【ライブレポート】0.1gの誤算、“救
世主”を緊急招集

0.1gの誤算が2月25日、新宿BLAZEにて<-緊急招集->と銘打たれたワンマンライヴを行った。
ネットの普及によって、学生時代に読み漁った音楽誌が廃刊し、通い詰めたCDショップ、地方のライヴハウスが閉店するなど、直接肌で感じられるツールや場所がどんどんなくなっている今の音楽シーン。平成元年生まれの筆者だが、そんな現代社会が正直大嫌いだ。でも逆に言えば、ネット回線が繋がってさえいれば、クリックひとつでわりと何でも出来てしまう、そんな時代だからこそ、この瞬間を大切にしたいと思えるのかもしれない。
新宿BLAZEは0.1gの誤算にとって、無料ワンマンとしては史上最大規模の会場。開演時刻の17時30分ぴったりにSEが鳴り響き、メンバーが一人ずつステージに登場。演奏序盤から、幅広い楽曲センスを感じさせるノリの良いナンバーを畳み掛ける。会場に設置されたKIDSゾーンに訪れたちびっこパワー全開の純粋な子供たちをはじめ、身体は大きくても心だけは素直なままでいたいと願う大人、好きなものはどこまでも真っ直ぐ追い掛けるアイドルオタクの男性、ライヴハウスは暴れてなんぼと思っているロックな女性…と、さまざまな人たちが集結。その中には0.1gの誤算のライヴを初めて観る人も多く居た。その日初めて自分達のライヴに訪れた人に手を挙げさせて確認するというのは他のバンドのライヴでもよく見る光景だが、今日は想像していたよりも遥かに沢山の手がフロア後方で挙げられていた。
「やべぇな新宿!パンパンです!」と、息を切らしながら会場を見事に埋め尽くした喜びを伝えた緑川裕宇(Vo)。初めて観る人たちに向けて、「最後の曲が終わる頃には、愛して止まない!そんな気持ちにさせてやるから宜しくどうぞ!」という言葉を続け、「溺愛ヤンデレボーイ」から演奏を再開。普通のノリや普通の愛じゃ足りないという気持ちを炸裂させた。また、ライヴは日々の嫌な事を全て吐き出せる場所だということを力強く宣言し、「【L】1126【悲劇】」を披露。その後も激しいモッシュが繰り広げられる「月詠センチメンタル」で会場を盛り上げるなど、ライヴ中盤では音楽、バンドと必死に向き合う彼等の強い信念を感じた。
そして、いよいよお待ちかねのナンバー。「間違いなくここに居る全員が知ってる曲」という前置きから始まったのは「有害メンヘラドール」。それまでフロア前方の勢いに負けていた初めて観る人たちも頭を振り乱し、豪快に暴れ出す。また、バンド結成当初から応援し続けているファンならではの少々面倒臭い問題…つまり“バンドの進化に戸惑いを感じてしまう”という古株ファンのセンシティブな気持ちについて言及しつつ、「2008年高田馬場AREA」を投下。ジャンルに拘らず自由な発想力を伸ばしていきたいという表現者(バンド側)の正直な思いをこの曲と共にぶつけた。
そして、0.1gの誤算の代表曲「必殺!からくり七変化!」では、ヘドバンから前後左右にモッシュ、サークルモッシュ、スクワットと、存分に暴れられるスペシャルバージョンが用意されており、会場のボルテージはMAXに。そんな熱気籠る空間で「君色トワイライト」を軽やかに演奏。「ありがとうございました。楽しかった?」という問い掛けには、沢山の笑顔が広がった。

このままライヴが終わるかと思われたが、「ここで終われるわけねぇだろうが!ライヴでしか出来ないこと見せてやる!」と、「VITAL」「21gの感傷」「男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍」の3曲が急遽追加で演奏された。最後の最後まで全力で駆け抜けた90分だった。
初めて観る人たちへ向けたメッセージが、MCの所々で挟まれた今日のライヴ。最後は「今日が会うの最後なんて、死んだ後なんて嫌だからね。また生きてるうちに会おうぜ。ここに居る奴等と、また魂をぶつけ合うライヴをしたい!」という言葉が贈られた。

全ての演奏が終了した後、会場のスクリーンには“5月3日 日本青年館”の文字が映し出され、会場からは大きな歓声が沸き起こった。5月3日=誤算の日ということで、現在進行形で増え続けているファンと共に、今日を越える白熱したライヴが観られるであろう。
今まさに目の前に広がっている、熱き魂がぶつかり合った後の清々しい光景。これを創る為に全力を注いでいる0.1gの誤算というバンドは、現代の音楽シーンとの薄っぺらい付き合い方を変えてくれるであろう頼もしい救世主の一つかもしれない。そして、ライヴを一緒に創り上げているファンの皆もそう。今は、一人でも多くの救世主が必要なのだ。

なお、0.1gの誤算は3月16日にZepp Diver Cityにて3周年ワンマンライブを行うことも決定している。

文◎藤代冬馬
写真◎堅田ひとみ

セットリスト

01. オオカミ男と月兎
02. 【K】0626【渇望】
03. 敵刺す、テキサス
04. アストライアの入滅
05. 溺愛ヤンデレボーイ
06. 【L】1126【悲劇】
07. しいたけ人生論
08. 月詠センチメンタル
09. 有害メンヘラドール
10. 2008年高田馬場AREA
11. 混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-
12. 必殺!からくり七変化!
13. 君色トワイライト
14. VITAL
15. 21gの感傷
16. 男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍

最新情報

2019年4月23日
ニューシングル「獣猛者戦争卍轟け!超誤算狩猟卍」3タイプ同時発売

<3rd Anniversary ONEMAN【俺達を倒せるのはただひとつ、俺達だけだ】>
2019年3月16日(土)Zepp DiverCity

<「誤算の日」日本青年館公演>
2019年5月3日(金)日本青年館

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