「自分の思いを好きにできた」Wakan
aがソロアルバムとツアーに込める音
楽への思い

3月20日にソロとして初めてのアルバム『Wakana』を発売するWakana。4月4日からは全国ライブツアー『Wakana LIVE TOUR 2019 〜VOICE〜』も開催されるが、Kalafinaとしての10年の活動からWakanaという一人のアーティストとなった今、彼女がこのアルバムやツアーに込めた思いはどういうものなのか。今のWakanaの思いを聞いてきた。ロングインタビューでお届けする。
――ソロアルバム『Wakana』完成おめでとうございます。出来上がった率直な感想をまずお聞きできればと。
ほっと一安心しています。色んな曲を収録することができたなと思っていますし、率直に嬉しいです。早くみんなに聴いてもらいたいですね。
――制作期間は長かったんですか。
いや、あっという間でした。短い時間の中でしたが、私もできるだけすべての制作を見たいということをお願いして、バンドレコーディングなどの色んな作業に立ち会わせていただいたんです。制作段階を見ていくのがすごく楽しくて、こうやってできていくんだな、とワクワクしながら最後のマスタリングまで迎えたので、すごく感慨深かったですね。
――全部を見ていくのは今までになかった体験なんですか。
そうですね。やっぱり梶浦(由記)さんの作業というものがあるので、それに全部立ち会うことは私たちもできなかったからこそ、全部見たいという欲が元々あったんです。ミュージシャンの方々の音もはじめて聴いたりとか、そういう作業を見るのが本当に楽しくて。一個ずつ目に焼き付けて、目でRECみたいな感じでしたね。
――フレッシュな気持ちでマイクの前にも立てた感じですかね。
そうですね。でもレコーディングをして思ったんですけど、自分の音楽への向き合い方はほぼ変わってなかったですね。音楽への思いは全く変わらなかったから、歌い方をどうしようとかそういうことよりも、この作家さんがどういうふうに私にこの曲を向けてくれているんだろうということを考えて歌ったんです。だけどレコーディング中というのはそういうところもどんどん削がれていくんですよ、まずは声をどう溶け込ませるか、乗せるかということばかりになりますね。
――大変でしたか。
自分がこれまであまり出すことのない音域まで歌わせてもらっているので、それはすごく新鮮でした。自分の声がこんなに幅があるんだというのもびっくりしたし、すごく勉強になる一枚でしたね。自分で限界を決めちゃいけないんだなというところも思いましたね。
――アルバムタイトルがまさに『Wakana』ですが、コンセプトがあればお訊きしたいなと。
今回はまず全体感というものが手探り状態だったんですね。色んな意見もあって、その中で選曲していったので。結果として集まった曲を自分の中で解釈していくと、ああこれは全部私として、Wakanaとして一生伝えていく曲なんだと思ったんです。『Wakana』というタイトルも、私の自己紹介という思いも含められるし、この人は誰、という部分で一番シンプルだと思ったんです。
――名刺代わりというところで。
そう思いました。単純に名前が乗ることが一番分かりやすいかなと。どれが名前なんですか?ということがない。これが名前でこれがタイトルです、というと何かシンプルでいいなと思いました。
撮影:大塚正明
私のために作られた曲を私がどう受け止めるか、それがすごく大事
――正直、聴かせてもらって、今まで歌ってこられたものとは印象が違いました。仰ったようにひとつのコンセプトで作っていくというよりは、その中でWakanaさんがどう表現するかというアルバムなんだなと。こういう路線でいこうという話し合いは各曲のサウンドプロデューサーの方たちとはあったんでしょうか。
いえ、話し合いというよりも、作曲家さんに提示していただく曲が、私のことを考えて信じてくれて描いている世界なので、そこにちゃんと応えたいという思いで歌わせてもらっているんです。コンセプト的なものは多分これから私も見えてくるし、ファンの方も感じてくることなのかなって。「Wakanaってこういうことなのかしら?」という部分はきっとこれからこの一枚で感じてもらえると思うので、ここをスタートにいろいろ提示していきたいですね。
――歌でプロデューサーだったり作曲家さんと会話していったようなところがある。アンサーは自分の歌で出していくと。
