【連載】Vol.066「Mike's Boogie St
ation=音楽にいつも感謝!=」

エリック・クラプトンの屋台骨 ネイザン・イーストにEC公演直前インタビュー + NEのBlue Note TOKYOライヴ・レビュー~祝:来日79回~
4月の日本武道館公演が待ち遠しいエリック・クラプトンの35年以上に亘るネイザン・イーストが、自らのバンドを率いてBlue Note TOKYOで素晴らしいステージを披露した。そして大の親日家としても知られるネイザン、東さんに3月6日夕刻、BNTのバックステージでゆっくり話しを聞いた。
Mike:ネイザンさん、お帰りなさい!日本の音楽ファンは、貴方がよく海外へ仕事に行ってますね、という感覚です。今年のツアーは2月12日北京から自らのバンドBand of Brothersを従えてスタート、BNT後の3月8日の台湾まで12本あります。

そして1カ月ほど時間を空け、その後エリック・クラプトン・バンドとしてのツアー。4月13日の日本武道館からスタート、6月10日ドレスデンまで12本。まずはEast Asiaツアーの中国5公演についてお聞きします。中国ファンのステージへの反応はどうでしたか?

Nathan:彼らは本当に素晴らしかったです。とってもエキサイティング!若い観客がたくさん観に来てくれましたし、彼らは私たちの音楽を一生懸命に学んでくれていました。北京のBlue Noteも二晩ともソールド・アウト!昨年は初めての中国公演を北京のBlue Noteで行いましたが、今回は初めての本土ツアー。中国の新幹線にも乗りましたが、想像以上にとても速かったですよ。そして中国料理は勿論“オイシイ”。中国ツアーの後のジャワ・ジャズ・フェスティバルと合わせて日本公演に向けてのよいウォームアップになると考えました。演奏回数を重ねることで楽曲が力強くなりますし、また実際のところ中国をツアーしたことが一度もなかったので、私たちの音楽を好んで聴いてくれる新しい観客を得るのにも良い機会になると考えました。私はアジアが好きですし、特に日本へ戻ってきてもっと素晴らしい演奏できることが楽しみなんです。
M:今回のBand of Brothersメンバーの紹介をお願いします。
N:ベース&ヴォーカルがジェームス・イースト、実兄です。
兄が若かった頃、私が実家に残したベース・ギターを手に取り、あっという間に独学で習得してしまいました。とても優秀なミュージシャンです。自分の家族の一員とプレイできるのはとてもエキサイティングです。
ドラムスのスティーヴ・フェローニとはもう30年以上一緒に音楽をプレイしています。80年代はECBのメンバー、そして数多くのレコーディングでも一緒にプレイしました。私のアルバムでもドラムを叩いてくれました、まさに兄弟です。
ギターのマイケル・トンプソンも同様で、数多くのセッションを一緒にこなしました。エリック・クラプトンの「Change The World」、そしてセリーヌ・ディオンやデイヴィッド・フォスター、ベイビーフェイスらとも何度もプレイ。彼も私の兄弟みたいなものです。
ジャック・リー/ギターは今回のツアーの実質的なオーガナイザーです。韓国出身ですがアジア中に友人がいます。中国の友人たちといろいろ交渉。列車やら飛行機やらの移動の手配、そして会計係も担当してくれたのです、信じられない!(笑)もちろんそれだけではなく、彼は素晴らしいソングライター、今回のツアーでセットリストに入っている「April」は彼の作品。ボブ・ジェームスとアルバム『Botero』を発表しています。私のアルバム『Reverence』でもプレイしてくれました。彼は韓国におけるパット・メセニーのような存在で、パット・メセニーを心底リスペクトしていますし、パット・メセニーも彼をリスペクトしています。そしてパット・メセニーは私の好きなミュージシャンの一人でもあります。
東京在住のケイレブ・ジェームス/キーボードは私がファースト・ソロ・アルバムをリリースした時、ここ東京でのリリース・パーティでの音楽監督でした。彼とは長い付き合いです。素晴らしい人物でプレイヤー、シンガー、ミュージシャンとしていつも敏腕ぶりを発揮してくれるのです。
そして住友紀人も好人物。素晴らしい映画音楽作曲家で、ウィンドシンセサイザー、サックス、キーボード、弦楽器など、いくつもの楽器を演奏。彼も含めメンバー各々が発電所のようで力強く、一緒に演奏していて本当に楽しいし家族のようです。そしてネイザン・イースト、私です。バンドの中で私がいちばんひ弱なメンバーです(笑)。ツアーに出るということは家族や他の人々を住み慣れた地へ残すことになりますが、一方で私たちバンドは家族のようになります。これまで何度も日本にやって来てます、私にとってこれが79度目の訪日になります。まるで第二の故郷のようで、家に帰ってきたように感じます。30年以上、いやほぼ40年の間にとても多くの友人やその他大勢の人々と知り合うことができ、日本に着いた時はこちらから電話する人がたくさんいます(笑)。食事も最高ですし、景色も素晴らしいし、日本の友人と会うのがいつも楽しみなんです。

