爆音アワー

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いい音爆音アワー vol.101 「坂本龍
一♪特集(後編)」

いい音爆音アワー vol.101 坂本龍一♪特集(後編)
2019年4月10日(水)@風知空知
坂本龍一特集の後編でございます。
彼くらいになると、猛烈に熱心で異様に詳しいファンが数多くいるようで、私のような中途半端な愛好家が適当なことを言おうものなら、八方から非難の矢が飛んできそう(インディ・ジョーンズ第1作冒頭の、洞窟で黄金像を手に入れた直後のシーンを思い出す)ですが、……前編のときにも書いたように、

(1)繰り返しに耐えるメロディを作らせたらピカイチ
(2)構成音のひとつひとつに説得力がある
(3)ストリングスのアレンジがいい、音もいい

これが教授の三大才能だと思っていまして、それに則して選曲をしております。
ざっくり言ってしまいますと、80年代中後期の彼の仕事がいちばん好きだなぁ。『音楽図鑑』や『未来派野郎』の数曲は、30年経っても古くならないし、まったく飽きません。永遠に不滅なポップミュージックの金字塔だと思います。

福岡智彦 (いい音研究所)

セットリスト坂本龍一ヒストリー(前編からの続き)

1983年3月、YMOのシングル「君に、胸キュン。」リリース。カネボウ化粧品のキャンペーンソング。オリコン2位。
 同年、大島渚監督映画「戦場のメリークリスマス」(5月28日公開)にヨノイ大尉役で出演、デヴィッド・ボウイビートたけしと共演。
 同年5月1日、OSTアルバム『戦場のメリークリスマス』リリース。英国アカデミー賞作曲賞受賞。
 同年5月24日、YMO、6th アルバム『浮気なぼくら』リリース。
 同年10月、YMO、”散解”を発表。
YMO「邂逅 (KAI-KOH)」
この頃から多用されるノイズっぽいアナログシンセ(プロフェット5?)の音が好き♪
∨6th アルバム『浮気なぼくら (NAUGHTY BOYS)』(1983年5月24日発売)収録
作詞・作曲:坂本龍一//編曲・プロデュース:Y.M.O.
レーベル:¥EN(アルファレコード)
アルバムはオリコン1位
1983年12月10日、アルバム『Coda』リリース。
 同年12月14日、YMO、7th & 散開記念アルバム『SERVICE』リリース。
YMO「Perspective」
「繰り返しに耐えるメロディ」の歌モノですね。
∨7th アルバム『SERVICE』(1983年12月14日発売)収録
作詞:坂本龍一、ピーター・バラカン/作曲:坂本龍一//編曲・プロデュース:YMO
レーベル:Y.M.O.(アルファレコード)
アルバムはオリコン5位

高橋幸宏が、当時パーソナリティを担当していたラジオ番組「オールナイトニッポン」のレギュラーだった、三宅裕司率いる”S.E.T.(スーパー・エキセントリック・シアター)”とのコラボレーション・アルバムを作ることを細野に持ちかけ、散開記念アルバムとしてリリースすることとなった。
・坂本自身が「YMOフェイバリット」としてこの曲を挙げている。



1984年8月、MIDIレコード設立。坂本は「School」レーベルを立ち上げる。大貫妙子、EPO、鈴木さえ子が在籍していた「Dear heart」(元RVC)が合流。
 同年10月24日、Schoolより、4th アルバム『音楽図鑑』リリース。
坂本龍一「TIBETAN DANCE」
メロディが5小節で一回りってところが、なんともおおらかでチベタンな感じですな。
∨作曲・プロデュース:坂本龍一
4th アルバム『音楽図鑑』(1984年10月24日発売)収録
レーベル:School(MIDI)
アルバムはオリコン5位

・drums: 高橋幸宏/bass: 細野晴臣/guitar: 大村憲司
・Schoolレーベル第1弾。
・アルバム・レコーディングは1982年10月24日開始。1年8ヶ月を要した。
・LPレコードA面(「SELF PORTRAIT」まで)がYMO散開以前にレコーディングされたもの、B面(「旅の極北」以降)がそれ以降にレコーディングされたもの。
・ジャケットデザイン:奥村靫正(アイデアは立花ハジメ?)/写真:伊島薫
坂本龍一「PARADISE LOST
「繰り返しに耐えるメロディ」の最高峰だと、私は思う♪
∨作詞:坂本龍一、ピーター・バラカン/作曲・プロデュース:坂本龍一
4th アルバム『音楽図鑑』(1984年10月24日発売)収録

