【インタビュー】西村まさ彦の音楽活
動の実態と信念に迫る、ライブ映像も
特別公開

福山翔大主演の青春音楽映画『JK☆ROCK』にて、ロックカフェの店長・照雄役を好演する西村まさ彦。映画でも熱量溢れる歌唱を披露しているが、それもそのはず、彼は数年前から音楽活動を行っているのだ。1年に一度のペースで行われる<西村のライブ>の形態はツアーであったり、単発のライブであったりと様々。2018年は東京にて演劇と音楽の2部構成で2デイズ開催された。彼の音楽活動の実態と信念に迫るべく、インタビューを行った。

  ◆  ◆  ◆

■良ければ人は集まるし、いいものは残っていく

──音楽活動を始めたきっかけとは?

西村:12、3年前、舞台が終わったあと、共演者と飲んでいる時に「バンドをやりませんか?」と声を掛けられたのがそもそもの始まりですね。3人で組んだものの、なかなか全員がイメージしている方向に行かず、バンドは解散して。そのあとご縁があり、脚本家の金子茂樹さんに詞を、金子さんのご友人の羽井一彰さんに曲を書いていただきました。

──ご縁と言いますと?

西村:バンドを組むよりも前に金子さんのお書きになった作品に出させてもらって、それからつかず離れずみたいな感じで交流があったんです。それで彼と飲んでいる時に「ライブやりたいんだけど、詞を書いてくれないか」と僕からお願いした……という流れだったような気がしますね。そしたら「いいですよ。じゃあ僕の友人が曲も書けるしピアノも弾けるから一緒にやったらどうですか?」と提案してくださって。

──では西村さんと金子さんと羽井さんの3人で音楽グループを組んで始めたということなのですね。

西村:そうですね。金子さんは厳しいんですよ。1回グループ解散の危機がありました(笑)。吉祥寺のライブハウスで、本番直前のことでしたね。金子さんも僕も真剣にやっていたんですけど、彼が求めるレベルと僕のやっていることの次元に、あまりにもずれがありすぎて「こんなんじゃやってられない!」とご立腹なさいました(笑)。でも、それを乗り越えたんです。
──どのようにして乗り越えたのでしょう?

西村:僕が頑張ったんです。ハートで叫んだんですよ。音楽はやっぱりそこが大事ですよね。もちろん技術的なことも大事なんですけど、いちばん大事なのはハートだと思います。それから1年に1回くらいのペースでひっそりと、<西村のライブ>というタイトルのライブやツアーをしています。

──その「ひっそり」というのにはどんな理由が?

西村:それしか方法がなかったからですね。宣伝を大々的にうてばいいってもんじゃない!良ければ人は集まるし、いいものは残っていく。より多くの人に楽しんでもらいたいという気持ちは持っているんですが、地道な活動を継続させてひとりでも多くの人に聴いてもらえることになればいいなと思っているんです。今できることをできる範囲でやっていく。この地道なライブ活動が現在のスタンスです。

──場所と趣向を変えて毎年開催されている<西村のライブ>、2018年は演劇と音楽の2部構成でした。

西村:俳優を目指している人たちが自分を表現する場はなかなかないので、その力になれたらいいなという想いから、音楽をテーマにした30分くらいの作品を作っていただいて、演劇と音楽の2部構成にしました。2018年のライブは久しぶりに羽井さんと一緒に音楽をやるといううれしさもありまして、去年のライブはリハでだいぶ歌い込みました。だから本番でいい意味で叫べましたね。僕の歌は叫びなので。

──叫び、ですか。

西村:この前TVを観ていたら、ドリアン助川さんの特集が放送されていて。その番組で流れた「叫ぶ詩人の会」というバンドをしていた時代の映像を観ました。綺麗に歌おうとしていない、想いを音に乗せてメッセージを伝えているという印象を受けたんです。伝える!それは自分のスタイルと似てるなと感じましたね。

──羽井さんのピアノに乗せて、喜劇的な歌詞を歌うというスタイルは、3人で話し合いのうえお決めになるのでしょうか?

西村:いえ、楽曲の方向性はふたりに任せているので僕から意見は一切言いません。ふたりとも「西村にはこれがいいだろう」と考えて作ってくださっているので、「ああ、金子さんは僕のことをこう見ているんだな」と詞を通してわかるという感じですね。今おっしゃった喜劇的というのは、ある意味そうかもしれませんが、すべてではないと思いますよ。

──なるほど。

西村:僕も金子さんの歌詞にどれだけメッセージ性があるかどうかはわからないですけどね(笑)。でもそれでいいんです。メッセージの伝え方は人それぞれですからね。
■ただやるんだよ

──では西村さんは歌でどんな想いを伝えようとなさっているのでしょうか?

西村:僕の想いはありません。詞の想いですね。想いを込めて歌うと自分は気持ちよく歌えるけれど、想いが重たすぎると人に届かないことや、受け止める側が拒絶する可能性があるんです。表現というものはその加減が非常に難しいところはありますよね。いつも安定していれば同じものを提供できるけれど、人は機械じゃないからそううまくいかないじゃない?