M:エリックからECBへ誘われたのは何時ですか?彼と気の合うところはどこでしょうか?
N:1983年のアルバム『Behind The Sun』のレコーディングが彼との初仕事でした。
▲from Mike's Collection

それから86年にフィル・コリンズがアルバム『August』をプロデュースして、4人編成のちょっとしたバンドを作ったのです。フィル・コリンズ、エリック・クラプトン、グレッグ・フィリンゲインズと私です。
▲from Mike's Collection

そしてツアーで各地を回ったのですが、86年のそれがエリック・クラプトンとの初ツアーでした。モントルー・ジャズ・フェスティバルにも参加、それからロイヤル・アルバート・ホールです。その年は6公演行いました。翌年は12公演、翌々年は18公演、その次の年は24公演を行い、この時に『24 Nights』というライヴ・アルバムを作ったのです。さすがに24公演は多かったですね。それ以降は回数が減りましたが、私自身はフィル・コリンズやエリック・クラプトンを含めて色々な人たちと合計100回以上ロイヤル・アルバート・ホールで演奏しています。私たちは90年代には『Unplugged』をレコーディングして、それからジョージ・ハリスン最後の日本ツアーや、クロスロード・フェスティバルなど、多くのツアーを敢行しました。
▲from Mike's Collection

もう彼も兄弟や家族のようです。彼は本当にグレイト・ガイです。つい最近は『Happy Xmas』というクリスマス・アルバムを作りましたし、数多くのアルバムとツアーを一緒にこなしました。おそらく彼とは他の誰よりも多くプレイしているでしょうね。

M:79回目の来日ということですが、1回目はいつでした?
N:初来日は1980年、リー・リトナーと一緒でした。六本木ピットインで演奏したのが最初です。
M:最初に音楽を意識したのはいつごろでしょうか?
N:いちばん最初の音楽体験は、14歳の時にサン・ディエゴのクライスト・ザ・キング・チャーチという教会にあったベース・ギターを手に取った時でした。祭壇に置いてあったベース・ギターを持ったとたん、とても特別なものを感じたのが、音楽に対する目覚めでした。その音がどこにあって、それがどうやって他のプレイヤーの奏でた音と一緒になるのか分かるような感覚でした。
M:最初に触れた楽器は?
N:それ以前はバークレイの中学校のオーケストラで3年間チェロを弾いていました。とても美しい音色が出る楽器で耳を育てるのには良かったですし、最初の楽器がチェロで良かったです。実家にはピアノがあったので、成長していく中でそれを弾いたり、幼い頃はヴィンス・ガラルディ演奏の『A Charlie Brown Christmas』(スヌーピーTVアニメのサントラ盤)を聴いたりもしました。そういったものが初めて耳にした音楽で、とてもクールでしたし大好きでした。それからウェス・モンゴメリーやアース・ウィンド&ファイヤーなども聴いて、それら全てが私を音楽好きにしてくれて、音楽が私の体の中へ入ってき始めたのです。
M:どんな家庭で育ったのでしょうか?
N:私は大家族の出身で、父母の他8人の兄弟がいました。いちばん最初に生まれた姉はすぐに亡くなってしまいましたので、5人の男子と2人の女子です。私は真ん中で、2人の兄と2人の弟と2人の妹がいます。ケンカしたり遊んだり楽しいことをしたりと、サン・ディエゴでごく普通の幸せな子供時代を過ごしました。今でも兄弟姉妹全員ととても仲良しです。両親は亡くなるまで45年間添い遂げました。
M:筋肉モリモリ、カッコいいです。スポーツも得意だったのでは?
N:ハハハ。私は水泳が好きなんです。私の父は陸上競技のスターで大学時代は世界記録保持者だったんですよ。1940年にはあのジェシー・オーエンスに勝ったのです。オリンピックにも出場できたかもしれなかったのですが、第二次世界大戦のためにその年のオリンピックが中止になってしまいました。本当に速かったのですよ。50メートルと100メートル走で世界一だったんですから。そして現在は私の娘がカリフォルニア大学バークレイ校で短距離選手として頑張ってます。60メートル、100メートル、200メートル。とても速いですよ!私は遅いですが。ハハハ。