そうですね。お会いできている作家さんもたくさんいて、それぞれの作家さんたちの思いを感じたというか、お話しする中でご意見とかも聞いて、すごく勉強になるし嬉しかったんですよ。この歌詞はどういうふうに書いたんですか、とか聞いてもらえたり、私もこの曲のこの楽器が素晴らしかったですとか、こういうことを思ったんです、と直接言えたりとか。そういうやり取りができたのはやっぱり音楽を作っていく中ですごく大事だし、よかったなと思ってます。
撮影:大塚正明
――全体的な印象として、日本のポピュラー音楽に対するリスペクトなどを感じる楽曲群になっている気がしました。ちょっと懐かしい80年代の歌謡曲っぽいメロディが入ってきたり、90年代のJ-POPのような軽快なリズム隊が入ってきたり。どこかで聴いたことがあるけどWakanaさんが歌っている面白さというか、作曲家さん方がWakanaさんにどういう曲を歌ってほしいかという思いを感じました。
はい、作家の方が私のために書いてくださる曲たちを私がどう受け止めるか、どう受け取るかがすごく大事。私が作詞させてもらっている曲はメロディに思いを常に馳せて歌詞を書いていますし、作詞作曲していただく曲というものも、私が歌うことでどうなるかというものを皆さん想像していただいた上で書いてくださっているので、そういう世界を表現したいとも思います。
――5曲目の「記憶の人」もワンフレーズ目から安藤優子さんの曲とわかるけど、Wakanaさんの歌になっていましたね。
やっぱりすごいですよね、私もそう思いました。裕子さんだよ!と思って。最初に仮歌を裕子さんが歌われていたんですが、本当に癒やされる、素敵!と思ったら、今度はそれを自分が歌うためにどうしたらいいんだろうとすごく考えてしまって。悩んだこともあったんですけど、それよりもこの曲が好きという思いが私もすごく強くて。常に誰かを思い描きながら歌うことの大切さ、というのもあらためて感じましたね。
――11曲中半分以上、6曲を作詞されていますが、慣れてきた部分はありますか。
作詞に関しては今を素直に楽しんでいる部分があるんですけど、きっとこれからまた悩むことも増えていって、言葉が出なくなることもあるだろうなと思ったりする、ちょっと冷静な部分もあります。でも一個ずつにちゃんと思い出があって、こうしてインタビューしていただく中でどうやって書いたか思い出したりするので、不思議なものだなと思います。
――苦心苦労した作品はありますか。
それはもう「時を越える夜に」です! デビューシングルは生まれて初めて作詞をさせてもらったということもあって、去年はじめてお披露目したんですけど、その時にこの歌詞でいいのかすごく悩んで、秋ツアーまでずっと悩んでいたんです。でもやっぱり伝える思いというものはそこに全部書いていて、これ以上何もできないと思ったんです。だからそのままなんですよ。
――ツアーまで悩んでらしたというのは結構な期間ですね。
これで出来上がっているんだと私も納得して、CDにすることができたんですけど。本当に苦労した思い出がありますね。もうこれ以上何もこのメロディに対して書けない、どうしよう、となった曲だったので……。 悩んでいる期間は色んな音楽を聴きましたね、そのたびに凹んで、みんなすごいんだと思って(笑)。 私が書きたいと想像していた歌詞たちは他の凄いアーティストさんたちがもう作っている、という体験をいっぱいして。でも結局はアルバム制作を楽しむことが出来たので、それもいい経験だったんだろうと。
――以前より色んな音楽を聴く機会も増えたんでしょうか。
増やしましたね。以前は自分の曲以外をあえて聴かないように……スピッツとミスチルと小田(和正)さまは別ですけど!(笑)。 自分たちの曲というものがものすごく大事で、それ以外を恐ろしくてインプットできなかったんですよ。
――恐ろしくて、ですか。
抜けてしまうんじゃないかと思って。いつもライブをさせてもらっている中で、他の曲を入れることで自分の曲が離れてしまうような気がしてできなかったんですけど、今は色んな人を知りたい、いや知るべきだと思ったから、色々聴こうと思っています。いいなと思ったり、いいよと言われたら、ちょっと聴こうと思えるようになりましたね。
やっぱり音楽の力は凄いと思った
――最近新しく聴き始めたアーティストさんは?
