ゴリゴリの重厚なサウンドで攻める
リヴィング・カラーの
デビューアルバム『ヴィヴィッド』は
ブラックロックの
代表的なアルバムのひとつ
本作『ヴィヴィッド』について
本作の収録曲は全部で11曲、ほとんどリードが中心となって書かれている。トーキング・ヘッズのカバー「Memories Can’t Wait」はヴァーノンの素晴らしいメタリックなリードギターが収められているのだが、かすかにデヴィッド・バーンの香りを残しているのが面白い。そして、さっきも書いたが意外にもキャッチーな曲が多く、超絶テクを盛り込みながらも口ずさめるナンバーに仕上げる力量は大したものだと思う。1曲目に収録された「Cult of Personality」は翌年のグラミー賞(ベスト・ハード・ロック・パフォーマンス賞)とMTVのビデオ・ミュージック・アワードを受賞するなど、彼らを代表する名曲のひとつだろう。「Glamour Boys」とアルバム最後の「Which way to America」はミックのプロデュースで、どちらもPhishのようなジャムバンド系のテイストが感じられるのだが、ひょっとすると当時のミックの趣味なのかもしれない。
本作は全米チャートで6位まで上昇し、ブラックロック作品としては大ヒット、ロック史に残る作品となった。ゲストにはミック・ジャガー(ブルースハープとバックボーカル、2曲プロデュース)とチャック・D(パブリック・エネミー)が参加して花を添えている。
リヴィング・カラーは95年に一旦解散する。その理由はヴァーノンが他のプロジェクトやソロ活動したかったためだと思うが、21世紀になって再始動、最新作は『Shade』(‘17)でベースがダグ・ウインブッシュ(92年〜)に変わっているだけで他のメンバーは不動である。
TEXT:河崎直人