M:10代でよく聴いた音楽は?
N:いちばん最初に買ったレコードのひとつがビートルズの「Nowhere Man」でした。
♪He's a real…♪  一緒にハモらせて貰った。(冷や汗)
もうひとつはスモーキー・ロビンソン&ミラクルスの「More Love」。モータウン・サウンドとビートルズ。モータウンではテンプテーションズ、フォー・トップス、スティーヴィー・ワンダー、グラディス・ナイト・アンド・ザ・ピップス。そしてクリーム、ブラインド・フェイスなども聴いたので、英米両方の音楽を楽しんでいたのです。
M:今ツアーでスティーヴィー・ワンダー楽曲をセットリストに加えています。
N:スティーヴィー・ワンダーは私の友人です。私のファースト・アルバムでも演奏してくれました。彼の楽曲をレコーディングしたかったのです。スティーヴィー・ワンダーの歌はみんな大好きですからね!
M:プロのミュージシャンになった切っ掛けは?
N:私はカリフォルニア大学サン・ディエゴ校で音楽を学んで、音楽学士の学位を取得しました。そして修士課程での私の教官、バート・トゥレツキ―というコントラ・バス奏者でしたが、「お金を稼ぐにはロスに拠点を移すべきだ」とアドバイスしてくれました。また私は16歳の時に、ラヴ・アンリミテッド・オーケストラのバリー・ホワイトとツアーしたのです。若造だったのにマディソン・スクウェア・ガーデンやアポロ・シアターで一緒に演奏したのですよ!私にとって初めてのビッグ・ギグでした。彼の多くのレコードで演奏したのですが、彼はミュージシャンの名前をクレジットしないのです。(笑)初めて参加した彼のレコードを見ても私の名前がなかった、ガッカリしました。

M:レコーディングでの苦労話しを少し披露してください。
Nその場に行ってグレイトな姿勢で素晴らしい音楽を作るという、ほぼ毎日がチャレンジのようなものです。幸運にも殆どにおいて音楽が私をプレイさせてくれます。ウェイン・ショーターの『Joy Rider』というアルバムは困難を極めました。楽曲がとても難しくで大変だったのですが、ウェイン・ショーターは完全にそれにのめり込んでいました。まさにチャレンジングでした。

M:日本のどこが気に入っているのでしょうか?
N:全部です。真面目に全部です。漢字も好きですし、食べ物も好きですが、なんといっても人です。車もね。友人でトヨタの会長・稲葉良睍さんの引退パーティで彼と私は一緒にステージに立ちました。彼は歌うのが大好きですからね!15年以上の良き友人です。私はトヨタのシエナ、ハイランダー、レクサス・ハイブリッドRX450などを乗り継いできて、トヨタ車はとても好きなんです。
M:日本のベース奏者で仲の良いのは?
N:櫻井哲夫ですね。80年代初期にカシオペアのアルバム『4 x 4 FOUR BY FOUR』で共演しました。リー・リトナーとドン・グルーシンとカシオペアでレコーディングしました。テツは「ト モ ダ チ」(日本語)です。ほかミュージシャンではミスター渡辺貞夫小田和正。カズマサは親しい友人で、彼はビートルズとバート・バカラックが好きですよね。グレイトなミュージシャンで、彼の数多くのアルバムで演奏しました。私のファースト・アルバムでは「Finally Home」という楽曲を一緒に書きました。

M:長きに亘って活動されていますが、忘れられないライヴ、レコーディングを教えてください。
N:数多くあります。ダフト・パンクがレコーディングした「Get Lucky」はとても楽しかったですよ。ベイビーフェイスがプロデュースしたエリック・クラプトンの「Change the World」も。バリー・ホワイトとのセッションも素晴らしかったし、ひとつひとつのセッション全てが良い思い出です。クインシー・ジョーンズとはマイケル・ジャクソンなど最高のミュージシャンたちと一緒で素晴らしかったです。

