【インタビュー】FIVE NEW OLD、洗練
感とポップさが同居し新たな領域に歩
を進めた「WHAT’S GONNA BE?」

FIVE NEW OLDのメジャー3rd EP.「WHAT’S GONNA BE?」が3月13日にリリースされた。フェスへの出演や様々なジャンルのアーティストとの競演、海外進出などを経て制作された本作は、より心地好さを追求していることが印象的だ。ライブを意識した作品でいながらパワフルだったり、ドラマチックな方向に振るわけではなく、彼らならではの洗練感を継承しつつオーディエンスと一緒に楽しめる楽曲群を提示しているのは実に見事。新たな領域に歩を進めたFIVE NEW OLDのメンバー4名に集まってもらい、「WHAT’S GONNA BE?」についてじっくりと話を聞いた。

■“誰も置いてけぼりにしない”ということが根っこにあった
■そこをみんなで考えて形にしていきました

――「WHAT’S GONNA BE?」の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

HIROSHI:去年の夏ごろから制作を始めたんですけど、ちょうどそのタイミングで夏フェスに出させていただいたり、ワンマン・ツアーが始まったり、タイにライブをしにいったりしたんですね。今まで以上に多くの人の前で演奏する機会が増えたので、新しいEP.を作るにあたって、よりみんなに届くものにしたいという思いがあって。そこから“リズムで一緒に楽しんでもらえるもの”というコンセプトが出てきて、それを意識して制作に入りました。それに、今回のEP.は久しぶりに、ケータイのヴォイスメモにギターを弾きながら鼻歌を歌ったのを録るという古典的なやり方に立ち還ったんです。そういうやり方で1コーラスを作って、いいリズム感のものにするためにメロディーがリズムにどう乗るかということを何個か用意して。それをWATARUに投げて、彼が主軸になってアレンジをどんどん組んでいくという、今までとはちょっと違うやり方にしました。今までは全部ゼロベースからWATARUと一緒に作っていたのを、今回は僕が素材を作ってアレンジを彼に任せるという流れにしたんです。

――本作は4曲収録されています。それぞれの曲を順番に紹介していただけますか。

HIROSHI:じゃあ、僕からいきますね。1曲目の「What’s Gonna Be?」はリード曲ですけど、今回の制作で一番最後にできた曲です。作るにあたって意識したのは、わかりやすさと、お客さんが感じる新しさのバランスを上手く取ることでしたね。わかりやす過ぎても陳腐なものになってしまうし、こっちがやりたいことだけをやっても、お客さんを置いてけぼりにしてしまうというのがあって。今回のEP.は“誰も置いてけぼりにしない”ということが根っこにあったので、そこをみんなで考えて形にしていきました。

WATARU:「What’s Gonna Be?」はHIROSHIから渡された素材を元にして、キーになるリズムとメロディーを組んだ状態のものを最初に作りました。で、単調過ぎると退屈になってしまうので、遊びを入れようと思って。それで、N*E*R*Dやゴリラズ的なちょっと癖のある要素を入れて表現したい部分を際立たせたというのが、この曲の構造の特徴だと思います。あとは、オルガン系のパッドやリバーブをかけたギターを入れて、世界観を深めたという感じです。
――セクションの合間に入るフレーズがいいフックになっていますし、いつもながら少ない音数で世界観を構築しています。ギターに関しては、シングルコイル・ギターの良さを活かしていることもポイントといえますね。

WATARU:今回は、ほぼシングルコイルのギターしか使っていません。3曲目の「Better Man」は歪むギターやアンプを使ったし、より耳に近い音像にしたくて、あえてラインで録ったりしましたけど、基本的にシングルコイルで、生のアンプで鳴らすという録り方をしました。

――伝統的なシングルコイル・トーンですが、それが繊細さや洒落た雰囲気を醸し出していて、シングルコイルPUの良さを改めて感じました。

WATARU:そう、シングルコイルいいんですよね。

HIROSHI:ちょうどストラトを買ったタイミングだったんだよね?

