綾瀬はるか・池松壮亮・吉川晃司らが
急逝したアクション監督・舟山弘一さ
んに感謝と賞賛 『ジャパンアクショ
ンアワード 2019』授賞式

4月6日(土)、東京・四ツ谷市民ホールにて、『ジャパンアクションアワード 2019』の授賞式が開催された。
『ジャパンアクションアワード』は、日本俳優連合が後援、ジャパンアクションアワード実行委員会が主催する賞。映画・テレビを問わず、その年度に公開された日本のアクション作品の中から、最も優れたアクション作品や、スタントパーソン、俳優、スタッフを部門別に表彰する。第7回となる今年の『ジャパンアクションアワード 2019』では、ベストアクション作品賞、ベストアクション監督賞、ベストアクション男優賞、ベストアクション女優賞、ベストスタントマン賞の5部門から、それぞれの最優秀賞と優秀賞が授与された。また、特別功労賞も発表されている。
左から、司会のさえばとむ、飯星景子
2018年度のベストアクション作品賞は、35作品の中から選出。優秀賞には、福田雄一監督のドラマ『今日から俺は!!』、NHKの大河ファンタジー『精霊の守り人 最終章』、映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』、塚本晋也監督の『斬、』、木村大作監督の『散り椿』が選ばれた。
福田雄一監督
作品賞プレゼンターとして登壇した俳優・倉田保昭

福田雄一監督は、『今日から俺は!!』と『銀魂2』の2作品を代表して登壇。司会の飯星景子からアクションシーンの演出について尋ねられると、「ぼくは、基本的にはアクションはわからない」とコメントして笑いを誘いつつ、「アクション監督の田渕(景也)さんにお任せしている」「ふんわりと『こうして欲しい』とはお伝えしますが、基本的には見ているだけ」と、アクションチームに全幅の信頼を寄せていることを明かしている。

