【インタビュー】伊万里有、「一緒に
いられる時間を長くしたいから音楽を
やっている」

伊万里有が4月3日に2枚目のEP「My Love Is...」をリリースする。
本作は2018年8月のデビュー作に収録されていた「Am I Your Boyfriend feat. spi」と同じく、サウンドクリエイターのUTA、Sunny Boyらを再びプロデューサー陣に迎えて制作された。リード曲で、3月6日に先行配信された「離さないで」のミュージックビデオも現在公開中だ。

ミュージカル『刀剣乱舞』での長曽祢虎徹役など俳優としての活動に加え、アーティストとしても音楽に真摯に向き合う伊万里有。今回はそんな彼の、生い立ちから音楽との出会い、そして「My Love Is...」に込めた思いを語ったオフィシャルインタビューをお届けする。

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■今回のテーマは“愛”

──生まれも育ちも佐賀だそうですが、どんな少年でしたか?

伊万里有:ケガが多い子でしたね。身長はまだ小さくて、身体が弱かったです。でも、ガラスに突っ込んで行ったり、危ないことばかりしてました。車に轢かれそうになったり、自転車でありえないスピードで走ったりも。いまだにですけどね(笑)。ケガすることに慣れてます。

──どんな音楽を聞いて育ちましたか?

伊万里有:姉貴と兄貴がいて、6歳上の姉貴が中学の時にパンクを聞いてたので、僕も小3くらいの時にパンクを聞いて、小5で耳に安全ピンをさしてました。自転車通学しちゃだめなのに、ピンク色に塗った自転車で学校に行って校長室によばれたり。頭にスプレーする塗料があって、学校に行く途中で青に染めたりもしました。セックスピストルズとかランシドとか聞いていたので。兄貴はZeebraさんが好き過ぎて、坊主にしてました。うちは音楽に影響されまくっている兄弟でしたね。兄貴はヒップホップのDJで洋楽も邦楽も聴いてました。DMXとかアリーヤが亡くなったあたりによく聴いていたのを覚えてます

──美容の専門学校に通うために高校を卒業して東京に出て来たそうですが、東京ではどんな暮らしをしてましたか?

伊万里有:美容の専門学校は大学と違って全く時間がないんですよ。朝から晩まで授業で、終わったらバイトです。自由な時間がなかったです。

──ダンスをしたり、音楽に接する機会も全くなかったのですか?

伊万里有:忙しくてなかったですね。小学校の時にパンクを聞いて、中学、高校でヒップホップを聞いていた頃が一番音楽を聞いていました。

──晴れて美容師になった後に、ご自分には合わないとのことで1年ほどで辞めたそうですが、美容師をやめる時は“次はこれをしてみよう”というビジョンはありましたか?

伊万里有:何もなかったです。とにかく辞めたいだけで。でも、そんな時にBMXに出会ったんです。当時、ピストバイクが流行っていて、代々木公園で乗っている人と仲良くなったんです。それで自分もはじめて。でもすぐできるようになってしまったので、BMXのフラットランド(自転車競技の一種で平らな地面でBMXで走行しながらバランスを取りつつ様々な技を連鎖でいれていく競技)に出会ったんです。BMXをやり始めたらめちゃくちゃ楽しくて。世界チャンピオンとかに教えてもらって、一緒に乗っていたんですよ。BMXを教えてくれて一緒に乗っていた人たちから、俳優になるきっかけとなったディーン・フジオカさんを紹介してもらいました。なので、BMXがなかったら、今の僕はなかったです。

──ミュージカル『刀剣乱舞』に引き続き、先日は舞台『ガンダムOO』に出演していましたが、終えてみていかがでしたか?

伊万里有:僕がやってきた舞台の中で一番お客さんの反応がよかったです。最初は“舞台でガンダム?”ってことで不安ばかりでしたが。ガンダムを見てない人には分からないと思うんですが、ガンダムって人間ドラマが凄いんですよ。そのドラマを見てもらう感じです。ガンダム本体はライザーっていう動く台の上に人が乗って座って、それを人が動かすんですよ。結構危険な感じです。僕は一回本番で倒れましたよ。生で見たらとても面白いと思いますよ。新しいアトラクションですね。
──続いてファーストEP「My Name Is…」 についてもお話を。今振り返ってみて、どんな作品だったと思いますか?

伊万里有:ファーストEPは、“伊万里有とはどんなアーティストか”っていう自己紹介みたいな感じですね。当然ですが、演劇の世界では伊万里有自身を出せないんですよ。お客さんはそのイメージで僕のことを好きになってると思うんですよね。舞台を降りてもイケメンなキャラクターを作っている役者も多いんですが、僕はそれができなくて、そのままの自分になってしまうんです。そうしたら「伊万里有は面白い」とか「イっちゃってる」みたいに言われるようになって。僕のイベントの遊びに来て、みんなずっと笑って帰ってくれるんですよ。そういうのをみて、音楽だったら本当の自分を出せるんじゃないかなって思ったんです。

──音楽制作をしてみてどうでしたか?

伊万里有:ミュージカル『刀剣乱舞』が始まる前に、PMXさん(DJ PMX。1980年代後半から多くアーティストをプロデュースする日本のヒップホップ・プロデューサー)のスタジオでラップをする機会があって、言われた通りにやってみたら、まあちょっとはできたんですよね。でも、ミュージカル『刀剣乱舞』で歌うことになったら、全然思うようにいかなくて。それで音楽に対して自信がなくなってしまったんですよね。だから、音楽が好きなのにイヤになってしまって。でもある時、嫌いなままで逃げちゃいけないなって思ったんです。だったらミュージカルじゃなければいいんじゃないか。自分の好きなジャンルで攻めたらどうなるのか?と自分への好奇心がわき上がりました。今まで美容師からも逃げて、いろんなことから逃げてきた。30歳になって成人した感じです。

──レコーディングは楽しかったですか?

