【ライブレポート】「光」と「音」と
「香り」で魅了する、ライブイベント
<TOP NOTES>

2月27日に<TOP NOTES(トップノート)>と名付けられたライブイベントが渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催された。イベント名は、香水をつけて最初に感じる香り“top notes”に由来したもの。ライブ中に光に加え、香りを発生させることで、音楽を五感から体感し、かけがえのない思い出と刺激的な新体験を創出しようという趣旨である。

第1回目に選ばれた出演者は、歌はもとより自分なりの世界観を持っている注目の女性シンガー・ソングライターたち。オープニングのMiiは、現役大学生。3歳から歌とダンスのスクールに通っていたという抜群のリズム感に、リラックスした関西弁トークもあり、登場するとその場がすぐに華やかになった。デビュー曲「What You Say」からスタートし、カリビアン・ビートに軽快なエレクトロ・サウンド、しかもサビの部分の歌の伸びが気持ち良くて、観客が自然と左右に腕を振り出すほど。2曲目「My CASTLE」については「みんなが好きな場所や落ち着ける時間のことなどを考えて聴いてね」と説明し、会場に漂う甘い香りが、ウィスパー風の甘い声に心地よく溶け込んでいく。
スタイルの良さもあって、ちょっとした動きにも魅せられ、新人とは思えないフレンドリーなパフォーマンスに引き込まれる。しかし、Miiの魅力はこれだけではなかった。3曲目には映画『SING/シング』で人気の高い曲「Don't You Worry ‘Bout a Thing」をカバー。彼女のカラオケの十八番だそうで、この日はラテン調のバックトラックに合わせて歌ったせいか、ハイトーンヴォイスも唸り声も自由自在で、まさに独壇場のパーティモード。歌い終わった本人が「わぁ、面白い!」と言ったほど大盛り上がりとなり、ポテンシャルの高さを見せつけられた。トロピカルな雰囲気が似合うMiiは、ラストは透明感ある美声で「You Better Not…」で締め括った。
▲Mii

1組目のロザリーナは、サポート2人(DrとKey&Prog)を従えて登場。熱気ムンムン会場の雰囲気を受けて、1曲目からハンドマイクでステージを動き回りながら、ポップロック調のナンバー「Good Night Mare」と「にじいろ」で観客を縦ノリに変えていく。MCでは、ロザリーナが今回選んだ香りについて、「最近はアップルティーにとてもハマっているので、『アンシャンテッド・アップル』という香りを選びました」と説明。基本的に甘い香りが好きらしく、彼女の切なさと甘さがミックスしたちょっとスモーキーな声に、この香りがとても合っている気がした。

一転して3曲目「長い夜」では、キーボードと歌から静かに始まり、そこに自分のギターの音を重ねていく。前半からガラリと変えた音数の少ない演奏に、ブルーのバックライトが歌の世界観を強調し、リアルな内容にファンタジー感を加えていくロザリーナらしい歌の世界を演出。そのまま代表曲のひとつ「真夏のスノーマン」へと続き、ひとつひとつ言葉を噛みしめるように歌う姿を照らすライティングが、大サビでポジティヴな歌詞を象徴するかのようにオレンジ色に変わったのが印象的だった。
初のワンマンライブが4月12日に開催される話をした後は、彼女の声の魅力が最も引き出されるミディアムテンポのエレクトロ・ポップ「Stereo」と、アニメ『からくりサーカス』のED曲として書き下ろした「マリオネット」へ。最後は観客がクラップやジャンプをしながら参加した、背中を押してくれるアッパーなナンバー「Rolling Rolling」で会場を沸かせた。
▲ロザリーナ

転換のタイミングで、会場にハニーな甘さとセクシーな香ばしさがミックスしたような新たな香りが漂い始めたが、そのワクワクするテンションをさらに高めてくれたのが、當山みれいの2トーンの素敵な衣裳。2組目はR&Bシンガーならではのしっとりした「音色Regards」でスタートしたが、そこからの関西弁トークが面白くて、ギャップも最高。かと思えば、「昨夜、久しぶりの友人から電話がかかってきて何やろと思ったら、“入院している友達がみれいの歌を聴いて、絶対にライブに行きたいという強い思いから病状が良くなってきたので、ありがとうと伝えたかった”と言われて、どうしてもこの歌を歌いたくなって」といった話を(関西弁で)して、「Missing you」を熱唱。その優しい想いがこちらにも伝わってきてファンになってしまったほど。

