【LUNKHEAD インタビュー】
『plusequal』は
すごい泥臭いアルバムになった
LUNKHEADは
奇跡的なバンドだと思う
では、このアルバムが完成しての実感は?
山下
この間、全曲披露ライヴ(3月24日@下北沢GARAGE)をやったんですけど、あれの手応えがありましたね。やっぱり人前でやったっていうのが大きい。それもあってか、このアルバムの核って言ってもらいましたけど、自分でもアルバムの中での「心音」の聴こえ方が変わりました。あの日は曲順通りにやったんですけど、4番バッター感がすごかった。
小高
俺も思った。あの邪悪さはすごい。4人の塊感が一番あるっていうか。
山下
「はじまれ」とは、また違うんですよ。一番多くライヴでプレイしているっていうのもあるんでしょうけど。まぁ、アルバムの実感ってなると、リリースして、そのあとにツアーを回ると、また変わっていくんでしょうね。
小高
うんうん。やっぱりお客さんがアルバムを体に染み込ませて、ライヴに来てくれて、そこで一緒にやる…それが一番実感が沸く時だと思うんですよ。それを確かめるためにツアーをやるというか。遠くの街に俺らの音楽を聴いてくれている人がいるっていうのは、20年やってても未だにすごいことだなって思うし。
合田
まだリリース前なんで何とも言えないんですけど、いち早く聴いていただいた媒体の方とかからの“来たな、LUNKHEAD!”っていう反応が、ここ数作の中で一番強いですね。こういう作品を待っててれたんだっていうことで、すごく自信があります。
小高
それ、俺もある! 他媒体の話で申し訳ないんですけど、気に入らない時はすごいダメ出しをする人に、気持ち悪いくらい褒められましたからね。“このインタビュー、大丈夫か?”って(笑)。
それはすごく分かる! ずっとLUNKHEADを聴いてきた者にとっては、過去3作『メメントモリ』『家』『アリアル』はいろいろな方向を向いていたけど、『plusequal』はイメージ通りのLUNKHEADが出てきたというか。
小高
その感覚は俺らにもありますね。無理してないっていうか…踏ん張ってる?
最初に言ったみたいに、光を掴もうとしている感じがあるんですよね。それって闇の中にいるからであって、足掻いているというか、覚悟を決めていたり、諦めてない感じがある。って、ちょっと酷い言いようだけど。
山下
でも、それはひとつのテーマとしてあったと思う。まさに「はじまれ」ってそういう曲だし…もろ今の自分たちの状況を歌っているんで。そういうところなんでしょうね、各々の歌詞とのリンク感というか。メンバーみんなが“このヤロー!”って思ってますから。
小高
全てに対して“このヤロー!”ですよ。将来の不安に対しても、自分の弱さに対しても思ってるし。
山下
デビューした頃も“このヤロー!”と思ってたと思うんですけど、そこから15年が経って、また違ったタイプの“このヤロー!”になってますね。
そんなLUNKHEADも結成20周年ですよ。何が自分たちを突き動かし続けていると思います?
小高
“もっと売れていいのに!”っていう悔しさですかね。きっとやり方が違ったら売れていたと思うんですよ。それでも続けてこられたっていうのは、すごくラッキーなことだなと思ってて。自分たちだけの力では続けてこれなかった…それは応援してくれる媒体の人たちとかもそうだし、売れてないながらも応援してくれているファンの人たちがいなかったら続けてこれなかった。関わってくれているみんながいてくれたから続けてこれたと思うんで、本当にラッキーだったなって思いますね。
“やり方が違ったら売れていた”と言ってたけど、その違うやり方はしたくなかったんですよね。
小高
やりたくないやり方をしたのに売れなかった時があったんですよ。すごくポップなことをやって…暗いまま貫いていたらそこそこ売れてたかもしれないけどもっと売れたかった(笑)、自分でも“ぶれたな”って思ってしまったというか。歌詞も“書いている”んじゃくて、“書かされている”という感じだったし。
だけど、ポップに行き切らなかったっていうのは、ひとつのターニングポイントですね。
小高
ターニングポイントになってますね。あの頃は毎晩みんなと集まって“ポップな音とは何か?”って話し合ったりしてたし…あれは嫌でしたね。
そこで“孵化”というタイトルのヒリヒリとしたアルバムが出てきたのは、今になって思えばLUNKHEADらしいところだなと。
小高
完全に反動ですよね。“LUNKHEADが戻ってきた!”とか言われましたけど。そういう意味で言うと、『plusequal』はすごい泥臭いアルバムになったと思います。LUNKHEADっぽいとも思うし。
紙資料にも“どんどん出てくる若いバンドに抜かれていった”とあるし、『孵化』の時とは違う“このヤロー!”みたいなところがありますよね。
うんうん。では、そんな結成20周年を迎えたLUNKHEADってどんなバンドだと自分たちは思ってますか?
小高
奇跡的なバンドだと思うんですよ。バンド仲間だったけど、もう辞めてしまった友達とかから“お前らは俺らの希望だから、絶対に辞めちゃ駄目だよ”って言われ続けてここまできた…だって、ただの愛媛の高校の同級生ですよ。それが20年も続けてこれているっていうのは、ほんと奇跡的なバンドだと思いますね。
合田
小高と似ているんですけど、僕はLUNKHEADって変なバンドだと思ってて。いろんなことがあった中で、もちろんいい時期もあったし、悪い時期もあって、それでも残っているっていうのは何か意味があるんだろうなって。だから、この先も何かあるって自分でも思ってしまうというか。
合田
別に続けたくて続けているわけじゃないんですよ。続けてたら20年が経ってたという感じなんで。
山下
まぁ、真面目なバンドだと思いますね。“続けたくて続けているわけじゃない”っていうのは感覚としてあるし、意識的にしているわけじゃないけど、ちゃんと各々がバンドを守る動きをしてるっていうか。
そのメンバー間のバランスもいいんでしょうね。
山下
いや、バランスは悪いですよ。悟はベースの音をでかくするし(笑)。
小高
そのバランスの悪さがいいんじゃない? 変に馴れ合わないし、言いたいことは言い合うし、険悪になってもすぐに仲直りするし…その絶妙なバランスの悪さがいいんですよ。あり得ないような紙一重のバランスで石を積み上げる人っているじゃないですか。あんな感じ? 神掛かったバランスの悪さ。
山下
それ、キャッチーやな。次の紙資料に“神掛かったバランスの悪さのバンド”って使おう(笑)。
取材:土内 昇
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アルバム『plusequal』2019年4月17日発売
直球
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『LUNKHEAD ONEMAN TOUR 2019「plusequal」』
5/12(日) 東京・新宿LOFT
※『猪突猛進のみかん祭』
5/18(土) 北海道・札幌COLONY
6/01(土) 福岡・キューブリック
6/02(日) 愛媛・新居浜ジャンドール
6/08(土) 宮城・仙台LIVE HOUSE enn 2nd
6/15(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
6/29(土) 大阪・心斎橋JANUS
6/30(日) 愛知・名古屋ell FITS ALL
7/19(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
ランクヘッド:1999年に愛媛県で結成され、04年1月にシングル「白い声」でメジャーデビュー。10年4月にオリジナルメンバーの石川 龍(Dr)が脱退するも、桜井雄一(ex.ART SCHOOL)を迎えての新体制となる。結成20周年となる19年には、4月に12枚目のアルバムとなる『plusequal』を発表。LUNKHEAD オフィシャルHP