ヨウジヤマモト 2019-20年秋冬コレク
ション - 人の「手」はムードを変え

ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)の2019-20年秋冬ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2019年3月1日(金)に発表された。
男女の恋模様を描いた沢田研二の「時の過ぎ行くままに」のサウンドから幕を開けたショー。情緒あふれる歌詞に反して静かな始まりだった。
使用するのは黒一色、レングスはロング。2つのキーワードをもってたくさんのデザインが生まれる。生地の立体感と動きを生むプリーツ、テキスタイルの柔らかさを象徴するドレープ、プレイフルな印象を作る別布のアタッチ。ロング丈・黒一色の掟を守っていながらも一つひとつ表情が異なるコート、ドレスが続いた。
渋みのある重低音が響くと、黒一色の世界が変わる。アシンメトリーなワンショルダーのワンピースには白シャツがプラスさら、その上には赤、黄、青などの鮮やかなカラーで描いたペイントが施された。
カラフルな色彩が顔を出するとここからは一転、「手」が一つのキーワードに。ブラックのドレスやコートには立体的な「手」のモチーフを肩やウエスト、バックスタイルにオン。指がおり曲がったり、ピンと張ったり、何かのマークを作ったり。まるですぐ先ほどまでそこに手があったかのようなリアリティがある。
続くのは「手」仕事で作られた繊細なウェア。白い糸が背中からたくさん伸びたドレスや立体的で丸みのあるバックスタイルを持つドレス、先よりもより鮮やかに描かれたペイント、円形や四角形のパッチワーク。ブラックドレスの上で様々な手仕事が生まれ、消え去り繰り返される。しかし、これらのピースを纏うモデルたちの手はポケットに入っていたり、真っ黒に塗られたり、レザーグローブで覆われていたり、隠れていたのが興味深かった。
フィナーレは、フードやストール調のもので顔を隠したモデル5名がゆっくりと行進。片目だけ見えているものもいるが、その姿が定かではない。と思うと同時に、一人がパッとフーディを取り、真っ赤なリップと白い肌が見えると、にやっと笑みを浮かべ、立ち去っていった。

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