【インタビュー】幡野友暉、シニカル
で繊細、表現力に富んだボーカルがイ
ンパクトの強い一作『鬱屈を、沸々と
。』

ロックバンドthe unknown forcastの活動休止に伴い、ソロ・アーティストとして活動することを決意した幡野友暉。2月20日にリリースされた彼のデビュー・アルバム『鬱屈を、沸々と。』は、憂いを帯びた世界観を軸としつつ幅広さを見せる楽曲やシニカルさと繊細さがない交ぜになった歌詞、表現力に富んだボーカルなどがひとつになって、インパクトの強い一作に仕上がっている。ソロ・アーティストに転向するにあたって、彼の内面では様々な変化があったようだ。その辺りも含めて、『鬱屈を、沸々と。』を通して、現在の幡野友暉のリアルに迫った。

■1人で表現することを考えながら曲を書いていった
■バンドが終わってからの自分を凝縮したアルバムです

――デビュー・アルバム『鬱屈を、沸々と。』を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

幡野友暉(以下、幡野):僕は2017年の年末までずっとバンドをやっていて、そのバンドがなくなって、これからどうしようかなと思っていたんです。先のことを話し合うメンバーもいなくなって、それこそ総てが変わってしまった感覚があった。そういう中で、とりあえずライブをしようかと思った時に、シンガーソングライターの大柴広己さんのオープニング・アクトという話をいただいたんです。そこで自分がプロデュースするからアルバムを作ろうよと大柴さんが言ってくれたんです。1人で表現するのであれば自分はどんなものを作るかなと思いながら曲を書いていって、その中でいろんなことが見えてきたという感じでした。だから、『鬱屈を、沸々と。』は、バンドが終わってからの自分を凝縮したアルバムです。

――大柴さんが新しい扉を開ける手助けをしてくれたんですね。では、アルバムに向けて曲を作っていく中で、キーになった曲などはありましたか?

幡野:「人間動物園」がそうかもしれない。サウンドは前にやっていたバンドに近いし、メッセージもすごく自分らしいメッセージではあるけど、新しいところに行けた感覚があるんです。僕の中ではバンドからソロになるとちょっとマイルドになるアーティストが多い印象があって、自分はそうはなりたくないと思っていたんです。そういう中で「人間動物園」ができた時に、今までと同じスタンスで自分の良いものを更新していきたいという思いが曲になったことを感じたし、1人のほうがリミッターを解除できるから、どんどん棘を出していくぞという気持ちになった。そういう意味で、自分にとって大きな1曲です。
――「人間動物園」は楽曲も、歌も憂いを帯びていながら“尖り”を感じさせるという独特のテイストが光っています。それに、“(自分の鳴き声は)ごめんなさい ごめんなさい なんてところだろうか”というフレーズに衝撃を受けました。こういう、ある意味情けない言葉はなかなか歌えないと思うんですよね。

幡野:僕も、そのフレーズは気に入っています。僕は動物が苦手なんですよ。小さい頃からそうで、動物園に行くのが本当に嫌だった。檻に入れられた動物を見ると、こいつらはどういう気持ちなんだろうと考えてしまって。自分が檻に入れられて毎日毎日ジロジロ見られていたら耐えられないだろうけど、こいつらはそれが普通なのかな…とか。だとしたら、動物にしてみれば檻の中にいるのは動物園に来る人間達で、彼らはそれを観察しているのかもしれないと思ったりしたんです。だから、最初は「動物園、大好き!」みたいな人に対する批判から入っていったけど、自分が檻に入れられているという表現のほうが面白いんじゃないかなと思って。

――アルバム全体を通していえることですが、幡野さんが書かれる歌詞は批判的な目線でいながら繊細さも見せていることが印象的です。

幡野:バンドをやっていた時は、ずっと批判で終わっていたんです。あれは嫌いだ、これはやりたくねぇ…ということだけを歌っていた。だけど、大柴さんに「それは尖った表現としてひとつあっていいけど、それだけで終わっていたらメッセージとして浅くなるよね」と言われたんです。そこで、たしかにそうだなと思って。自分が否定していることを自分と同じように感じている人は共感してくれるだろうけど、そうじゃない人には届かないよなと。だから、主張があることは絶対的な前提としてあって、そのうえでより多くの人の心を掴むにはどうしたらいいかということを考えるようになった。それで、批判だけで終わらせずに、そこに対する自分の思いや自分の人生哲学みたいなものを入れ込むようにしたんです。

――『鬱屈を、沸々と。』は身近なものを題材にして自身の内面をさらけ出す歌詞とエモーショナルな曲調が相まって、ちょっと70年代のフォークソングを彷彿させますね。

幡野:本当ですか? フォークは軽くしか入っていないんですよ。70年代のフォークというと、どの辺りの人達でしょう?