M:最後に以下の人物などについて一言お願いします。
N:OK!
*アンディ・フェアウエザー=ロウ:ラヴリーで愉快な人物です。彼はテニス・プレイヤーで本当に身体が引き締まっています。素晴らしいミュージシャンで、ツアーを共に楽しんだり、エリック・クラプトンの『Unplugged』でも一緒にプレイしました。

*クインシー・ジョーンズ:偉大なる人物です、史上最高の人です。プロデューサーとしてだけでなく、ひとりの人間としても、アレンジャーや作曲家としても、全てにおいて彼はトップの中のトップです。そんな彼を友人と呼ぶことができることが素晴らしいです。クリスマスにはいつも彼の家に呼ばれてクリスマス・パーティを開くのです。本当に良い人ですよ。

*マイケル・ジャクソン:史上最高のアーティストの一人です。彼はちょっぴりシャイなところがありましたが、クレイジーな人物ではありません。みんな彼のことをクレイジーと思っていますが、スタジオではナイス・ガイでしたよ。 冗談を言ったりして本当に良い人でした。大好きでした。
*ジョージ・ハリスン:ロンドンに行った時はよく自宅に招いてくれて、一緒に長時間過ごしました。彼がロスに来たときは私の自宅に来て紅茶を楽しみました。ただただラヴリーな人物。亡くなってとっても寂しく思います。

*リンゴ・スター:彼の最近の2枚のアルバムで一緒に演奏する機会があり、とても楽しかったです。愉快な人物ですよ。彼は私に直接電話してくるのです。最初は冗談かと思ったのですが、彼が本当にかけてくるのです。スゴイことです。私はビートルズの大ファンでしたから。

*YAMAHA:ほぼ40年間ヤマハ・ベースを弾いています。1980年にエイブラハム・ラボリエルが私に最初のヤマハ・ベースを譲ってくれました。それから当時ヤマハにいた萩さんからBB-1000をいただいたのですが、これに驚かされました。毎年新しい楽器を作っていて、最近ヘッドのない新しいモデルを作り、3月5日のステージで初めて使用しました。私たちはとても良好な関係にあり、ヤマハ・ミュージック・エンターテインメントのレーベルを立ち上げた時に、レコードを作ることを頼まれたのです。ヤマハは家族です。
*ビル・ワイマン:数回しかお目にかかっていませんが、彼こそベース・プレイヤーの基本です。堅実なミュージシャンで、ストーンズのレコーディング作品で大きく貢献しています。

*チャック・リヴェール:チャックは素晴らしい。本当に素晴らしい。彼は何でも演奏出来るんです。森林保護活動家でもあります。私の大好きな人物の一人です。

そのインタビューの前日、3月5日のファースト・ステージをBlue Note TOKYOで楽しんだ。Band of Brothers、この夜ネイザンの強いバンド愛が生んだ兄弟の固い結束に感動。来月からのエリック・クラプトン・バンド日本武道館5公演への期待も大きく膨らんだ。
ステージに上がったネイザン・イースト率いるBand of Brothers!甘く低音の挨拶が終わるやお馴染みの「ライフサイクル」で始まった。曲間にネイザンらしい運指のフレーズを織り込んだインスト曲。今回はYAMAHAヘッドレス6弦ベースを抱え、何とも言えないカッコよさ!これは今回のツアーから使用しているベースだ。続いて「101イーストバウンド」、心地よいスティーヴ(DS)のリズムにジャック・リーの甘いギターが胸に染みる。次にノリヒトのEWI(Electronic Wind Instrument)、ケイレブ(KBD)によるソロが続き再びリーに戻り、“TOKIO”と何度もリフレイン。(これもスキャット/Sing Like Talkingか!)2年前のステージでは終盤に熱きプレイで盛り上げた曲だが、今回は計算される尽くした構成に変貌しそれぞれのパートがきっちりとした尺で演奏されていた。
続く「イレヴェネイト」、2年前のオープニング曲だ。各パートがバランスよく配合された、完成された大人のジャズに仕上げている!ここでもリーのギターが甘く響く。
「レター・フロム・ホーム」冒頭に鳥のさえずりをSEとして抒情的なサウンドで構成された曲。テーマとなるフレーズからプログレ的な展開となり、驚きながらも聴き惚れる。
そして今回のハイライトの一つとなる「エイプリル」これはリーによる曲。リーのギターにネイザンのスキャットが絡む。前回も書いたがロック・テイストな曲へと移り変わる瞬間が堪らない。ここではもう一人の主役、盟友マイケルの切れ味鋭いギター・ソロに目が奪われていく。間髪入れずケイレブのハモンド風のキーボード・ソロ、そして甘いトーンのリーのソロ、続くマイケルのドラム・ソロとノリヒトのEWIへと兄弟のソロが切れ目なく続く。終了後改めてネイザンから「リーによる曲だ!」とアナウンス。そしてメンバー(Brother)の紹介だ!ここはアメリカ人らしくウィットに富むネイザンのMCに場が和む(笑)
「ハイヤー・グラウンド」はスティーヴィーでお馴染みのR&Bナンバー、場内はノリノリだ。(1)(3)(5)とともにアルバム『REVERENCE』から。
▲from Mike's Collection

