成
3年間思いっ切りやれたからこそ、
ちゃんと2019年に出す意味がある
アルバム制作の後半からはロサンゼルスでレコーディングすることになりましたけど、何か理由があったんですか?
吉井
「この恋のかけら」っていう曲を「天道虫」のあとにレコーディングしていて、その時に決めたんです。「天道虫」ができたことで、ソロみたいな曲の作り方をしてもいいんだっていうモードになったんですよね。それまではストーナーロックとかガレージロックみたいなものって、THE YELLOW MONKEYではやらなかったけど、それを取り入れて出来上がったものが、ちゃんとTHE YELLOW MONKEYだったんですよ。それで、今ならソロ活動の拠点にしていたL.A.にメンバーを連れて行ってもいいなって思ったんです。
ヒーセ
たぶん「天道虫」のプリプロが有意義だったのも大きいと思うんですよ。すごい簡単なフレーズとかアレンジで良いものができるようになってきて。
アニー
「天道虫」の前にやった東京ドームも大きかったよね。あんなところで小手先でやっても通用しないから。
ヒーセ
最低限の要素で組み立てていくアレンジに辿り着いたというかね。
吉井
どんどん減らす美学になっていったんです。
それで、去年の秋以降にL.A.でレコーディングした「Breaking The Hide」「Balloon Balloon」「I don't know」みたいな曲はシンプルなガレージロックなんですね。
吉井
必要最低限の機材しか持っていかないってルールも決めてましたからね。
ヒーセ
向こうでは合宿みたいなこともしたんですよ。
吉井
みんなで分け合うっていう生活をしてると、それがグルーブにも出るんです。
エマ
音が少ないから、それが余計に分かりやすいんですよね。L.A.の乾いた空気だからこそ出る音色が、THE YELLOW MONKEYらしさをプラスしてくれたし、行って良かったと思います。
「Love Homme」はTHE YELLOW MONKEYらしい毒々しさもあるけど、新鮮な曲でした。
アニー
今までとは違うアプローチの曲ですよね。生まれて初めて、曲の半分以上シンバルが出てこないんですよ。僕はハードロックで育ってるから、シンバルを叩いてカッコ付けたいのに、それは曲が要求してない。自分がやりたいエゴよりも曲が求めてることをやってあげた曲ですね。
吉井
ありがとう(笑)。
アニー
今回のレコーディングで20世紀と圧倒的に違うのが、ほとんどの曲でデモをもらってたことなんですよ。だから、曲の全体像が見えやすかった。
吉井
デモの段階で思いっ切りクラップとかエレクトロニックが入ってる曲もあるしね。
アニー
それをずいぶん聴いたんですよ。
吉井
よく聴いてくれてますよ。デモで入れてる変なドラムまでコピーしてくれるので、“そこはやらなくていい”って言いながら(笑)。でも、同じフレーズでも人によって全然違いますからね。メンバーの手癖が乗っていくことが大事なんです。
そこまで音を削ぎ落して、メンバーの手癖を活かすようなレコーディングっていうのは、たぶん再集結した直後には出せなかったでしょうね。
アニー
無理でしたね、あの頃は気負う部分もあったし。
吉井
まさに蛹(さなぎ)から蝶々まで、なんですよね。
なるほど。「ALRIGHT」で歌ってる《生まれ変わる蛹》が見事に羽化することで完成したアルバムであると。
吉井
うん。面白いよね。4人で並んで聴いた時は興奮しましたよ。
アニー
ドラマ性を感じるんですよね。最初にL.A.でレコーディングできるか半信半疑というか、どうしても音もモードも違ったりするから、まとまるのか不安だったけど、出来上がってみたら、ここまでまとまるんだってびっくりしました。
ヒーセ
今はすごく達成感があるからツアーが楽しみです。みんなが聴いた反応が知りたい。毎回、新しい作品を作るとそうだけど、それが今回は特に強いです。3年間思いっ切りやれたからこそ、ちゃんと2019年に出す意味のある作品になったと思いますね。
取材:秦 理絵
「I don't know」MV
「天道虫」MV
アルバム『9999』ダイジェスト映像
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