――井上陽水さんや吉田拓郎さんなどです。70年代のフォークソングというと繊細さや穏やかをイメージする方が多いかと思いますが、尖りやロックを感じさせるアーティストもいたんですよね。幡野さんは、ちょっとそういう人達に通じる匂いがあります。

幡野:だとしたら嬉しいです。でも、フォークは本当に、あまり聴いていないんですよ。中島みゆきさんは曲はもちろん歌詞がすごく好きなんです。僕はどちらかというと歌詞から聴くタイプで、自分も歌詞にはすごくこだわりがある。それに、1人になって歌とギターだけで勝負しないといけないとなった時に、より歌詞は大事になると思って。だから、今回はより繊細に歌詞を扱ったというのはあります。

――模倣したわけではなく、自身が思い描いた音楽がフォーク感のあるものだったというのは興味深いです。“視線の近さ”ということに関しては、いかがでしょう?

幡野:僕は発信している人の人間性や人柄が伝わってくる音楽が好きなんです。最近だと、大森靖子さんは凄いと思いますね。曲が良いし、歌詞もメチャクチャ面白くて、最初に聴いた時に衝撃を受けました。あとは、小谷美紗子さんも1年前くらいにハマって、よく聴いています。改めて思ったけど、僕は女の人の歌詞のほうが好きかもしれない。

――たしかに、最近は女性アーティストのほうが自身の内面を赤裸々に描いている人が多いというのはありますね。そういったアーティスト達と同じように、『鬱屈を、沸々と。』は歌詞も注目です。それに、統一感がありつつ、いろいろな曲が入っていることも魅力になっています。

幡野:それは、完全に大柴さんの力です。「人間動物園」も元々はBPM=70とかのメチャクチャ遅い曲だったんですよ。もう地獄みたいな曲だった(笑)。それを聴いた大柴さんが、「これは聴けたもんじゃない。テンポを上げるぞ」といって。大丈夫かなと思ったけど、すごくいい感じになったんですよね。逆に、速い曲をゆっくりな曲にしたこともあったんですよ。そのたびに、なるほどと思いました。自分はこういうものを作りたいと思って曲を作るけど、大柴さんは客観的な目で見る。だから、それぞれの曲が内包しているテイストを、一番いい形で表現できるようにしてくれたんです。その結果、いろんな曲が並んだアルバムになりました。
――聴き応えのある曲が並んでいて、たとえば「君はずっと僕を知らない、僕はずっと君を知らない」は、胸に染みるスロー・バラードです。

幡野:この曲は3年くらい前からサビのメロディーと歌詞はあって、なかなか形にならないと思っていたんです。今回アルバムを作ることになって、大柴さんに今はどんな持ち曲があるのと聞かれたんですよ。僕は高校生くらいからデモを作り溜めていて、まだ出していない曲が150曲くらいあるんです。その中からこれかなと思うものを何曲かピックアップした中に「君はずっと僕を知らない、僕はずっと君を知らない」の原形もあって、それを聴いた大柴さんが、これを形にしようと言ったんです。

――サビのコード進行やメロディーは本当に秀逸で、大柴さんが形にしようと言ったことがよくわかります。

幡野:ありがとうございます。こういうふうに、サビで声を張り上げない曲というのは今まで作ったことがなかったんですが、この曲は自分の声の中域くらいを活かす形にしたんです。そうしたら、初めてライブで歌った時に、あの曲はすごく良いと沢山のお客さんに言われて。それが今回のCDに結びついたし、自分の曲を有線で流してもらったり、配信させてもらうことが決まったりしたんです。そこで、もしかすると自分の声のおいしいところは、ここなのかなと自分で気づいた曲でもありますね。で、歌詞は、わりとリアルです。

――すごくリアルです。“君の背中の小っちゃい黒子や僕をぎゅっと抱いて眠る癖や”といった描写がありますから。でも、それがいいなと思いました。

幡野:たしかに、こういうことを書いて、人前で歌うのは正気の沙汰じゃないという気もする(笑)。でも、作っている時は、全くそんなふうには思わなかったです。僕は、歌詞を書く時は特定の1人を思い浮かべて書くんですよ。そうじゃないと誰にも刺さらないなと思って。不特定多数の人に向けた歌詞を書いても歌う気にならないし、こんな曲を誰が喜ぶんだろうと思ってしまう。そういう曲を作って、何回かライブで歌ってみたこともあるけど、つまらなくて途中でやめてしまったんです。今回のアルバムは「君はずっと僕を知らない、僕はずっと君を知らない」も含めて、曖昧なものとは対極に位置する曲が並んでいます。

