企画展『ウソから出た、まこと -地域
を超えていま生まれ出るアート』が十
和田市現代美術館で開催

企画展『ウソから出た、まこと -地域を超えていま生まれ出るアート』が、2019年4月13日(土)〜9月1日(日)まで、青森県の十和田市現代美術館にて開催される。
地域の人々との共同作業による美術の活動が、いま日本では数多く行われている。十和田市現代美術館が昨年から取り組んでいる〈「地域アート」はどこにある?〉プロジェクトは、そういった表現の多様さ、そこにある課題、可能性をひもといていく試みだ。本展はこのプロジェクトの一環として、地域の人々と共に実験的な活動を続けてきた3組の作家、北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志による新作を、美術館内外で展示する。
芸術の常套手段である虚構、フィクションをコミュニティに持ち込むことで、現実を鮮やかに動かしていく、作家たちの実践に触れてほしい。
1:インドネシアの乗り物が十和田のまちを走る(北澤潤)
自身の活動拠点であるインドネシアの乗り物を持ち込み、来館者に貸し出すプロジェクトを行う。“他国の乗り物”という仕掛けが、エラーやバグのように突如としてまちに現れ、生活になじみはじめるとき、歴史と文化が共鳴し、私たちが当たり前と思っていた日常も揺るがされるだろう。この企画は市民と共同で運営され、まちを「活性化」する実験としての側面を持つ。
北澤 潤《サンセルフホテル》photo by Yuji Ito(参考画像)
北澤 潤《リビングルーム》photo by Yuji Ito(参考画像)
【作家メッセージ】
北澤 潤 photo by CULTURE
2018年6月に初めて十和田を訪れ、その後も雪に包まれた冬に二度滞在しました。いま生活の拠点にしているインドネシアからたどり着くと、小さな時差と大きな温度差のせいで、近いような遠いような、ふとどこにいるのかよくわからなくなります。またときどき訪れる中でこの感覚に慣れていくのかもしれません。今回、新たに取り組むプロジェクト《LOST TERMINAL》は、インドネシアの路上を行き交うさまざまな乗り物を持ち込み、街の中で乗ったり活用したりできる状況を生み出していきます。十和田市現代美術館の屋外空間が「発着場―ターミナル」となり、あちこちに異国の乗り物が出発しまた帰ってきます。乗ったり、目撃したり、使ったりすることで、その行き来をぜひ実体験してみてください。日本のようで日本でない、かといって当然インドネシアでもない、どこにいるのかよくわからなくなる感覚が生まれるかもしれません。僕自身の感覚と同じように、異質な乗り物たちもこの春から夏にかけて、十和田の街に慣れ親しんでいくでしょうか。その先にある新しい日常を見てみたいと思っています。
2:コミュニティの人々とVR作品を作り上げる(Nadegata Instant Party)
Nadegata Instant Partyは2006年の結成以来、日本全国各地でその地域の人たちを巻き込みながら、思いもよらない出来事を生み出してきた伝説のアートユニットだ。今回は公募で集まった一般参加者とともに、VR(ヴァーチャル・リアリティ)体験をテーマにした新作プロジェクトを行う。その場で偶発的に起こっていく反応を参加者全員で楽しみながら、最初は誰も予想できなかった成り行きを、作品という形で提示する。
Nadegata Instant Party (中崎 透+⼭城 ⼤督+野⽥智⼦) 《24 OUR TELEVISION》 2010 年 ⻘森公⽴⼤学 国際芸術センター⻘森 (c)Nadegata Instant Party(参考画像)
Nadegata Instant Party (中崎 透+⼭城 ⼤督+野⽥ 智⼦) 《Yellow Cake Street》2011 年 「Alternating Currents -Japanese Art After March 2011」 Perth Institute of Contemporary Arts (PICA), Australia (c)Nadegata Instant Party(参考画像)
【作家メッセージ】
Nadegata Instant Party (中崎 透+⼭城 ⼤督+野⽥ 智⼦)
私たちNadegata Instant Partyは、2006年の結成以来、全国各地でプロジェクト型の作品を発表してきました。それぞれの場所や人に出会い、その状況そのものに大きく影響を受けながら作品制作をしています。「本末転倒型オフビートユニット」と揶揄されるほどに、自分たちが掲げた口実に自らも巻き込まれ、起こってしまった現実がイメージを超えてしまうようなことが幾度もあり、活動そのものがまさに「ウソから出た、まこと」だったりします。十和田市現代美術館での新作発表にあたり、私たちがテーマに掲げたのは「VR」、そう「ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実」づくりです。ウソみたいな現実? 現実みたいなウソ? 目の前に起こる出来事とフィクションが展示室で混ざり合う、映像と音響と空間をつかった体験型の作品を構想しています。徐々にではありますが、十和田界隈の個性的な顔ぶれに出会い始めてきた今日この頃です。とりあえず、大量にいただいた「黒にんにく」をかじりながら盛大な本末転倒を巻き起こしていきたいです。
3:自身をモデルにした小説で、「地域とアート」の源流を探る(藤浩志)
1980年代より参加者が自発的に事を起こすようなシステムや仕組みを社会にインストールする、OS(オペレーション・システム)と自らが呼ぶ作品を創出し続けてきた。本展では十和田市現代美術館と協働で自身をモデルにしたある作家の活動を小説化し、同時に実際の活動の痕跡を展示する。一人の作家の思考プロセスを通して、社会や歴史の動きと連動して出て来た「地域」と「アート」に関わる表現領域の意味を、私たちは知ることになるだろう。
藤 浩志《kaekko project》 2002 年 ⼭梨県⽴美術館(参考画像)
藤 浩志《Happy Paradies》 2015 年 ⾦沢21 世紀美術館(参考画像)
【作家メッセージ】
藤 浩志 photo by Kuniya Oyamada
「もっと画期的なことせな!」嶋タケシの大学時代の友人、レイイチの口癖でした。芸術大学の学生は古今東西のあらゆるジャンルの作品に心奪われ、それを作りたいと真似し追いかけることから始まるのですが、あるところまでゆくと、これまで見たこともない、まだ世の中に存在しない作品を作らなければならなくなります。それを超えることができるかどうかが問題です。あぁ懐かしい。私自身は、ありそでなさそな新しい活動をどうやれば作れるのかという課題について、自分の体と家族の生活を犠牲にしつつも、実はかなり楽しみながら取り組んできました。活動がつくられるシステム、場、ツール、関係性等様々な角度から実践を重ねる中で、2003年に十和田を初めて訪れました。中央公民館で家族向けイベントかえっこを開催、そこでアートに関するアンケート調査を実施、その結果2008年十和田市現代美術館が開館。2012年から4年間十和田を活動の拠点とし、美術館の運営に関わらせていただきました。その時熟成した十和田奥入瀬での活動のアイデアはいろいろあるのですが、それは将来の課題とし、今回は活動家、嶋タケシの右往左往について小説とミニ立体絵巻として小さく展開したいと思います。で、嶋タケシって誰だ!

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