私音楽はそんなに聴かなかったとは言っても、勉強したかったのでライブにはかなり行っていたんですよ。でもこれから絶対いっぱい聴くと確信したのは、先日ライブに行った星野源さんですね。自分の音楽への楽しみ方をちゃんとご自分で分かっていて、それをみんなでやっているという感じ。みんなで表現しているんだよ、音楽は楽しくいこうよというのがすごく伝わってきて、そういうのがやっぱり大事だなってあらためて思うし、すごく楽しかったです。
――どの曲もコンセプトがありますよね。
そう思いました。もっとパーソナルな部分も知りたいと思って本も読んでみようと思ったし、俳優もされているアーティストの方というのは色んな表現の仕方をしているなと。私はまだその術を知らなくて、今歌詞を書く楽しさを知ることが出来て、楽しみ方もを知らないこともまだまだあるだろうなと思いましたね。あとはSuperflyさんをずっと聴いていて、本当に楽しそうに歌うし、あんなに声が出るのはすごい。気持ち良い!てなる。ライブ音源を聴いても笑い声も聞こえるしお客さんのクラップも聞こえて、いつでもその場にいるような気分にさせてくれるというのが、エンターテイナーなんだなと思って、勉強になりますね。
撮影:大塚正明
――ソロとしてのWakanaさんから、これだけ「楽しい」という言葉が出るのは新鮮な印象がありますね。
そうかも。本当ですね。いつも音楽は楽しんでと言ってるけど、ああいう楽しさというのは私自身もいつも求めているのに、自分のライブでどうしていけばいいのかという術が分からなくて。でもそれはみんなで探していけばいいんだ、と思ったんですよね。星野さんのライブでみなさんが踊るのも、静かに聴く中で楽しいと思ってもらえるようなライブも、全部本当に素晴らしいことじゃないですか。音楽は国境を越えるというのはずっと思っていることで、言葉が通じなくても外国の人だって楽しめる。星野さんのライブには客席にお子さんもたくさんいたんですけど、そのキッズたちが可愛くて、一緒に歌っていて、そういうのを見ると素敵だなって、やっぱりすごいなと思ったんですよね、音楽の力は。
――Wakanaさんの出自がゴスペルやコーラスで、そこからKalafinaがあったわけですが、僕の中でKalafinaの印象としては、未来へ向かっていく人たち、遠くにある光の扉へ粛々と歩いていく人たちというイメージがあったんです。でも今ソロとしてお話を伺うと音楽を一緒に楽しむという目線を感じました。
そういう音楽、私も意外と好きだったみたいです(笑)。 気づかなかったんですよ自分で。例えば小田さまのライブを見に行く時、一体感を私は楽しみにしてるんだって気づいて。そういう音楽性を自分でもやれるかもしれないってことを、私は考えたことがなかったんですよね。でも表現としてみんなで楽しめる音楽を歌ってもいいんじゃないかな、という可能性はすくい上げないといけないなと思いました。
――それはソロになって気付いたこと?