――対象を絞ることで普遍性が生まれる好例といえますね。続いて、レゲェ・チューンの「sake wo nomouze」も幡野さんの幅広さがうかがえるナンバーです。

幡野:これは、最初はそれこそフォーキィーな感じだったんです。久しぶりにバンド仲間と会って、相手は音楽をやめて普通に働いていて、俺は歌っているけど、どうなんだい?…ということを、フォークソングっぽい雰囲気で歌うという。このままだと本当にしんみりした曲になってしまうという話になって、大柴さんがレゲェにしてみようと言いだしたんです。“ええっ?”と思ったけど、でき上がった曲を聴くと違和感はないですよね。だから、この曲もすごく面白かったです。

――特にサビがそうですが、レゲェ感があるメロディーですので、大柴さんはそこにインスパイアされた気がします。

幡野:えっ、そうですか?

――あれ? 自分では気づいていない?

幡野:全然気づいていなかったです(笑)。

――後半でアップテンポのスカに移行するアレンジや、音楽をやめた友達の生き方も認めていることが伝わってくる歌詞もいいですね。

幡野:スカに変わる構成も大柴さんのアイディアですけど、酔っぱらっていく様子を表現している感じがして、すごくいいですよね。今回の制作は時間が本当になくて、この曲はメンバーみんなでスタジオに入って、パッパッと決めて1時間くらいで形にしたんです。集中して、みんなでアイディアを出していったからサウンドも生々しい感じになっているし、初めての経験ですけど、この曲はクリックを聴かずに“せーの!”でレコーディングしたんですよ。そういういろんなことが、良い方向に出たことを感じますね。歌詞は、今まではこういう題材は後ろ向きに書いてしまっていたけど、この曲は後ろ向きではない。僕はよくメンバーに屁理屈ばかりずっと喋って、またかよと呆れられていたんです(笑)。でも、そんな僕の話を「そうだよな」といって聞いてくれるヤツがいて、この曲の歌詞はそいつのことを歌っているんです。だから、後ろ向きな歌詞にはならなかったのかもしれない。作り話だったら相手の生き方を肯定できなかったかもしれないから、リアルなことを題材にして良かったと思います。
■ギターを弾くことが煩わしくなって弾くのをやめて歌に集中してしまう
■それでギターなしで半分くらい歌って最後にチョロッと弾くみたいな(笑)

――さらに、打ち込みのドラムなどを使って無機質かつ幻想的な世界観を構築している「豚の餌」やアコースティック・ギターの弾き語り形態の「やりがいせいじん」なども楽しめました。

幡野:「豚の餌」もバンドの頃からあった曲で、バンド時代は「人間動物園」や「豚の餌」みたいな暗い曲ばかりやっていたんです。「豚の餌」は本当はすごく長くて、ストーリー性がある曲だったんですけど、大柴さんといろいろ話していく中で、これは短いほうが映えるんじゃないかなということになって、今の構成になりました。歌詞のアイデアは、バンドをやっていた頃の僕らはTwitterをやっていなくて、ソロになってから初めてTwitterをやるようになったんですよ。バンドをやっていた頃のアカウントをそのまま自分が使っているので、フォローしているのは知らない人ばかりなんです。6,000~7,000人くらいフォローしていて、一度見た人は二度と出てこないような状況になっている(笑)。いろんな人が無関係に雑多なことを呟いている中で、1つだけ目に止まった呟きがあって。たぶん普通の女の子のツィートだけど、どうやら彼氏と別れたらしくて、「豚の貯金箱、一体どうすんのよ?」みたいなことが書いてあったんです。その一言から一気にイメージが“バァーッ!”と膨らんで、豚にエサをあげているのはお金なのか、愛なのかと思ったんです。それで、いっぱいになるまでお金をあげ続けて、最後はそれをぶち壊すみたいな歌にしたけど、それだとやり過ぎだろうということになって。だから、この曲の歌詞は途中で終わっているんです。