塚本晋也監督
また、『斬、』を代表して登壇した塚本晋也監督は、初の本格的な殺陣に挑んだ同作について、「自分も時代劇が好きなので、色々とこだわりはあるんですけど、やはりアクションはとてもデリケートで危ないもの」「自分がこうしたいというよりも、それぞれの役の意味を(アクション監督に)お伝えして、それぞれの役にあった殺陣を作っていただいた」と語った。
優秀賞5作品の中から、栄えある最優秀作品賞に選ばれたのは『精霊の守り人 最終章』。作品を代表して登壇した一色隆司監督は、「これまでの受賞作は大作映画で、今回も素晴らしい映画がエントリーされている。そんな中でこのテレビシリーズが受賞できたのは、本当にうれしいサプライズです」とコメント。さらに、昨年2018年に劇症心筋炎で急逝した同作のアクション監督・舟山弘一さんの名前を挙げ、「舟山さんの想いが通じたんだと思います。この受賞を彼に捧げたいと思います」と、追悼した。
一色隆司監督
続くベストアクション監督賞では、『精霊の守り人 最終章』の舟山弘一さん、『マンハント』の園村健介氏、『銀魂2 掟は破るためにこそある』『今日から俺は!!』の田渕景也氏、『牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-』の横山誠氏、『孤狼の血』『響 -HIBIKI-』『ギャングース』の吉田浩之氏ら5名のアクション監督が最優秀賞に選出。『マンハント』の園村氏に代わって登壇した矢島一憲氏は、主演の一人であるチャン・ハンユーのスタントダブルとして現場に参加した。ウー監督との撮影を振り返り、「最終的に(アクションを)作っては、(ウー監督に)崩され、作っては崩されを何十回と繰り返した」と、現場で演出やシーン自体を大きく変更された経験を明かしている。
田渕景也氏
横山誠氏
ベストアクション監督賞で最優秀賞に輝いたのは、『精霊の守り人 最終章』の舟山さん。ステージには妻のめぐみさんが登壇し、プレゼンターの谷垣健治氏からトロフィーを受け取った。そして、「現場での主人の様子は知らないのですが、家でも寝ても覚めてもアクションを考えて、子どもたちを相手にしたり、メモをとったりしていました。本当に命を賭けていたと思うので、喜んでいると思います。素晴らしい賞をありがとうございます」と、舟山さんの写真とともに感謝の言葉を述べている。
舟山めぐみさん
舟山めぐみさん
ベストアクション監督賞プレゼンターとして登壇した谷垣健治氏
ベストアクション男優賞では、『散り椿』の岡田准一、『銀魂2 掟は破るためにこそある』の小栗旬、『斬、』の池松壮亮、『精霊の守り人 最終章』の吉川晃司、『BLEACH』『曇天に笑う』の福士蒼汰が優秀賞に選ばれた。最優秀賞は、『散り椿』の岡田准一が受賞している。
『散り椿』臼井真之介プロデューサー
ベストアクション男優賞に選出された俳優陣は、多忙のため授賞式には出席できず。代わりに、小栗、池松、吉川はビデオメッセージで参加した。小栗は、感謝の言葉とともに、「またみなさんと楽しい仕事ができることをお待ちしておりますし、アクションをガンガンやりたいので、オファーを待ってます! みなさんで小栗をアクションヒーローにして下さい」とコメント。
ベストアクション男優賞のプレゼンター・山口祥行(アクションアワード2017 最優秀ベストアクション男優賞受賞)
池松は受賞に感謝しつつ、『斬、』の殺陣を辻井啓伺氏とともに担当した舟山さんに言及。「舟山さんがアクション監督賞をとられたそうで、とても嬉しいです。今日は舟山さんもそこに来ていると思いますから……ぼくは行けなくて申し訳ないんですけど、遠くから舟山さんのことを想っています」と語った。吉川も同じく受賞の喜びを語りつつ、「『精霊の守り人』は長期の撮影で、映画に換算すると何本分だろうか……4、5本分はあったのではないでしょうか。マンネリにならないように、アクションを構成するのは至難の業だった思います。現場での、彼の笑顔が忘れられません。密な、長い時間、仕事に関わらせていただいたことを誇りに思います。将来の映像、日本のアクションを背負って立つ、最も優秀な監督の一人になられるであろうと思っておりました。非常に残念です」と舟山さんの死を惜しみつつ、冥福を祈るコメントを残している。
ベストアクション女優賞プレゼンター・武田梨奈(アクションアワード2013最優秀女優賞)
ベストアクション女優賞では、『今日から俺は!!』の清野菜名、『精霊の守り人 最終章』の綾瀬はるか、『BLEACH』の杉咲花、『銀魂2 掟は破るためにこそある』『今日から俺は!!』の橋本環奈、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』の本田翼が優秀賞を受賞。最優秀賞には、清野菜名が輝いた。清野は受賞式には出席できなかったが、手紙で「今回で受賞させていただくのは3回目になりますが、毎回すごく嬉しいです。世界に負けないアクションを作れるように、これからもアクション界を盛り上げていきたいです」と感謝の言葉をつづっている。
武田梨奈

清野菜名、橋本環奈らの代理で登壇した福田雄一監督
なお、女優陣では、橋本と綾瀬がビデオメッセージでスクリーンに登場。綾瀬は、自らの受賞には触れず、終止『精霊の守り人 最終章』のアクション監督である舟山さんについて語っている。「舟山さん、この度は受賞おめでとうございます。『精霊の守り人』では、本当に舟山さんには、誰よりも厚く、誰よりも熱心にご指導いただきました。舟っちがいてくれたおかげで、“短槍使いのバルサ”という役が出来たと思っています。一緒に作り上げて下さって、沢山の時間を共にして下さって、本当に感謝しています。ご家族のみなさんにも、この場を借りて感謝いたします。アクションには、危険やケガはつきものだと思いますが、きっと舟山さんがみなさんのことを見守ってくれていると思います。約3年にわたり、本当に長い間、沢山の情熱を注いでくださり、本当に、本当に心から感謝しています。この思い出は、一生忘れません。この度は、本当におめでとうございました!」と。

