『アートフェア東京2019』が開催中 
主催者が解説する、“注目作”と“鑑
賞のコツ”とは?

2019年3月7日(木)〜10日(日)まで、東京国際フォーラムで開催される『アートフェア東京2019』(※7日は招待日)。東京国際フォーラムのホールE エキシビションエリアには世界中の美術商やギャラリスト138軒が出展するほか、入場無料のロビーギャラリーも非常に充実した内容となっている。本フェアを主催する一般社団法人アート東京のパブリックリレーションズディレクター島田裕子氏に、見どころ満載の『アートフェア東京2019』の中でも、特に見逃せない注目作や鑑賞のコツを聞いた。
2019年のテーマは「Art Life」、“アートは生活スタイルのひとつ”
アートフェア東京2019では、「Art Life」をテーマに掲げている。このテーマには、「現代社会に生き、様々なライフスタイルを実践してきた私たちに今必要なのは、多種多様な他者の表現に自身の感性を磨き、また対話することで自己を見つめ直すことではないか。そんな時にアートと対峙することで、それぞれが思想や生き方を考え直すきっかけになるだろう」という意図が込められている。
島田:「Art Life」には、いかにアートが私たちの身近にあるか、という想いを込めています。『アートフェア東京』は、“アートは私たちの生活の身近なところにある”と伝えたいんです。
美術館レベルの作品が目白押し! ホールE 「Galleries」
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
メイン会場となる東京国際フォーラムのホールE エキシビションエリア「Galleries」には、日本だけでなくアジア、北米、南米、ヨーロッパの29都市から国際的な有力ギャラリー、美術商をはじめとした138軒が出展。会場内に立ち並ぶそれぞれのブースでは、例年以上に趣向を凝らしたディレクションが見られるという。
島田:それぞれのブースが前回より平均約120パーセント大きくなり、大型のブースも増えています。展示空間が広くなったことで、ダイナミックな展示でとても見応えがあるのではないでしょうか。
出品作もかなりの数になると予想されるが、その中でも特に注目の作品を島田氏にうかがった。
島田:歴史的に有名なアーティストですと例えば、シャガールとレオナール・フジタの作品(G56:日動画廊)。岡本太郎の壁画の試作が4枚出品されたり(G112:ギャラリーセラー)、手塚治虫ピカソの作品も出品されます(G53:ギャラリーオリム)。
《チャールズ モリースの娘の肖像》パブロ・ピカソ 68×48cm 紙に鉛筆 1906年
そのほかにも、熊谷守一(G89:柳ヶ瀬画廊)、ジャコメッティ(G42:みぞえ画廊)、ボルタンスキー(G109:ボヘミアンズ・ギルド)といった、大型展覧会が開催されているようなビッグネームの作品も数多く揃っているそうだ。
島田:会場を歩くだけで、美術の歴史の中に入ったような体験をしていただけるのではないでしょうか。また、今回ブースのレイアウトをジャンルで分けないで、そうした美術の文脈を体験していただけるように、古美術とコンテンポラリーアートを見比べて鑑賞できるような場所になっています。
近現代の作品以外にも、大きな仏頭のトルソー(G98:祥雲/Orient Occident)や紀元前1世紀のローマ時代のブロンズ像(G14:オリエント考古美術・太陽)など、東西を問わない古美術も豊富に集まる。
島田:なので、今回はこれまでよりも鑑賞に疲れてしまうかもしれませんね(笑)
今年は、公式サイト上で気になる作品をピックアップすることで、自分だけの会場アートマップを作成できるという。注目作が目白押しなので、当日見逃しがないよう、ぜひ事前にこちらを活用してほしい。
入場の無料の「Projects」『World Art Tokyo』
『Future Artists Tokyo』
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
ホールE 「Galleries」はもちろんのこと、入場無料エリアも大変充実している。
これからのアートシーンで注目すべき作家を個展形式で発表する「Projects」には、12軒が参加。半数のギャラリーが初出展となる。
島田:具体的な作品から抽象的な作品まで、12軒すべて異なる作品が揃っている点が特徴的です。それぞれの個性が際立っているので、作家の凝縮された世界観をぜひ見比べてみてください。
さらに、昨年に引き続き、各国の駐日大使の推薦で選ばれたアーティストたちによる国際展『World Art Tokyo』と、芸術を志す学生アーティスト・キュレーターによる展覧会『Future Artists Tokyo』も開催される。
島田:駐日大使の推薦で各国から代表アーティストが集まってひとつの空間をつくる展覧会というのは、とても珍しいのではないでしょうか。また、一線を走っているプロと、これからの活躍が期待される学生たちの作品が対峙するという意味でも、とてもおもしろい空間になってます。
今年新設、日本の最新アートシーンを発信する「Crossing」
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
入場無料エリアでは、新しいセクションの「Crossing」にも注目したい。このセクションでは、日本を代表する百貨店企画ブースや、数百年の伝統と日本各地の文化を今に伝える地方工芸団体、そして多様な価値観で表現されるアウトサイダーアートやタレントアーティストなど、バラエティに富んだアートのジャンルが集合し、最新の日本のアートシーンを発信する。
島田:ホールE「Galleries」と同じように、こちらでも伝統技術を使用した現代アートやストリートアートなど幅広く揃います。百貨店でアートを販売するという文化も、日本ならではなのではないでしょうか。それだけ、アートに対する日本人の感度が高かったのだと思います。
百貨店からは、西武・そごう、三越、Artgloriuex GALLERY OF TOKYO(アールグロリュー ギャラリー オブトーキョー)(松坂屋)の3社が出店となる。
《紙胎蒟醬風籟合子》安藤源一郎 24.1×24.1×8.3cm 漆、紙 2017
加えて、初出店で特に注目したいのが、香川県漆芸研究所のブースだ。
島田:伝統的な漆芸技法を使った表現を、ぜひ見てもらいたいです! 現代的で斬新な表現の漆芸の作品は、色々な見せ方があるんです。こういった工芸団体の出展も日本ならではの文化だと思うので、そうした歴史の文脈も改めて認識できるような場所になっています。
東京がアートの街に! サテライトイベントも見逃せない
東京湾を囲むように、天王洲、六本木、羽田空港の3ヶ所でサテライトイベントも展開される。天王洲と六本木で国内芸術系大学連携の『Future Artists Tokyo』展が、羽田空港では31カ国の駐日大使館と連携した『World Art Tokyo』展が開催となる。
島田:3月のこの期間、東京中が「アート」というキーワードで同時多発的に盛り上がるようなイベントになっています。『アートフェア東京』は、東京がアートの街になったら素敵だなと思っています。そして、アートを通して、人と人が繋がるきっかけを提供できればと思います。
国際フォーラムの会場はもちろんのこと、これらサテライト会場にも注目だ。3箇所を巡るシャトルバスも運行されるので、事前にスケジュールをチェックし、スムーズに会場を移動できるよう計画してほしい。

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