WATARU:うん。そのストラトがすごく良くて、今回のレコーディングも、最近のライブもメインで使っています。

HAYATO:あのストラトは、見た目もカッコいいよね(笑)。ドラムに関してはHIROSHIから話があったように、今回はリズムに重点を置こうということになって。これまでのFIVE NEW OLDを振り返ってみると、初めて聴いた人にとってわかりやすいビートだったり、ノリやすかったりするビートという部分が薄かった気がするんですよ。「What’s Gonna Be?」は、わかりやすくてノリやすいビートということを、今回の4曲の中でも一番実践できた曲といえますね。それに、僕はロック畑出身なのでレコーディングする時にフィル・インが多めだったり、自分の癖を入れたりしがちだったけど、そういうのを極力なくしてみようと思って。なので、シンプルなビートを気持ちよく聴かせることに徹したドラムになっています。

――ビートの心地好さに加えて、ドラムの音もカッコいいです。

HAYATO:音に関しては、前々回のアルバムからお世話になっている敏さん(渡辺敏広)というエンジニアさんが作ってくれるドラムの音が最高なんですよ。「What’s Gonna Be?」のドラムの音は、僕もすごく気に入っています。
――FIVE NEW OLDのライブを観るとよくわかりますが、HAYATOさんのドラムがロック感に溢れていることはこのバンドの個性であり、魅力になっていますね。

HAYATO:ありがとうございます。自分が育ってきたロック畑の色を100%出すまではいかないけど、上手く活かしたドラミングができたらいいなというのがあって。洋楽のバンドは繊細なドラマーなんだろうなと思ってライブを観たらめっちゃパワフルということがよくあるんですよね。そういうことを知って、自分も等身大でいいんだと思って、自分の個性を殺さないようにしています。

SHUN:この曲はリズムを崩さずに、どうグルーブを創るかというのがあって。キープするのが中々難しいと思いながら、それがこの曲の肝になるところなので、ドラムとベースのリズムを止めないというところをすごく意識しました。でも、レコーディングはスムーズでしたね。エンジニアの敏さんは僕らがやりたいことをすぐにわかってくれるので、パッと弾いただけで良い音を作ってくれるんですよ。それに、すごく演奏しやすい環境を作ってくれるし。だから、すごくリラックスしてレコーディングに臨めました。すごく心地好いグルーブをパッケージできたと思うので、聴いてくれた方にそこを楽しんでいただければと思います。

HIROSHI:「What’s Gonna Be?」は、どういう歌を歌おうかなと思っていたところがあったけど、2~3テイク歌ったら終わりました(笑)。いつもは通して何度か歌って、ブロックごとに細かいところを直していくんですけど、この曲は特に直しもなくて。逆に生々しさが出て、この曲がより躍動感を持ったかなと思います。
▲HIROSHI (Vocal, Guitar)

――皆さんの上質なプレイも注目です。「What’s Gonna Be?」の歌詞についても話していただけますか。

HIROSHI:今回は僕達にとってチャレンジングなことをしたというのがあって。今までだったら歌で聴かせ切っていたところにリズムという要素が入ってきて、お客さんと一緒に楽しめる余白を残すということで、普段やってきた手法とは違うことにいろいろトライしたんです。そこに対する不安や悩みがあったけど、それでも僕達は次の段階に進むんだという気持ちがすごく強かったので、腹を括ってみんなで前に進んでいこうという意志を固めることができた。そこに至るまでの自分の紆余曲折を「What’s Gonna Be?」の歌詞には込めたというか。自分とか、いろんなものに対するフラストレーションを爆発させてしまおうということを、思いきりポップに書きました。

――洗練感のある楽曲でいながら歌詞は熱いということも魅力になっています。2曲目の「Please Please Please」は、キャッチーかつ穏やかなミディアム・チューン。