『精霊の守り人 最終章』『斬、』舟山弘一さん
ベストスタントマン賞では、『マンハント』の荒川真、『仮面ライダーアマゾンズ』の岩上弘数、『精霊の守り人 最終章』の大島遥、『精霊の守り人 最終章』『LIFE!スペシャル 忍べ!右左エ門』の岡本正仁、『いぬやしき』『BLEACH』の栗田政明、『銀魂2 掟は破るためにこそある』のHAYATE、『仮面ライダービルド』の高岩成二、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の竹内康博、『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』の藤井祐伍、『マンハント』の矢島一憲ら10名が優秀賞を受賞。
栗田政明
HAYATE
矢島一憲
最優秀賞に輝いた岡本正仁は地方ロケのため授賞式に出席できず、会場ではビデオメッセージが上映された。岡本は、「スタントマンは、日本では地位の低い状態にあると思います。海外でも通用するスタントマンも結構いるのですが、日本ではそう思われていません。このアクションアワードをきっかけに、もっともっと(地位が)向上して、若い人たちが夢を見られる、スタントマンになりたいと思えるようになればいいな、と思っています」と訴えた。
宇仁貫三さんの弟子、俳優・円堂耕成
日下秀昭
鈴木美潮氏
また、日本俳優連合 アクション部会が長年の活躍に敬意を表する、特別功労賞も発表。今年は、黒澤明監督作や、『御家人斬九郎』『剣客商売』など多数の作品にたずさわった殺陣師である故・宇仁貫三さん、『電磁戦隊デンジマン』以降の巨大ロボットスーツアクターとして35本の作品に参加した俳優・日下秀昭、読売新聞の記者で、多数の特撮イベントを主催する鈴木美潮氏の3名が顕彰されている。
JAE所属のスタントマンらによる演舞も行われた
JAE所属のスタントマンらによる演舞も行われた
JAE所属のスタントマンらによる演舞も行われた
JAE所属のスタントマンらによる演舞も行われた
第7回ジャパンアクションアワード各部門の最優秀、および優秀作品は以下のとおり。
ベストアクション作品賞
最優秀賞 『精霊の守り人 最終章』
優秀賞 『今日から俺は!!』
優秀賞 『銀魂2 掟は破るためにこそある』
優秀賞 『斬、』
優秀賞 『散り椿』
ベストアクション監督賞
最優秀賞 舟山弘一『精霊の守り人 最終章』
優秀賞 園村健介『マンハント』
優秀賞 田渕景也『銀魂2 掟は破るためにこそある』『今日から俺は!!』
優秀賞 横山誠『牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-』
優秀賞 吉田浩之『孤狼の血』『響 -HIBIKI-』『ギャングース』
ベストアクション男優賞
最優秀賞 岡田准一『散り椿』
優秀賞 小栗旬『銀魂2 掟は破るためにこそある』
優秀賞 池松壮亮『斬、』
優秀賞 吉川晃司『精霊の守り人 最終章』
優秀賞 福士蒼汰『BLEACH』『曇天に笑う』
ベストアクション女優賞
最優秀賞 清野菜名『今日から俺は!!』
優秀賞 綾瀬はるか『精霊の守り人 最終章』
優秀賞 杉咲花『BLEACH』
優秀賞 橋本環奈『銀魂2 掟は破るためにこそある』『今日から俺は!!』
優秀賞 本田翼『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』
ベストスタントマン賞
最優秀賞 岡本正仁『精霊の守り人 最終章』『LIFE!スペシャル 忍べ!右左エ門』
優秀賞 荒川真『マンハント』
優秀賞 岩上弘数『仮面ライダーアマゾンズ』
優秀賞 大島遥『精霊の守り人 最終章』
優秀賞 栗田政明『いぬやしき』『BLEACH』
優秀賞 HAYATE『銀魂2 掟は破るためにこそある』
優秀賞 高岩成二『仮面ライダービルド』
優秀賞 竹内康博『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』
優秀賞 藤井祐伍『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』
優秀賞 矢島一憲『マンハント』
特別功労賞
宇仁貫三
日下秀昭
鈴木美潮
※敬称略

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