続く「願い~あの頃のキミへ」では、本人は意識していないものの、細かい手の振り方など歌の感情表現がそのまま身体の動きに表出していて、歌への強い入り込み方に感動を覚えた。なのにMCになると、今日のイベントに出演した3人のつながりや楽屋でのスイーツ話など、楽しいお喋りが止まらない。一方、ピアノのサウンドに合わせて歌い始めるバラード「君のとなり」では、途中から頭上からもライトが当たってドラマチックな見せ場となり、しかも、最後の一言まで丁寧に繊細に歌う姿勢には胸に迫るものがあった。そして、そのまま「光」へと続いた。
MCでは、香りの名前が「ハニーサックルジャスミン」だと明かし、清水翔太の歌のアンサーソングである「Dear My Boo」の中に出てくる女の子のイメージに近い香りだから、と紹介。その他にも、今日が清水翔太の誕生日であることや自分の好きな香りの話など、ガールズトーク満載。出演者の好きな香りに包まれながら、こんなに近い距離で歌やトークを楽しめるとは、とても贅沢なイベントだ。そして終盤は、香りに関係あるその歌から、ラストは一番アゲ系の曲という「I Wanna No」へ。當山みれいは、この日はバックダンサーがいなくてたったひとりなのにもかかわらず、途中でマイクをステージに置いて遠慮ないキレッキレのダンスを披露。歌の世界の感情の振り幅も凄いが、歌っている時とトークとのギャップ、そして噂には聞いていたものの、歌のうまさに加えて圧巻のダンスも見ることができて大満足だった。
▲當山みれい

ライブ終演後は会場で交流会まであり、最後まで素敵な香りが漂う中で賑わっていた。五感で音楽を体感するだけでなく、全員参加型のパフォーマンスも魅力で、今後<TOP NOTES>はオシャレな女子がもっと集まるイベントになっていくに違いない。

取材・文:伊藤なつみ

  ◆   ◆   ◆

ライブ終演後、心地よい香りが漂い続ける会場そのままにフロアでサイン会が行われ、Mii、ロザリーナ、當山みれいがフロアへ降りてきた。それぞれのファンがまた別のアーティストの作品を購入しサインを手にするという素敵な交流も生まれ、会場が多幸感に包まれていたのも、ロザリーナと當山みれいが選んだ香りがもたらしてくれたマジカルな効果だったのかもしれない。

今回第一回目となった<TOP NOTES>は、ソロで活躍する同世代の女性シンガーソングライターという共通項を持ったMii/ロザリーナ/當山みれいという3アーティストだったが、初対バンだったにもかかわらず、あっという間に打ち解け仲良くなってしまったようで、リハーサルから本番を通し、ライブが終わった頃には楽屋で女子トークが進み、すでにプライベートな遊び計画を立てていたようだ。

「ライブハウスって、タバコの臭いや汗ばんだ空気のイメージがありますけど、<TOP NOTES>は爽やかクリーンで、ものすごくいい香りでした。楽屋でも和気あいあいとしていて緊張せずに楽しめました。最高です」──Mii

「バンドではなく、ステージたったひとりで闘っているアーティストたちがこうやって集まれたのは、とても貴重でしたし楽しかったです」──當山みれい

「私も嬉しかった。今度みんなでお花見します(笑)」──ロザリーナ
▲Mii、當山みれい、ロザリーナ

<TOP NOTES 2月27日(水)@duo MUSIC EXCHANGE>
Mii
1.What You Say
2.My CASTLE
3.Don't You Worry(カバー)
4.You Better Not…

ロザリーナ
1.Good Night Mare
2.にじいろ
3.長い夜
4.真夏のスノーマン
5.Stereo
6.マリオネット

當山みれい
1.音色 Regards
2.Missing you
3.願い
4.君のとなり
5.光
6.Dear My Boo
7.I Wanna No

<TOP NOTE Vol.2> 光と音と「香り」
で五感に訴えるエンタテイメント

2019年4月23日(火)
@TSUTAYA O-nest
出演:Absolute area/osage/Sunrise In My Attache Case
open 18:30/start 19:00
Standing ¥2,500(税込・入場時別途ドリンク代)※3歳以上有料
企画制作:H.I.P./BARKS/ローソンエンタテインメント
香り演出:グローバルネットプランニング
[問]H.I.P.03-3475-9999/www.hipjpn.co.jp

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