【対談】チケット即完売のイベント『
要と竹善のおたまじゃくしの夜』根本
要と佐藤竹善二人のホストが渋谷の真
ん中でトークと“スゴイ奴”を紹介す
るライブとは?

スターダスト☆レビューの根本要、SING LIKE TALKING (以下SLT) の佐藤竹善の二人がホスト役となり、渋谷の真ん中で、トークと“スゴイ奴”を紹介するライヴ『要と竹善のおたまじゃくしの夜』は、昨年11月のスタート以来、毎回チケットが即完する人気企画だ。今年は根本が病気で欠席という心配な出来事もあったが、渋谷・eplus LIVING ROOM CAFE & DININGを舞台に繰り広げられるこのライヴ、全国のイベンターからも「是非地方でも」と依頼が殺到しているという。そんな人気ライヴに育ったこの「おたまじゃくしの夜」について、10月4日のVol.7の本番直前に二人に話を聞かせてもらった。「本番前に喉を使わせてしまいすみません」と恐縮していると、根本も佐藤も「いいウォーミングアップになるよ」と、笑顔で話始めてくれた。
根本要、佐藤竹善 - おたまじゃくしの夜
――今日でもうVol.7になりますね。
根本:そうですね。でも僕はそのうち2回欠席していますが(笑)。
――今日はそのお話も伺いたいと思っていました(笑)。
佐藤:たっぷりありますよ(笑)。
――今やチケットが入手困難になっているこの「おたまじゃくしの夜」ですが、始めようと思ったそもそものきっかけはなんだったんですか?
根本:5年以上前に、小田(和正)さんに「そろそろお前たちも若いやつらを引っ張り上げてやらないとな」って言われました。その頃はよく小田さんとジョイントライブをやらせて頂いていて、「いやいや、まだ僕たちは世話をしてもらう方です。小田さん、もう少しスネをかじらせて下さい(笑)」と言っていたのですが、5年くらい前から各地の放送局やイベンターの依頼もあり、自分でもイベントを企画し始めました。そんな時に若手のミュージシャンを紹介してもらうことが増えてきて、そういう若手を皆さんに紹介できる場があればいいなと思っていました。でもイベントって、いいコラボレーションをして、ある程度キャパシティを埋めるというのがセオリーで、そうすると申し訳ないけど、やっぱり名前、音楽が売れている人に、声をかけざるを得ないんです。
根本要 - おたまじゃくしの夜
でもそうやって動員を気にしないで、小さいところで、僕が声をかけて、来てくれる人とライヴをやりたいなと思って、ただ、いかんせん僕がそんなに顔が広くないので(笑)、それで、一番ミュージシャンのことを知っていそうなのが(佐藤)竹善だったので(笑)、声を掛けました。どんな相手が来ても、どんな音楽をやっても、受け止めてくれそうな人は誰だろうって考えた時、竹善の顔しか思い浮かばなかった。そしたら竹善も「僕もこういう企画やりたかったんです」と言ってくれ、すぐに呼びたい若手アーティストの名前が何人も出てきました。会場は「eplus LIVING ROOM CAFE& DINING」に決まったのですが、キャパ150人くらいのレストラン・バーなので、さすがに来れない人が多いだろうな思って、配信も同時にするということになりました。僕のライヴの信条は、“観たい人が観たい時観たいだけ観られる”で、ノー・ソールドアウトがモットーなので(笑)、竹善が「観られない人がちゃんと観られる方法をとりませんか?」と、配信を提案してくれ、それで始まりました。
佐藤:こういう企画をやりたいと思っていても、フェスくらいしか思い浮かばなかった時に、(根本)要さんからこの話を聞いて、微力ながら協力したいと思いました。お互いキャリアはあって、名前だけはそれなりに知られていると思うので(笑)、そこを入口にお客さんに来てもらって、でもそのお客さんだけに、登場してくれる新人、おたまじゃくしの人を紹介するよりは、僕らとお客さんとでライヴの空気を作って、それを配信することで、ゲストの人間性をより知ってもらうことができるチャンスになると思うので、配信がいいんじゃないかと思いました。