──そうですね。

西村:僕は瞬間、瞬間を精一杯歌い叫ぶことに集中していますし、そこに邪念があってはいけないとも思っていますね。どれだけ目の前のことに向き合えるかが勝負だし、あとは羽井さんの奏でる音を聴くことが大事だと思っています。僕だけでなく羽井さんも気持ちいいと感じないといけないと思う。そこを考えないと、いくら叫んでも美しいハーモニーは生まれないというのは、ライブを重ねるごとに気付いたことでもありますね。ちゃんと聴く耳がないと歌は上手にならない。

──では2018年の<西村のライブ>にはだいぶ大きな手ごたえがあったのでは?

西村:お互い力を合わせてあの時最高のパフォーマンスができたと思っています。もちろんこの先があるので、次には次の目指すものがありますけどね。本番までにいろんなことを試してみて、「これだ!」と思える一瞬を見つけ出すことが、最適な表現につながっていく。「表現する」とは、そういうことだと思いますね。

──地道なライブ活動を経て着実にステップアップしているのは、とても理想的だと思います。

西村:理想というよりは、そうじゃなきゃだめだね。もちろん試していくなかでへこむこともあるけれど、物事は波があって当然だからそれをどう乗り越えていくか、その波に飲まれずにどううまく乗っていこうとするかは大事なこと。サーフボードから落ちたとしてもまた果敢に攻めていくという姿勢が、前向きに生きていくということにつながっていくと思うよ。

──西村さんはその波に乗るために、どうなさっているのでしょう?

西村:波に乗ることにコツとかはないのさ。ただやるんだよ。いろんなことを機械に任せたり、みんなどうしたってラクにできる方法を探すけど、それって人間がラクに生きているかというとそういうことじゃない。そもそも生きることはラクなことではない──そう思っていれば多少のことでへこたれる自分を作ることにはならないよね。特に若い人たちは体力があるんだから、その波から逃げずに向き合っていけばいい。若い人に体力があるのは、逃げずにやるためかもしれないね。

──若いうちの苦労は買ってでもしろ、という言葉もありますしね。

西村:しゃにむに立ち向かっていくのが若さなんだと思うよ。それが思うようにいかなくなるのが歳を取ってからの歯がゆさにもなるんだけど、エネルギーがゼロになったわけでもないから。でも年齢問わずエネルギーをすべて使って立ち向かっていくことがより良いものを求めていく姿勢でもあると思うし、人が生きていくうえで忘れてはいけないことなんじゃないかな。今ある位置が1年先にもあるとは限らないじゃない? だからみんな死ぬ気でやってるんだよ。
──演劇にも通ずるものがありそうです。

西村:そうですね。もちろんその話や歌を引っ張っているのは主役や歌い手ではあるんだけど、主役がナンバーワンではなく、舞台に立っている全員でより良い音楽や作品を届けていく。その関係性は音楽も演劇も変わらないですね。

──ところで、西村さんは音楽活動を始めてから、人生が豊かになりましたか?

西村:音楽活動が僕自身を成長させたとは思っていますが、そもそも音楽は人を豊かにするものですよね。癒してもくれるし、彩りも添えてくれる。それが音楽の素晴らしさだよね。ライブはなにがあるかわからない。「うまく演奏できました」だけだとただの発表会ですよね。はみ出さない良さもあるけれど、そのはみ出したところにライブの良さは詰まっていると思っています。音楽活動を始めて言葉を的確に届けなきゃいけなという意識を持ちました。

──西村さんは歌詞が届いてくる歌唱ですね。

西村:いいことをおっしゃる(笑)。ライブをやることで「言葉」というものは本当に大事だなとあらためて気付かされたんです。金子さんが書いてくれた詞を艶を持って、お客さんがいつも新鮮な感覚で言葉を受け止めてくれるように、精一杯叫び続けたい。今年は秋口にもう少し規模が大きなライブをやろうと思っているので、より強烈に叫びたいと思いますね。さっそくこのあと、金子さんに新曲を作ってもらうために電話します(笑)。今後の活動も楽しみにしていてほしいですね。

取材・文◎沖 さやこ
撮影◎鳥居洋介
映画『JK☆ROCK』

2019年4月6日(土)新宿バルト9他 全国ロードショー
福山翔大 山本涼介 小林亮太 熊谷魁人
早間千尋(DROP DOLL . チヒロ) 結那(DROP DOLL . ユイナ) 三宅ゆきの(DROP DOLL . ユキノ)
吉本実憂 金井勇太 橋本マナミ 若旦那 吹越 満
本田博太郎 / 高島礼子 / 西村まさ彦
監督:六車俊治 脚本:谷本佳織 音楽:遠藤浩二 音楽指導:横川雄一
主題歌:「シークレットボイス」(DROP DOLL)徳間ジャパンコミュニケーションズ
製作総指揮:影山龍司 プロデューサー:岩城レイ子 プロダクション統括:木次谷良助
制作協力:東映東京撮影所 配給・宣伝:ファントム・フィルム 宣伝協力:マンハッタンピープル 音楽協力:デビュン
製作:KAGEYAMAJUKU ENTERTAINMENT
(c)2019「JK☆ROCK」ビジネスパートナーズ
jkrock-movie.jp

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