・steel drum: ヤン富田/trumpet: 近藤等則/e-guitar: 山下達郎
・同時期に隣のスタジオで竹内まりやがアルバム『VARIETY』のレコーディングをしていた。
坂本龍一 featuring Thomas Dolby「FIELD WORK (LON)」
この時点でトーマス・ドルビーとは、ほんとワールドワイドな人ですね。
∨シングル(1985年2月21日発売) B面は「FIELD WORK (TYO)」
作詞・作曲:坂本龍一、Thomas Dolby/プロデュース:坂本龍一
レーベル:School(MIDI)

・トーマス・ドルビーによるロンドン・ミックス
Thomas Dolby:1958年10月14日、ロンドン生まれ。
1982年3月、1st アルバム『光と物体 (The Golden Age of Wireless)』リリース。続いてリリースされたシングル「She Blinded Me with Science(彼女はサイエンス)」に、""Good heavens, Miss Sakamoto, you're beautiful!""というセリフがある。
坂本龍一「Steppin' into Asia」
タイ語のラップをやっているのは日本人。いい味出してる。
∨シングル(1985年9月5日発売)
作詞:矢野顕子/作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:School(MIDI)

・タイ語ラップは浅野智子。坂本の「サウンドストリート」にデモテープを送ってきたひとり。当時学生。中身はタイの昔話。
・サビvocal:矢野顕子/bass: 細野晴臣
・フジテレビの秋のキャンペーンソングとして使用された。



1985年10月5日、5th アルバム『エスペラント』リリース。
1986年3月18日、「サウンドストリート」のパーソナリティ、担当終了(5年間)。
坂本龍一「両眼微笑」
ほのぼのポップ。なんでこのタイトルになったのだろう?
∨企画アルバム『DEMO TAPE-1』(1986年4月21日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:MIDI

・坂本「サウンドストリート」の2代目テーマ曲。
・「サウンドストリート」の「デモテープ特集」に寄せられた音源の中から優秀曲を選んで収録したアルバム(プロデュース:坂本龍一・矢野顕子)
・アルバムには槇原敬之C.M.C.)「Half」、鄭東和「Old Good Day's Workers」「Cry」、収録
・アルバムのジャケットデザイン:テイトウワ

1986年4月21日、6th アルバム『未来派野郎』リリース。
1986年6月、初のソロ・コンサート「メディア・バーン」を全国24カ所(28公演)で行う。その模様を収録したライブ・アルバム『Media Bahn Live』を9月21日にリリース。
坂本龍一「黄土高原」
「構成音のひとつひとつに説得力がある」曲の代表その1。
∨6th アルバム『未来派野郎』(1986年4月21日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:School(MIDI)
アルバムはオリコン5位

・back ground vocals:吉田美奈子
・アルバムタイトルの「未来派」は20世紀初頭イタリアを中心に起こった芸術運動から取られている。
・アルバムは制作に7ヶ月を要した。
・アルバムのレコーディングに入る前に、坂本はレッド・ツェッペリンの全アルバムを聴き直したという。
坂本龍一「G.T.」
「構成音のひとつひとつに説得力がある」曲の代表その2。
∨シングル(1986年3月21日発売)
6th アルバム『未来派野郎』(1986年4月21日発売)収録
作詞:ピーター・バラカン/日本語原詞:矢野顕子/作曲・プロデュース:坂本龍一

・vocal: Bernard Fowler/e-guitar: 窪田晴男/b.g. vocal: 吉田美奈子
坂本龍一「NEO GEO」
教授の沖縄シリーズ。でもバリのケチャ入り。
∨7th アルバム『NEO GEO』(1987年7月1日発売)収録
作曲:Traditionnal, 坂本龍一, Bill Laswell/プロデュース:Bill Laswell & 坂本龍一
レーベル:TERRAPIN(CBSソニー)
アルバムはオリコン8位

