KEYTALK 確かな手腕と新たなフェー
ズを提示した、レアなアコースティッ
クライブに潜入

2013年のメジャーデビューから約5年。これまでビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterで活動してきたKEYTALKが、ユニバーサルミュージックに移籍することが発表された。所属するのはユニバーサルミュージック内のVirgin Musicで、レーベルメイトにはACIDMANGLIM SPANKYストレイテナー、SHE'Sらがいる。さらに、KEYTALKは移籍第一弾シングル「BUBBLE-GUM MAGIC」を5月15日にリリースし、7月には東名阪ワンマンツアーを開催することも発表。以下のテキストでは、この重大発表が解禁されたアコースティックライブ『下北沢ガーデンでKEYTALKが弾き語ットーク』の模様をレポートする。
KEYTALKにとってゆかりがある下北沢に、この日のイベントに当選したファンクラブの会員が詰めかけていた。もともとキャパ500人ほどの下北沢GARDENだが、この日はフロアにイス席が用意されているため、収容人数はかなり少ない。定刻、そんな幸運なお客さんの前にKEYTALKの4人が登場した。
「こんばんは、KEYTALKです。今日はアコースティックなので、いつもと違う感じで楽しんでもらえたらと思います」
寺中友将(Vo/Gt:以下、巨匠)があいさつを交わすと、テンポを落としたアコースティックアレンジで「summer tail」を披露した。首藤義勝(Vo/Ba)はアコースティックベース、巨匠と小野武正(Gt)はアコースティックギター、八木優樹(Dr)はカホンやウインドチャイム、コンガなどを駆使するという編成だ。巨匠が「俺とタケと義勝はアコースティックな竿を持てばいいけど、八木くんがいちばん大変だったよね」と言っていたが、この日のライブでは、パーカッショニストのように複数の打楽器を操る八木の活躍は大きかった。武正が「アコースティックは、バンドのままやるとうまくいかないから、スタジオに入って新曲をやるような感覚だった」と言っていたが、バンドの音源をアコースティックの楽曲としても遜色のない完成度まで高めるのは簡単なことではない。そこを徹底的にこだわり、ステージで完璧に演奏してしまうのがKEYTALKだ。
KEYTALK
「義勝さん、緊張してる?」(巨匠)、「してますね~」(義勝)、「してなさそう(笑)」(八木)、「お客さんのほうが緊張してるんじゃない?」(武正)と、メンバーが繰り出す和気藹々としたトークを楽しみつつ、まずは5月にニューシングル「BUBBLE-GUM MAGIC」をリリースすることが、巨匠の口からアナウンスされた。「大人ちっくに踊れる感じというか、毎回新曲のたびに新しいKEYTALKを見せてるけど、また新しい感じだと思います」。まだ完成はしていないが、かなりかっこいい楽曲になりそうだという。続けて、披露されたのは武正節が炸裂する賑やかなポップナンバー「color」と、ミディアムバラード「茜色」の2曲。軽やかなメロディにのせて<変わらない夢の色>と歌う「color」のなかには、印象的な“色”として“茜色”が登場する。そこから<この歌を~今君に伝えたい>と、変わらずに歩いて行くという想いを伝える「茜色」への流れは、本当に素晴らしい選曲だった。あまり泥臭いことを言わないバンドだが、そこには「聴いてくれるお客さんと一緒に新しい夢に向かって歩いていくんだ」というバンドの意思も込められていたように思う。
二度目のMCでは、ユニバーサルへの移籍が発表された。「みんなにはあまり関係ないかもしれないけど、僕たちを支えてくれる周りのスタッフが新しくなって、新しい刺激をもらってます。もう一度、気持ちを入れなおして、またメジャーデビューするつもりで、一生懸命走っていけたらと思います」と、巨匠。さらに、「みんなで、2年後に横浜スタジアムをやろうぜって話をしてて。5年前にメジャーデビューをしたときは、同じように“武道館をやろうぜ”って話してた気がするから。そのときの気持ちを思い出して、それを達成できるように、ガンガンやっていきたいと思います」と言うと、最後に、夏が大好きだというKEYTALK初期の代表的なサマーチューン「MABOROSHI SUMMER」でライブを締めくくった。
KEYTALK
ここまではTwitterで生配信されていたとあって、やや緊張気味のメンバーだったが、終盤は「肩のチカラがおりた~」(巨匠)と、フリーダムなトークを繰り広げていく。間もなく北海道内ツアーがスタートすることに触れて、「北海道に来る?」と気さくにお客さんに話しかけたり、巨匠のモノマネレパートリーの話をしたかと思えば、義勝はピックをアコースティックベースのボディの穴に落とすという天然ぶりを発揮したり。ドラゴンズの大ファンである八木は9歳のときにハマスタで横浜vs中日戦を見て泣いたという苦い思い出を語り、新元号は「ナッシュ」(漢字で書くと、“茄子”らしい)じゃないかという絶対に当たらない予想をしてみたり、海外ドラマにハマっているという武正が「Wait! Wait! Wait!」「No!」「Ya!」を連発したり、気の置けないトークに会場は終始笑いが絶えなかった。ライブとしては、バンドで演奏すること自体4回ほどしかないという「その一歩」と、キラキラとしたKEYTAKらしい世界が広がった「アワーワールド」を披露。全曲がインディーズ時代の楽曲からのセレクトという超レアなライブは、最高にハッピーなナンバーで幕を閉じた。
イベントを終えて、早速KEYTALKのホームページを確認すると、いままで以上に垢抜けたアーティスト写真が発表されていた。ここまでも怒涛の勢いで駆け抜けてきたKEYTALKだが、2019年の彼らは、さらに新しいフェーズへと向かう躍進の1年になりそうだ。

取材・文=秦理絵

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