SHUN:この曲はHIROSHI君やWATARU君がよく聴いていたんだろう音楽のエッセンスが色濃く出た曲ですけど、テーマとして“みんなで歌える曲”というのがあったんです。叫んだりするんじゃなくて、ちゃんと口ずさめる曲を作ろうと。僕は元々J-POPとかが好きで聴いていたタイプなので、FIVE NEW OLDの曲は難しくて歌えないという話をしたんです。英語だから難しいし、このメロディーはどういう符割りになっているんだというものが多かったので、俺でもわかる英語の歌を作って欲しいという提案をしたんですね。それで、“Please Please Please”と繰り返す簡単なサビになったし、歌中も中学校で習うような単語で構成してくれたし、メロディーの符割りもわかりやすいものになった。そういうところで、この曲はFIVE NEW OLDの新しいポップネスを提示できたんじゃないかなと思います。

HIROSHI:SHUN君からそういう提案があったので、この曲の歌詞はなるべく辞書を引かないようにして書きました(笑)。SHUN君に簡単な歌詞にしてほしいと言われて、改めて洋楽のトップ・アーティスト達の歌詞を読み返してみたら、たしかに難しい単語はほとんど使っていないんですよね。マルーン5にしても、エド・シーランにしても。クィーンもそう。歌詞カードを見たことがなくても“We Are The Champion”と歌える。そういう強さはあるなと思って、「Please Please Please」はより普遍的な言葉で自分の言いたいことを伝えるというところに立ち還って書くことができたので、すごく良かったと思います。内容はラブソングとも、僕らからファンに向けたメッセージとも取れるようになってはいますけど、とにかくわかりやすいですよね。ひねったことを一緒に歌うよりもストレートなことをライブで一緒に歌ったほうが楽しいし、安心感が生まれるんじゃないかなと思って、そういう歌詞にしました。

WATARU:「Please Please Please」は、デモの段階では年代的な色みたいなものがもっと濃かったんですよ。'90年代初期のトレンディー感というか(笑)。そのままいくんじゃなくて自分達の色や今っぽさ、王道感みたいなものを出したほうがいいなと思ったんです。特に難しいことをせずに表現しているので、そういうところに落とし込んだという感じですね。イントロでギター・メロディーが入ってきたりするのは王道というか、昔ながらという感じだけど、それがこの曲には合う気がしたんです。
▲WATARU (Guitar, Keybords, Chorus)

――昔ながらということでは、アウトロでギターが入ってきて、そのままフェードアウトするという構成もこの曲にフィットしていますね。

WATARU:僕的には弾きどころが、そこだったんです。ギター・ソロではなくて、曲の終わりを彩る要素という捉え方ですよね。そこは、ギターのメロディーが一番上がっていくところでフェードアウトするようにしてもらいました。昔の洋楽は、おいしいところでフェードアウトするんですよ。それも楽曲の聴きどころになっていて、僕はそこに良さを感じていたので、同じようにしたいなと思ったんです。

HIROSHI:あのギターの消えていき方はすごくいい。でも、ライブはフェードアウトできないじゃん(笑)。どうするの?

WATARU:……どうしよう。

HIROSHI:弾き倒すとか?

WATARU:いや、それはないと思う(笑)。

HIROSHI:楽しみだなぁ。続きはライブで…ということで(笑)。「Please Please Please」の歌は、「What’s Gonna Be?」と違って優しくて、ポップな曲なので、自分が得意なファルセットを増やしたりしました。この曲は“聴いてくれた人にとって心地好い歌”ということを、より意識しました。