・沖縄民謡「耳切り坊主(みみちりぼーず)」にロックを融合した。ケチャは坂本自身がバリ島で録音してきたもの
・「TERRAPIN」はスッポンの意味。ビル・ラズウェル主宰で、アジアの音楽とロック感覚の融合を目指すレーベルとして設立された。本作は第1弾作品。



1987年11月、ベルナルド・ベルトルッチ監督・脚本による映画『ラストエンペラー』公開。坂本は甘粕正彦満映理事長役で俳優として出演し、音楽をデヴィッド・バーン、蘇聡 (Su Cong/コン・スー)とともに担当。これにより87年度第60回アカデミー賞作曲、第45回ゴールデングローブ作曲賞を日本人で初めて受賞(映画はアカデミー賞において作品賞はじめ、9部門で受賞、ゴールデングローブ賞は4部門受賞)
1988年1月21日、OSTアルバム『The Last Emperor』リリース。
坂本龍一「First Coronation(戴冠式)」
ストリングス編曲のすばらしさを存分に見せつけてくれました♪
∨OST アルバム『The Last Emperor』(1988年1月21日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:Virgin

・mix: Steve Nye/additional arrangement: 上野耕路、野見祐二
坂本龍一「Where Is Armo?」
映画の壮大さ&アジア感にピッタリでした♪
∨OST アルバム『The Last Emperor』(1988年1月21日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:Virgin

1989年、ヴァージン・レコードに移籍。
 同年11月21日、8th アルバム『BEAUTY』リリース。
坂本龍一「安里屋ユンタ」
教授の沖縄シリーズ。でもユッスーの歌入り。
∨8th アルバム『BEAUTY』(1989年11月21日発売)収録
作詞:星克/作曲:宮良長包/編曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:Virgin Japan
アルバムはオリコン14位

・vocal: 古謝美佐子、我如古より子、玉城一美、Arto Lindsay、Youssou N’Dour、坂本龍一
・ヴァージン移籍第1弾
・”ユンタ(結歌)”は労働歌の一種。田植え歌。
・元々は八重山諸島の竹富島に伝わる古謡。これに、三線で節をつけたのが「安里屋節」。それを元に、1934年に星克作詞、宮良長包作曲でレコード化された。「新安里屋ユンタ」とも呼ばれる。



1990年4月、拠点をニューヨークに移す。
1990年、ベルナルド・ベルトルッチ監督映画「The Sheltering Sky」(12月公開)の音楽制作。ゴールデングローブ・作曲賞を受賞。翌91年にOST アルバムThe Sheltering Sky Soundtrack』をリリース。
1991年10月21日、9th アルバム『Heartbeat』リリース。
1992年、バルセロナオリンピック開会式の音楽を作曲&オーケストラ指揮。
1993年2月、YMO「再生」(再結成)を発表。
 同年5月25日、プロデュースを担当した”Aztec Camera”のアルバム『Dreamland』リリース。
 同年5月26日、東芝EMIより、アルバム『テクノドン』をリリース。6月10、11日、東京ドームにて公演。それを収録したアルバム『テクノドン・ライヴ』を8月25日にリリース。
 同年、ベルナルド・ベルトルッチ監督映画「Little Buddha」(12月公開)の音楽制作。翌94年4月6日にOSTアルバム『Little Buddha Soundtrack』をリリース。
1994年、日本国内はフォーライフ・レコードに移籍し、「güt(グート)」レーベルを設立。海外はエレクトラと契約。
 同年6月17日、10th アルバム『Sweet Revenge』リリース。
 同年、お笑いコンビ”ダウンタウン”を中心に、テイ・トウワ、富家哲と”GEISHA GIRLS”を結成。翌年にかけて活動。
坂本龍一「Sweet Revenge」
これをボツにしたベルトルッチ監督とは。
∨9th アルバム『Sweet Revenge』(1994年6月17日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:güt(フォーライフ)
アルバムはオリコン7位

