『BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾 NIPP
ON初個展』レポート 前代未聞のエン
タメ型アート空間で、香取の全身を体
感する

アイドルとアーティスト、ふたつの顔を持つ香取慎吾。2018年9月に、パリのルーヴル美術館地下「カルーセル・デュ・ルーヴル」にて個展を開催したばかりの香取による、待望の国内初個展『サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!) 香取慎吾NIPPON初個展』が、IHIステージアラウンド東京にて開幕した(会期:〜2019年6月16日)。「BOUM!」とは、フランス語で「ドキドキ」という心臓の鼓動音をあらわしている。
会場エントランス
右:《S》
右:《NO》
3月14日に行われた記者会見では、「見てくれる人がドキドキしたり、疑問を感じてくれたりしながら、イマジネーションが広がるアートが好き」と語っていた香取。会場には、「僕の全部を見てもらいたい」という香取の思いが詰まった、多彩なジャンルの作品が集結。パリの個展で発表した絵画をはじめ、映像、立体作品、体験型インスタレーションのほか、新作には、香取の身体を実験台にした作品が多く含まれている。
来場者は、客席で約10分間の映像作品を鑑賞したのち、舞台に上がって会場を回る。ステージ上の展示はA、B、Cのエリアに分かれていて、Stage Aは「脳」迷路、「心臓」ドーム、「口」アーケードという身体をテーマにした3つのゾーンで構成されている。Stage Bは、2018年にパリで開催された『NAKAMA des ARTS(ナカマ・デ・アート)』展において発表された作品を展示。Stage Cは、すべて本展初公開となる作品が紹介されている。
Stage A 「心臓」ドーム 展示風景
Stage A 展示風景
Stage B 展示風景

香取の身体の中を探検するような気持ちで楽しめる本展の魅力を、会場よりお届けしよう。
《NAKAMA de ART de NURIE》
映像作品は、幕が開く前のオープニングムービー
会場となるIHIステージアラウンド東京は、客席が360度回転する、日本で唯一の円形劇場だ。本展の鑑賞の導入となる映像作品を手がけたのは、香取が出演したオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』の監督のひとりでもある、映像ディレクターの児玉祐一。香取と児玉によるアイディアの積み重ねで完成した映像には、本展の世界観やステージ上の空気感を伝える演出が盛り込まれ、コンサートやライブがはじまる直前の高揚感と同じものが感じられた。「幕が開く前のオープニングムービーとして楽しんでもらって、みなさんの気持ちを最高潮まで上げたい」という香取の創造力が発揮された、ユニークな映像になっている。大画面に映し出される香取の姿に圧倒されつつ、客席が回転する仕組みは、まるで遊園地のアトラクションを楽しんでいるようだ。映像作品を鑑賞後、来場者は舞台に上がり、いよいよ香取の「体内」に入っていく。

左:《NaketekurukaraWaraketekuru》
背後の壁画は、会期中に香取自らが少しずつ描き足していくことで完成する
上:《ガイコツ》、中央:《アカオニ》、下:《カッパ》
香取の心音が感じられる立体オブジェ《BOUM! BOUM! BOUM!》
Stage Aの中心部となる「心臓」ドームには、新作のオブジェ《BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)》が展示されている。今回の個展のシンボルとなっている本作では、アート作品としての造形物と、それを制作している時の身体性を、同時に表現することを試みたという。作品制作時に、心拍を測るデバイスを装着した香取の心音が、オブジェに触れることで体感できるようになっている。自身の心臓をイメージして作ったというオブジェに触れて、会場に響く香取の鼓動を感じてみたい。
個展のシンボルとなる立体作品《BOUM! BOUM! BOUM!》は、実際に触れることができる
「くろうさぎ」にも会える!
Stage Aの「脳」迷路では、香取がこれまでに手がけた多数の絵画作品が並ぶ。初期のコラージュ作品や、女性や鳥をモチーフにしたもの、身体の一部を描いたものなど、香取の頭の中を覗けるような作品が楽しめる。
左:《SYMBOL-DOT-PROTO TYPE》、中央:《SYMBOL-DOT》、右:《SYMBOL-TRIANGLE》
展示された絵画の多くが無題となっているが、作品のキャプションには、本人のコメントが添えられている。制作当時の心境や、鑑賞者に語りかけたり、問いを投げかけたりするもの、香取自身のつぶやきのようなものなど、さまざまな言葉にも注目したい。
さらに、作品のモチーフとして多用される「くろうさぎ」が描かれた作品も見逃せない。香取が「ボクの愛すべきキャラクター」と公言する「くろうさぎ」が初めて描かれた作品や、「くろうさぎ」が登場したばかりの頃の作品も、本展で紹介されている。
アーティスト・香取慎吾の軌跡をたどる
香取慎吾の魅力が詰まった本展では、20年以上前の作品から、近年制作した作品まで、幅広い活動の軌跡をたどることができる。
『しんごのいたずら』原画展示
《BMW》

カルティエの『TANK』誕生100周年を記念して、2017年に制作した《時間が足りない》、《百年のfuuu.》や、香港政府観光局から依頼を受けて、アジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港」のために描いた《大口龍仔》、東京タワーの60歳の誕生日を記念して描いた《東京タワーがここにいてくれるから2018愛》など、近年のめざましい活躍の数々が、本個展で網羅されている。
手前:《百年のfuuu.》後ろ:《時間が足りない》
《大口龍仔》
《東京タワーがここにいてくれるから 2018愛》

さらにStage Bでは、パリの個展において発表した作品が集う。同年8月に、「ヤンチェオンテンバール」という洋服のショップをオープンした香取による、アートとファッションを融合した立体作品や絵画が展示され、まるでファッションショーを見ているような展示空間が印象的だ。

左:《一笑懸命》
《Lie.ARIGATO》

自らの身体をモチーフにした作品も!
Stage Cには、身体にまつわるものをモチーフとした作品が、初公開されている。記者会見では、「約10年間溜めてきた、切った髪の毛を使った作品や、マウスピースを元に、自分の歯型を大きな造形物にしたもの、黒目の写真を撮って、その周りに絵を描いたものがある」と説明した香取。Stage Aにも、自身の内臓の写真を用いた作品が展示されるなど、自らの体を実験台にして制作したものが、多数発表されている。頭の中から身体の奥まで、香取慎吾の全身が作品となった充実の内容を、ぜひ会場にて体験してほしい。

《&you》

『サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展』は、2019年6月16日まで。これまでに体験したことがないような、ドキドキワクワクする展覧会に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

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