HAYATO:この曲のドラムは、生のスネアと打ち込みの音をブレンドしたことがポイントです。HIROSHIの理想は打ち込みのドラム・サウンドだったけど、完全な打ち込みは嫌だなというのがあって、生と打ち込みの音を混ぜることにしたんです。だから、音は打ち込みっぽいけど、タイム感は生という形になっている。プレイ的には僕が小学校くらいの頃に聴いていたJ-POPのベタベタな8ビートという感じ(笑)。叩いてみたら、それが一番気持ち良かったんですよ。シンプルな8ビートというのは奥が深くて、フレーズで悩んだりした部分もあったけど、“ザ・王道のドラム・ビート”という感じのビートになっています。ここまで8ビートの曲は、FIVE NEW OLDではなかったんですよ。だから、すごく新鮮でした。
■僕らは、あまのじゃくなので(笑)
■常にカウンターパンチを繰り出していきたい

――3曲目の「Better Man」にいきましょう。

WATARU:この曲はデモ段階ではモチーフになっているギター・リフとメロディーがあって、その流れのままサビまでいくという形だったんです。そのままだと退屈だし、型にはまった感じで面白くないということで、SHUN君から曲を壊そうというアイディアが出たんです。アイディアの中の一つとして、僕らはポップパンクやロックが根本にあるので、サビは歪んだギターを鳴らして力強さを表現するというのがあって。それがすごくいいねということで、今の形になりました。この曲はこういうサビだから面白いというか、楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

SHUN:最初はレゲトンっぽい感じでずっといく曲だったけど、FIVE NEW OLDはどこかヒネくれている音楽表現の部分が結構あるので、これだけというのはなぁ…というのがあり。それで、サビは英語で歌っているんだし、和音階を使ってみたらどうかとスタジオで言ったらHIROSHI君がその場ですぐにメロディーを作って。それに合うものということを考えた時に、昔のFIVE NEW OLDのロックとか、パンクの部分を出しても面白いんじゃないかという話をしたんです。結果的に変な曲になって、個人的に「Better Man」はすごく気に入っています。

HIROSHI:SHUN君からアイディアをもらって、本当に15分くらいでメロディーができたんですよ。レコーディングの時は、その時の感覚を大事にしようと思って歌いました。メロディーが浮かんで、仮歌をポンと歌った時の感触がすごく良かったんです。それは、いわゆる初期衝動で、それをパッケージしたいなと思ったから。そういう気持ちで歌ったことがいい方向に出ていると思うし、今回のレコーディンではこの曲を一番最初に歌ったんです。なので、1曲目でいい弾みがついて、気持ちが上がった状態で他の曲の歌録りに臨めたというのはありましたね。

HAYATO:この曲は生のドラムと打ち込みが同居した形になっています。2番のAメロはキックとハットが生で、スネアは打ち込みなんです。生と打ち込みを曲中のパートによって使い分けるんじゃなくて、ブレンドという。で、サビは生だけだから、サビにいった時に“ガッ!”と変わるんですよね。僕はカッコいい音楽であることを一番重視しているので、こういうアプローチも全く抵抗はないんです。自分が叩くパートが全くなかったらさすがに淋しいけど、今はパッドとかもあるからライブはそういうものを使って打ち込みっぽいドラムも表現できるし。だから、この曲のリズム・アプローチもすごくいいなと思っています。

――懐の深さを感じます。それに、サビのハネたビートの心地好さは絶品です。

HAYATO:キックが主にハネていますね。で、オープン・ハイハットをちょっと狭くして…という感じです。サビはギターとかベースはハネていなくて、最初はそれに合わせて“ドン・ドン”とキックを踏もうと思っていたんですけど、いざレコーディングで試してみたら、すごく普通になってしまって。それでキックだけハネることにしたけど、レゲトンのノリは消したくなくて、レゲトンがちょっと香るくらいのハネに落とし込みました。そういうドラムとハネていないギターやベースが合わさることで、シンプルだけど、すごく気持ちいいリズムになったかなと思います。