伊万里有:レコーディングの時はミュージカル『刀剣乱舞』の第二部に出演中で、一番忙しい時だったんですが、UTAさんとSunny Boyさんに自分が好きな音楽についてとことん話したりしているうちにまた音楽が好きになってきました。レコーディングに行けたから辛いことも乗り越えられたと思います。作っていただいた曲も完璧でした。僕の場合、音楽を嫌いになる理由が音楽で、音楽を好きになる理由が音楽でした。

──セカンドEPのタイトルは「My Love Is…」ですが、前作の「My Name Is…」からの続きのような感じですか?

伊万里有:続きではないですね。前回は伊万里有とはこんな人物だっていうコンセプトでしたが、だからといってあれを聴いただけじゃ分からないかもしれない。でも、“伊万里有ってこんな曲が好きなんだ”っていうのを分かってもらえたと思います。舞台で僕のことを知ってる人にとっては、とてもつもないギャップだったと思いますが。ファーストEPを出した時にに僕のファンじゃない人で、僕の曲が好きっていう人がめっちゃ増えたんです。あとは、spi(俳優、歌手。ミュージカル『刀剣乱舞』にも出演)とやれたのも大きかったと思います。俳優の伊万里有を知らずに聴いて、曲で僕を知って舞台を見に来てくれる人もいました。そういう効果があることを知れたのもよかったです。だったら、僕の恋愛感を知りたいって思ってる人もいるんじゃないかって思って、今回のテーマは“愛”で行こうってことになりました。

──レコーディングはもう慣れたものという感じでしたか?

伊万里有:いや、一生慣れないですね(笑)。

──収録曲の中で、好きな歌詞を教えてください。

伊万里有:先行配信の「離さないで」は、普段日本人が直接好きな人に向かって言えない、絶対言わないようなことを歌詞で語ってます。「一生かけて君を守る」とか「世界の果てまでmy love」とか、重いくらいの愛を曲に乗せてさらっと言ってるところがいいのかもしれないです。好きな一行は「バカにされても関係ない」ってとこです。僕はバカにされ続けて生きてる人生なので(笑)。20代の時はバカにされたくないって思って生きてたんですけど、今はバカにされたら「ありがとうございます」って心の中で言ってます。人目を気にせずに、好きなものに一直線になれる方がいいって思うので。愛もそうだけど、人に左右されるのではなく、自分で答えを見つけるのが大事なのではないでしょうか。
──制作中に難しかったことはありますか?

伊万里有:英語のネイティヴ的な発音。これは難しかったですね。Sunny Boyが指導してくれたので、結構頑張りました!

──好きな女性のタイプがあれば教えてください。

伊万里有:いつも笑っている女性が好きです。僕は笑わせることが取り柄なので。僕のイベントは僕のファンじゃない人も来ますから。笑うために(笑)。

──今後、一緒にやってみたいアーティストはいますか?

伊万里有:いっぱいいますよ。昔からよく聴いて励まされているのはJasmineさんです。Jasmineさんは、歌が生きてるっていうか。美容師やめてBMXしかやってなくて、今からどうやって生きていけばいいのかって時にラジオを聴いて勇気をもらってました。だから、そういうアーティストとやりたいです。というか、伊万里有とやりたいって言ってもらえるようなアーティストになりたいですね。

──伊万里有さんも曲で人を励ましたいのでしょうか。そしてどんなアーティストになっていきたいですか?

伊万里有:音楽のいいところは、落ち込んでいる人がそれを聴いて癒されたり、1日が始まる前に励まされたり、仕事終わって帰る時とかにリラックスしたり、その人にいい影響を与えることができることです。元気がない時に聴けば元気がでますし。「My Name Is..」を出した時に、いろいろ感想をもらいました。自殺を考えていたけど、僕の曲を聴いて自殺するのやめましたっていう高校生もいました。一曲の長さって3分くらいじゃないですか。だから3分間その人の時間を奪っているんです。曲を聴いている間は、聴いている人と一緒にいれる時間だと思います。一緒にいれる時間を長くしたいから音楽をやったっていうものあるかもしれません。舞台だけだと意外に他では接点がないんです。僕がファンだったら、もっと声も聞きたいし、常に新しい姿を見たいなって思うんです。アーティストだったら、音楽という形あるものに加えてライブでも会えるのがよいので、これからも自分の音楽でいい影響を与えることができて、いい時間を共有できるようなアーティストになりたいですね。
「My Love Is...」

発売:2019年4月3日(水)

■初回盤
2,900円+税(VIZL-1566)
[CD]
01.離さないで
02.Come Now
03.Beautiful
04. Am I Your Boyfriend feat. spi(T-GROOVE Remix)
05.離さないで(Instrumental)
06.Come Now(Instrumental)
07.Beautiful(Instrumental)
[DVD]
01. 離さないで(Music Video)
02. 離さないで(Music Video Making)
03. Iʼm Talkinʼ To U((Music Video)
04. My Place(Live Music Video)

■通常盤
1,600円+税(VICL-65170)
[CD]
01.離さないで
02.Come Now
03.Beautiful
04. Am I Your Boyfriend feat. spi(T-GROOVE Remix)
05.離さないで(Instrumental)
06.Come Now(Instrumental)
07.Beautiful(Instrumental)

先行配信シングル「離さないで」

発売:2019年3月6日(水)
iTunes Store、レコチョク他、各配信サイト またLINE MUSIC、Apple Music、Spotifyなど定額制ストリーミングサービスにて配信

アーティスト

BARKS

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