ノリヒトのサックス・ソロは観客をぐいぐいとノセていく。そしてスラッピーなスタイルのネイザンのベースだ!この時代が好きな爺には堪らんよ(笑)メンバーのSing Like Talkingを入れた後は、あのメロディー!「サー・デューク」。もう1曲スティーヴィー。ネイザンのベースが主旋律をWalking。実に心地よくへ仕上がっている。ここでもリーとケイレブのソロが重要なパートを担っている。最後は一糸乱れぬプレイとまり場内は息を呑む。素晴らしいぞ、兄弟バンド!
アンコールは「マディバ」。曲頭にあの名曲「Change the World」のサビを!来月から始まるECバンドへの期待感から場内は異常に盛り上がる。そこから始まった「マディバ」は勿論、場内総立ちにさせる曲だ!彼らのビートが集約されたアンコール終盤はただダンス・ダンス・ダンス(笑)ハイ!!!
▲セットリスト

ライヴ・ショット:Pic.by Takuo Sato

☆☆☆

キース・リチャーズ『Talk Is Cheap』30周年エディション 全世界で3月29日リリース!6曲もの未発表ボートラ収録なのだ!!
1988年10月3日キース・リチャーズのファースト・ソロ・アルバム『Talk Is Cheap』リリース。その気骨溢れる素晴らしい出来栄えに多くのロック・ファンが驚愕。一気にキース・フリークが倍増したのを思い出す。その新作をフィーチャーしてキース・リチャーズ&ザ・Xペンシヴ・ワイノウズのUSツアーが同年11月24日~12月17日まで敢行された。12月5日のボストン/オーフューム・シアターでのステージを僕は堪能した(12月4日TIXもスタンバイしていたのだが、同日ボストン着が大幅に遅れ、残念ながら空港からタクシーで会場に到着した時はすでに観客が帰路についているところだった。以来、海外でのコンサートやインタビューの際は必ず前日現地着)。5日のセットリストは…
Take It So Hard/How I Wish/I Could Have Stood You Up/Before They Make Me Run/Too Rude/I Wanna Be Your Man/You Don't Move Me/Make No Mistake/Time Is On My Side/Big Enough/Whip It Up/Locked Away/
Little T & A/Struggle/Happy/Connection/Rockawhile/It Means A Lot
実力者揃いのサポート・ミュージシャンを従えてのそのステージに感動し涙した。終了後、バックステージでのアフター・パーティーでキースと何を話したか、嬉しさの余りよく憶えてないが、実に飾らないその姿は印象深かった。
▲Pic.by Mike

そんなキース『Talk Is Cheap』が30周年エディションとなり全世界で3月29日にリリースされる。それも6曲もの未発表ボートラ収録なのだ!!英国音楽雑誌「MOJO」4月号ではそのニュースを軸にしてのキース特集、表紙+付録CD、そして17頁のスペシャルだ。
▲from Mike's Library