HIROSHI:「Better Man」もみんなのセンスが上手く絡みあって、面白いものになったなと思いますね。この曲の歌詞は、現代人として生きている人の弱さについて歌っています。コミュニケーションが手元だけで成り立ってしまう時代に生きていて、人と顔を突き合わせて会話をすることに対する怯えを感じていたりする。実際に話してみればどうということはないのに、それを回避しようとしたりするんですよね。それに、ちょっとビックリしたんですけど、最近はご飯を食べている動画をYouTubeにアップしている人が沢山いて、再生回数が伸びているらしいんですよ。要は、独り暮らしをしている人が、それを見ながらご飯を食べているらしくて。「Better Man」の2番の歌詞は、そういうことからインスピレーションをもらって出てきました。自分も制作をしていたりすると出不精になって“人免疫”が落ちたりするので、普段からそういう状態の人は多いんじゃないかなと思って書いた歌詞です。
――4曲目の「Don’t Try To Be Perfect」は打ち込みを押し出した無機質なパートと生々しさのコントラストを活かした曲です。

HAYATO:この曲はHIROSHIが作ったんですけど、バンドでアレンジする前に全部一人で作って、ミックスまでした状態で持ってきたんです。だから、基本的にドラムも全編打ち込みで、生ドラムはなしだったんですよ。ホーンも完成形ほどしっかり入っていなくて、おとなしめな曲だったけど、レコーディングで生ドラムを入れたり、ホーン・セクションを派手にしたりして壮大な感じに仕上げました。この曲のドラムは最後に録ったんです。違う曲のドラム録りが終わった時に、「この曲、1回叩いてみる?」という話になって、「あれ? これ叩くんでしたっけ?」みたいな(笑)。フレーズを全く考えていなかったけど、やってみましょうということになって。それで、叩いていたらどんどんフレーズが出てきて、「だったら、ここをこうしようぜ」みたいになって、いろいろやって今の形になりました。

SHUN:ドラムが打ち込みだけだと、他の曲と並べて聴いた時にダイナミクスが足りないなという話になったんだよね?

HIROSHI:そう。

SHUN:それで生のドラムを入れることになったけど、ベースは全編打ち込みです。HIROSHI君が作ったデモが、このまま音源にしてもいいんじゃないかというくらい完成度が高かったので、そこから崩したくないというのがあって。それで、ベースは打ち込みでいくことにしました。僕の場合、ライブはシンベを弾けばいいというのがあるから、生のベースにはこだわらないんです。

WATARU:この曲はギターも入っていません。ただ、音源はこういう形で纏めたけど、ライブでは全然違うアレンジになる予定であって、もうがっつりギターを入れてみようかなと思っているんです。ないものを足すことになるので、結構面白いものになるんじゃないかなという気はしますね。なので、ライブも楽しみにしていて欲しいです。

HIROSHI:「Don’t Try To Be Perfect」は、もうちょっと優しさを込めてアンセムを歌いたいという気持ちがあったんです。ミッドバラードで、なおかつスケール感があって、けど歌えるものというのをなんとなく求めていて、歌わせようとしてアッパー、アッパーでいくよりもドシッと構えた、シブいものを作りたいなと。そういうところとゴスペル的なところを融合させて形にしました。トラックっぽいものもやってみたいなと思った瞬間に、ゴスペルというアイディアが“ストーン”と出てきたんです。それで、思い描いているとおりに一度組み上げて、みんなにイメージを伝えて、余地があればなにかやってみてくれと言って。そうしたら、SHUN君がよりシネマティックにしてくれたことでドラマが生まれたし、そこに生のドラムが入ることでスケール感が前に押し出されて、同時にゴスペル感がさらに際立った。それが、すごく良かったなと思いますね。それに、イメージが明確なので、ライブではギターを思いきり歪ませて、アウトロはもう“バーン!”といってやろうか…みたいな(笑)。すごくいい形になりそうな予感があるので期待していてください。
▲HAYATO (Drums, Chorus)