そうですね。一直線に進んでいくだけじゃなくて、それを広げることで見える大きな輪みたいなものなのかな。そういうのは大事かな。
――色んな番組に出られたりする機会も増えてきています。以前より活発に活動を伝えている感じですね。
できるだけ制限せずにトライはしたいという思いはあるんです……緊張するけど(笑)。 あれだけ写真が苦手ですと言ってるのにテレビに出させてもらったりしているので、私の中では矛盾が生じてますけど(笑)。 でもやっぱり生でバンドで歌えるのはすごく楽しいんだなということを思い出しましたね。
アルバムに対して、最初は受け入れられないって正直に思う人がいてもいい
――オフィシャルTwitterも出来ました、写真も結構アップされてますよね。
ツイッターでは写真はちょっと、と言いながらいっぱい載せてるみたいな(笑)。 撮るのは好きだけど、撮られるのは本当に好きじゃないんです。友達とかとは撮るけど、オフィシャルではできれば……大丈夫です……という感じなんですよ私は。
――堂々と写っていらっしゃった印象がありますが。
そうでもないんですよ!(笑) でもそれは私が一人だけ気にしているだけで、もっとWakanaを知ってもらうためにはパーソナルは必要だと思ったんです。そこに行き着いて戻ってきました。私のことをそんなに見たくはないでしょう、というのはありますよ未だに。でもパーソナルを知るために人間の顔というのは知りたい。
――今どういう表情をしているかとか。
そういうのもちょっと理解できてきたので、全然大丈夫になりました。いくらでも写る!(笑)
――今回のアルバム、端的にKalafinaとして培ってきた楽曲たちとは違うところを狙っている印象があります。ファンの方は初見では戸惑って受け止めそうな曲かと思いました。
本当ですか。逆にニヤニヤしちゃう、そうかな、みたいになっちゃう。
――既存のファンに対してどう受け止めてほしいというものは。
受け止め方は様々でよくて、最初は受け入れられないって正直に思う方がいてもいいです。そういうものだと思います。ソロとしての1stアルバムだから。多分そういうアルバムって色んなアーティストさんの中でもあると思うんです。私も好きなアーティストさん聴いていて「おやおや?」と思うことがあったりもしますし。でもそういうことでいいと思うんですよ。次に何出すんだろうと思うから。
――確かに、楽しみにしていたアルバムが新基軸で戸惑うという体験は僕もありましたね。
昔の曲好きというのもリスナーとしては当たり前にあるんですよ。お決まりを楽しむ世界もあるけど、でも今これが最新の私なんだよというのもあるから。
――うんうん。
だから好きなように、でいいんです。今のこれを聴いた時に、ちょっと違ったなという方はそれでもいいし、別に音楽はいつもあるから、これはもう存在するのでもう消えないから、また戻ってきてもらえたらそれは嬉しいし、そこに逆に期待をもってライブ見てみようかなと思って、足を運んでくれたら嬉しい。
――そこの決意、Wakanaとしての決意を聞きたいなと思っていたんです。色んな考え方があると思っていて、既存のファンに捨てられたくないとか、新しいファンを作るからいいとか色々な考えがある中で、「そこで音楽があるからそれでいい」というのはWakanaさんらしいなと。
決意も私何もなくと言ったらあれですけど、やっぱり生きてきた流れの中で音楽を歌っていて今ここにいる、というのがすごい私の中では腑に落ちる言い方なんです。だからこそ今回のツアータイトルを「VOICE」にしたんですけど、自分という“声”をみんなに聴いてもらいたいという思いをちゃんとツアーで表現しようと思ったから、このタイトルにはそれを込めないといけないと思いました。
――常に音楽と共にあるという感じですかね。
だから聴かなかった時間が不思議と思うくらい音楽って楽しいなと今すごく感じるし、色んな音楽があるんだなって思います。
――先程星野源さんやSuperflyさんの名前も上がりましたしね。
その他にもたくさん! キリンジさんもすごい、「イカロスの末裔」とか、あと「悪玉」。やっぱり男性の声が好きみたいです。
――面白いものが出てきて発見がある、音楽疲れとかはまるで感じませんね。
してないですね。クラシックも聴きますし、今日はピアノの気分とか、今日はオーケストラとか、そういう感じで聴いていますね。でも自分の曲とたくさん向き合っていくと疲れてしまう時もありますよね。どうしたらもっとうまくできるのかなとか、楽しさを忘れてしまう時ってあると思うんですよ。そういう時もあったから、他のアーティストさんだったり曲を聴くことが自分の癒やしになるんだったら、それは大事なことだと思いました。
撮影:大塚正明
『VOICE』はWakanaという声を知るツアーにしたい
――改めて今回のライブツアーのタイトルは「VOICE」、2回目のツアーということですが。
ソロ2回目のツアーにはなるんですが、でも何か私にとっては1本目という気持ちもしますね。Wakanaとして新たなスタートをもう一回切るよという感じ。
――前回のツアーはプレオープンというか。
歌い始めますよ、という感じですよね。
――そういう印象だったので、このツアーは一個一個がこれからのWakanaさんが見えてくるものなのかなと。Kalafinaの頃から頑張ります!やります!じゃなくて自然に音楽とともにある、という流れの中にいることができているというのはなかなかできることじゃないなと思うんです。
そんなことないですよ。私もやる気になって練習しますし。結局弱虫なんですよね私。弱虫というかそんな格好良いものじゃない、ちみっちゃいんですよ。それでもやれることがあると、小さいところから叫んでいるような部分もあります。
――そう思う理由が?