根本:おそらく何の企画もなしに、いきなり新人のミュージシャンが呼ばれても、なかなか本領発揮できないと思います。そこでキャリアが長い僕らが、ある程度空気を作ってあげることで、お客さんも受け止める余裕が出てくるというか。そういう中で歌う方が、力を発揮できると思うし、お客さんにも伝わると思うんです。
佐藤竹善 - おたまじゃくしの夜
――新人にとっても、ありがたいですよね。こんなにも優しい空気の中でパフォーマンスができる場所があるというのは。
佐藤:新しい才能を知るきっかけとか場が、昔はラジオとかテレビの深夜の音楽番組がそういう役割をしてくれていたと思いますが、今はそういう場が少なくなっています。このイベントに出てくれるような若い世代の人の中には、「ラジオって何?」っていう人もいます(笑)。だからここに来てもらうと「要さんや竹善に気に入ってもらえているんだ」って、そのアーティストのファンも喜んでくれるし、そういう噂が広がっていることがいいなって思って。
根本:最初に思ったのが、とにかく歌が上手いやつを呼びたかった。まだまだ知られていないかもしれないけど、歌として確立できているやつを呼びたくて、そこで一番信頼できる竹善に聞こうと思ったんです。僕はどちらかと言えば“雰囲気シンガー”で(笑)、日々好不調の波が激しいけど(笑)、竹善は数えきれないくらい共演したけど、調子が悪い時をみたことがない。そういう竹善と僕、呼ぶ側にも歌うことへの振り幅があった方が面白く聴いてもらえますしね。その日の空気感だけで歌えるようなヤツも含めて、ただただカラオケで100点を目指すようなシンガーじゃない人を呼ぼうと思ってます。まぁどんなヤツが来ても竹善がどっしりいてくれると、僕も色々遊びやすいですからね(笑)。
根本要 - おたまじゃくしの夜
――回を重ねてきて、ライヴとして大きな枠は決まっていると思いますが、逆にあまり決め事を多くしないでやった方が、面白いという感覚なのでしょうか?
佐藤:基本的にはまず要さんのトークが真ん中にあって(笑)、で、僕がそれに相槌を打ちながら雰囲気が出来上がって、ライヴがあってという感じです。気持ち的には「寄席」のような感じ。
根本:僕も、あまりしっかりしたものを作ろうという気持ちはなくて、その日のメンバー、気分でどんどん変わっていくような、こうなるのが相応しいというのはなくていいんです。リハは一応やりますけど、台本はないです(笑)。
佐藤:要さんが最初に何を言い出すのか、最初の10秒でその日の感じをつかまなければいけないという(笑)。
佐藤竹善 - おたまじゃくしの夜
――まさに落語の「枕」ですね(笑)。
佐藤:コンサートは落語でいうと独演会で、これくらいの規模だとやっぱり「寄席」に近いと思う。いわゆる真打ちがいても、その人だけ観に来る人って、あんまりいないじゃないですか。最初若手の落語を観て、こういう若手がいるんだって情報としてインプットしてもらえるじゃないですか。でも若手だけの公演にはなかなか行かないという人も、多いと思います。だからこのライヴは「寄席」のイメージなんですよね。
――「寄席」はそれぞれの落語家の「枕」を楽しみに来ている人もいるし、演目も楽しめて、マジックや紙切り、色々な芸を、ご飯を食べたり、お酒を飲みながら観れる小屋もありますよね。そういう意味ではこのライヴも共通点が多いですね。
根本:そうですね。コンサートってそのために何千円も払って、何時間かそこにいて、僕とか竹善みたいに3時間くらいやっている人たちもいます(笑)。それを「長っ!」と思う人もいるかもしれない(笑)。もちろん短い人もいますが、僕らスタレビも SLT も、雰囲気を楽しんで欲しいから、しゃべりがないと困るんです。だから初めて僕らのコンサートに来た人は、その長さやMCを苦痛に感じるかもしれない(笑)。
佐藤:(笑)。
根本:「おたまじゃくし~」って、お客さんは食事しながら、或いはお酒を飲みながら、ステージから投げかけられた言葉を、受け止めて考える時間が持てると思うんです。僕らもそれを意識して話しているし。通常のライヴだと僕らが発する洪水のような情報を受け止めることで、精一杯だと思うけど、ここは歌とMCが半々くらいですからね。いやMCの方が長いかな(笑)。
佐藤竹善 - おたまじゃくしの夜
――ゲストの“凄い奴”は、どうやってセレクトしているのでしょうか?