――音源は音源、ライブはライブと考えられるところにもFIVE NEW OLDの柔軟さを感じます。「Don’t Try To Be Perfect」は“完璧を目指さなくていいんだよ”という柔らかみのある歌詞も魅力的です。

HIROSHI:「What’s Gonna Be?」で、“どうするのさ? 前へ進もうぜ!”と言っておきながら4曲目では“完璧を目指そうなんて無理しなくていいよ”と歌っているという(笑)。柔らかみということに関しては、僕は人が生きていくうえでは白でも黒でもないグレーゾーンの中から何かを汲み取って歩んでいくところに人間の人間たる人生があることを感じるんですよ。なので、余地を残すというか、“どう思う?”というものを届けたいなと思っているんです。

――今作を聴くとFIVE NEW OLDが独自のところを目指していることがわかります。シティポップに寄せた作品を作るのかなという気もしていましたが、違っていました。

HIROSHI:僕らは、あまのじゃくなので(笑)。常にカウンターパンチを繰り出していきたいというようなところがあるというか。僕は落語も好きで、よく寄席に行くんですけど、立川志らくさんが「テレビやいろんなメディア・コンテンツが陳腐になってしまったのは、見る側に知恵がなくなってしまったからだ」と言っていて、僕もそれはすごく感じる部分がある。でも、それはある種与えてきた側にも責任があると思うんですよ。音楽も芸術ではあるけど大衆娯楽なわけで、僕達みたいなバンドの役割というのはちょっと知恵を授けてあげることだと思う。いろんなものや情報に触れながら日々生きていく中で、こういう面白さもあるんだと自分で発見した時は“好き”が、より深く残りますよね。そういう体験を自分もしてきたので、それををみんなと分かち合いたいという気持ちがあって。だから、ポップスの中にちょっと新しい発見や新しい気づき、知恵を授けられるものを届けていきたいんです。そういう思いがあるから、他でも聴けるようなものやリスナーの予想どおりのものには魅力を感じない。それが今回の「WHAT’S GONNA BE?」にも表れているというのはありますね。
▲SHUN (Bass, Chorus)

――“いい意味で裏切る”ということの好例になっています。そんな「WHAT’S GONNA BE?」のリリースに加えて、春のアジア・ツアーや5月の東名阪ツアーも楽しみです。

HAYATO:去年3回ほど海外でライブをやらせてもらって、今年は中国、台湾、タイで7本ライブをする予定なんですよ。日本では味わえない環境や空気感があると思うんですけど、そういう中で得られるものをしっかり身につけて、5月の東名阪ツアーに活かしたいと思っています。今度の東名阪はFIVE NEW OLD史上最大キャパになるので、それにふさわしいライブを届けられるようにがんばります。

SHUN:前回のワンマン・ツアーは反省点も多くて、メンバー間でもっとできるよねという話をしているんです。そういう思いや去年海外にいって体験したことや感じたことを今回の「WHAT’S GONNA BE?」に込めることができて、今後のライブではそれを表現していくことになる。なので、モチベーションが上がっています。今度のツアーに向けて、今の僕らは音の再構築というか、ギターがここにいて、同期の音はこうあって、ベースはここ…みたいなことを見直したり、グルーブの確認をみんなでしたりしているんですよ。だから、よりクオリティーの高いライブを観てもらえると思う。今度のツアーはいろんなところでライブをするので環境が変わって、それによっていろんなことがあるだろうけど、それも乗り越えて、ちゃんと1音1音をフロアの一番後ろの人まで届けられるライブをすることを目指します。

WATARU:「WHAT’S GONNA BE?」に入っている4曲はどれもわかりやすくて、みんなと分かち合えるような曲に仕上がっているので、ライブは本当に楽しみです。各地でいい空間を創れると思うし、特に東名阪ツアーのマイナビ赤坂BLITZは今までのFIVE NEW OLDの最大キャパになってくるので、そこで沢山の人達と自分達の音楽を分かち合いたい。それを実現するためにはBLITZに至るまでが大事になってくるので、1本1本のライブをしっかりやっていこうと思っています。

