ゴリゴリの重厚なサウンドで攻める
リヴィング・カラーの
デビューアルバム『ヴィヴィッド』は
ブラックロックの
代表的なアルバムのひとつ

本作『ヴィヴィッド』について

88年にリリースされた本作はヘヴィメタルやオルタナティブなサウンドが中心ではあるものの、ファンクやヒップホップの要素も相当なものだ。意外にキャッチーなメロディーを持つナンバーが多い。マズとウィリーのタイトなリズムセクションのコンビネーションはすごいのひと言だし、ヴァーノンの計算されたギターリフはジミー・ペイジに似ていて、ハイテクニックで攻めるのは気持ち良い。当時、彼らは“黒いレッド・ツェッペリン”と呼ばれていたこともある。余談だが、ヴァーノンは影響されたギタリストとして、ジミー・ペイジ、ジミヘン、ジェフ・ベック、エディ・ヴァン・ヘイレン、ロバート・フリップなどを挙げている。

本作の収録曲は全部で11曲、ほとんどリードが中心となって書かれている。トーキング・ヘッズのカバー「Memories Can’t Wait」はヴァーノンの素晴らしいメタリックなリードギターが収められているのだが、かすかにデヴィッド・バーンの香りを残しているのが面白い。そして、さっきも書いたが意外にもキャッチーな曲が多く、超絶テクを盛り込みながらも口ずさめるナンバーに仕上げる力量は大したものだと思う。1曲目に収録された「Cult of Personality」は翌年のグラミー賞(ベスト・ハード・ロック・パフォーマンス賞)とMTVのビデオ・ミュージック・アワードを受賞するなど、彼らを代表する名曲のひとつだろう。「Glamour Boys」とアルバム最後の「Which way to America」はミックのプロデュースで、どちらもPhishのようなジャムバンド系のテイストが感じられるのだが、ひょっとすると当時のミックの趣味なのかもしれない。

本作は全米チャートで6位まで上昇し、ブラックロック作品としては大ヒット、ロック史に残る作品となった。ゲストにはミック・ジャガー(ブルースハープとバックボーカル、2曲プロデュース)とチャック・D(パブリック・エネミー)が参加して花を添えている。

リヴィング・カラーは95年に一旦解散する。その理由はヴァーノンが他のプロジェクトやソロ活動したかったためだと思うが、21世紀になって再始動、最新作は『Shade』(‘17)でベースがダグ・ウインブッシュ(92年〜)に変わっているだけで他のメンバーは不動である。

TEXT:河崎直人

アルバム『Vivid』1988年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. カルト・オブ・パーソナリティ/Cult of Personality
    • 2. アイ・ウォント・トゥ・ノウ/I Want to Know
    • 3. ミドル・マン/Middle Man
    • 4. デスペレイト・ピープル/Desperate People
    • 5. オープン・レター/Open Letter (To a Landlord)
    • 6. ファニー・ヴァイブ/Funny Vibe
    • 7. メモリーズ・キャント・ウエイト/Memories Can't Wai
    • 8. ブロークン・ハート/Broken Heart
    • 9. グラマー・ボーイズ/Glamour Boys
    • 10. フェイヴァリット・カラー/What's Your Favorite Color? (Theme Song)
    • 11. フィッチ・ウェイ・トゥ・アメリカ/Which Way to America
『Vivid』(’88)/Living Colour

OKMusic編集部

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