――その結果いろんなことを想像させる歌詞になっていて、それが曲調によくマッチしています。

幡野:そう感じてもらえたなら良かったです。曲を短くしたこともそうだけど、この曲も「sake wo nomouze」と同じようにフォーク要素が強い。それを、他にあまりない感じに落とし込むことができて満足しています。「やりがいせいじん」も元々はめっちゃ暗くて、もっとゆっくりな曲だったんですよ。そこからテンポを上げて、メジャー・キーにしたんです。最初は“この野郎。上司この野郎”みたいなことを鬱々と歌う曲だったので、今の形になって本当に正解だったと思う。ただ、自分があまりにギターがヘタ過ぎて、この曲は大柴さんが弾いてくれました(笑)。
――ギターはあまり自信がないけど、弾き語りもやろうと思われたんですね。

幡野:弾き語りの曲は何曲か欲しいなと思っていたんです。それで、どれを弾き語りにするかという話になって、この曲を選択しました。ギターは未だに自信がなくて、猛練習しています。家で弾いたり、スタジオでリハをする時はいいんですけど、ライブになるとすっ飛んじゃうんですよ。ギターを弾いていることが煩わしくなって、弾くのをやめて歌に集中してしまう。それで、ギターなしで半分くらい歌って、最後にチョロッと弾くみたいな(笑)。そして、大柴さんに叱られるという(笑)。

――その辺りは、バンドで歌っていたことが大きい気がします。

幡野:そうなんですよね。バンドがいると自分が弾くのをやめても特に問題ないから、バンドに任せてしまうというのがあって。テンションが上がるとギターを弾くのをやめてしまうのは、そこからきている気がする。でも、弾き語りでは、ギターはコードだけじゃなくてリズム楽器としての役割も担うことになる。弾くのをやめるとリズムがなくなってしまって、それはかなりマズい。なので、今はちゃんとギターを弾き続けながら歌えるように、毎日特訓しています。

――ギタリストを立てることもできる中で努力されているのは、さすがです。「やりがいせいじん」の歌詞についても話していただけますか。

幡野:この曲はバイト先の上司に対する皮肉を軸にしつつ世の中は“たがりせいじん”で溢れているということを書きました。“しにたがりせいじん”とか“いきがいせいじん”“やみたがりせいじん”というふうにいろんな“せいじん”がいて、でも結局自分も“せいじん”なのかなと思って。だったら自分は何せいじんかなと考えたら“かえりたいせいじん”だなと(笑)。僕は昔から本当に仕事ができなくて、バイトでも1日に何回怒られるかわからないくらいだったんですよ。何回もクビになったし。それで、世間に対して“なんだ、こいつら?”と思っているけど、向こうも“なんだ、こいつは?”と思っているに違いない。だって、僕は仕事をしながら帰りたい、帰りたいとしか思っていないから(笑)。それをストレートに書いたのが「やりがいせいじん」です。

――この曲も多くのリスナーの共感を得ると思います。それに、深遠な世界観の「いざない」というスロー・チューンもアルバムに彩りを与えています。

幡野:僕は小林武史さんがすごく好きなんですよ。あの人のメロディーや7thコードの使い方が生む泣きの感じがすごく好きで、そういう曲を作りたいと思ってできた曲です。この曲はバンドの時にCD化されているんですけど、その時はピアノの弾き語りで、なおかつ1コーラスだけという形だった。というのは、バンドで完成できなかったんです。この曲をどうしてもCDに入れたいと思ったけど、スキルが足りなくて、どうやって形にしたらいいのかわからなかった。今回はサポートしてくれているメンバーがいろいろアドバイスをしてくれて、ようやく完成させることができました。歌詞は、人魚が浜辺に来た男の人に恋をするという形を採って、ストーカーの女の人を描きたいと思ったんです。

――一見ロマンチックなようで実は不気味な歌詞で、ゾッとしました。

幡野:純愛とストーキングは、紙一重のところがあると思うんです。すごく明るくて、爽やかで大ヒットした曲でも、歌詞だけ読むとめちゃくちゃストーカーだなという曲とかもあるし。で、後から気づいたんですけど、たぶん自分もちょっとストーカーっぽい気質があると思うんですよね。中学生の頃は好きなアーティストのブログとかがあると、もう全部読んでいたから。めちゃくちゃ気になって、1000件とかあっても全部読むんです。