HIROSHI:僕らが英詩でずっとやり続けているのは、海を越えた人にも届けたいという思いがあるからなんですよ。そういう中で去年タイに行かせてもらって、今回アジアというふうによりフィールドが広がって、自分達がずっと夢見ていたことへの第一歩を踏み込むことになる。ここでいろんなことを経験して、さらにスケールアップしたいですね。タイは日本みたいにやりやすいライブハウスというのは数少ないし、アジア・エリアではライブをすること自体が難しい場所もあると思うんですよ。でも、そういうところで演奏しているミュージシャンというのは、みんな上手なんですよね。自分達もアジアでそういう体験をして、よりタフさを身につけたいと思っています。もしかしたら、ムチャクチャすごいことが待っているかもしれないし。今はアジア勢がヒップホップを席捲していたり、K-POPもワールドワイドで評価されていたりして、アジアがミュージック・カルチャーの台風の目になりそうな状況ですよね。そういう瞬間に僕らがアジアに行くということは日本を背負っている部分があるし、アジアの一員として世界にカルチャーを広げていけるような経験を今度のツアーで掴み取りたい。それを掴み取った僕らはきっともっと強くなっているはずなので、その姿を東名阪ツアーで見届けにきてくれると嬉しいです。そのうえで、マイナビ赤坂BLITZも通過点でしかないな、まだ物語は続いていくなと、みんなに感じ取ってもらえるようなツアーにしたいと思っています。

取材・文●村上孝之
リリース情報

『WHAT'S GONNA BE?』
TFCC-89669 \ 1,300(税抜)
1. What’s Gonna Be?
2. Please Please Please
3. Better Man
4. Don't Try To Be Perfect

ライブ・イベント情報

<FIVE NEW OLD ASIA TOUR 2019 #JAPAN>
2019/5/18 (sat)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
2019/5/23 (thu)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
2019/5/25 (sat)東京・マイナビBLITZ 赤坂

<FIVE NEW OLD ASIA TOUR>
4月5日(金)
地域:Hong Kong,North Point
会場:MOM Live House

4月7日(日)
地域:Taiwan,Taipei
会場:THE WALL

4月19日(金)
地域:CHINA
会場:未定

4月21日(日)
地域:CHINA
会場:未定

4月26日(金)
地域:MAHASARAKHAM,THAILAND
会場:Mahaniyom

4月27日(土)
地域:KORAT,THAILAND
会場:Mum Bar

4月28日(日)
地域:BANGKOK,THAILAND
会場:De commune

<10th Anniversary 「SANUKI ROCK COLOSSEUM 2019」 -MONSTER baSH × I♥RADIO786- (香川県)>
3月23日(土)香川県 
有料会場 : festhalle / オリーブホール / DIME / MONSTER / SUMUS Cafe
無料会場 : 瓦町駅地下広場、786FM香川ステージ
※14:15~ オリーブホールに出演

<HIROSHIMA MUSIC STADIUM -ハルバン’19- (広島県)>
3月24日(日) 広島市内ライブハウス
会場:未定

<Duke presents. SUPER SHOW>
3月25日(月) 愛媛県 松山WstudioRED

MAGIC OF LiFE presents "Don't Stop Music Fes.TOCHIGI 2019" (栃木県)>
4月13日(土) 栃木県 栃木市栃木文化会館

<Kiss FM KOBE主催 トアロード・アコースティック・フェスティバル2019>
4月14日(日) 兵庫県
会場:神戸VARIT./北野工房のまち/nomadika/ARTRIUM/スポルテリア/STUDIO KIKI /FLAT FIVE/Ageha Base/THE PLACE KOBE/クラブ月世界

<VIVA LA ROCK 2019 (埼玉県)>
5月4日(土祝) 埼玉県 さいたまスーパーアリーナ

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