『TALK IS CHEAP: LIMITED EDITION DELUXE BOX SET』
今回のキース30周年作品では、最近の“流行り”である様々なヴァージョンが登場、コレクターの心を擽る。そんな中で基本となると思うのがLEDボックス・セット。
●最新リマスター音源収録CD
●6曲の未発表音源を収録したボーナスCD
●最新リマスター音源を収録した180グラム重量盤アナログ
●ボーナス・トラック6曲を収録した180グラム重量盤アナログ
●7インチ・シングル 「Take It So Hard / I Could Have Stood You Up」
●7インチ・シングル 「Make No Mistake / It Means A Lot」
●音楽評論家、アンソニー・デカーティスによる、キースの最新インタビューを含むエッセイの他、キース本人のパーソナルなアーカイヴの中から貴重な写真や未発表写真などを多数掲載した80ページにも及ぶハード・カヴァー・ブック
●ツアー・ラミネート・パス
●2枚の歌詞カード
●『Talk Is Cheap』プレイバック・セッション招待状(レプリカ)
●『Talk Is Cheap』ツアー・ギター・ピック
●ポスター2枚
●ハード・カヴァー・ブックに掲載されているエッセイの日本語訳付(日本のみ取扱いのボックス・セット(4050538469806)のみに封入)
【収録曲】
【CD ONE - TALK IS CHEAP】
1.Big Enough 2.Take It So Hard 3.Struggle 4.I Could Have Stood You Up 5.Make No Mistake 6.You Don't Move Me 7.How I Wish 8.Rockawhile 9.Whip It Up 10.Locked Away 11.It Means A Lot
【CD TWO - BONUS SESSIONS】
1.Blues Jam 2.My Babe 3.Slim 4.Big Town Playboy 5.Mark On Me 6.Brute Force
【LP 1 - TALK IS CHEAP】
【LP 2 - BONUS SESSIONS】
【7"" SINGLE #1】
《SIDE A》Take It So Hard
《SIDE B》I Could Have Stood
【7"" SINGLE #2】
《SIDE A》Make No Mistake
《SIDE B》It Means A Lot

ではここで初出音源6曲のパーソネルなどの資料他を記しておく。
(1)Blues Jam
Written by Keith Richards, Steve Jordan, Mick Taylor, Joey Spampinato, Johnnie Johnson, Chuck Leavell, Bobby Keys
Produced by Keith Richards and Steve Jordan
Recorded at House of Music October 1987
Keith Richards guitars/Mick Taylor guitar/Steve Jordan drums/Joey Spampinato bass/Johnnie Johnson piano/Chuck Leavell organ/Bobby Keys tenor sax
タイトル通りまさにレコーディング・メンバーたちのカル~ク、ジャム・セッション。ジョニー・ジョンソンとボビー・キーズの演奏に涙…。キースのギターもパワフルでスティーヴのドラムスもしっかりと全体を纏め上げる。
(2)My Babe
Written by Willie Dixon
Produced by Keith Richards and Steve Jordan
Recorded at House of Music October 1987
Keith Richards lead & background vocals, guitars/ Mick Taylor guitar/Steve Jordan drums, background vocals/Joey Spampinato bass/Johnnie Johnson piano /Chuck Leavell organ/Bobby Keys tenor sax
キースの大好きなブルースのカヴァー。ゴスペル「This Train」にインスパイアーされたウィリー・ディクソンの作品で、リトル・ウォルターで1955年にBillboard誌R&Bチャートで5週1位を記録した(LWのレコーディングには勿論ベースでWDが参加)。キースのヴァージョンでは何といってもジョニー・ジョンソンのピアノが聴きどころなのだ。彼こそストーンズのルーツ、チャック・ベリーの音楽を創り上げ立役者だ。
(3)Slim
Written by Joey Spampinato, Keith Richards, Steve Jordan, Mick Taylor, Johnnie Johnson, Chuck Leavell, Bobby Keys
Produced by Keith Richards and Steve Jordan
Recorded at House of Music October 1987
Keith Richards guitars/Mick Taylor guitar
Steve Jordan drums/Joey Spampinato bass/Johnnie Johnson piano/Chuck Leavell organ/Bobby Keys tenor sax
これまたジャムといったタッチの10分以上に及ぶインスト作品。(1)同様ソングライティングが演奏者全員となっている、いかにもキースらしいクレジット方法だ。ジョ二―のピアノがぐっと前に出てくるアップ・テンポなローリング・ナンバー。このブルージーな雰囲気がたまらない。ロックの基本がブルースであるということをしっかりと教えてくれるのだ。
(4)Big Town Playboy
Written by Little Johnny Jones
Produced by Keith Richards and Steve Jordan
Recorded at House of Music October 1987
Keith Richards lead & background vocals, guitars /Mick Taylor guitar/Steve Jordan drums, background vocals/Joey Spampinato bass/Johnnie Johnson piano/Chuck Leavell organ/Bobby Keys tenor sax
エルモア・ジェームスのバンド、ブルームダスターズのピアニストとして知られるリトル・ジョニー・ジョーンズ(1924~64)が49年にシカゴでレコーディングした作品(バックにマディ・ウォーターズ)。この楽曲は51年にエディ・テイラー(1923~85)にカヴァーされ有名になっている。ここでもジョニー・ジョンソンのピアノに聴き入ってしまう。
(5)Mark On Me
Written by Keith Richards and Steve Jordan
Produced by Keith Richards and Steve Jordan
Recorded at Le Studio August 1987
Keith Richards lead vocals, guitars/Waddy Wachtel guitar/Steve Jordan drums, background vocals/Charley Drayton bass/Ivan Neville keyboards
キース&スティーヴの共作。いかにもアルバム『Talk Is Cheap』時の作品ということを強く感じさせる。そう、キース節なのだ。中間部のギターの展開にも注目。そしてアイヴァンも良い味出している。6分に及ぶこの大作が30年前にどうしてボツになったのか知りたくなった…。
(6) Brute Force
Written by Keith Richards and Steve Jordan
Produced by Keith Richards and Steve Jordan
Recorded at Hit Factory with additional recording Studio 900, November/December 1987
Keith Richards guitars, percussion/Steve Jordan drums, guitar, percussion /“Bootsy” Collins bass/Bernie Worrell organ
このナンバーもキース&スティーヴの共作。パーカッシヴな展開の中で勿論ブーツィーのベース・ラインを力強く感じさせる構成だ。キースの本当に楽しそうな演奏ぶりが目に浮かぶ4分のインスト作品。
このアルバムはそのほか以下のヴァージョンも登場する。
*TALK IS CHEAP(2CD DELUXE EDITION)
*TALK IS CHEAP(1CD)
*TALK IS CHEAP(180GRAM BLACK VINYL)