・strings指揮:David Nadien ニューヨーク交響楽団の首席ヴァイオリニストだった。坂本は彼が弾く最初の音を聴いただけで腰を抜かしたと言う。
・元はベルナルド・ベルトルッチの映画「リトル・ブッダ」エンディング・スタッフロールのために書いた曲だった。制作中のタイトルは「L.B.」だった。最初別の曲を渡すと「もっと悲しい曲に」と言われ、この曲を書いて聴かせるが「もっと悲しく!」と再びボツに。ところが3回目に持っていった曲は「悲しすぎる、希望がない」と言われ、「希望」のことは聞いてないと激怒。結局5回目でやっとOKが出た。この曲をこのアルバムに収録する際。監督への復讐という意味を込めてこのタイトルにし、アルバムまで同タイトルとした。

1995年10月20日、10th アルバム『Smoochy』リリース。
1997年7月2日、アルバム『DISCORD』リリース。
1998年、国内はワーナーミュージック・ジャパン、海外はSONY CLASSICALに移籍。
 同年11月26日、アルバム『BTTB』リリース。
1999年、製薬会社三共(現:第一三共ヘルスケア)リゲインのCMに用いられたピアノソロ曲「エナジー・フロー」を収録したマキシシングル「ウラBTTB」(5月26日発売)がミリオンセラーとなり、インストゥルメンタルとしては初のオリコンチャート1位を記録。
坂本龍一「energy flow」
何も考えずに5分くらいで作った曲が自身最大のヒットに。
∨マキシシングル「ウラBTTB」(1999年5月26日発売)
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:ワーナーミュージック・ジャパン
オリコン4週連続1位、年間4位

・インストゥルメンタルとしては初のオリコンチャート1位を記録。
・オリコン調べでは累計155万枚の売上。
・本作が”癒し系”ブームを引き起こし、翌年、癒し系アルバム『〜the most relaxing〜 feel』、『image』がミリオンセラーとなった。
・本人曰く、「何も考えずに5分くらいで作った曲で、なぜ売れたのかさっぱりわからない」とのこと。



2001年、TBS50周年特別企画番組「地雷ZERO 21世紀最初の祈り」に出演。同番組と連動して、親交の深い国内外のアーティスト達に呼びかけ、”N.M.L. (NO MORE LANDMINE)“を結成し、地雷除去のためのチャリティーソング「ZERO LANDMINE」を制作、4月25日にリリース。18分という長さにも関わらず、オリコンシングルチャートで1位を獲得した(史上最長の1位曲)。
 同年、ボサノヴァトリオ”Morelembaum2 / Sakamoto”を結成し、アルバム『Casa』をリリース。この活動が評価され、翌02年、ブラジル政府より国家勲章を授与された。
2004年2月25日、アルバム『Chasm』リリース。
2006年11月6日、エイベックスと新レーベル「commmons」を共同設立。
 同年、矢野顕子と離婚。
2007年2月、キリンラガービールのCMにYMOとして出演。合わせて「RYDEEN 79 / 07」をリリース。
 同年5月19日、”Human Audio Sponge (HAS)”としてチャリティーライブを行う。
 同年7月7日、地球温暖化防止活動を応援する世界規模のチャリティー・コンサート「Live Earth」の京都・東寺会場にYMOとして出演。
 同年8月22日、”HASYMO(ハシモ)”名義で新曲「RESCUE」をリリース。
2009年3月4日、アルバム『Out of Noise』リリース。
2010年11月10日、”大貫妙子&坂本龍一”名義でアルバム『UTAU』リリース。
2014年7月10日、中咽頭癌であること、コンサート活動などを中止することを発表。
2015年、映画「母と暮せば」(監督:山田洋次/主演:吉永小百合 12月12日公開)の音楽制作で活動再開。本作で第70回毎日映画コンクール・音楽賞を受賞。12月9日、OSTアルバム『「母と暮せば」オリジナル・サウンドトラック』リリース。
2017年3月29日、アルバム『async』リリース。
大貫妙子「Espoir」
このストリングスははっきり言って最高です♪
∨19th アルバム『Ensemble』(2000年6月21日発売)収録
作詞・作曲:大貫妙子/編曲・オーケストレーション・指揮:坂本龍一
レーベル:East World(東芝EMI)


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