――ストーカーのように相手に迷惑をかけるのは問題がありますが、深く好きになるのはいいことだと思います。

幡野:そう言ってもらえると長所なのかなという気がしますけど。……でも、どうなんでしょうね(笑)。

――表現者としては、絶対に長所だと思います。もうひとつ、今作は良質な楽曲/歌詞に加えて、表現力に富んだ歌も大きな聴きどころになっています。

幡野:歌は、自分ではまだまだだと思っています。これも今回初のことですけど、ほとんど歌の修正をしていないんですよ。歌録りを始める前に修正はしないと言われて、それは怖いなと思ったけど、完成したのを聴いて、これは“あり”だなと思いました。ピッチ修正しないほうが、声の良さが出るんですよね。それに気づけたことも今回の制作の大きな収穫でした。ただ、歌の修正をしないなら、もっと良い歌が歌えないとダメだなと思って。だから、もっと磨きを掛けていこうと思っています。
――『鬱屈を、沸々と。』を完成させた後、「人間動物園」のMVを撮影されたと聞きました。

幡野:最初は「人間動物園」だけを撮るつもりだったんですけど、撮影の現場に到着したら「君はずっと僕を知らない、僕はずっと君を知らない」も撮るよと言われて、“ええっ?”みたいな(笑)。しかも、「君はずっと僕を知らない、僕はずっと君を知らない」の撮影のほうが楽しかったという。女の子とゴロゴロするシーンというのがあったんですよ。それは初めてのことで、ソロをやって良かった…みたいな(笑)。相手役の子は「人間動物園」と同じ人なんですけど、「人間動物園」ではその子の髪の毛を思いきり引っ張るように言われて、大丈夫かなと思ったりしました。MVでこんなこともするんだと思って、それも衝撃でしたね。でも、やっぱりゴロゴロしたシーンが良かった。もうラブソングしか書かないようにしようかなと思いました(笑)。

――(笑)。アルバムに加えて、2曲のMVも必見といえますね。さらに、4月にライブも行う予定です。

幡野:4月に名古屋と東京でライブをします。それは<はたのの部屋>という企画で、これからいっぱいやっていこうと思っていて、4月12日の名古屋今池GLOWが“101号室”で、14日の新宿Marbleが“102号室”というタイトルなんです。そのライブでは来てくれた人に“合鍵”というのをプレゼントしようと思っていて、今はそれを何にしようかなと考えているところです。<はたのの部屋>は基本的にバンドセットで弾き語りもあるという構成にしようかなと思っているし、3マンだから競演するボーカルと一緒に歌っても楽しいだろうなと思って。いろいろ面白そうなことを考えて、楽しんでもらえるライブにしたいなと思っています。

――幡野さんはアイディアが豊富なんですね。

幡野:『鬱屈を、沸々と。』を作ったことで、本当にリミッターが解除されたという感覚があって。大柴さんがアルバムを作ろうと言ってくれた時に、自分は弾き語りなんかほとんどやったことがないのに、なぜこの人はそういう気持ちになったんだろう、本当に大丈夫なのかなと思ったんです。でも、後からいろんな人を見て、自分は良い意味でみんなと違うところにいるんだと気づいた。そこで、大柴さんにアルバムを作ろうと言ってもらえた意味も何となくわかってきたんですよ。だから、そこをガンガン伸ばしていくべきだなと思っています。

――ソロ・アーティストとしても、いい意味で楽しみながら活動していけそうですね。

幡野:それは間違いないです。僕は今年の頭からYouTubeチャンネルを開設して、そこでいろんな人とコラボしたりしているんです。あとは、ソロになってから作った「きもち」という曲があって、サビで“気持ちいい 気持ちいい 気持ちいい”と叫び続けるんですけど、去年はそれをティッシュにしてお客さんに配りまくったりしたし(笑)。バンドの時はそういうことをやりたいと思っても絶対に通らなかったから、1人になって表現の幅がより広がったというのはありますね。だから、ソロはすごく楽しい。ソロではもっといろんなことをやっていいんだなということを感じていて、実際やりたいことはメチャクチャ沢山あるんですよ。それを実現させていくことを楽しみにしているし、みんなにも期待していて欲しいです。

取材・文●村上孝之
リリース情報

1st FULL ALBUM『鬱屈を、沸々と。』
ZGCL-1005 
1.人間動物園
2.君はずっと僕を知らない、僕はずっと君を知らない
3.sake wo nomouze
4.豚の餌
5.やりがいせいじん
6.風と人の谷
7.ロックは死んだ!
8.ウソングライター
9.いざない
10.はいチーズ

ライブ・イベント情報

<IMAIKE GO NOW>
3月23日(土)愛知県 今池のライブハウス

<自主企画 はたのの部屋 101号室 名古屋編>
4月12日(金)愛知県 今池GLOW
※バンドセット公演

<自主企画 はたのの部屋 102号室 東京編>
4月14日(日)東京都 新宿Marble
※バンドセット公演

関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着