佐藤:お互いが候補を出し合って、タイミングが合う人、という感じです。
根本:ここで初めましてという感じだと、僕らもちゃんと紹介できるか不安なので、どちらかが以前、レコーディングの現場で会ったことがあるとか、共演したことがあるとか、そういう人に来てもらっています。
佐藤:いい奴というのが基本です(笑)。
根本:そうそう(笑)。音楽はいんだけど、性格が…という人はちょっと…(笑)。
――Vol.4、5と要さんは病欠して、みんなが心配しました。
根本:5回のうちの2回、つまり半分は休んでいることになるという。
佐藤:まだ6回しかやっていないですよ(笑)。あの時は、とりあえず曲を増やそうと(笑)。しゃべりを増やしてもよかったのですが、二人でしゃべる雰囲気が出来上がっているイベントなので。要さんが出られなくなったのがわかったのが、前日だったので、この感じを期待しているお客さんが、来てみたらボケが不在で突っ込みが延々としゃべっているとなると、違和感を感じると思いました。
根本:竹善が曲をたくさんやったという話を聞いて、卑怯者!って罵りました(笑)。
佐藤:頑張ったのに(笑)。
根本要 - おたまじゃくしの夜
――この企画、すでに全国のイベンターさんからリクエストが殺到しているとお聞きしました。
佐藤:第一回目が終わった後、全国から問い合わせが来ました(笑)。
根本:うちの街ならこんなお店がある、とかね。タイミングが合えば地方でもやりたと思っています。
――「おたまじゃくしの夜」の全国ツアーですね。
佐藤:やりたいのはやまやまですけど、全員のスケジュールがなかなか合わないから、話が先に進まないんです(笑)。
根本:このイベントも本当は月1でやりたいと思っていて、平日だったら僕も竹善も大丈夫だろうと考えていたら、全然時間が合わない(笑)。最初にも出ましたけど、こういうイベントってありそうでなかったんですよね。新人を紹介するということだけなく、アーティストが音楽を語る、説明する場って意外とないんです。
佐藤:ラジオとライヴとテレビの一番いいところを合わせた感じだと思うなあ。
根本:ミュージシャンにとってのファンクラブ的存在というか。あれはチケットが取りやすいとか、限定グッズが買えるとかもあるかもしれないけど、アルバムやライブだけでは伝えられないミュージシャンの思いを伝える場所なんです。例えば会報とかには、アルバムだけ、歌詞カードだけでは伝わらない、そのアーティストの人間的な部分が書かれていると思うんです。音楽に付随するそのアーティストの性格や考え方まで知りたい人が、いわゆるファンクラブに入るんだと思うけど、この場所もそんな場所になればいいな、と思っています。そして、音楽は好き嫌いかもしれないけど、僕らがこのミュージシャンいいと思うよって、ちゃんと責任を持って紹介していくのも、先輩としての使命だと思っています。
――おたまじゃくしさんも気合が入るし、鍛えられますよね。
佐藤:普段自分達を聴きに来ているお客さんとは、全然違いますからね(笑)。
根本:出演してくれた人の中には、「こんなに緊張したことはない」という人も多くて、でもそういう経験ってなかなかできないと思う。僕はライヴのうまさは絶対経験値だと思っているので。
佐藤:こういうイベントは続けることが大切だと思っているので、頑張って続けていきたい。
根本:僕らはしゃべっているだけですけどね(笑)。
根本要、佐藤竹善 - おたまじゃくしの夜
取材・文=田中久勝 写真=三輪斉史

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