ライブが決まるたびに一瞬怖い。いつもです。でも歌うのは好き。ちみっちゃいんですよ(笑)。 だけどみんな同じかもしれないと思えたんです、そういうことを言葉にしようと思ったのが「翼」なんです、この曲を歌った時はすごく強くなれた気がしたので、作詞ってやっぱり大事なんだなと思ったし、「時を越える夜に」も色んな方の意見をいただいて。
――ファンも色々な思いを持って受け止めたかもしれないですしね。
そうですね、受け取り方って様々で面白いんだなと。深読みをする方もいれば、こうだと思うんですよという自分の考えもあったり。そういうのって自分が描いた世界だからこそ余計にへーって思ったりするんですよ。正解も不正解もないというのは心の底から言えるし。私だって他のアーティストさんに、これ絶対こういうこと歌ってる、とか思ったり、すごく深読みしたい、それが楽しいから。
――お話を伺う限り、Wakanaさんにとってやっぱり音楽は必要だと感じますね。
必要です。それは多分必要であり、私の唯一できること、それ以外何もできない。トレーニングもできるし、本を読むこともできる、きっとその気になれば他のことも出来るけど、でも私は歌うことが大好きで、それができると楽しいから、やっぱり歌がいいなって思うんです。
――改めて『Wakana』を聴き込むと、ひとつずつ情景がありますね。作詞曲もそうですが、歌われているキャラの目線が降りてきた感じがありました。Kalafinaの楽曲って、俯瞰したような目線の曲が多かった印象があります。
多かったと思います。それは意図的でもあるし、曲が寄り添う作品もあるから。
――Kalafinaで梶浦さんがすごいなと思ったのは、主人公目線になったり俯瞰になったり、それを三声でやることで場面の移り変わりがドラマティックだったことなんです。でも今回はソロで、Wakanaさんの作り上げたキャラクターや主人公や歌詞の人々の目線で動いている感じがして。
本当にそうだと思います。本当は男性目線にしたかった曲もあったり、それを自分の一人称が出る時に僕じゃなくて私に変えたりした曲もあって、常に誰かという人間、自分自身から見た映像というものになってるんじゃないかな。
――その目線が生む共感って、ポップスだなと思うんですよね。
そうなんですよ。恋をしたら西野カナさんを聴くんですよ、素直に(笑)。 「私のこと見てたのかな?」と思える。ポップスには共感力があるかもしれないけど、私はそれを意図的にはできないと思ったから、私の言葉でいいと思って、私の言葉を綴ったつもりです。
――その意味だと「翼」なんかはWakanaさんの想いの曲だと感じました。
共感というよりも自分の今の思いという部分ですね。武部さんにもそういう話をされて、嘘じゃない自分の思いを書く。そのほうがきっと伝わるよ、って去年の夏に言われて出来上がった曲です。
――「流れ星」などは逆にミニマムな世界観で、今ここにある自分とか好きな人の歌というか。ラインナップを聴く限り、本当にソロだからこそ作れたアルバムだなと。
そうですね。好きに伝えられたというのは大きい。自分の思いを好きにできた。
――ツアーはアルバムを引っさげ、Wakanaさんがやりたいこと、自分の自然体みたいなものが出るのかなという期待があります。
きっとみんなそう思うんだろうなと。だから私自身が提示するものをもっと明確にしたいし、私が伝えられるものを自分で制限しちゃいけないからこそ、やっぱり背筋が伸びますね。決意しないといけないなと思います。でもこのアルバムをレコーディングしている時、常にライブのことを考えて歌っていて、これは一生歌っていく私の歌で、ずっとこの曲たちと一緒にライブをしていくんだと思ったんです。それが今回のレコーディングのすべてでした。今までと一緒です。今までと同じように常にライブのことを考える。それがやっぱりシンガーとしての私自身なのかなと思います。
――最後に今のWakanaの言葉でツアーに向けて一言いただければと思います。
Wakanaという声を知るツアーにしたいです、知ってもらうツアー。私という一人の声を知ってもらう、そんなツアーにしたいなって思うので、ぜひ来てほしいです。
インタビュー・文:加東岳史 撮影:大塚正明

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