https://wmg.jp/keith-richards/

また超マニアック・ヴァージョンとしては…
*SUPER DELUXE BOX SET
* Limited Edition Red Vinyl LP
▲Red Vinyl LP Side One & Side Two from Mike's Collection

*Special thanks to BMG Rights Management(UK)Ltd.& MR.Shun Okano

【ライヴinfo】
◇Jake E Lee's RED DRAGON CARTEL
オジー・オズボーン・バンドのギタリストとしてその名を知られたジェイク・E・リー。ジェイク率いるレッド・ドラゴン・カーテルが4月にクラブ・ツアーを行う。3度目のLIVE IN JAPAN。1980年代にヘヴィ・メタル・シーンで注目を集め『月に吠える』『罪と罰』といったオジー・オズボーン・バンドのアルバムでエキサイティングな輝き魅せた。そんなジェイクが2014年にシーンにカムバック。日本公演、アルバム『レッド・ドラゴン・カーテル』リリース。翌年には2度目の来日公演。そうした動きの中で昨年レッド・ドラゴン・カーテルは2枚目のアルバム『パティナ』をリリースした。注目の新作を中心としたステージがもうすぐ…!勿論オジーのクラシックも披露してくれることだろう。
▲提供:M&Iカンパニー

*2019年4月17日  渋谷クラブクアトロ
開場18:00  開演19:00
*2019年4月18日  梅田クラブクアトロ
開場18:00  開演19:00
*2019年4月19日  名古屋クラブクアトロ
開場18:00  開演19:00

http://www.mandicompany.co.jp/RedDragonCartel.html

☆☆☆☆☆

【イベント報告】

◇MBSプレゼンツ【MIKE'S GARAGE VOL.6】
『クイーンの歴史Part 2~Part 3!
ズバリ!!大ヒット便乗企画(笑)』
▲Pic.by K.Sato

第6回目を迎えたトーク・イベント“MIKE'S GARAGE”は、大ヒット『ボヘミアン・ラプソディ』で世界中の音楽・映画ファンを魅了したクイーン特集。2月24日ROCK CAFE LOFTで開催、超満員御礼。ゲストは1980年代に東芝EMIでクイーンを担当した森俊一郎さん&石井由里さん。クイーンをスタジアム・ライヴと共に大きく印象付け、日本独自のスタイルで彼らとファンを支えたお二人が当時のここだけでしか言えない秘話などを数多く交えながらのトーク!トーク!トーク!石井さんの86年のフレディ・マーキュリーお忍び来日詳細リポート…、森さんのご協力でテレカとTシャツのプレゼント…。楽しい日曜午後のクイーン・イベント、僕もいろいろ勉強させていただいた。
▲イベントで登場したシングル from Mori-san's Collection
▲イベントで登場したシングル from Yuri-san's Collection

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着